BtoBマーケティング外注で成果が出ない企業に共通する問題
自社に合った外注先を選び、成果につながるマーケティング活動を実現するために必要なのは、外注先選びの前に「誰に・何を・なぜ」という戦略情報を発注者側で整理し、外注先と共有できる状態にしておくことです。
「マーケティングのリソースが足りないから外注したい」「どこに頼めば成果が出るのか分からない」——こうした悩みを抱えるBtoB企業のマーケティング担当者は少なくありません。2025年の調査によると、BtoBマーケティング施策の外注検討率は22.6%となっています(n=107)。
しかし、マーケティングコスト意識が85%の企業で高まった一方で、投資対効果で受注金額まで追う企業は30.2%にとどまっています(2025年度)。外注を検討しながらも、成果を正しく測定できていない企業が多いのが現状です。
「良い外注先を見つければ成果が出る」という思い込みで、戦略設計を外注先任せにした結果、記事ごとに主張がバラバラになり商談につながらない——このような失敗パターンは非常に多いです。 外注先の選定よりも、まず発注者側の準備を整えることが成功の鍵となります。
ROI(投資対効果) とは、投資に対する利益の割合です。マーケティング外注では受注金額まで追跡することが重要です。
この記事で分かること
- BtoBマーケティングで外注できる業務内容と市場動向
- 外注のメリット・デメリット
- 支援会社のタイプ別比較(比較表付き)
- 外注で成果を出すための発注者側の準備(チェックリスト付き)
BtoBマーケティングで外注できる業務内容と市場動向
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング) とは、企業の業務プロセスを外部の専門業者に委託することです。マーケティング業務も含まれます。BPO市場規模は5兆786億円(2024年度、前年比4.0%増)と拡大傾向にあります。
また、約6割のBtoB企業が2025年度のWeb広告予算を増額予定というデータもあり、マーケティング活動への投資意欲は高まっています。こうした背景から、外注ニーズも増加傾向にあります。
外注で依頼できる業務は多岐にわたります。
- コンテンツ制作: 記事、ホワイトペーパー、事例集
- 広告運用: リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告
- 動画制作: 商品紹介、ブランディング、セミナー動画
- MA・CRM運用: ツール導入支援、シナリオ設計、運用代行
- SEO対策: 内部施策、外部施策、コンテンツSEO
記事制作・コンテンツマーケティング
記事制作は外注の中でも依頼頻度が高い業務です。生成AIとは、テキストや画像などのコンテンツを自動生成するAI技術です。外注費削減に活用されています。
ある事例では、SEO記事外注費(月20〜30万円相当)が生成AI活用でゼロになったケースも報告されています。ただし、これは個別事例であり一般化には注意が必要です。戦略設計や品質チェックは依然として人手が必要であり、完全な内製化が可能かどうかは企業の体制によります。
Web広告運用・動画制作
動画制作の外注も増えています。BtoB企業で外注経験のある動画は「商品・サービスの紹介動画」が70.9%で最多、次に「ブランディング動画」35.5%となっています。
ただし、動画制作外注で7割以上が失敗経験ありという調査結果もあります(2025年2月、BtoBマーケティング担当者110名調査)。外注先に丸投げせず、目的や活用シーンを明確にした上で依頼することが重要です。
BtoBマーケティング外注のメリット・デメリット
外注にはメリットとデメリットの両面があります。自社の状況に合わせて判断することが大切です。
生成AI活用によりBtoBマーケティング業務の外注費が「やや削減」47.5%、「大幅削減」含め65.7%の企業が効果を実感しています(2025年、自己申告ベースの調査で客観性には限界があります)。外注費削減の手段としてAI活用も選択肢に入るようになっています。
外注のメリット:専門ノウハウと最新トレンドの活用
外注の主なメリットは以下の通りです。
- 専門ノウハウの活用: 自社にない専門知識やスキルを即座に活用できる
- リソース不足の解消: 採用・育成コストをかけずに戦力を確保できる
- 最新トレンドへの対応: 外部パートナーが持つ業界知見を活用できる
- コア業務への集中: 外部に任せることで社内リソースを戦略立案に集中できる
外部リソースを単なる作業代行ではなく、ノウハウを補完してくれるチームの一員として活用することが効果的です。
外注のデメリット:コストとノウハウ蓄積の課題
一方、外注のデメリットも認識しておく必要があります。
- コスト: 内製に比べて費用がかかるケースがある
- ノウハウ蓄積の難しさ: 外注先に依存すると社内にナレッジが残らない
- コミュニケーションコスト: 認識のすり合わせに時間がかかる
- 品質のばらつき: 外注先によって成果物の品質が異なる可能性
コスト削減だけが外注のメリットと考えるのは誤りです。専門ノウハウの活用こそが外注の本質であり、コスト削減は副次的な効果と捉えるべきです。
BtoBマーケティング支援会社のタイプ別比較
支援会社には複数のタイプがあり、自社のニーズに合った選択が重要です。
インサイドセールスとは、電話やオンラインを活用した非対面型の営業活動です。日本導入率は40.6%と言われています。
【比較表】支援会社タイプ別比較表
| タイプ | 対応範囲 | 費用感 | 向いている企業 | 得意領域 |
|---|---|---|---|---|
| 総合代理店型 | 戦略〜実行まで一貫対応 | 高め | 大規模プロジェクト、複数施策を同時展開したい企業 | ブランディング、統合マーケティング |
| 専門特化型(SEO/広告/動画など) | 特定領域に深く対応 | 中程度 | 特定施策を強化したい企業 | 各専門領域での高い専門性 |
| コンサルティング型 | 戦略立案・アドバイス中心 | 中〜高め | 戦略を明確にしたい企業 | 戦略設計、KPI設計 |
| 制作会社型 | コンテンツ・クリエイティブ制作 | 中程度 | 制作物の品質を重視する企業 | デザイン、動画、記事制作 |
| フリーランス・スポット型 | 特定タスクへの柔軟対応 | 低め | 単発タスク、予算を抑えたい企業 | 柔軟性、スピード対応 |
総合代理店型と専門特化型の違い
総合代理店型は戦略から実行まで一貫して対応できる点がメリットですが、費用は高めになる傾向があります。一方、専門特化型は特定領域で高い専門性を発揮しますが、複数施策を横断的に連携させたい場合は調整が必要になります。
自社のマーケティング成熟度や予算、求める成果に応じて選択することが重要です。
フリーランス・スポット型の活用シーン
フリーランスやスポット依頼は、以下のような場面で有効です。
- 単発の記事制作やデザイン制作
- 既存施策の部分的なサポート
- 予算を抑えながら試験的に外注を試したい場合
- 短期間での納品が必要な場合
ただし、戦略設計や長期的なパートナーシップには向いていないため、用途を明確にして活用することが大切です。
外注で成果を出すための発注者側の準備
動画制作外注で7割以上が失敗経験ありというデータが示すように、外注で成果を出すには発注者側の準備が欠かせません。投資対効果で受注金額まで追う企業は30.2%のみという現状も、準備不足の表れといえます。
【チェックリスト】BtoBマーケティング外注準備チェックリスト
- ターゲット顧客が明確に定義されているか
- ターゲット顧客の課題・ニーズを把握しているか
- 自社のUSP(独自の価値提案)が言語化されているか
- 競合企業の分析ができているか
- 外注したい業務の範囲が明確か
- 期待する成果・ゴールが具体的に設定されているか
- KPI(成功指標)が設定されているか
- 予算の上限・下限が決まっているか
- 社内の承認フロー・意思決定者が明確か
- 外注先とのコミュニケーション担当者が決まっているか
- 成果物のレビュー・フィードバック体制があるか
- 既存のコンテンツやデータを共有できる状態か
- 外注先への期待値と制約条件を伝えられるか
- 契約条件(守秘義務、著作権など)を確認しているか
外注前に整理すべき戦略情報
発注者が事前に整理すべき戦略情報は「誰に・何を・なぜ」の3点に集約されます。
- 誰に(ターゲット): どの業界・規模・役職の顧客を狙うか
- 何を(USP): 競合と比べて自社が提供できる独自の価値は何か
- なぜ(課題解決): 顧客のどんな課題を解決するのか
これらが曖昧なまま外注すると、コンテンツごとにメッセージがバラバラになり、商談につながりにくくなります。
外注先との協業体制の設計
外注先と効果的に協業するためには、役割分担を明確にすることが重要です。
推奨される役割分担として、広告・制作は外部パートナーに任せ、内製チームは戦略立案に集中するアプローチがあります。戦略設計は発注者側で行い、その戦略に基づいた実行を外注先に依頼することで、一貫性のあるマーケティング活動が実現できます。
まとめ:外注先選びの前に発注者の準備を整える
本記事では、BtoBマーケティング外注の選び方について、市場動向、メリット・デメリット、支援会社タイプ別比較、発注者側の準備まで解説しました。
要点の整理
- BPO市場は5兆円超で拡大中、Web広告予算増額予定の企業は約6割
- 動画制作外注で7割以上が失敗経験あり、準備不足が主な原因
- 支援会社は総合代理店型、専門特化型、フリーランス型など複数タイプがある
- 外注前に「誰に・何を・なぜ」の戦略情報を整理することが成功の鍵
- 投資対効果は受注金額まで追跡する体制を構築する
次のアクション
まずは、本記事で紹介した「BtoBマーケティング外注準備チェックリスト」を活用し、自社の準備状況を確認してください。
BtoBマーケティングの外注で成果を出すには、外注先選びの前に「誰に・何を・なぜ」という戦略情報を発注者側で整理し、外注先と共有できる状態にしておくことが重要です。
