読了率を計測しても成果につながらない理由
意外かもしれませんが、記事の読了率・エンゲージメントは計測するだけでは成果につながらず、「誰に・何を・なぜ」という戦略設計と連動させ、読了後のアクション(CV・商談)まで設計することで、コンテンツ投資の効果を最大化できます。
「GA4で読了率を計測しているが、その数値をどう活かせばよいか分からない」「読了率は上がったのに商談につながらない」という悩みを抱えるマーケティング担当者は少なくありません。
TRENDEMON調査(2023-2024年)によると、BtoBサイトの直帰率は平均で70%と高い水準にあり、ターゲット企業の担当者が必要とする情報にたどり着けていない課題があります。また、同調査ではBtoBサイトに来訪する1企業あたりの平均UU数が増加傾向にあるものの、セッション数や読了数などのエンゲージメントは低下傾向にあることが報告されています。
この記事で分かること
- 読了率・エンゲージメントの定義と各指標の違い
- GA4・GTMを使った読了率の具体的な計測方法
- 読了率が高くても商談につながらない構造的な原因
- 読了率を商談・CVにつなげるための戦略設計の考え方
読了率・エンゲージメントの定義と計測指標の基本
読了率とは、記事コンテンツが最後まで読まれた割合を指します。一般的にはページの90%スクロール到達で「読了」と定義することが多いです。
エンゲージメントとは、閲覧数・読了率・シェア数などの行動指標を総称し、読者の関与度やブランドとのつながりを示す概念です。単一の指標ではなく、複数の指標を組み合わせて評価するのが一般的です。
スクロール率とは、ページのどこまでスクロールされたかを示す指標です。25%・50%・75%・90%など複数の深度で計測することが多く、読者がどこで離脱しているかを把握するのに役立ちます。
これらの指標を正しく理解することが、効果的な計測と改善の第一歩です。
スクロール率と読了率の違い
スクロール率と読了率は混同されがちですが、厳密には異なる指標です。
スクロール率は「ページのどこまでスクロールされたか」を示すのに対し、読了率は「最後まで読まれたかどうか」を判定する指標です。スクロールしていても実際には読んでいない場合(ページを一気にスクロールして離脱するケースなど)があるため、スクロール率だけでは読者が内容を理解したかどうかは判断できません。
より正確な分析には、スクロール率と滞在時間を組み合わせて評価する方法が有効です。90%スクロールに到達し、かつ一定時間以上滞在している場合は、実際に内容を読んでいる可能性が高いと判断できます。
GA4・GTMを使った読了率の計測方法
GA4とGTMを活用することで、読了率を詳細に計測できます。GA4の拡張計測機能を使えば基本的な90%スクロール計測が可能で、より詳細な分析が必要な場合はGTMでカスタム設定を追加します。
GTM(Google Tag Manager) とは、Googleが提供するタグ管理ツールです。GA4と連携してカスタムイベント(読了計測等)を設定できます。
GA4拡張計測機能とは、GA4のデフォルト機能で、90%スクロール到達を自動計測するものです。カスタム深度(25%・50%・75%など)が必要な場合はGTMで設定します。
【比較表】読了率・エンゲージメント指標の種類と活用場面一覧
| 指標 | 定義 | 計測方法 | 活用場面 |
|---|---|---|---|
| 読了率(90%スクロール) | ページの90%まで到達した割合 | GA4拡張計測機能 | 記事全体の読了状況把握 |
| スクロール率(25/50/75%) | 各深度への到達割合 | GTMカスタム設定 | 離脱箇所の特定 |
| 平均滞在時間 | ページ滞在の平均時間 | GA4標準計測 | 読者の関与度確認 |
| エンゲージメント率 | エンゲージメントのあったセッション割合 | GA4標準計測 | 全体的な関与度評価 |
| 直帰率 | 1ページのみで離脱した割合 | GA4標準計測 | コンテンツの初期訴求力確認 |
| ページ/セッション | 1セッションあたりの閲覧ページ数 | GA4標準計測 | サイト内回遊の評価 |
※GA4の仕様は頻繁に変更されるため、計測設定については最新の公式ヘルプを確認してください。
GA4拡張計測機能で基本の読了率を計測する
GA4の拡張計測機能をONにすると、90%スクロール到達が自動的に計測されます。管理画面の「データストリーム」から該当のストリームを選択し、「拡張計測機能」の設定でスクロールイベントを有効にすることで計測を開始できます。
この機能を使えば、特別な設定なしで基本的な読了率を把握できます。ただし、90%以外の深度(25%・50%・75%など)を計測したい場合は、GTMでのカスタム設定が必要です。
詳細な設定手順については、GA4の公式ヘルプを参照してください。仕様変更が頻繁にあるため、最新情報の確認をおすすめします。
GTMで複数深度のスクロール計測を追加する
離脱箇所を詳細に分析するには、25%・50%・75%・90%など複数の深度でスクロール計測を行うことが有効です。この設定にはGTMを使用します。
GTMでスクロール深度トリガーを作成し、各深度でイベントが発火するよう設定します。これにより、読者がどの位置で離脱しているかを把握でき、コンテンツ改善のヒントを得られます。
例えば、50%で大きく離脱している場合は、記事中盤のコンテンツに問題がある可能性があります。離脱箇所を特定することで、具体的な改善ポイントが明確になります。
読了率が高くても商談につながらない構造的な原因
読了率が向上しても商談やCVにつながらないケースは多く見られます。その原因は、読了率向上だけを目標にしていることにあります。
よくある失敗パターンとして、GA4で読了率を計測し「読了率が上がった」と満足して終わってしまうケースがあります。しかし、記事ごとの戦略(ターゲット・訴求軸)がバラバラでは、読了率が上がっても結局商談・CVにはつながりません。
TRENDEMON調査(2023-2024年)が示すように、BtoBサイトの直帰率は平均70%と高い水準にあります。これは、ターゲット企業の担当者が必要とする情報にたどり着けていないことを示唆しています。
読了率向上だけを追いかけても、以下のような問題が発生します。
- ターゲット外の読者が増えても商談にはつながらない
- 記事ごとに訴求軸がバラバラで、サイト全体として一貫したメッセージが伝わらない
- 読了後の次のアクション(CTA・資料ダウンロードなど)が設計されていない
これらの問題を解決するには、読了率計測と戦略設計を連動させる必要があります。
読了率を商談・CVにつなげる戦略設計の考え方
読了率を商談・CVにつなげるには、「誰に・何を・なぜ」という戦略設計と読了率計測を連動させることが重要です。読了後のアクション導線まで設計することで、コンテンツ投資の効果を最大化できます。
【チェックリスト】読了率を商談化につなげる戦略設計チェックリスト
- ターゲット顧客(業種・役職・課題)を明文化している
- 記事ごとの目的(認知/リード獲得/育成)を定義している
- 自社のUSP(独自の強み)を言語化している
- 全記事で訴求軸が一貫している
- 読了後のCTA(資料DL・問い合わせ等)を設計している
- CTAの配置箇所を記事構成に組み込んでいる
- 読了率とCVの相関を定期的に分析している
- 離脱箇所を特定し、改善PDCAを回している
- ターゲット外の流入が増えていないか確認している
- 読了率向上とCV向上の両方をKPIとして設定している
- ペルソナ情報をコンテンツ制作者全員が参照できる状態にしている
- 読了率の目標値を記事カテゴリごとに設定している
ターゲット・訴求軸を一貫させる
記事ごとに訴求がバラバラにならないよう、「誰に・何を・なぜ」を言語化し、全記事で一貫させることが重要です。
ターゲット顧客の業種・役職・課題を明確にし、自社のUSP(独自の強み)を言語化します。これらの情報をコンテンツ制作者全員が参照できる状態にすることで、記事ごとの主張ブレを防げます。
訴求軸が一貫していれば、複数の記事を読んだ読者に対して一貫したメッセージを伝えられ、商談・CVへの転換率が向上します。
読了後のアクション導線を設計する
読了されても次のアクションがなければ、商談・CVにはつながりません。読了後の導線設計が重要です。
具体的には、以下のようなアクション導線を設計します。
- 記事内容に関連するホワイトペーパーのダウンロードCTA
- 無料相談・問い合わせへの誘導
- 関連記事への内部リンク(サイト内回遊の促進)
- メルマガ登録(継続的な関係構築)
CTAの配置箇所も重要です。記事末尾だけでなく、本文中の適切な位置にも配置することで、読了前に離脱した読者にもアクションの機会を提供できます。
まとめ:読了率計測と戦略設計を連動させてコンテンツ効果を最大化する
本記事では、読了率・エンゲージメントの基本的な定義から、GA4・GTMを使った計測方法、そして読了率を商談・CVにつなげるための戦略設計について解説しました。
重要なポイントを整理します。
- 読了率とスクロール率の違い: スクロール率は「どこまでスクロールされたか」、読了率は「最後まで読まれたか」を示す。滞在時間との組み合わせ分析が有効
- GA4・GTMによる計測: GA4拡張計測機能で90%スクロールを自動計測、詳細分析はGTMでカスタム設定
- 商談につながらない原因: 読了率向上だけを目標にし、戦略(ターゲット・訴求軸)がバラバラでは成果が出ない
- 戦略設計との連動: 「誰に・何を・なぜ」を言語化し、読了後のアクション導線まで設計する
本記事のチェックリストを活用し、自社の読了率計測と戦略設計の連動状況を確認してください。
記事の読了率・エンゲージメントは計測するだけでは成果につながらず、「誰に・何を・なぜ」という戦略設計と連動させ、読了後のアクション(CV・商談)まで設計することで、コンテンツ投資の効果を最大化できます。
