BtoBターゲティング方法|全施策に一貫反映させる実践ガイド

著者: B2Bコンテンツマーケティング実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1512分で読めます

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BtoBターゲティングが成果につながらない理由

ターゲティングは設定したが施策ごとにメッセージがブレて成果につながらない——この課題を解決したいなら、BtoBのターゲティングは設定するだけでは成果につながりにくく、広告・コンテンツ・営業すべての施策に一貫して反映される状態を作ることが成果を左右します。

日本のBtoB-EC市場規模は2024年に514兆4,069億円(前年比+10.6%)と急拡大しています。(出典: 経済産業省 令和6年度 電子商取引に関する市場調査)また、Gartnerによると、2025年までにBtoB販売の約80%がデジタルチャネル上で完結する見込みとされています。(出典: iCrossborder Japan Gartner引用記事)

BtoB取引のデジタル化が進む中、オンライン接点でのターゲティング精度が売上に直結する状況が加速しています。しかし、ターゲティングを設定しても、それが広告・コンテンツ・営業の各施策にバラバラに適用され、メッセージが一貫しないケースが多く見られます。

この記事で分かること:

  • BtoBターゲティングが成果につながらない根本原因
  • STP分析と6Rフレームワークの基本概念
  • 既存顧客分析からターゲットを設定する具体的な手順
  • ターゲティングを広告・コンテンツ・営業すべてに一貫して反映させる方法
  • ターゲティング精度を継続的に高める改善サイクル

BtoBターゲティングの基本フレームワーク

BtoBターゲティングでは、STP分析と6Rフレームワークという2つの基本フレームワークを理解することが出発点になります。

STP分析とは、Segmentation(市場細分化)・Targeting(狙う市場の決定)・Positioning(自社の立ち位置定義)の3ステップからなるマーケティングの基本フレームワークです。Segmentationで市場を細分化し、Targetingでどの市場を狙うかを決定し、Positioningで競合との差別化ポイントを定義します。

6Rフレームワークとは、Realistic Scale(市場規模)、Rate of Growth(成長性)、Rival(競合)、Rank(優先度)、Reach(到達可能性)、Response(測定可能性)の6指標でターゲットを評価するフレームワークです。設定したターゲット候補が本当に狙うべき市場かを定量・定性の両面から判断するために活用されます。

BtoBでは、BtoCと異なる軸でセグメントする必要があります。BtoCは年齢・性別・興味関心でセグメントするのが一般的ですが、BtoBでは業種・企業規模・役職といったファーモグラフィック属性でセグメントすることが重要です。

BtoC向けセグメントとの違い

ファーモグラフィックとは、業種・企業規模・所在地・取引形態など、企業属性に基づくセグメンテーションの切り口です。

BtoBでは、BtoCと同じ年齢・性別でセグメントしてしまうという誤解が見られます。しかし、BtoB購買の意思決定者は「個人の嗜好」ではなく「企業の課題解決」を基準に判断するため、個人属性よりも企業属性とその企業が抱える課題で切り分けることが必要です。

また、BtoBでは複数の意思決定者が関与し、検討期間が長いという特性があります。そのため、単一のペルソナではなく、役職別ペルソナ(経営層・部門長・現場担当者)を設計し、それぞれの課題と検索意図に応じたコンテンツを用意する必要があります。

ターゲット設定の具体的な手順

ターゲット設定の精度を高めるには、既存顧客の売上上位20%を分析し、共通する業種・企業規模・課題を抽出することから始めると効果的です。

2021年時点で日本の企業数は約358万社(事業所ベースでは約560万)と報告されています。(出典: 総務省統計局 経済センサス活動調査)この膨大な市場の中から、自社にとって価値の高い顧客層に絞り込むことが重要です。

ICP(理想顧客プロフィール) とは、自社にとって最も価値の高い顧客の特性を定義したプロフィールです。ABMのターゲット選定の基準として使用され、ICPを明確にすることで、施策ごとにターゲット像がブレることを防げます。

ICPを設計する際は、既存顧客の中で売上・利益率・契約継続率が高い顧客の共通点を洗い出します。業種・企業規模・役職・課題・導入背景などを整理し、「理想的な顧客像」を具体化します。

次に、設定したターゲット候補を6Rフレームワークで評価します。以下の評価表を活用して、各指標を定量・定性的に判断してください。

【比較表】6R判断基準の評価表

評価軸 評価内容 評価ポイント(高・中・低の基準)
Realistic Scale(市場規模) ターゲット市場の企業数・市場規模 高: 数千社以上、中: 数百社、低: 数十社以下
Rate of Growth(成長性) ターゲット市場の成長率・将来性 高: 年率10%以上成長、中: 年率5-10%、低: 横ばいまたは縮小
Rival(競合) 競合の強さ・数 高: 競合が少ない/弱い、中: 競合が一定数、低: 競合が多い/強い
Rank(優先度) 自社の強みとの適合度 高: 自社の強みが明確に活きる、中: 一部の強みが活きる、低: 強みが活きにくい
Reach(到達可能性) ターゲットにリーチできる手段があるか 高: 既存チャネルでリーチ可、中: 新規チャネル開拓が必要、低: リーチ手段が不明
Response(測定可能性) 施策の成果を測定できるか 高: KPIが明確で測定可能、中: 一部測定可能、低: 測定が困難

複数意思決定者への対応

BtoBでは、一つの購買決定に複数の意思決定者が関与します。経営層・部門長・現場担当者それぞれが異なる課題を持ち、求める情報も異なるため、役職別ペルソナの設計が重要です。

例えば、経営層はROI・導入リスク・戦略的意義を重視し、部門長は業務効率化・部門成果への貢献を、現場担当者は使いやすさ・日常業務への影響を気にする傾向があります。これらの関心事を整理し、それぞれに応じたコンテンツや営業メッセージを用意することで、組織全体の合意形成を促進できます。

また、BtoB特有の長い検討期間にも配慮が必要です。検討初期・比較検討期・最終決定期といったステージごとに、提供する情報や接点の設計を変える必要があります。

ターゲティングを全施策に反映させる方法

ターゲティングを設定しただけで満足してしまい、広告・コンテンツ・営業の各施策に一貫して反映されていないケースが多く見られます。これでは、施策ごとに別々のターゲット像で動いてしまい、メッセージがブレて成果が出ません。

BtoBマーケティングの主な施策は展示会出展37.2%、Web広告33.2%、イベント開催24.7%と報告されています。(出典: Ask One BtoBマーケティング調査2025年版)また、BtoB企業が2025年度に最も注力したいWeb広告は検索連動型広告29.8%、SNS広告29.5%とされています。(出典: BtoB企業のWeb広告調査2025)

これらの施策すべてで、設定したICPに基づくターゲティング設定とメッセージ設計を一貫させることが重要です。

ABM(アカウントベースドマーケティング) とは、特定の企業(アカウント)をターゲットに設定し、その企業に特化した戦略的マーケティング活動を行う手法です。一般的には数十〜数百社規模に絞り込み、優先度スコアリングで狙う企業を選定します。ABMの考え方を取り入れることで、施策全体のターゲット像を統一しやすくなります。

以下のチェックリストを活用して、ターゲティングが各施策に一貫して反映されているかを確認してください。

【チェックリスト】ターゲティング施策連動チェックリスト

  • ICPが明文化され、全社で共有されている
  • 検索連動型広告のターゲティング設定(キーワード・地域・デバイス)がICPと一致している
  • SNS広告のターゲティング設定(業種・企業規模・役職)がICPと一致している
  • コンテンツ(記事・ホワイトペーパー)がターゲットの課題に直接対応している
  • コンテンツのトーン・専門用語の使い方がターゲットの役職レベルに適している
  • 営業資料(提案書・事例集)がターゲットの業界・役職向けにカスタマイズされている
  • 展示会ブースのキャッチコピー・展示内容がターゲット業種に刺さる内容になっている
  • メールマーケティングのセグメント配信がICPに基づいて実施されている
  • Webサイトのファーストビューがターゲットの課題を端的に提示している
  • インサイドセールスのトークスクリプトがターゲットの役職・課題に対応している
  • 各施策のKPIがターゲティング精度(リードの質・商談化率等)を測定できる設計になっている
  • 施策横断で「どのターゲット層からのリードが多いか」を定期的に分析している

ターゲティング失敗パターンと回避策

**ターゲティングを設定して終わり、施策ごとに別々のターゲット像で動いてしまうという考え方は誤りです。**これは典型的な失敗パターンであり、以下のような問題が起きます。

例えば、広告では「中小企業の経営層」をターゲットに設定したのに、コンテンツは「大企業の現場担当者」向けに書かれており、営業資料は「中堅企業の部門長」向けになっている——このように施策ごとにターゲット像がブレると、どの層にも刺さらない結果になります。

回避策としては、ICPを明文化し、全施策の担当者(広告・コンテンツ・営業)が同じICPドキュメントを参照する仕組みを作ることです。定期的に施策連動ミーティングを開催し、「各施策が同じターゲット像に向けてメッセージを届けているか」を確認することが重要です。

ターゲティング精度を高める改善サイクル

ターゲティングは一度設定したら終わりではなく、継続的に精度を高める改善サイクルを回すことが重要です。

BtoB企業のWeb広告で最も重視される指標はROAS(57.0%)、次いでCVR(41.0%)、CTR(39.0%)と報告されています。(出典: BtoB企業のWeb広告調査2025)ターゲティング精度を高めることで、これらの指標が改善されます。例えば、ターゲット外のクリックを減らすことでCTRとCVRが向上し、結果としてROASが改善されます。

また、BtoB展示会出展の目的は「リード獲得」が56.5%で最多、「認知度向上」55.6%が僅差で続くとされています。(出典: BtoB展示会・イベント調査2025)施策別の目的に応じて、ターゲティングの評価軸も変える必要があります。展示会はリード獲得だけでなく、まだ関心が浅い層も含めターゲット業種の面を広く押さえる場として位置付けることが一般的です。

改善サイクルの基本ステップは以下の通りです。

  1. データ収集: 各施策からのリードの業種・企業規模・役職を収集し、ICPとの一致度を分析する
  2. 評価: ROAS・CVR・商談化率などのKPIを確認し、ターゲティング精度が成果に寄与しているかを評価する
  3. 仮説立案: 「どのターゲット層からのリードが商談化しやすいか」「ターゲット外のクリックが多い広告はどれか」などを分析し、改善仮説を立てる
  4. 施策調整: ICPの定義を見直す、または各施策のターゲティング設定を微調整する
  5. 再検証: 調整後のKPIを測定し、改善効果を確認する

このサイクルを3-6ヶ月ごとに回すことで、市場や競合の変化にも対応しながら、ターゲティング精度を継続的に高めることができます。

まとめ|設定だけで終わらせない施策連動型ターゲティング

BtoBのターゲティングは設定するだけでは成果につながりにくく、広告・コンテンツ・営業すべての施策に一貫して反映される状態を作ることが成果を左右します。

ポイントの整理:

  1. BtoBターゲティングの基本は、STP分析と6Rフレームワーク。BtoCと異なり、業種・企業規模・役職といったファーモグラフィック属性でセグメントする必要がある。
  2. ターゲット設定は既存顧客分析から始める。売上上位20%の共通点を抽出し、ICP(理想顧客プロフィール)を明文化する。
  3. ターゲティングを設定して終わりにしない。広告・コンテンツ・営業すべての施策に一貫して反映し、メッセージのブレを防ぐ。
  4. 継続的な改善サイクルを回す。ROAS・CVR・商談化率などのKPIを定期的に評価し、ターゲティング精度を高める。

次のアクション:

本記事の「ターゲティング施策連動チェックリスト」を活用して、自社の各施策がICPに基づいて一貫したメッセージを届けられているかを確認してください。ターゲティングを「設定して終わり」にせず、全施策に反映される仕組みを作ることで、BtoBマーケティングの成果を高めることができます。

「記事は出してるのに商談につながらない」を解決する。
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よくある質問

Q1BtoBターゲティングで最初に何をすべきですか?

A1既存顧客の売上上位20%を分析し、共通する業種・企業規模・課題を抽出することから始めると精度が高まります。そこからICP(理想顧客プロフィール)を定義し、6Rフレームワークで評価するのが効果的です。2021年時点で日本の企業数は約358万社(事業所ベースでは約560万)と報告されており、この膨大な市場から自社にとって価値の高い顧客層に絞り込むことが重要です。

Q2BtoBとBtoCでターゲティングの違いは何ですか?

A2BtoCは年齢・性別・興味関心でセグメントするのに対し、BtoBでは業種・企業規模・役職などファーモグラフィック属性でセグメントする必要があります。また、BtoBは複数の意思決定者が関与し検討期間が長いため、役職別ペルソナ(経営層・部門長・現場担当者)の設計が重要になります。

Q3ターゲティングを設定しても成果が出ない原因は何ですか?

A3ターゲティングを設定して終わり、施策ごとに別々のターゲット像で動いてしまうことが原因であるケースが多く見られます。例えば、広告では中小企業経営層をターゲットにしたのに、コンテンツは大企業の現場担当者向けに書かれているといった不一致です。広告・コンテンツ・営業すべてで一貫したメッセージを届けるために、施策連動の設計が必要です。

Q4ABM(アカウントベースドマーケティング)とは何ですか?

A4特定の企業(アカウント)をターゲットに設定し、その企業に特化した戦略的マーケティング活動を行う手法です。一般的には数十〜数百社規模に絞り込み、優先度スコアリングで狙う企業を選定します。ABMの考え方を取り入れることで、施策全体のターゲット像を統一しやすくなります。

Q5BtoB広告のターゲティングで重視すべき指標は何ですか?

A5BtoB企業のWeb広告で最も重視される指標はROAS(57.0%)、次いでCVR(41.0%)、CTR(39.0%)と報告されています。ターゲティング精度を高めることで、ターゲット外のクリックを減らしCTRとCVRが向上し、結果としてROASが改善されます。

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B2Bコンテンツマーケティング実践ガイド編集部

「PVではなく商談につながる」をテーマに、BtoB企業のマーケ担当者へ実践ノウハウを発信。デシセンス株式会社が運営。