BtoBオウンドメディアの成功事例を真似しても成果が出ない理由
BtoBオウンドメディアで成果を出すには、成功事例を真似するのではなく、自社の戦略(ターゲット・USP・競合との差別化)を先に固めた上で、事例から「自社に適用可能な要素」を抽出して設計することが重要です。これが本記事の結論です。
「成功事例を見て同じように運営しているのに成果が出ない」「何から始めればいいのかわからない」——このような悩みを抱えるBtoB企業のマーケティング担当者は少なくありません。
ある調査によると、オウンドメディア経由の売上が会社全体の10%未満にとどまっている企業が13.6%存在します。また、BtoB企業のリード獲得施策でSNSが36.4%で最多となっていますが、約48.6%の企業がリードの質の観点で理想通りの獲得ができていないという結果もあります。
これらのデータが示すのは、成功事例を見て表面的に真似しても、自社のターゲットや提供価値が異なれば成果につながらないという現実です。
この記事で分かること
- BtoBオウンドメディアの目的別分類と成功要因
- 成功事例を目的×成功要因で整理した比較表
- 成功事例を「再現できる」に変える戦略設計の考え方
- オウンドメディア立ち上げ前の戦略確認チェックリスト
BtoBオウンドメディアの目的別分類と成功要因
BtoBオウンドメディアは、目的によって大きく3つのタイプに分類できます。目的が異なれば成功の定義も異なるため、まず自社が目指す方向性を明確にすることが重要です。
ナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、購買意欲を高めていくマーケティング活動を指します。CTA(Call to Action) は、資料ダウンロードや問い合わせなど、読者に次のアクションを促す導線設計のことです。
3つのタイプ
- リード型: 資料ダウンロードや問い合わせを通じて見込み顧客を獲得することを主目的とする
- 教育型: 業界知識やノウハウを提供し、見込み顧客のナーチャリングを行う
- ブランディング型: 企業の専門性や信頼性を発信し、指名検索や認知拡大を目指す
目的に応じてKPIの設定も変わります。リード型なら資料DL数や問い合わせ数、教育型なら滞在時間や読了率、ブランディング型なら指名検索数やSNSシェア数などが指標となります。
成功事例に共通する要素とは
成功しているBtoBオウンドメディアには、いくつかの共通点があります。
1. 継続的な更新体制
ある企業では、連結従業員14,000人のうち約20人に1人が記事を執筆する分業体制で内製化を実現しています(SHIFT社の事例)。継続的な更新には、専任担当者の配置や分業フローの確立が不可欠です。
2. 戦略の一貫性
全ての記事で「誰に・何を・なぜ」が統一されていることが重要です。記事ごとに主張がバラバラになると、読者に一貫したメッセージが伝わらず、ブランド構築やリード獲得に支障をきたします。
3. CTA設計の最適化
読者のニーズに合わせたCTAを設置し、次のアクションへの導線を明確にすることで、PVをリードに転換できます。
BtoBオウンドメディア成功事例の目的別比較
成功事例を単に「すごい」と眺めるのではなく、目的と成功要因の関係を理解することが重要です。以下の比較表で、各事例がどのような目的で、何を成功要因として成果を出したかを整理しました。
トピッククラスターモデルとは、ピラーページ(まとめ記事)を軸に関連コンテンツをクラスターとして構成するSEO手法を指します。
【比較表】BtoBオウンドメディア成功事例比較表(目的×成功要因)
| 事例タイプ | 目的 | 成果指標 | 成功要因 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 教育型オウンドメディア | ナーチャリング・受注獲得 | 資料DL34倍、受注額9倍、PV1.2倍 | 継続的な高品質コンテンツ提供 | 企業自己申告ベース。業種・体制により再現性は異なる |
| BOXIL(リード型) | リード獲得・商談化 | 商談化率3倍以上、2ヶ月でCV20%占有 | 比較検討層向けコンテンツ設計 | プラットフォーム型のため単独運営とは異なる |
| HubSpot Japan(SEO型) | 検索流入・リード獲得 | 検索流入2倍、資料DL2.5倍(6ヶ月) | トピッククラスターモデル導入 | 企業自己申告ベース。SEOプラットフォーマーの自社事例 |
| 才流「メソッド」(ブランディング型) | 指名検索・受注獲得 | 受注数15倍、アクセス6倍 | 専門性の高いノウハウ公開 | コンサルティング企業の事例 |
※上記の数値は企業の自己申告ベースの事例です。業種・体制・競合環境により再現性は異なります。
成功事例を「見る」から「再現できる」に変える戦略設計
成功事例のコンテンツや施策をそのまま真似しても成果は出ません。これは多くの企業が陥る失敗パターンです。
戦略(誰に・何を・なぜ)が自社と異なる事例を表面的に真似しても、ターゲットに刺さらず成果につながりません。例えば、コンサルティング企業の「専門ノウハウ公開」戦略を、製造業の企業がそのまま真似しても、ターゲットが求める情報や信頼の構築方法が異なるため、同じ成果は期待できないのです。
E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の略で、Googleの品質評価基準を指します。成功事例に共通するのは、自社ならではのE-E-A-Tを活かしたコンテンツ設計です。
再現性を高める3ステップ
- 自社の戦略を先に固める: ターゲット(誰に)、提供価値(何を)、差別化ポイント(なぜ自社を選ぶべきか)を明確にする
- 事例から「要素」を抽出: 成功事例を見る際は、表面的なコンテンツではなく「なぜ成功したか」の構造を分析する
- 自社に適用可能な要素を設計に反映: 抽出した要素を、自社の戦略に照らして適用できるかを検討する
PVではなくCVR・商談化率で成果を測る視点
オウンドメディアの成果をPVだけで測ると、本来の目的を見失いがちです。
ある調査によると、オウンドメディア経由の売上が会社全体の10%未満にとどまっている企業が13.6%存在します。これは、PVを追求するだけでは売上につながらないケースがあることを示しています。
BtoBオウンドメディアの場合、以下の指標を追跡することが重要です。
- CVR(コンバージョン率): PVに対する資料DL・問い合わせの割合
- 商談化率: リードが商談に至った割合
- 受注貢献: オウンドメディア経由の受注数・受注額
PVが増えてもCVRや商談化率が低ければ、ターゲット設計やCTA設計に問題がある可能性があります。
オウンドメディア立ち上げ前に確認すべき戦略チェックリスト
成功事例を参考にする前に、自社の戦略が固まっているかを確認することが重要です。以下のチェックリストで、立ち上げ前の準備状況を診断してください。
参考事例として、OfferBoxの成功報酬型サービスは前年同期比21.6%増に成長しています(2025年時点)。明確なビジネスモデルと連動したコンテンツ戦略が成功の要因とされています。
【チェックリスト】オウンドメディア立ち上げ前の戦略確認チェックリスト
- ターゲット(ペルソナ)が具体的に定義されている
- ターゲットの課題・ニーズが明文化されている
- 自社のUSP(独自の強み)が明確になっている
- 競合との差別化ポイントが整理されている
- オウンドメディアの目的(リード型・教育型・ブランディング型)が決まっている
- 成果指標(KPI)が数値で設定されている
- PV以外の指標(CVR・商談化率)を追跡する体制がある
- 記事の「誰に・何を・なぜ」を統一するルールがある
- 継続的な更新体制(担当者・頻度)が決まっている
- 内製・外注の役割分担が明確になっている
- CTA設計(資料DL・問い合わせ導線)の方針がある
- 公開前の品質チェックプロセスが整備されている
継続的な運営体制の構築
継続的な更新体制の構築は、オウンドメディア成功の重要な要素です。
SHIFT社の事例では、連結従業員14,000人のうち約20人に1人が記事を執筆する分業体制で内製化を実現しています。大規模な体制構築が難しい場合は、内製+外部活用のハイブリッド体制も有効です。
少人数でも継続できる体制のポイント
- コア業務とアウトソース業務の切り分け: 戦略設計・品質管理は内製、執筆・編集は外部活用
- 更新頻度の現実的な設定: 無理のないペースで質を維持する
- 社内の知見を活かす: 営業やカスタマーサクセスの声をコンテンツに反映する
まとめ:成功事例から学ぶのは「表層」ではなく「戦略設計の考え方」
本記事では、BtoBオウンドメディアの成功事例を「見る」から「再現できる」に変えるための考え方を解説しました。
重要なポイント
- 成功事例を表面的に真似しても、戦略(誰に・何を・なぜ)が異なれば成果は出ない
- まず自社の戦略(ターゲット・USP・競合との差別化)を固める
- 事例からは「なぜ成功したか」の構造を分析し、自社に適用可能な要素を抽出する
- PVだけでなくCVR・商談化率を追跡し、成果を正しく測定する
- 継続的な更新体制を構築し、戦略の一貫性を保つ
まずは本記事で紹介したチェックリストで、自社の戦略設計の準備状況を確認してみてください。戦略が固まっていない状態で成功事例を真似しても、ターゲットに刺さらず成果につながりません。
BtoBオウンドメディアで成果を出すには、成功事例を真似するのではなく、自社の戦略(ターゲット・USP・競合との差別化)を先に固めた上で、事例から「自社に適用可能な要素」を抽出して設計することが重要です。
