コンテンツマーケティングの予算申請が通らない本当の理由
コンテンツマーケティングの予算獲得に苦戦している方は少なくありません。結論として、コンテンツマーケティングの予算獲得は、PV数や記事本数ではなく商談・受注への貢献度を軸に設計することで、経営層の納得と実際の成果を両立できます。
予算申請が却下される背景には、成果測定の問題があります。2025年の調査によると、商談・受注を追跡している企業はわずか14.8%にとどまり、多くの企業が商談追跡ができていません。成果を数字で示せないまま「記事を出すための予算」を申請しても、経営層を説得することは困難です。
この記事で分かること
- 経営層がコンテンツ投資で重視しているポイント
- 量産型と成果型の予算申請アプローチの違い
- 商談単価から逆算して予算を設計する具体的な方法
- 予算申請を通すための準備と説得材料
経営層がコンテンツ投資で見ているポイント
経営層が重視しているのは、PVや記事本数ではなく、投資に対する成果です。
2025年の調査では、BtoB Web広告運用の課題として「費用対効果向上」が47.2%、「質の高いリード獲得」が46.2%、「リード獲得単価低下」が30.5%と報告されています。これらの数値からも、経営層の関心が「量」ではなく「質」と「効率」に向いていることが分かります。
ROMI(Return on Marketing Investment) とは、マーケティング投資収益率のことで、マーケティング費用1単位あたりが生み出した収益を示します。経営層はこのROMIの視点でコンテンツマーケティングへの投資を評価しています。
商談化率とは、獲得したリードのうち、実際に商談(営業フェーズ)に進んだ割合のことです。PV数ではなく、この商談化率こそが経営層にとって重要な指標となります。
PV・記事本数ではなく商談貢献を示す重要性
PV数やセッション数を予算獲得の根拠にしがちですが、経営層は商談・受注への貢献度を重視します。
「月間PVを10万にするために月額50万円の予算が必要です」という説明では、経営層には響きません。なぜなら、PVが増えても商談につながるかどうかが不明確だからです。
一方、「商談1件あたりの獲得コストを現状の2万円から1万円に下げるために、コンテンツマーケティングに投資したい」という説明であれば、投資対効果が明確になります。商談という成果に紐づいた予算申請は、経営層の判断材料として機能します。
量産型と成果型|予算申請アプローチの違い
予算申請には「量産型」と「成果型」の2つのアプローチがあります。
よくある失敗パターンとして、「記事を○本出すからいくら必要」「PVを○○にするからいくら必要」という量産起点の予算申請があります。PVが増えても商談につながらず、次年度の予算獲得が難しくなる悪循環に陥りやすいため、この考え方では成果が出ません。
2025年度のBtoB企業のWeb広告予算は約6割が増額予定であり、大幅増額が16.1%、やや増額が43.3%と報告されています(キーマケLab調査、n=311。民間調査のためサンプルバイアスの可能性があります)。予算増額理由のトップは「リード獲得効果が高いため」(55.8%)であり、成果を出している企業が予算を増やせている実態が見えます。
CPA(Cost Per Acquisition) とは、顧客獲得単価のことで、1件のリード・顧客を獲得するためにかかった広告費用を指します。
【比較表】予算申請アプローチ比較表(量産型vs成果型)
| 項目 | 量産型アプローチ | 成果型アプローチ |
|---|---|---|
| 予算の根拠 | 記事本数×単価 | 商談目標×獲得単価 |
| 説明の軸 | PV・セッション数 | 商談化率・受注額 |
| 経営層の反応 | 「で、売上にどう貢献するの?」 | 「投資対効果が分かりやすい」 |
| 成果測定 | 記事公開数で完了 | 商談・受注まで追跡 |
| 次年度の予算 | 成果が見えず減額リスク | 成果実績で増額の可能性 |
| 悪循環のリスク | PV増加→商談未達→予算削減 | 商談達成→信頼構築→予算増額 |
量産型予算申請が陥る悪循環
量産型の予算申請は、一見論理的に見えますが、構造的な問題を抱えています。
「月10本の記事を出すから月額30万円の予算が必要」という申請が通ったとします。記事を10本公開し、PVも増加しました。しかし、商談数は変わりません。次年度の予算申請時に「昨年の成果は?」と問われても、「PVは増えました」としか答えられません。
この状態が続くと、経営層からは「コンテンツマーケティングは費用対効果が悪い」と判断され、予算削減につながります。量産型アプローチは、短期的には予算を獲得できても、中長期的には予算削減の悪循環に陥りやすいのです。
商談起点で予算を設計する方法
商談・受注から逆算して予算を設計することで、経営層に納得感のある申請ができます。
2025年の調査によると、BtoBマーケティングの目標CPA(リード獲得単価)は5,000〜10,000円未満が21.8%で最多となっています(n=326の調査。「わからない」が32.2%と高く、CPA未設定企業も多い点に注意が必要です)。また、BtoB広告予算は500万円以上が主流という調査結果もあります(330社調査。業種・企業規模により異なります)。
商談単価から逆算した予算設計の例を示します。
(例)目標商談数:月10件、想定商談化率:10%、必要リード数:100件/月、目標CPA:8,000円の場合 → 月間コンテンツマーケティング予算:80万円(100件×8,000円)
このように、商談目標から逆算することで、予算の妥当性を論理的に説明できます。
コンテンツ種別ごとの投資対効果
コンテンツの種類によって、投資対効果は異なります。
導入事例コンテンツについては、活用企業の8割(80%)がROIを実感しているという調査結果があります(ベーシック社調査、n=330、2025年4月実施。自己申告ベースのためROI実感と実数値は異なる可能性があります)。導入事例は商談化率向上に寄与しやすいコンテンツとして知られています。
ナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、購買意欲を高めるプロセスのことで、メルマガやコンテンツ配信が代表的な手法です。メルマガ起点のナーチャリングは、CPA(顧客獲得単価)が広告の1/3〜1/5程度とされており(2025年推定値)、費用対効果の高い施策として注目されています。
予算申請時には、どのコンテンツ種別に投資するかを明確にし、それぞれの想定効果を示すことで、説得力が増します。
予算申請を通すための準備と説得材料
予算申請を通すためには、事前準備と適切な説得材料が重要です。
2025年度のBtoB企業のWeb広告予算は約6割が増額予定であるという業界トレンドは、説得材料として活用できます(キーマケLab調査。民間調査のためサンプルバイアスの可能性があります)。「業界全体として投資が増えている中で、自社だけ投資を控えることのリスク」という観点も経営層に響くポイントです。
実務的には、PowerPoint1枚に「業界トレンド」「自社のリード単価実績」「ROI予測」をまとめて提示する方法が効果的です。
【チェックリスト】商談起点の予算申請チェックリスト
- 過去の商談データ(件数・単価・受注率)を整理した
- 現状のリード獲得チャネル別CPAを算出した
- 目標商談数を明確に設定した
- 目標商談数から逆算した必要リード数を算出した
- 目標CPAを設定した(業界相場:5,000〜10,000円が最多帯)
- 必要リード数×目標CPAで予算総額を算出した
- 投資するコンテンツ種別を明確にした
- 各コンテンツ種別の想定効果を整理した
- 商談追跡の仕組みが整っているか確認した
- 効果測定のKPIを設定した
- 業界トレンド(約6割が増額予定)を説得材料として準備した
- ROI予測を数値で示せるようにした
- PowerPoint1枚のサマリー資料を作成した
- 経営層からの想定質問への回答を準備した
- 予算申請が却下された場合の代替案を用意した
説得材料として使えるデータの集め方
説得材料となるデータは、社内データと業界データの2種類があります。
社内データとしては、過去の商談データ、チャネル別の獲得リード数とCPA、商談化率、受注率などが重要です。これらのデータが整備されていない場合は、まず商談追跡の仕組みを整えることが先決です。商談・受注を追跡している企業はわずか14.8%という現状を踏まえると、追跡体制の構築自体が競争優位になり得ます。
業界データは補強材料として活用します。業界全体のトレンド、一般的なCPA相場、競合の動向などを把握し、自社の状況と比較することで、投資の妥当性を客観的に示すことができます。
まとめ:商談起点の予算設計で成果と予算獲得を両立する
本記事のポイントを整理します。
- 経営層が重視しているのは商談・受注への貢献度: PVや記事本数ではなく、投資対効果を示すことが重要
- 量産型アプローチは悪循環に陥りやすい: PVが増えても商談につながらず、次年度の予算削減リスクがある
- 商談起点で予算を設計する: 目標商談数から逆算して必要リード数とCPAを算出
- コンテンツ種別ごとの投資対効果を把握する: 導入事例やナーチャリングは費用対効果が高いとされる
- 社内データと業界データを組み合わせて説得材料を作る: 商談追跡の仕組みを整えることが先決
次のアクションとして、まずは自社の商談データを整理することをお勧めします。現状のリード獲得チャネル別CPA、商談化率、受注率を把握することで、商談起点の予算設計が可能になります。本記事のチェックリストと比較表を活用して、経営層を納得させる予算申請を準備してください。
コンテンツマーケティングの予算獲得は、PV数や記事本数ではなく商談・受注への貢献度を軸に設計することで、経営層の納得と実際の成果を両立できます。
