BtoBリード獲得で成果が出ない根本原因
BtoBのリード獲得チャネル選定は、チャネルの種類を知るだけでなく、自社のターゲットと提供価値を明確にした上で、商談化率・受注率を起点に評価・選定することで成果につながる——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
「リードは獲れているのに、商談につながらない」という課題を抱えるBtoB企業は少なくありません。IDEATECH社の調査(2025年)によると、理想のリード獲得数に達していないBtoB企業は41.1%にのぼります。
さらに同調査では、BtoB企業のリード獲得課題として「リード数不足」「育成難」が各29.9%、「質の低さ」「商談移行難」が各25.2%と報告されています。つまり、単にリード数を増やすだけでは不十分であり、「商談につながるリードをいかに獲得するか」が本質的な課題なのです。
この背景には、戦略なきチャネル選定の問題があります。「とりあえず展示会に出展する」「広告を出して終わり」といったチャネル単体思考では、リードの質が担保されず、結果として商談化率が低いリードを量産してしまうことになります。
この記事で分かること
- BtoBリード獲得の定義とBtoCとの違い
- 主要なリード獲得チャネルの特徴と商談化の傾向
- チャネル選定で陥りがちな失敗パターン
- 商談化につながるチャネル選定の実践的な進め方
- リード獲得チャネル比較表とチェックリスト
BtoBリード獲得の定義とBtoCとの違い
リードとは、見込み顧客の個人情報(会社名・担当者名・部署・役職・メールアドレスなど)を指します。BtoBにおけるリード獲得は、これらの情報を何らかの手段で取得し、商談・受注につなげるプロセスです。
BtoBとBtoCでは、リード獲得のアプローチが大きく異なります。
購買プロセスの複雑さ
BtoBでは、情報収集者(担当者)と意思決定者(上長・経営層)が異なるケースが一般的です。そのため、担当者の関心を引くだけでなく、意思決定者を説得するための材料も必要になります。購買検討期間も数週間から数ヶ月に及ぶことが多く、単発の接点だけでは商談化しにくい傾向があります。
ターゲット母数の限定性
BtoC商材は消費者全体がターゲットになりえますが、BtoBは業種・企業規模・部署・役職など条件が絞られるため、ターゲット母数が限定的です。その結果、量より質を重視したリード獲得が求められます。
リードナーチャリングとリードクオリフィケーション
リードナーチャリングとは、獲得したリードに継続的な情報提供を行い、購買意欲を高めて商談化につなげるプロセスです。リードクオリフィケーションとは、獲得したリードの中から購買可能性の高い見込み客を見極め、営業に引き継ぐプロセスを指します。
BtoBでは、リード獲得後のナーチャリング・クオリフィケーションの設計がなければ、獲得したリードが商談につながりにくいという特性があります。
主要なBtoBリード獲得チャネルと特徴
BtoB企業が活用するリード獲得チャネルにはさまざまな種類があります。IDEATECH社の調査(2025年5月、n=107)によると、BtoB企業のリード獲得施策で最も実施率が高いのはSNSで36.4%、次いで広告29.0%、展示会27.1%となっています(BtoB経営者対象の調査のため、マーケティング担当者の実態とは異なる可能性がある点に注意)。
同調査の経年比較では、SNSの実施率は2024年の33.3%から2025年は36.4%へ+3.1pt増加、広告は16.1%から29.0%へ+12.9pt増加と報告されています。デジタルチャネルの活用が拡大している傾向がうかがえます。
一方で、コスト面の課題も顕在化しています。CPA高騰を最も実感している施策はセミナー/ウェビナーで53.1%という調査結果もあり、リード獲得単価の上昇が課題となっています。
【比較表】リード獲得チャネル比較表(商談化観点)
| チャネル | 特徴 | 商談化の傾向 | CPA傾向 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|---|
| SNS(LinkedIn, X等) | ターゲティング精度が高い。認知拡大から直接リード獲得まで幅広く活用可能 | 認知段階のリードが多く、ナーチャリングが必要な傾向 | 比較的低め | 継続的な情報発信ができる体制がある企業 |
| Web広告(リスティング、ディスプレイ) | 即効性があり、ターゲット設定で絞り込み可能 | 検索広告は検討段階の顕在層にリーチしやすい | 競合状況で変動大 | 予算があり、短期で成果を求める企業 |
| 展示会・イベント | 直接対話で関係構築しやすい。複数の見込み客と一度に接点が持てる | 対面接点のため商談化率は高い傾向 | 出展費用・人件費で高め | 製品デモが有効な商材、業界特化型企業 |
| セミナー/ウェビナー | 専門性をアピールでき、参加者の関心度が高い | 能動的な参加者のため商談化しやすい傾向 | 高騰傾向(53.1%が実感) | 専門知識を活かせる企業、登壇者がいる企業 |
| SEO/コンテンツマーケティング | 長期的な資産となり、継続的にリードを獲得できる | 情報収集段階のリードが多く、ナーチャリング必須 | 初期投資は必要だが継続コストは低め | 長期視点で取り組める企業、専門性がある企業 |
| ホワイトペーパー | 課題解決のノウハウ提供と引き換えにリード情報を取得 | ダウンロード者は課題意識があり、ナーチャリング効果が高い傾向 | コンテンツ制作コスト | ノウハウ・知見を持つ企業 |
| メールマーケティング | 既存リードへの継続的なアプローチが可能 | 新規獲得よりナーチャリング向き | 低め | 既存リードリストがある企業 |
| テレアポ/インサイドセールス | 直接的なアプローチで即時性がある | アウトバウンドのため拒否率も高い | 人件費が主なコスト | 営業リソースがある企業 |
CPA(Cost Per Acquisition) とは、リード1件を獲得するためにかかったコストです。リード獲得単価とも呼ばれます。ホワイトペーパーとは、課題解決のノウハウや調査レポートをまとめた資料で、ダウンロード時にリード情報を取得する手法として活用されます。
チャネル選定で陥りがちな失敗パターン
「とりあえず展示会に出展する」「広告を出して終わり」というチャネル単体思考は、BtoBリード獲得における典型的な失敗パターンです。戦略不在のままリード数だけを追うと、商談化率が低いリードを量産してしまい、投資対効果を示せなくなります。
失敗パターン1:リード数だけを追う
前述のIDEATECH調査では、BtoB企業のリード獲得課題として「リード数不足」「育成難」が各29.9%、「質の低さ」「商談移行難」が各25.2%と報告されています。リード数を増やすことに注力しても、そのリードが商談につながらなければ成果にはなりません。
失敗パターン2:CPAだけで評価する
同調査によると、BtoBマーケターのCPA目標は5,000-10,000円未満が21.8%で最多、実績も21.2%で目標に近い水準とされています(n=326、2025年)。しかし、CPAが低くても商談化率が低ければ、実質的なコストパフォーマンスは悪くなります。CPAだけでなく、商談化率・受注率を含めた総合評価が重要です。
なお、CPAは業種・企業規模・商材単価によって大きく変動するため、他社の数値をそのまま自社の基準にすることは推奨されません。自社のデータを蓄積し、比較することが重要です。
失敗パターン3:流行りのチャネルに乗るだけ
同調査では、今後強化したいリード獲得施策としてSNSが55.9%で1位、SEOが52.4%で2位と報告されています。トレンドを把握することは重要ですが、自社のターゲット・商材に合っていないチャネルに投資しても成果は出にくいのが実情です。
商談化につながるチャネル選定の進め方
商談化につながるリード獲得を実現するには、チャネルを選ぶ前に「誰に」「何を」を明確にすることが不可欠です。以下のチェックリストを活用して、自社の戦略を整理してからチャネル選定に進むことをおすすめします。
【チェックリスト】リード獲得チャネル選定チェックリスト
- ターゲット企業の業種・規模・部署を明確にしているか
- ターゲット担当者の役職・課題・情報収集行動を把握しているか
- 自社が提供できる価値(USP)を言語化しているか
- ターゲットが「なぜ自社を選ぶべきか」を説明できるか
- 商談化率・受注率を測定する体制があるか
- リード獲得後のナーチャリング設計があるか
- 各チャネルのCPAだけでなく、商談化率も含めて評価しているか
- ターゲットがよく使うメディア・チャネルを把握しているか
- 各チャネルに投下できるリソース(予算・人員・時間)を明確にしているか
- 短期施策と長期施策のバランスを考慮しているか
- チャネル間の連携(例:SEO×ホワイトペーパー)を設計しているか
- 効果測定の指標とPDCAサイクルを設計しているか
戦略を先に決め、チャネルを選ぶ
上記のチェックリストで「ターゲット」「提供価値」「測定体制」が明確になったら、それに合ったチャネルを選定します。たとえば、ターゲットがLinkedInをよく利用する層であればSNS、専門知識での差別化が有効ならセミナー/ウェビナー、継続的なリード獲得を目指すならSEO/コンテンツマーケティングといった形で、戦略に基づいてチャネルを選ぶことが重要です。
チャネル連携の事例
ある企業では、ブログ×ホワイトペーパーの連携によりリード獲得数2.4倍、月間セッション6.6倍を達成した事例が報告されています(GIG社LeadGrid BLOG、2025年報告)。ただし、これは個別企業の事例であり、同様の成果が再現できるかは自社の状況(ターゲット・商材・リソース)によって異なります。
このように、複数チャネルを組み合わせることで相乗効果が期待できますが、まずは1-2チャネルに集中し、成果が出てから拡大するアプローチが現実的です。
まとめ:戦略を軸にチャネルを選ぶ
本記事では、BtoBリード獲得チャネルの選び方について、商談化につながる設計の考え方を解説しました。
主要なポイントを振り返ります:
- BtoBのリード獲得は、BtoCと異なり購買プロセスが複雑でターゲット母数が限定的
- リード獲得後のナーチャリング・クオリフィケーションの設計が商談化の鍵
- チャネル単体思考(「とりあえず展示会」「広告を出して終わり」)は失敗パターン
- CPAだけでなく、商談化率・受注率を含めた総合評価が重要
- 本記事のチェックリストを活用し、「誰に」「何を」を明確にしてからチャネルを選定する
BtoBのリード獲得チャネル選定は、チャネルの種類を知るだけでなく、自社のターゲットと提供価値を明確にした上で、商談化率・受注率を起点に評価・選定することで成果につながります。まずは本記事のチェックリストで自社の戦略を整理し、その上で最適なチャネルを選定してください。リード獲得後のナーチャリング設計も含めて、商談化・受注につながる仕組みを構築することが成功への道筋です。
