BtoB企業の記事アクセス減少が深刻化している背景
記事のアクセスがゼロの状態を脱却するには、SEO対策の基本を押さえた上で、「誰に・何を・なぜ」という戦略を固定し、PVだけでなく商談化・受注につながる成果を基準にコンテンツ運用を設計することが重要です——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
BtoB企業のWebサイトを取り巻く環境は大きく変化しています。2025年11月のクリエイティブバンク調査(531名対象)によると、BtoB企業サイトでPV・セッションがこの1年で減少した企業は41.8%に達しています。その主因として、生成AI利用拡大が52.7%、SNS・動画など情報源の分散が46.4%と報告されています(ただし、この調査は民間アンケートベースの自己申告によるもので、実測PVデータではない点に注意が必要です)。
ゼロクリック検索とは、検索結果ページ上で回答が表示され、ユーザーがサイトをクリックせずに離脱する検索行動を指します。生成AIの普及により、このゼロクリック検索が増加していることが、BtoB企業サイトのアクセス減少の一因となっています。
この記事で分かること
- 記事のアクセスがゼロになる主な原因と、その診断方法
- SEO対策の基本と、すぐに実行できる具体的なアクション
- PV追求だけでは商談につながらない理由と、失敗パターンの回避方法
- 戦略設計とAI検索対応を組み合わせた、商談化を目指すコンテンツ運用
記事のアクセスがゼロになる主な原因
記事のアクセスがゼロになる原因は、技術的な問題と検索環境の構造的な変化の2つに大別されます。自社の状況を正しく診断することが、効果的な対策の第一歩です。
企業規模別では、従業員100-299人企業で57.8%、IT・通信業で52.2%がアクセス減少を実感しているというデータがあります(2025年11月、クリエイティブバンク調査)。中小企業への影響が特に顕著である傾向がみられます(ただし、サンプルの業種偏りに注意が必要です)。
インデックス登録と技術的な問題
インデックス登録とは、検索エンジンにWebページを認識・登録させ、検索結果に表示されるようにするプロセスです。そもそもインデックス登録がされていなければ、どれだけ良質なコンテンツでも検索結果に表示されません。
Google Search Consoleで対象URLを入力することで、インデックス登録状況を確認できます。登録されていない場合は、インデックス登録をリクエストする機能があります。新規記事を公開した際は、まずこの確認を行うことが基本です。
キーワード選定と競合環境の問題
ターゲットキーワードの選定ミスも、アクセスゼロの主要な原因です。検索ボリュームが極端に少ないキーワードを狙っている場合、上位表示されてもアクセスは期待できません。逆に、競合が多すぎるキーワードでは、上位表示自体が困難です。
検索ボリュームと競合のバランスを考慮したキーワード選定が重要ですが、BtoB領域では検索ボリュームが小さくても、商談につながりやすいキーワードを狙う戦略が有効なケースが多いです。
生成AIとゼロクリック検索の影響
従来のSEO対策だけでは限界がある時代になっています。前述の調査で、アクセス減少の主因として生成AI利用拡大が52.7%を占めています。AIO(AI Optimization) とは、AI検索エンジンに自社コンテンツを優先的に引用・表示させるための最適化手法です。今後はSEOとAIOの両方を意識したコンテンツ設計が求められます。
アクセスゼロ脱却のためのSEO基本対策
アクセスゼロの状態を脱却するには、まずSEOの基本対策を押さえることが不可欠です。2025年のBIZPA調査によると、売上高100億円未満の中小BtoB企業で、現在のSEO実施率は19.0%に留まっています。一方で、今後新たに実施意向があると回答した企業は28.6%で最多となっており、SEO対策への関心は高まっています。
【比較表】アクセスゼロの原因と対策比較表
| 原因カテゴリ | 具体的な原因 | 対策 | 確認方法 |
|---|---|---|---|
| 技術的問題 | インデックス未登録 | Search Consoleで登録リクエスト | URL検査ツール |
| 技術的問題 | クロールエラー | エラー内容を修正 | Search Consoleのカバレッジ |
| 技術的問題 | robots.txtでブロック | 設定を見直し | robots.txtテスター |
| コンテンツ問題 | キーワード選定ミス | 検索ボリュームと競合を再調査 | キーワード調査ツール |
| コンテンツ問題 | タイトル・見出しの最適化不足 | キーワードを自然に含める | 検索結果での表示確認 |
| コンテンツ問題 | 内部リンク不足 | 関連記事への導線を追加 | サイト構造の確認 |
| 環境要因 | ゼロクリック検索の増加 | 構造化コンテンツでAI対応 | AI検索での引用状況 |
| 環境要因 | 競合の増加 | 独自性のあるコンテンツ作成 | 競合分析 |
インデックス登録の確認と対応
アクセスがゼロの場合、最初に確認すべきはインデックス登録の状況です。Google Search Consoleの「URL検査」機能で、対象URLがインデックスされているかを確認できます。「URLがGoogleに登録されていません」と表示された場合は、「インデックス登録をリクエスト」を実行します。
内部リンクとナビゲーションの最適化
ナビゲーションとは、Webサイト内でユーザーが目的のページに到達するための案内機能(メニュー、リンク等)を指します。内部リンクとナビゲーションの最適化は、効果の実感度が高い施策の一つです。
2025年のシーラベル調査(105名対象)によると、BtoBサービスサイトで効果が大きかった施策として内部リンク最適化を挙げた企業は全体で15.0%でしたが、運用成功層に限ると36.8%に達しています。また、2025年のトライベック調査(7,700人回答)では、BtoBサイトで製品情報にアクセスする方法として、メニュー(ナビゲーション)・ページ内リンク・サイト内検索の利用率が各7割超という結果が出ています。
SEOテクニックだけでは商談につながらない理由
SEOテクニックを駆使してアクセスを集めても、それだけでは商談・受注にはつながりません。ここに多くのBtoB企業が陥る失敗パターンがあります。
2025年11月のクリエイティブバンク調査によると、アクセス減少企業の94.5%が商談機会減を実感しています(ただし、アクセス減少と商談減の因果関係は自己申告ベースであり、他要因の影響も考えられます)。アクセス数と商談機会は連動する傾向がみられますが、だからといってPVだけを追いかけるアプローチは誤りです。
アクセス減少が商談機会に直結する実態
アクセス減少が商談機会に影響を与える傾向は確かにみられます。しかし重要なのは、「アクセスを増やせば商談が増える」という単純な図式で考えないことです。ターゲットが明確でない記事で大量のアクセスを集めても、そのほとんどは商談につながりません。
戦略なきコンテンツ量産の失敗パターン
よくある失敗パターンとして、SEOテクニックやキーワード対策だけに注力し、記事ごとに主張がバラバラで戦略が一貫していないケースがあります。このパターンでは、PVが増えても商談・受注につながらないコンテンツになってしまいます。多くの企業がこのパターンに陥っています。
具体的には、以下のような状態です:
- 記事ごとにターゲット読者が異なり、誰に向けた記事か不明確
- 記事の主張がブレており、一貫したメッセージがない
- キーワードを詰め込むことが目的化し、読者の課題解決になっていない
- PV数をKPIにしているが、商談化率は測定していない
戦略設計とAI検索対応で商談化を目指す
商談につながるコンテンツ運用を実現するには、SEO対策に加えて「誰に・何を・なぜ」という戦略を固定することが重要です。また、AI検索時代に対応した構造化コンテンツの作成も欠かせません。
ニーズ充足率とは、ユーザーがサイト訪問で求める情報を得られた度合いを示す指標です。PV数だけでなく、このニーズ充足率を高めることが、商談化につながるコンテンツの条件となります。
「誰に・何を・なぜ」を固定する戦略設計
コンテンツの一貫性を保つためには、以下の3点を事前に固定することが有効です:
- 誰に: ターゲット読者は誰か(業種、役職、課題)
- 何を: どのような情報・価値を提供するか
- なぜ: なぜその情報が読者の課題解決に役立つか
この3点がブレなければ、記事ごとの主張が一貫し、読者との信頼関係を構築できます。結果として、商談につながりやすいコンテンツになります。
構造化コンテンツでAI検索にも対応する
2025年12月のヴァリューズ×note共同調査によると、note記事で生成AI経由流入が2025年3-8月に3倍増という結果が報告されています。また、目次利用48%、見出し89%という構造化コンテンツがAI対応で読まれやすい傾向がみられます。
AIO(AI Optimization) を意識したコンテンツ作成のポイントは以下のとおりです:
- 目次を設置し、記事全体の構造を明示する
- 見出し(H2/H3)を適切に使い、階層構造を作る
- 各セクションの冒頭で結論を述べる(Answer-First構造)
- 専門用語は定義を明記する
【チェックリスト】アクセスゼロ脱却チェックリスト
- Google Search Consoleで対象URLがインデックス登録されているか確認した
- インデックス未登録の場合、登録リクエストを送信した
- robots.txtやnoindexタグで誤ってブロックしていないか確認した
- ターゲットキーワードの検索ボリュームと競合を調査した
- タイトルにターゲットキーワードを自然に含めている
- 見出し(H2/H3)を適切に使い、記事の構造を整理している
- 目次を設置し、記事全体の構造を明示している
- 関連記事への内部リンクを設置している
- ナビゲーションから記事へのアクセス導線を確認した
- ターゲット読者(誰に)を明確に定義している
- 提供する価値(何を)を明確にしている
- その情報が役立つ理由(なぜ)を説明している
- 記事の主張が他の記事と一貫しているか確認した
- PV数だけでなく、商談化率をKPIに設定している
- 各セクションの冒頭で結論を述べている(Answer-First構造)
- 専門用語には定義を付けている
- AI検索での引用を意識した構造化コンテンツになっている
まとめ:PVではなく商談化を基準にしたコンテンツ運用を
記事のアクセスがゼロの状態から脱却するためには、技術的なSEO対策と戦略的なコンテンツ設計の両方が必要です。本記事で解説したポイントを整理すると:
- 原因の診断: インデックス登録、キーワード選定、検索環境の変化(AI・ゼロクリック)の3軸で自社の状況を把握する
- SEO基本対策: インデックス登録の確認、内部リンク・ナビゲーションの最適化を実行する
- 失敗パターンの回避: SEOテクニックだけに注力し、戦略が一貫していない状態を避ける
- 戦略設計: 「誰に・何を・なぜ」を固定し、記事ごとの主張をブレさせない
- AI検索対応: 構造化コンテンツ(目次・見出し・Answer-First)でAI引用を狙う
改めて強調しますが、記事のアクセスがゼロの状態を脱却するには、SEO対策の基本を押さえた上で、「誰に・何を・なぜ」という戦略を固定し、PVだけでなく商談化・受注につながる成果を基準にコンテンツ運用を設計することが重要です。
まずは本記事のチェックリストを使って自社サイトの状況を診断し、優先度の高い対策から着手することをおすすめします。
