インバウンドとアウトバウンドが連携していない問題
多くの人が見落としがちですが、インバウンドで獲得したリードをアウトバウンドで適切にフォローする「連携設計」を整備すれば、BtoB企業のリード獲得から商談化までの成果向上につながります。
「インバウンドでリードは獲得できているのに、なかなか商談につながらない」「アウトバウンドとインバウンドが別々に動いていて、連携できていない」——こうした課題を抱えるBtoB企業のマーケティング担当者や営業責任者は少なくありません。
インバウンドマーケティングとは、ブログ・SEO・SNSなどのコンテンツで顧客を引き寄せる手法です。長期的な信頼構築と低コストが特徴ですが、単独では商談化に時間がかかるケースがあります。
アウトバウンドマーケティングとは、テレアポ・展示会・DMなど企業側から積極的にアプローチする手法です。特定企業狙いの即時効果が高く、インバウンドと組み合わせることで相乗効果が期待できます。
海外の調査では、インバウンドとアウトバウンドを組み合わせることでリード獲得が41%向上したという報告があります(日本市場では異なる可能性があります)。
この記事で分かること
- インバウンドとアウトバウンドの違いと特徴
- なぜ組み合わせが成果につながるのか
- リードステージ別の施策組み合わせパターン
- 連携設計の実践ステップとチェックリスト
インバウンドとアウトバウンドの違いと特徴
インバウンドとアウトバウンドはそれぞれ強みと弱みが異なり、どちらか一方ではなく、両者を組み合わせることで効果を最大化できます。
海外の調査によると、アウトバウンドマーケティングの反応率は推定4.9%で、2003年以来最高水準に達しているという報告があります(日本市場では傾向が異なる可能性があります)。「アウトバウンド=時代遅れ」という認識は誤りであり、特定企業へのターゲティングにおいては現在も高い効果を発揮します。
ABM(アカウントベースドマーケティング) とは、特定の企業(アカウント)をターゲットに絞り込んでアプローチするマーケティング手法です。アウトバウンドとの相性が良く、狙った企業への効率的なアプローチを可能にします。
インバウンドの強みと弱み
インバウンドマーケティングの最大の強みは、コスト効率の高さと持続的なリード獲得です。
インバウンドの強み
- コスト効率が高く、中長期的に安定したリード獲得が可能
- コンテンツが蓄積されることで、継続的な流入が期待できる
- 顧客との信頼関係を構築しやすい
インバウンドの弱み
- 即効性に欠け、成果が出るまで時間がかかる
- リードの質にバラつきが出やすい
- 商談化までのプロセスが長くなりがち
「インバウンドだけで十分」という考え方は誤解です。インバウンドで獲得したリードをそのまま放置していては、商談につながりにくいケースが多いのが現実です。
アウトバウンドの強みと弱み
アウトバウンドマーケティングの最大の強みは、特定企業への狙い撃ちと即時効果です。
アウトバウンドの強み
- 特定企業をターゲットにした狙い撃ちが可能
- 即時効果が期待でき、商談化までのスピードが速い
- ABM(アカウントベースドマーケティング)との相性が良い
アウトバウンドの弱み
- コストが高く、人的リソースが必要
- 継続的な効果を出すには仕組み化が必要
- 担当者のスキルに依存しやすい
テレアポや展示会は、特定企業へのターゲティングにおいて高い効果を発揮します。特に展示会で名刺交換した後にMAでフォローする組み合わせは、多くの企業で成果を上げています。
なぜ組み合わせが成果につながるのか
両者を組み合わせることで、インバウンドの「リード獲得力」とアウトバウンドの「商談化力」を掛け合わせ、リード獲得から商談化までの成果を向上させることができます。
**失敗パターン:インバウンドとアウトバウンドを別々の施策として運用し、リード獲得後のフォローが属人化・場当たり的になっている状態では成果が出にくくなります。**マーケティング部門と営業部門が連携できておらず、せっかく獲得したリードが放置されるケースも少なくありません。
MA(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールです。インバウンド基盤の強化とアウトバウンドとの連携を支える役割を担います。
2023年国内BtoB MA市場規模は約753億円で、前年比11.2%成長しています(2022年は677億円)。連携基盤としてのMAの普及が進んでいることがわかります。
一方で、国内MA導入率は全企業で1.5%(62.6万社中9,444社)、上場企業で14.6%(3,850社中562社)にとどまっており、まだ導入余地があります。MAを導入していなくても、スプレッドシートなどでリード管理とフォロールールを整備することで、連携設計は実現可能です。
リードステージ別の施策組み合わせパターン
リードステージに応じてインバウンドとアウトバウンドを使い分けることで、効率的にリード獲得から商談化までを進めることができます。
THE MODELとは、マーケティングから営業・カスタマーサクセスまでを一気通貫で連携させるBtoB営業フレームワークです。上流のリード獲得から営業連携までを設計する際の参考になります。
業種別のMA活用率を見ると、情報通信・広告・マスコミが31%、製造業17.9%、卸売・小売11.7%となっており、業種によってMA活用の進み具合に差があります。自社の業種特性も考慮した施策選定が重要です。
【比較表】リードステージ別施策組み合わせ表
| リードステージ | 主な目的 | インバウンド施策 | アウトバウンド施策 | 組み合わせのポイント |
|---|---|---|---|---|
| 認知 | リーチ拡大 | SEO・SNS・広告 | 展示会出展 | 展示会で名刺交換後、MAでナーチャリング |
| 興味 | 接点強化 | ホワイトペーパー・ウェビナー | セミナー後フォローコール | 資料DL後に電話フォローでニーズ確認 |
| 検討 | 商談機会創出 | 事例コンテンツ・比較資料 | テレアポ・メール | スコアが高いリードに優先的にアウトバウンド |
| 商談 | 受注獲得 | 導入事例・ROI資料 | ABM・個別提案 | 特定企業に狙い撃ちでアプローチ |
| 休眠 | 再アプローチ | メルマガ・新コンテンツ | 掘り起こしコール | 反応があったリードに電話フォロー |
認知・興味フェーズでの組み合わせ
認知・興味フェーズでは、インバウンド施策を中心にリーチを拡大し、アウトバウンドで接点を強化する組み合わせが効果的です。
認知フェーズでは、SEO・SNS・広告などでターゲットへのリーチを拡大します。この段階ではインバウンドが中心ですが、展示会(アウトバウンド)も認知拡大に有効です。
興味フェーズでは、ホワイトペーパーやウェビナーで接点を強化します。展示会で名刺交換した後、MAでフォローするパターンは多くの企業で成果を上げています。
検討・商談フェーズでの組み合わせ
検討・商談フェーズでは、アウトバウンド施策を積極的に活用し、商談化を加速させることが重要です。
検討フェーズでは、インバウンドで獲得したリードに対して、アウトバウンド(電話・メール)でフォローします。リードスコアリングを活用し、フォロー優先度を判断することで、限られたリソースを有効活用できます。
商談フェーズでは、ABMで特定企業に狙い撃ちアプローチします。ターゲット企業の意思決定者に直接アプローチすることで、商談の成約率向上が期待できます。
連携設計の実践ステップ
連携設計を実践するためには、現状把握からスタートし、段階的に仕組みを整備していくことが重要です。
BtoB企業330社を対象とした調査では、年間広告予算500万円以上が主流という結果があります。ただし、予算規模は企業によって大きく異なるため、まず少額からテストし、効果を見ながら拡大することを推奨します。
連携設計の基本ステップは以下のとおりです。
- 現状把握: 現在のリード獲得チャネルと商談化率を確認
- リードステージ定義: 認知・興味・検討・商談の各ステージを定義
- 施策マッピング: 各ステージで有効な施策を整理
- フォロールール策定: リードスコアに応じたフォロータイミングを決定
- 効果検証: 定期的にKPIを確認し、改善を繰り返す
【チェックリスト】インバウンド×アウトバウンド連携設計チェックリスト
- インバウンドで獲得しているリード数を把握しているか
- リードの商談化率を計測しているか
- リードステージ(認知・興味・検討・商談)を定義しているか
- 各ステージで使用する施策を整理しているか
- リードスコアリングの基準を設定しているか
- フォロー優先度の判断基準を明確にしているか
- フォロータイミング(何日以内に連絡するか)を決めているか
- マーケティング部門と営業部門の役割分担が明確か
- リード情報の受け渡し方法が決まっているか
- フォロー担当者が明確になっているか
- フォロー結果を記録する仕組みがあるか
- 休眠リードの再アプローチルールがあるか
- 定期的に施策の効果を振り返る機会があるか
- 商談化率や受注率のKPIを設定しているか
- MAまたはリード管理ツールを導入しているか(または代替手段があるか)
フォロールールの策定と属人化防止
リード獲得後のフォローを属人化させないためには、明確なルールを策定し、担当者が変わっても対応できる仕組みを整備することが重要です。
フォロールール策定のポイント
- リードスコアに応じたフォロータイミングを決める(例:高スコアは即日、中スコアは3日以内)
- フォロー内容のテンプレートを用意する
- フォロー結果を必ず記録し、チームで共有する
- 担当者不在時の対応ルールを決める
少人数チームでも、フォロー基準を絞ることで実践可能です。すべてのリードに対応しようとせず、優先度の高いリードに集中することで、限られたリソースでも成果を出すことができます。
まとめ:連携設計でリード獲得から商談化までをつなげる
本記事では、BtoBにおけるインバウンドとアウトバウンドの組み合わせ方について解説しました。
ポイントの振り返り
- インバウンドとアウトバウンドはそれぞれ強みが異なり、組み合わせることで効果を最大化できる
- 「別々運用・属人化」は失敗パターン。連携設計を整備することが重要
- リードステージに応じて施策を使い分けることで、効率的に商談化を進められる
- フォロールールを明確にし、担当者が変わっても対応できる仕組みを整備する
- 少人数チームでも、フォロー基準を絞ることで実践可能
次のアクション
まずは本記事で紹介した「連携設計チェックリスト」を使って、現在の施策連携状況を確認してください。チェックが入らない項目があれば、そこが改善ポイントです。特に「リードステージ定義」「フォロールール策定」「マーケティングと営業の役割分担」は、連携設計の基盤となる重要な要素です。
インバウンドで獲得したリードをアウトバウンドで適切にフォローする「連携設計」を整備すれば、BtoB企業のリード獲得から商談化までの成果向上につながります。
