BtoBマーケティングで成果が出ない根本的な原因とは
BtoBマーケティングの課題を解決するには、施策ごとの個別改善ではなく、「誰に・何を・なぜ」という戦略を全施策に一貫して反映させる仕組みを構築することが重要です。これが本記事の結論です。
「施策をやっているのに成果が出ない」「どこに課題があるのか特定できない」——このような悩みを抱えるBtoBマーケティング担当者は少なくありません。
この記事で分かること
- BtoBマーケティングで企業が直面する代表的な課題と背景
- 施策の個別改善では課題が解決しない理由
- 自社のマーケティング課題を診断するチェックリスト
- 課題別の解決アプローチと優先順位の考え方
2025年度のAsk One調査によると、BtoBマーケティングの課題1位は「人手不足・体制が整っていない」で34.3%、2位は「予算が少ない」で26.1%となっています。また、リードの質が理想通りに獲得できていないと感じる企業は48.6%にのぼり、2024年比で+7.6ポイント上昇しています(BtoBリード獲得実態調査2025)。
これらの課題の背景には、リソース不足だけでなく「戦略の一貫性欠如」という構造的な問題が潜んでいます。本記事では、課題の本質と解決の方向性を解説します。
BtoBマーケティングで企業が直面する代表的な課題
BtoBマーケティングの課題は、大きく「リソース」「リード獲得」「商談化」「効果測定」の4カテゴリに整理できます。まず、自社がどのカテゴリに課題を抱えているかを把握することが解決の第一歩です。
調査データを見ると、目標達成に十分なマーケティング予算がある企業はわずか18.8%にとどまり、コスト意識が高くなったと回答した企業は約85%にのぼります(Ask One 2025年度調査)。一方、新規顧客開拓を「かなり重要」「やや重要」と回答した企業は69.6%に達しますが、目標を達成できた企業は約41.2%にすぎません(ユーソナー調査2025年)。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング部門が一定の基準で「営業へ引き渡す価値がある」と判断した見込み客のことです。CPA(Cost Per Acquisition) は、1件のリード獲得にかかる費用を指し、リード獲得単価とも呼ばれます。
リソース・体制の課題
BtoBマーケティングにおいて、最も多くの企業が課題として挙げるのがリソース不足です。
2025年度のAsk One調査では、課題1位が「人手不足・体制が整っていない」(34.3%)、2位が「予算が少ない」(26.1%)となっています。また、目標達成に十分なマーケティング予算がある企業は18.8%にとどまり、コスト意識が高くなったと回答した企業は約85%です。
限られたリソースで成果を出すには、施策の優先順位付けと、効率的な仕組みづくりが欠かせません。
リード獲得・商談化の課題
リードの「量」だけでなく「質」が課題になるケースが増えています。
BtoBリード獲得実態調査2025によると、リードの質が理想通りに獲得できていないと感じる企業は48.6%で、2024年比で+7.6ポイント上昇しています。また、新規顧客開拓を重要視する企業は69.6%に達しますが、目標達成できた企業は約41.2%にとどまり、大きなギャップが生じています(ユーソナー調査2025年)。
MQLの定義が曖昧だと、マーケティングが獲得したリードを営業が活用できず、商談化率が低下するという悪循環に陥ることがあります。
なぜ施策の個別改善では課題が解決しないのか
**施策ごとに個別最適化を進めても、根本的な課題解決にはつながりにくいのが現実です。**リード獲得、ナーチャリング、営業連携などの課題に対して、それぞれ個別に施策を打つアプローチは、一見合理的に見えますが、施策ごとにターゲットや主張がブレて、一貫性のないマーケティング活動になってしまう危険性があります。
ナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、購買意欲を高めていくマーケティング活動のことです。インサイドセールスは、電話やWeb会議を活用して非対面で行う営業手法で、リードをフォローして商談化を促進する役割を担います。
BtoBリード獲得実態調査2025では、リード獲得がうまくいかない原因として「施策がターゲットに刺さっていない」が38.5〜40.9%、「コンテンツの質が低い」が28.8%(前年比+11.7ポイント)と報告されています。また、マーケティング施策の投資対効果を「受注金額」まで追っている企業は30.2%にとどまります(Ask One 2025年度調査)。
施策ごとにターゲットや主張がブレる問題
個別施策の改善に注力すると、施策間でメッセージの一貫性が失われやすくなります。
たとえば、SEO記事では「初心者向け」の内容を発信し、広告では「上級者向け」の訴求をし、メールでは「コスト削減」を強調し、営業トークでは「品質向上」を前面に出す——このようにターゲットや主張がバラバラになると、見込み客に一貫したブランドイメージを届けられません。
調査でも「施策がターゲットに刺さっていない」が38.5〜40.9%と高い割合を示しており、この背景には戦略の一貫性欠如があると考えられます。
マーケティングと営業の連携断絶
マーケティングと営業の連携不足も、施策の個別最適化から生じる問題の一つです。
Ask One 2025年度調査によると、マーケティング施策の投資対効果を「受注金額」まで追っている企業は30.2%にとどまります。これは、多くの企業でマーケティングと営業のKPIが断絶していることを示しています。
MQL(営業に渡す見込み客)の定義がマーケと営業で合意されていないケースや、リード獲得数だけをマーケティングのKPIとして設定しているケースでは、「リードは増えたが商談につながらない」という状況に陥りがちです。
自社のマーケティング課題を診断する方法
自社の課題を正しく特定することが、解決への第一歩です。以下のチェックリストを活用して、どのカテゴリに課題があるかを診断してみてください。
調査データからも分かるように、課題の原因は複合的であることが多いです。人手不足(34.3%)や予算不足(26.1%)というリソース面の課題と、ターゲットに刺さらない施策(38.5〜40.9%)やコンテンツの質(28.8%)という施策面の課題が絡み合っています。
【チェックリスト】BtoBマーケティング課題診断チェックリスト
- マーケティング担当者が複数名いる、または専任者がいる
- マーケティング予算が目標達成に対して十分に確保されている
- ターゲット顧客像(ペルソナ)が明文化されている
- 全施策で一貫したメッセージを発信できている
- コンテンツの企画・制作プロセスが確立されている
- リード獲得数が目標を達成している
- 獲得したリードの質に満足している
- MQL(営業に渡す見込み客)の定義が営業と合意されている
- リードから商談への転換率を把握している
- マーケティング施策の効果を受注金額まで追えている
- マーケティングと営業で共通のKPIを設定している
- 定期的にマーケ・営業間でリードの質についてフィードバックしている
- 施策ごとのCPA(リード獲得単価)を把握している
- 施策の優先順位付けの基準が明確になっている
- PDCAサイクルが定期的に回っている
チェックが付かない項目が多いカテゴリが、優先的に取り組むべき課題領域です。次のセクションで、課題別の解決アプローチを確認してください。
課題別の解決アプローチと優先順位の考え方
課題の種類によって、効果的な解決アプローチは異なります。自社の課題に応じて適切な施策を選択することが重要です。
BtoBマーケティングの目標CPAとして5,000〜10,000円未満が最多で21.8%という調査結果もありますが(CPA実態調査2025、326名対象)、適正なCPAは業種や商材単価、リードの定義によって大きく異なります。自社の受注単価やLTVから逆算して設定することが重要です。
LTV(Life Time Value) とは、顧客生涯価値のことで、1人の顧客が取引開始から終了までにもたらす利益の総額を指します。
また、BtoB企業のWeb広告運用課題として「費用対効果の向上」が47.2%、「質の高いリードの獲得」が46.2%と上位に挙げられています(311社対象、2025年度調査)。
【比較表】課題別・解決アプローチ比較表
| 課題カテゴリ | 典型的な症状 | 解決アプローチ | 期待効果 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| リソース・体制 | 人手が足りない、予算が限られる | 施策の優先順位付け、外部リソース活用、仕組み化による効率化 | 限られたリソースでの成果最大化 | 外注先の選定基準を明確に |
| リード獲得 | リード数が目標に届かない | チャネル見直し、コンテンツ拡充、ターゲティング精緻化 | リード獲得数の増加 | 量だけでなく質も考慮 |
| リードの質 | 商談につながらないリードが多い | ペルソナ再定義、MQL基準の見直し、コンテンツの訴求改善 | 商談化率の向上 | マーケ・営業間での合意が必須 |
| 商談化・営業連携 | マーケと営業の連携が弱い | MQL定義の合意、共通KPI設計、定期フィードバック会議 | パイプライン全体の効率向上 | 一朝一夕には改善しない |
| 効果測定 | 施策の成果が分からない | 受注まで追えるKPI設計、計測基盤の整備 | 投資判断の精度向上 | ツール導入だけでは解決しない |
戦略を全施策に反映させる仕組みづくり
個別施策の改善ではなく、「誰に・何を・なぜ」という戦略を全施策で一貫させる仕組みを構築することが重要です。
具体的には、以下のような仕組みが有効です。
ペルソナ定義の明文化: ターゲット顧客像を詳細に定義し、全チームで共有します。「誰に」を明確にすることで、施策間のターゲットのブレを防げます。
メッセージマップの作成: ペルソナの課題、自社の提供価値、競合との差別化ポイントを整理し、全施策で一貫したメッセージを発信できるようにします。
コンテンツカレンダーの運用: どのタイミングで、どのチャネルで、どのメッセージを発信するかを計画的に管理します。
マーケ・営業の定期ミーティング: MQLの質やリードの進捗状況を定期的に共有し、フィードバックを施策改善に活かします。
これらの仕組みを整備することで、施策ごとの個別最適化ではなく、全体最適を実現できます。
まとめ:BtoBマーケティング課題解決の要点
BtoBマーケティングの課題を解決するためには、まず自社の課題を正しく診断し、優先順位をつけて取り組むことが重要です。
本記事で解説したポイントを整理すると、以下の通りです。
- BtoBマーケティングの課題は「リソース」「リード獲得」「商談化」「効果測定」の4カテゴリに整理できる
- 施策ごとの個別改善では、ターゲットや主張がブレて一貫性が失われやすい
- チェックリストを活用して自社の課題カテゴリを特定する
- 課題に応じた解決アプローチを選択し、優先順位をつけて取り組む
- 「誰に・何を・なぜ」を全施策で一貫させる仕組みを構築する
まずは課題診断チェックリストを使って自社の状況を把握し、優先的に取り組むべき領域を特定することから始めてみてください。
BtoBマーケティングの課題を解決するには、施策ごとの個別改善ではなく、「誰に・何を・なぜ」という戦略を全施策に一貫して反映させる仕組みを構築することが重要です。
