内製か外注か——コストだけで決められない判断の難しさ
先に答えを言うと、コンテンツ制作の内製/外注判断は、コストやリソースだけでなく、「戦略の一貫性を全記事に反映できるか」「品質担保プロセス(ファクトチェック・承認フロー)を構築できるか」という観点を加えることで、成果につながる体制を選択できます。
コンテンツ制作を内製で続けるか、外注に切り替えるか——多くのBtoB企業のマーケティング担当者が直面する悩みです。内製では品質にばらつきが出やすく、外注ではコストがかさむ。AI活用を検討しても、承認が通らず公開が止まってしまうケースも少なくありません。
2024年の調査によると、企業のWebサイト運用体制は「完全に内製」24.2%、「一部を外注」56.7%で、約8割が内製を主軸としています。しかし、コストや人員の有無だけで判断すると、戦略の一貫性が保てず成果につながらないリスクがあります。
この記事で分かること
- 内製・外注・ハイブリッド体制の定義と日本企業の現状
- コスト・スピードだけで判断すると失敗する理由
- 自社に合った体制を選ぶためのチェックリスト
- 内製・外注・ハイブリッドの比較表
内製・外注・ハイブリッド体制の定義と日本企業の現状
コンテンツ制作体制は、大きく「完全内製」「完全外注」「ハイブリッド(一部外注)」の3パターンに分けられます。日本企業では、約8割が内製を主軸としつつ一部を外注するハイブリッド体制を採用しています。
2024年の調査データでは、企業のWebサイト運用体制として「完全に内製」が24.2%、「一部を外注」が56.7%という結果が出ています。完全外注は少数派であり、多くの企業が何らかの形で社内リソースを活用していることがわかります。
内製化とは——ノウハウ蓄積と中長期コスト削減
内製化とは、外注に依存していた業務を社内で実行できるようにするプロセスです。ノウハウが社内に蓄積されることで、中長期的なコスト削減や品質向上が期待できます。
内製化のメリットは、自社の戦略や意図を直接反映しやすい点にあります。一方で、担当者のスキルや工数が必要となるため、リソースが限られる中小企業では負担になることもあります。
ハイブリッド体制とは——日本企業で主流の運用形態
ハイブリッド体制とは、戦略・編集方針は内製で行い、制作の一部を外注する運営体制です。日本企業で主流とされており、戦略の一貫性を保ちながら制作リソースを確保できるバランスの取れた形態です。
具体的には、「何を伝えるか」「誰に向けて書くか」といった戦略・要件定義は社内で行い、実際の記事執筆やデザイン制作は外部パートナーに依頼するパターンが多く見られます。
コスト・スピードだけで判断すると失敗する理由
コスト削減やスピードだけを判断基準にし、戦略の一貫性や品質担保の仕組みを考慮せずに内製/外注を決めてしまうのは、よくある失敗パターンです。 結果として記事ごとに主張がブレたり、AI原稿の承認が通らず公開が止まったりする問題が発生します。
BtoB企業が動画制作を外注した理由を調査した結果(2025年2月調査、n=110)では、「自社のリソースが不足しているため」62.7%、「自社のスキル・ノウハウが不足しているため」55.5%が上位に挙げられています。リソースやスキルの不足は外注を検討する正当な理由ですが、それだけで判断すると別の問題が生じます。
また、BtoB経営者のリード獲得課題の解決策として「外注の検討」が22.6%挙げられています(2025年調査)。外注は有力な選択肢ですが、どの部分を外注し、何を社内に残すかの設計が成否を分けます。
戦略の一貫性が失われる——記事ごとに主張がブレる問題
外注先に制作を丸投げすると、記事ごとに方向性がバラバラになるリスクがあります。例えば、A社のライターは「コスト削減」を訴求し、B社のライターは「品質向上」を訴求するなど、自社の強みやメッセージが一貫しないコンテンツが量産されてしまうことがあります。
ブラックボックス化とは、外注先に任せすぎてノウハウが社内に残らず、戦略立案能力が育たない状態を指します。外注依存が進むと、自社で何が成果につながっているのか分からなくなり、改善の糸口を失うことになります。
品質担保プロセスの欠如——AI原稿の承認が通らず公開が止まる
外注やAI活用を進めても、品質チェック体制が整っていなければ公開が止まってしまいます。特にAI原稿では、ファクトチェックや承認フローを明確にしておかないと、「誰が最終確認するのか」「どの基準で公開を判断するのか」が曖昧になり、承認待ちの記事が溜まる一方になることがあります。
品質担保のプロセスを事前に設計することで、外注やAI活用をしても安定した公開ペースを維持できるようになります。
コンテンツ内製/外注判断チェックリスト
自社に合った体制を選ぶためには、リソース・スキル・戦略管理能力・品質担保体制の4軸で判断することが重要です。「工数が足りない」のか「スキルが足りない」のかを分けて考え、不足している部分のみ外注で補完する設計が効果的です。
前述の調査(2025年2月調査)では、「リソース不足」と「スキル・ノウハウ不足」が外注理由の上位に挙げられていました。この2つは対処法が異なるため、まずは自社の状況を正確に把握することが判断の出発点になります。
【チェックリスト】コンテンツ内製/外注判断チェックリスト
- コンテンツ制作に充てられる社内工数は十分か
- 記事執筆に必要なスキル(ライティング・SEO等)を持つ担当者がいるか
- コンテンツ戦略(ターゲット・メッセージ設計)を社内で立案できるか
- 記事の品質基準が明文化されているか
- ファクトチェックの担当者・プロセスが決まっているか
- 公開前の承認フローが整備されているか
- 外注先への要件定義・フィードバックを行える担当者がいるか
- 外注コストと内製コスト(人件費・機会コスト)を比較検討したか
- 外注した場合のノウハウ蓄積方法を検討したか
- AI活用時の品質チェック体制を設計しているか
- 記事ごとの主張・トーンの一貫性を管理する仕組みがあるか
- 成果測定と改善のPDCAを回せる体制があるか
内製・外注・ハイブリッド比較表——判断の見える化
3つの体制にはそれぞれ特徴があり、自社の状況に応じて最適な選択は異なります。コスト、スピード、品質、戦略一貫性、ノウハウ蓄積の5つの観点から比較することで、判断の見える化ができます。
前述の通り、日本企業の約8割が内製を主軸としつつ一部外注を採用しています。また、リード獲得課題の解決策として「外注の検討」が22.6%挙げられており、外注は有力な選択肢として認識されています。重要なのは、どの部分を外注するかの設計です。
【比較表】内製・外注・ハイブリッド比較表
| 項目 | 完全内製 | 完全外注 | ハイブリッド |
|---|---|---|---|
| コスト | 人件費+機会コスト | 直接費用(依頼料) | 中間(戦略は人件費、制作は外注費) |
| スピード | 社内リソース次第 | 外注先の稼働状況に依存 | 柔軟に調整可能 |
| 品質 | 担当者スキルに依存 | 外注先のスキルに依存 | 戦略管理で一貫性を維持しやすい |
| 戦略一貫性 | 維持しやすい | ブレやすい | 内製部分で維持可能 |
| ノウハウ蓄積 | 蓄積される | ブラックボックス化リスク | 戦略ノウハウは蓄積される |
| 適したケース | スキル・工数が十分な企業 | 短期的にスピード重視の企業 | 戦略管理は行いたいが制作リソース不足の企業 |
まとめ——戦略一貫性と品質担保を軸に体制を選ぶ
コンテンツ制作の内製/外注判断では、コストやリソースの有無だけでなく、「戦略の一貫性を全記事に反映できるか」「品質担保プロセスを構築できるか」という観点が重要です。
本記事のポイントを振り返ります。
- 日本企業の約8割が内製を主軸としたハイブリッド体制を採用している
- コスト・スピードだけで判断すると、戦略の一貫性が失われるリスクがある
- 「工数不足」と「スキル不足」を分けて判断し、不足部分のみ外注で補完する設計が効果的
- 外注する場合でも、戦略立案と品質チェックは社内に残すことでブラックボックス化を防げる
まずは本記事のチェックリストを活用して、自社の現状を整理してみてください。リソース・スキル・戦略管理能力・品質担保体制の4軸で状況を把握することで、コスト・リソースだけでなく、戦略一貫性と品質担保プロセスを判断軸に加えた体制選択ができるようになります。
