BtoBマーケティングをゼロから始める難しさと本記事の目的
多くの方が悩むBtoBマーケティングをゼロから始める方法。結論は、施策単体ではなく「戦略設計→施策実行→効果測定」を一貫させる仕組みを最初から構築することで、やりっぱなしを防ぎ成果につなげられます。
「何から手をつければいいか分からない」「始めても成果につながらない」——BtoBマーケティングをゼロから始めようとする企業が直面する課題です。調査によると、BtoBマーケティング課題の上位は「人手不足・体制不備」が34.3%、「予算不足」が26.1%となっています(Ask One BtoBセールス&マーケティング調査2025)。
しかし、リソース不足以上に問題なのは、とりあえずSEO記事を量産したり広告を配信したりと施策単体で始めてしまうことです。「誰に・何を・なぜ」が定まらないまま走り出すと、施策ごとにメッセージがブレて成果につながりません。
この記事で分かること:
- BtoBマーケティングの基礎知識とBtoCとの違い
- 始める前に決めるべき戦略設計の方法
- 主要な施策と優先順位の考え方
- 成果につなげる効果測定と改善の仕組み
- 開始前に確認すべきチェックリスト
BtoBマーケティングの基礎知識とBtoCとの違い
BtoBマーケティングとは、企業が企業向け(Business to Business)に商品・サービスを販売するためのマーケティング活動です。リード獲得・育成・商談化を目的とし、BtoCとは異なるアプローチが求められます。
ゼロから始める場合、まずはBtoBマーケティングの全体像を把握することが重要です。
BtoBマーケティングの目的と全体像
BtoBマーケティングの目的は、見込み顧客(リード)を獲得し、育成して商談につなげることです。一般的に「認知→興味→検討→商談→受注」というファネルで捉えられます。
リードナーチャリングとは、見込み顧客を購買検討段階まで育成するマーケティング活動を指します。メール・コンテンツ等で継続的に接点を持ち、購買意欲を高めていきます。BtoBでは検討期間が長いため、このナーチャリングが特に重要です。
BtoCとの主な違い
BtoBマーケティングがBtoCと異なる点は主に以下の通りです。
- 検討期間の長さ: BtoCは衝動買いもありますが、BtoBは数ヶ月〜年単位の検討期間が一般的です
- 意思決定者の複数性: BtoCは個人判断ですが、BtoBは担当者・上長・経営層など複数の意思決定者が関与します
- 論理的判断の重視: BtoBではROI・費用対効果など論理的な判断が重視されます
- 取引金額の規模: BtoBは1件あたりの取引金額が大きいため、慎重な検討が行われます
これらの違いを理解した上で、BtoB向けの戦略を設計することが成功の第一歩です。
始める前に決めるべき戦略設計
よくある失敗パターンとして、施策単体で始めてしまい「誰に・何を・なぜ」が定まらないまま走り出すケースがあります。この状態では、施策ごとにメッセージがブレて成果につながりません。
調査によると、BtoBマーケティングの課題として「リードの質不足」が48.6%を占め、前年比で7.6ポイント増加しています(BtoBリード獲得動向調査2025)。これは、戦略設計なしで量を追った結果、質の低いリードばかりが増えている現状を示しています。
ABM(Account-Based Marketing) とは、特定の企業アカウントに絞ってマーケティング・営業活動を行う手法です。大口顧客獲得に有効とされ、戦略的なターゲティングの考え方として参考になります。
ターゲット企業・ペルソナの設定
「誰に」を決めることが戦略設計の出発点です。以下の項目を明確にしましょう。
- ターゲット企業の条件: 業種、規模(従業員数・売上)、地域
- ターゲット担当者の属性: 役職、部門、抱えている課題
- 購買決定に関わる人物: 担当者だけでなく、上長や経営層の関心事も把握
ハウスリストとは、自社で保有する見込み顧客・既存顧客のリストを指します。名刺交換や問い合わせで獲得した連絡先情報で、既に保有している場合は新規獲得より深耕営業を優先する選択肢もあります。
訴求軸とメッセージの一貫性
「何を・なぜ」を決め、全施策で一貫させることが重要です。
- 訴求軸: 顧客に伝える価値は何か(コスト削減、業務効率化、売上向上など)
- 差別化ポイント: 競合ではなく自社を選ぶ理由
- トーン&マナー: ブランドとして統一すべき表現スタイル
これらを文書化し、コンテンツ制作や広告運用に携わる全員が参照できる状態にすることで、メッセージのブレを防げます。
主要な施策と優先順位の考え方
BtoBマーケティングの施策は多岐にわたりますが、すべてを同時に始めることは推奨しません。自社のリソースと目標に応じて優先順位をつけることが重要です。
調査によると、BtoBマーケターがWeb広告で最重視する指標はROAS(57.0%)、次いでCVR(41.0%)、CTR(39.0%)となっています(BtoBマーケティング2025年度展望調査)。クリック数より投資対効果を重視する傾向がうかがえます。
コンテンツマーケティング・SEO
コンテンツマーケティングは、中長期でオーガニック流入を獲得する施策です。記事・ホワイトペーパー・事例コンテンツなどを制作し、見込み顧客との接点を作ります。
注意点として、SEO記事は成果が出るまでに時間がかかる傾向があります。短期間で成果を求めすぎると、戦略設計を飛ばして量産に走りがちです。中長期の資産として位置づけ、戦略に基づいたコンテンツ制作を心がけましょう。
Web広告・リスティング広告
ROAS(Return On Advertising Spend) とは、広告費用対効果を指し、広告費に対してどれだけの売上を獲得できたかを示す指標です。BtoB広告ではROASを重視する傾向が強く、調査でも57.0%のマーケターが最重視すると回答しています。
Web広告は短期でリードを獲得できる手段ですが、広告に依存しすぎるとコストが膨らみます。SEOやメールなど他の施策と組み合わせた多角的なアプローチが推奨されます。
メール・ナーチャリング施策
リードナーチャリングは、獲得したリードを育成して商談につなげる施策です。特にハウスリストを既に保有している場合は、新規獲得より既存リードの育成を優先する方が効率的なケースもあります。
- メールマガジン: 定期的な情報提供で接点を維持
- ステップメール: リードの行動に応じた自動配信
- セミナー・ウェビナー: 検討度の高いリードを育成
成果につなげる効果測定と改善の仕組み
マーケティング施策を「やりっぱなし」にせず、効果測定と改善のサイクルを回すことが成果につながります。
調査によると、BtoBマーケティング施策で受注金額まで追跡している企業は30.2%のみです(Ask One BtoBセールス&マーケティング調査2025)。多くの企業がPV数やリード数で止まっており、商談・受注への貢献を測定できていません。
また、5つ以上のITツールを導入している企業でも、70%超がExcelなどで効果測定しているという結果も報告されています(同調査)。ツールを導入しても活用できていない現状が浮き彫りになっています。
【チェックリスト】BtoBマーケティング開始前チェックリスト
- ターゲット企業の条件(業種・規模・地域)を定義している
- ターゲット担当者のペルソナ(役職・課題・情報収集行動)を設定している
- 訴求軸(自社を選ぶ理由)を明文化している
- メッセージのトーン&マナーガイドラインがある
- KGI(売上・受注数など最終目標)を設定している
- KGIから逆算したKPI(リード数・商談化率など)を設計している
- ハウスリストの有無と状態を確認している
- 施策の優先順位をリソースに応じて決めている
- 効果測定の仕組み(追跡すべき指標と測定方法)を設計している
- 受注金額まで追跡できる体制がある(または構築予定)
- 定期的な振り返りと改善のサイクルを計画している
- 戦略・KPI・施策を関係者全員が参照できる状態にしている
- 外注する場合の役割分担(戦略内製+実行外注など)を決めている
- 成果が出るまでの期間について経営層と合意している
追跡すべき指標とKPI設計
PV数・リード数だけでなく、商談化率・受注金額まで追跡することで、どの施策が成果に貢献しているかを判断できます。
受注金額まで追跡している企業は30.2%と少数ですが、成果を出す企業はこの追跡体制を整えています。以下の指標を段階的に追跡できる仕組みを構築しましょう。
- 認知段階: PV数、セッション数、検索順位
- リード獲得段階: CV数、リード数、CPA
- 商談化段階: MQL数、商談化率
- 受注段階: 受注数、受注率、受注金額
効果測定から改善につなげる運用体制
効果測定の結果を改善につなげる運用体制を構築することが重要です。
調査で明らかになったように、70%超の企業がExcelなどで効果測定しており、ツールを導入しても活用できていない現状があります。ツールの導入よりも、まずは「何を測定し、どう改善につなげるか」の運用設計を優先しましょう。
- 定期レビュー: 週次・月次で数値を確認する習慣
- 仮説検証: 施策ごとに仮説を立て、結果と照合
- 改善アクション: 数値を基に次のアクションを決定
まとめ:戦略から効果測定まで一貫した仕組みを最初から構築する
BtoBマーケティングをゼロから始める際のポイントを整理します。
- 戦略設計を先に行う: 「誰に・何を・なぜ」を定め、全施策で一貫させる
- 優先順位をつける: すべてを同時に始めず、リソースに応じた施策選択
- 効果測定の仕組みを構築: PVだけでなく受注金額まで追跡できる体制
- 改善サイクルを回す: 測定結果を基に継続的に改善
本記事で紹介したチェックリストを活用して、開始前の準備を整えてください。施策単体ではなく「戦略設計→施策実行→効果測定」を一貫させる仕組みを最初から構築することで、やりっぱなしを防ぎ成果につなげられます。
戦略設計に時間をかけることは遠回りに見えるかもしれませんが、後から手戻りするコストを考えれば、最も効率的な進め方です。
