ペルソナ設定がコンテンツマーケティングの成果を左右する理由
多くの人が見落としがちですが、ペルソナは作って終わりではなく、全記事に構造的に反映させる仕組みを整備することで、主張のブレを防ぎ成果につなげられます。
コンテンツマーケティングでペルソナを設定している企業は多いものの、「設定しただけで活用できていない」「記事ごとに担当者任せで一貫性がない」という課題を抱えている担当者も少なくありません。実際、ペルソナ起点のコンテンツ施策により売上5%UP、PV20倍を達成した支援事例も報告されていますが(特定企業の自社実績PRであり、再現性は保証されない)、これは単にペルソナを作っただけでなく、施策全体にペルソナを反映させた結果です。
この記事で分かること
- ペルソナとターゲットの違いと、BtoBで必要な2軸設計の考え方
- ペルソナ作成の具体的な手順(情報収集→整理→言語化)
- よくある失敗パターンと、それを防ぐための運用方法
- ペルソナを全記事に反映させるチェックリストとテンプレート
ペルソナとターゲットの違い|基本概念を整理する
ペルソナとターゲットは似ているようで異なる概念であり、コンテンツマーケティングではどちらも設定する必要があります。
ターゲットとは、マーケティング資源を集中させたい顧客セグメント層を指します。年代・業種・企業規模などの属性で定義され、比較的抽象的な「集団」として捉えます。
一方、ペルソナとは、実在するユーザーのデータから共通項を抽出して設定した象徴的な仮想ユーザー像です。名前・年齢・役職・課題など詳細な属性を持ち、「具体的な1人の人物」として描きます。
ペルソナはターゲット像をリアルな人物像として描いたものであり、両方を設定することでコンテンツの訴求力が高まります。ターゲットだけでは「誰に向けて書いているか」が曖昧になりがちですが、ペルソナを設定することで担当者間の認識が揃い、一貫したメッセージを発信しやすくなります。
BtoBでは企業ペルソナと個人ペルソナの2軸が必要
BtoBのコンテンツマーケティングでは、企業ペルソナと個人ペルソナの2軸で設計することが重要です。
BtoB購買の検討期間は数ヶ月〜1年超、購買関与人数は3〜10名以上が相場とされており、BtoCと比べて意思決定プロセスが複雑です。そのため、BtoC向けのペルソナ設計手法をそのまま適用すると、実態に合わないペルソナになってしまいます。
企業ペルソナとは、BtoBにおける組織単位のペルソナです。業種・従業員数・売上規模・事業課題・意思決定プロセスなどを設定します。
個人ペルソナとは、BtoBにおける担当者単位のペルソナです。役職・部門・決裁権・業務課題・情報収集方法などを設定します。
例えば、「製造業・従業員300名・売上50億円・生産効率向上が課題」という企業ペルソナに対して、「生産管理部長・40代・コスト削減のKPIを持つ・展示会やウェビナーで情報収集」という個人ペルソナを設定するイメージです。
BtoBペルソナの作成手順
ペルソナ作成は、情報収集→整理→言語化の3ステップで進めるのが標準的な手順です。
ペルソナ作成の標準手順は「情報収集(顧客データ・インタビュー)→整理(共通項抽出・セグメント化)→言語化(人物像設定・ストーリー化)」の3ステップとされています。それぞれのステップで何をすべきかを具体的に解説します。
情報収集|顧客データとインタビューを組み合わせる
最初のステップは、定量データと定性データの両面から情報を集めることです。
定量データの収集方法:
- 既存顧客リストの分析(業種・従業員数・売上規模・導入経緯)
- CRMやMAツールの行動データ(閲覧ページ・資料DL・問い合わせ内容)
- 受注・失注データの傾向分析
定性データの収集方法:
- 既存顧客へのインタビュー(導入の決め手、検討時の課題、情報収集方法)
- 営業担当者へのヒアリング(商談で聞く課題、よくある質問)
- カスタマーサポートへのヒアリング(利用後の課題、解約理由)
インタビューでは特に「なぜ自社を選んだか」「検討時に何に困っていたか」「どのような情報があれば意思決定しやすかったか」を聞くことで、コンテンツ設計に直結する情報が得られます。
整理と言語化|共通項を抽出して人物像を設定する
収集した情報から共通項を抽出し、企業ペルソナと個人ペルソナの2軸で整理します。
複数の顧客データを分析すると、「こういう企業が多い」「こういう担当者が多い」というパターンが見えてきます。そのパターンを基に、代表的な人物像を設定します。
以下のテンプレートを使って、自社のペルソナを整理してみてください。
【テンプレート】ペルソナシート テンプレート
■ 企業ペルソナ
- 企業名(仮称): {{株式会社〇〇}}
- 業種: {{製造業 / IT / サービス業 など}}
- 従業員数: {{50名 / 300名 / 1,000名 など}}
- 売上規模: {{10億円 / 50億円 / 100億円 など}}
- 事業課題: {{生産効率向上 / 営業生産性向上 / 人材不足 など}}
- 意思決定プロセス: {{現場起案→部長承認→経営会議決裁 など}}
- 検討期間の目安: {{3ヶ月 / 6ヶ月 / 1年 など}}
■ 個人ペルソナ
- 氏名(仮称): {{山田太郎}}
- 年齢: {{35歳 / 45歳 など}}
- 役職・部門: {{マーケティング部 課長 / 生産管理部 部長 など}}
- 決裁権: {{100万円まで / 決裁権なし(起案者) など}}
- 業務上のKPI: {{リード獲得数 / コスト削減率 など}}
- 抱えている課題: {{〇〇の工数がかかりすぎる / 〇〇の成果が見えない など}}
- 情報収集方法: {{Google検索 / 展示会 / ウェビナー / 同業者からの紹介 など}}
- 上長に報告する際に必要な情報: {{ROI試算 / 他社事例 / 導入後サポート体制 など}}
■ 購買行動ストーリー
- 認知きっかけ: {{〇〇というキーワードで検索 / 展示会で知った など}}
- 比較検討時の判断軸: {{価格 / 機能 / サポート体制 / 実績 など}}
- 導入の決め手: {{〇〇の機能があった / 担当者の対応が良かった など}}
- 社内稟議で求められた情報: {{費用対効果 / セキュリティ / 他社導入事例 など}}
差し込み変数:
- {{}} 内は自社の顧客データを基に記入してください
- 複数パターンがある場合は、最も多い傾向を記入するか、複数ペルソナを作成してください
ペルソナ設定のよくある失敗パターンと対策
ペルソナを設定しても成果が出ない企業に共通するのは、「作って終わり」になっていることです。
ペルソナを作っただけで満足し、記事ごとに担当者任せになって主張がバラバラになる、というのはよくある失敗パターンです。この方法では成果が出ません。
「作って終わり」では記事ごとに主張がブレる
ペルソナを設定しても、実際の記事制作で参照されていなければ意味がありません。
典型的な失敗パターンとして、以下のような状況があります。
- ペルソナシートは作ったが、記事執筆時に確認していない
- 担当者ごとにペルソナの解釈が異なり、記事のトーンがバラバラ
- 新しい担当者にペルソナが共有されておらず、属人化している
- ペルソナを作った当時と顧客の実態が変わっているのに更新されていない
このような状態では、同じオウンドメディア内でも「この記事は経営者向け」「この記事は現場担当者向け」と対象がバラバラになり、読者に一貫したメッセージが届きません。結果として、記事は読まれてもコンバージョンにつながらない、という課題が発生します。
ペルソナを全記事に反映させる仕組みの構築
ペルソナを「作る」だけでなく「活かす」ためには、記事制作フローの中にペルソナ確認を組み込む仕組みが必要です。
具体的には、以下のような運用方法が有効です。
ペルソナの社内共有:
- ペルソナシートを社内ドキュメントとして共有し、いつでも参照できる状態にする
- 新しいメンバーのオンボーディング時にペルソナの説明を行う
- 定期的(四半期に1回など)にペルソナの見直しミーティングを実施する
記事制作時のペルソナ確認:
- 記事企画段階で「この記事はどのペルソナ向けか」を明確にする
- 執筆前にペルソナシートを確認し、ペルソナの課題に応える内容になっているか検証する
- レビュー時に「ペルソナに刺さる記事になっているか」をチェック項目に入れる
チェックリストで記事ごとのペルソナ整合性を担保する
記事制作の各段階で使えるチェックリストを用意しておくと、ペルソナとの整合性を担保しやすくなります。
以下のチェックリストを参考に、自社の運用に合わせてカスタマイズしてください。
【チェックリスト】BtoB向けペルソナ設計チェックリスト
- ペルソナシートが作成・共有されている
- 企業ペルソナ(業種・規模・課題)が設定されている
- 個人ペルソナ(役職・決裁権・業務課題)が設定されている
- ペルソナの情報収集方法が明確になっている
- ペルソナの購買行動ストーリーが整理されている
- この記事が対象とするペルソナが明確である
- 記事のテーマがペルソナの課題に紐づいている
- 記事の結論がペルソナの意思決定を後押しする内容になっている
- 専門用語のレベルがペルソナに合っている
- CTAがペルソナの検討段階に適している
- 他の記事と主張・トーンに一貫性がある
- ペルソナシートが定期的に更新されている(四半期に1回以上)
- 新メンバーにペルソナが共有されている
- 営業・カスタマーサポートからのフィードバックがペルソナに反映されている
- 受注・失注データを基にペルソナの精度を検証している
このチェックリストを記事の企画・執筆・レビューの各段階で活用することで、「作って終わり」を防ぎ、全記事にペルソナを一貫して反映させることができます。
まとめ:ペルソナは「作る」から「活かす」フェーズへ
本記事では、コンテンツマーケティングにおけるペルソナの作成方法と、それを全記事に反映させる仕組みについて解説しました。
主なポイントを整理します。
- ペルソナとターゲットは異なる概念であり、コンテンツマーケティングでは両方を設定する
- BtoBでは企業ペルソナと個人ペルソナの2軸で設計することが重要
- ペルソナ作成は「情報収集→整理→言語化」の3ステップで進める
- 「作って終わり」では記事ごとに主張がブレ、成果につながらない
- ペルソナを全記事に反映させるには、記事制作フローにチェック機構を組み込む
次のアクションとして、以下から始めてみてください。
- 既存顧客データを分析し、共通パターンを洗い出す
- テンプレートを使って企業ペルソナ・個人ペルソナを作成する
- チェックリストを記事制作フローに組み込む
- 四半期に1回、ペルソナの見直しミーティングを設定する
ペルソナは作って終わりではなく、全記事に構造的に反映させる仕組みを整備することで、主張のブレを防ぎ成果につなげられます。まずは今ある顧客データを整理し、ペルソナシートを作成するところから始めてみてください。
