コンテンツマーケティングの予算が通らない根本原因
多くの人が見落としがちですが、コンテンツマーケティングの予算獲得には、費用相場の把握だけでなく、PVではなく商談化率・受注率を軸にした成果指標で経営層を説得するアプローチが必要です。
「コンテンツマーケティングの予算を申請したいが、経営層に成果を説明できない」「PVは増えているのに予算が通らない」という悩みを抱えるマーケティング担当者は少なくありません。中小企業のWebマーケティングで「成果実感」があるのは僅か10.0%という調査結果があり(2025年調査)、成果を実感できていない企業が圧倒的に多い状況です。
また、2025年度の広告・マーケティング予算について「増加予定」と回答した企業は32.3%で、前年の42.0%から10ポイント減少しています(コムエクスポジアム調査)。「同程度」が59.8%と慎重姿勢が強まっており、予算獲得の難易度は上がっています。
この記事で分かること
- コンテンツマーケティングの費用相場と予算配分の考え方
- ROIを軸にした予算の正当化方法
- 経営層を説得するための予算申請の組み立て方
- 予算申請前に確認すべきチェックリスト
コンテンツマーケティングの費用相場と予算配分の考え方
コンテンツマーケティングの費用相場は、企業規模や施策内容により大きく異なりますが、まず全体像を把握することが予算設計の第一歩です。
2024年の日本の総広告費は7兆6,730億円(前年比104.9%)で、インターネット広告費は3兆6,517億円(前年比109.6%、総広告費の47.6%)に達しています(電通調査)。コンテンツマーケティング市場規模は2023年推定で8,000億円〜1兆円弱とされており(SEO・コンテンツアウトソーシング・ネット広告・SNSマーケティング合計)、インターネット広告の成長を背景に拡大を続けています。
オウンドメディアとは、企業が自社で保有・運営するメディア(ブログ、コーポレートサイト等)を指します。コンテンツマーケティングの中核となる施策であり、費用の多くはこのオウンドメディアの構築・運用に充てられます。
企業規模別の予算配分パターン
中小企業の年間マーケティング予算は「100万円未満」が58.5%、「100〜499万円」が16.5%という調査結果があります(2025年調査)。つまり、中小企業の大半は年間100万円未満でコンテンツマーケティングを運用しており、大規模な予算がなくても取り組みを始めることは可能です。
ただし、中小企業のWebマーケティングで「成果実感」があるのは10.0%という厳しい現実もあります。予算規模ではなく、成果につながる設計ができているかどうかが重要です。
ROIを軸にした予算の正当化
経営層に予算を承認してもらうには、PVではなくROI(投資対効果)を軸にした説得が重要です。
ROI(投資対効果) とは、投資額に対するリターンを百分率で表す指標です。計算式は「(売上増加額 - 投資額) ÷ 投資額 × 100」で算出されます。
グローバルの統計では、SEOのROIは1ドル投資ごとに22ドルのリターン、メールマーケティングは1ドル投資ごとに36〜40ドルのリターンというデータがあります(2025年データ)。ただし、これはグローバルデータであり、日本市場では異なる結果になる可能性がある点に注意が必要です。また、ROIの計算定義は企業により異なるため、自社での測定・検証が重要になります。
また、コンテンツマーケティングはアウトバウンドマーケティングと比べて3倍以上のリードを62%低い費用で生み出すというデータもあります。アウトバウンドマーケティングとは、広告やテレアポなど、企業から顧客にアプローチするマーケティング手法です。
【比較表】コンテンツマーケティング費用相場比較表
| 施策 | 費用目安(月額) | ROI傾向 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| SEO対策 | 数万円〜数十万円 | 高め(グローバル統計で1:22) | 中長期で効果が持続、初期投資後のランニングコストは低め |
| コンテンツ制作 | 数万円〜数十万円/本 | 施策依存 | 質と量のバランスが重要、外注vs内製で大きく変動 |
| SNSマーケティング | 数万円〜数十万円 | 施策依存 | 拡散力は高いがBtoBでは効果にばらつき |
| メールマーケティング | 数万円〜十数万円 | 高め(グローバル統計で1:36〜40) | 既存リードのナーチャリングに有効 |
| 分析・改善 | 数万円〜十数万円 | 施策依存 | 継続的な改善サイクルに必須 |
※費用目安は一般的な傾向であり、企業規模・業種・外注範囲により大きく変動します。ROIはグローバル統計ベースで、日本市場では異なる可能性があります。
商談化率・受注率を起点にした成果指標の設計
PVやセッション数は「活動指標」としては有用ですが、経営層が求めているのは「事業成果」です。リード獲得(リードジェネレーション) とは、見込み顧客の情報(名前、メールアドレス等)を獲得するマーケティング活動を指します。商談化率・受注率を起点にした成果指標を設計することで、経営層の関心に沿った説得ができます。
インバウンドマーケティングとは、コンテンツで顧客を引き付け、自発的な問い合わせを促すマーケティング手法です。B2Bマーケターの73%がコンテンツマーケティングをリード獲得と売上増加の最良戦略と報告しています(グローバル調査。日本市場の傾向と異なる可能性があります)。
(例)月額50万円のコンテンツマーケティング投資の場合
- 月間PV: 10,000PV
- 問い合わせ率: 0.5%(50件/月)
- 商談化率: 20%(10件/月)
- 受注率: 30%(3件/月)
- 平均受注単価: 100万円
- 月間売上貢献: 300万円 ※実際の成果は業種・単価・競合状況により大きく変動します
経営層を説得する予算申請の組み立て方
経営層への予算申請では、費用相場を調べただけでは不十分です。投資に見合うリターンを明確に示す必要があります。
よくある失敗パターンとして、費用相場だけを調べて予算申請し、「PVが増えました」という報告しかできずに予算が削減・中止されるケースがあります。これは成果指標を商談化・受注につなげていないため、投資対効果を経営層に説明できないことが原因です。この考え方は誤りであり、PVではなく商談化率・受注率を起点にしたROI試算を提示することが重要です。
経営層が気にするポイントは主に以下の3つです。
- 投資回収期間: いつから成果が出始めるのか
- リスク: 失敗した場合の損失はどの程度か
- 競合動向: 他社はどうしているのか
B2Bマーケターの73%がコンテンツマーケティングをリード獲得と売上増加の最良戦略と報告しているというデータは、競合動向を示す根拠として活用できます(グローバル調査のため日本市場では傾向が異なる可能性がある点は注記が必要です)。
予算申請資料に盛り込むべき要素
予算申請資料は、要点を絞って構成することが重要です。一般的には以下の構成が有効とされています。
- 市場データ: コンテンツマーケティング市場の成長性・競合の動向
- 費用相場: 施策別の費用目安と自社の予算案
- 成功事例: 類似企業の成果事例(可能であれば)
- ROI試算: 商談化率・受注率を起点にした投資回収シミュレーション
- アクションプラン: 具体的な施策スケジュールとマイルストーン
リスクを低減する提案として、3ヶ月程度のトライアル期間を設け、その期間でROIを測定した上で本格化するという段階的アプローチが有効です。
予算申請前に押さえるべき準備と確認事項
予算申請の前に、自社の準備状況を確認することが重要です。中小企業のWebマーケティングで「成果実感」があるのは10.0%という調査結果を踏まえると、準備不足のまま予算を獲得しても成果につながらないリスクがあります。
以下のチェックリストで、申請前の準備状況を確認してください。
【チェックリスト】予算申請前チェックリスト
- ターゲット顧客(業種・規模・課題)を明確に定義しているか
- 自社のUSP(独自の強み)を言語化しているか
- 競合他社のコンテンツマーケティング状況を調査したか
- KPIを「PV」ではなく「商談化率」「受注率」で設定しているか
- ROI試算のシミュレーションを作成したか
- 3ヶ月トライアル等のリスク低減策を用意しているか
- 施策別の費用内訳を整理したか
- 類似企業の成功事例を収集したか
- 経営層が気にする「投資回収期間」を試算したか
- 失敗した場合の撤退基準を設定しているか
- 社内リソース(担当者・時間)の確保計画があるか
- 外注する場合の比較検討を行ったか
- コンテンツの品質管理・承認フローを設計しているか
- 効果測定の方法とツールを決定しているか
- 月次レポートの報告形式を準備しているか
まとめ:商談化率を軸に予算を獲得する
本記事では、コンテンツマーケティングの予算獲得を成功させるための方法を解説しました。
ポイントの振り返り
- 中小企業の年間マーケティング予算は「100万円未満」が58.5%だが、成果実感があるのは10.0%のみ
- 費用相場を調べただけでは予算は通らない。PVではなくROI・商談化率を軸にした説得が必要
- 経営層が気にするのは「投資回収期間」「リスク」「競合動向」の3点
- 3ヶ月トライアルでリスクを低減しながら、段階的に本格化する提案が有効
次のアクション
まず、本記事のチェックリストで自社の準備状況を確認してください。その上で、商談化率・受注率を起点にしたROI試算を作成し、経営層への提案資料を準備しましょう。予算規模よりも、成果につながる設計ができているかどうかが成功の鍵です。
コンテンツマーケティングの予算獲得には、費用相場の把握だけでなく、PVではなく商談化率・受注率を軸にした成果指標で経営層を説得するアプローチが必要です。
