UGCを集めても活用できない企業が多い理由
結論から言えば、UGC活用の成功には、闇雲に収集するのではなく、どんなUGCを増やすべきか(ターゲット/USP連動)を設計し、収集したUGCをブランドトーンに合わせてキュレーション・活用する仕組みが必要です。
ハッシュタグキャンペーンでUGCを大量に集めたものの、ブランドイメージと合わない投稿が混在して結局どれを使えばよいかわからない——こうした課題を抱える企業は少なくありません。日本のSNSマーケティング市場は2024年に1兆2,000億円を突破し、2029年には2兆円超の見込みとも言われています。UGCへの関心は高まる一方ですが、活用につまずくケースも増えています。
この記事で分かること
- UGCの定義とコンテンツマーケティングにおける重要性
- 闇雲に収集するUGC活用が失敗するパターン
- 戦略的UGC活用の設計方法とチェックリスト
- UGC収集・キュレーションの実践方法と成功事例
- UGC活用時の注意点とリスク対策
UGCの定義とコンテンツマーケティングにおける重要性
UGC(User Generated Content) とは、ユーザーが自発的に作成・投稿したコンテンツを指します。SNS投稿、レビュー、動画などが代表的な形態です。これに対し、PGC(Professional Generated Content) は企業やプロが制作した広告・プロモーションコンテンツを指し、UGCと対比して使用されます。
UGCがコンテンツマーケティングで重要視される理由は、消費者の購買行動に大きな影響を与えるためです。Bazaarvoice「2025年版 買い物客体験インデックス」によると、UGCレビューを参考にする買い物客はコンバージョン率が144%向上し、訪問者あたり収益が162%向上するという報告があります。また、2025年の調査では、消費者の約50%が購入前にUGCを確認し、UGC導入ECサイトではCVR(コンバージョン率) が最大29%向上したとされています。
CVR(コンバージョン率)とは、Webサイト訪問者のうち、購入や問い合わせなど目標行動を完了した割合です。
ただし、これらの数値はBtoC・EC中心のグローバルデータが多く、日本市場やBtoB領域では参考値として捉える必要があります。
UGCの代表的な種類
UGCには以下のような種類があります。
- SNS投稿: Instagram、X(旧Twitter)、TikTokなどでの写真・動画・テキスト投稿
- レビュー・口コミ: ECサイトや比較サイトでの商品・サービスレビュー
- 動画コンテンツ: YouTubeやTikTokでの使用感紹介・開封動画
- 事例・体験談: ブログやSNSでの導入事例・活用体験の共有
Power Reviews調査によると、消費者の90%が写真・動画付きレビューで購入可能性が高いとされています。また、Statista 2022年分析(1,200サイト)では、UGC閲覧によりCVRが102%上昇したという報告もあります。
BtoBでも、顧客の導入事例投稿や専門家レビューとしてUGCを活用できます。ただしBtoCほど大量のUGCは期待しにくいため、質の高い顧客事例をキュレーションして活用するアプローチが有効です。
闇雲に収集するUGC活用が失敗するパターン
**ハッシュタグキャンペーンで大量のUGCを収集すれば成功と考えるのは誤りです。**ターゲットと無関係な投稿やブランドイメージと合わない投稿が混在し、結局どれを使えばよいかわからず活用が進まないケースが多く見られます。
ハッシュタグキャンペーンとは、特定のハッシュタグを使った投稿を促すSNS施策で、UGC収集の代表的な手法です。
Billo調査(2025年)によると、TikTok上のUGCはブランドコンテンツより22%効果的、Facebook広告エンゲージメントより32%高い、通常広告より46%高いとされています。93%のマーケターがUGCをブランドコンテンツより優位と評価しています。
しかし、こうした効果を出すには、闇雲に量を集めるだけでは不十分です。戦略なきUGC収集の失敗パターンを整理すると、以下のようになります。
【比較表】UGC施策別の特徴比較表
| 施策タイプ | メリット | デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| ハッシュタグキャンペーン | 大量収集が可能、参加ハードルが低い | ターゲット外の投稿が混在、品質のバラつき | 認知拡大フェーズ、BtoC向け |
| プレゼント・インセンティブ型 | 参加率が高い、投稿内容を誘導しやすい | コスト負担、一過性になりやすい | 短期キャンペーン、新商品プロモーション |
| レビュー依頼 | 具体的な使用感が得られる、購買に直結 | 収集に時間がかかる、依頼コスト | ECサイト、サービス導入後 |
| アンバサダー・ファン施策 | 質の高いUGC、継続的な投稿 | 育成に時間がかかる、選定が難しい | ロイヤル顧客がいるブランド、長期戦略 |
| 導入事例(BtoB向け) | 信頼性が高い、商談材料になる | 許諾取得が必要、企業側の協力が必要 | BtoB企業、高単価サービス |
戦略的UGC活用の設計方法
戦略的にUGCを活用するには、「どんなUGCを増やすべきか」をターゲット・ブランドトーンと連動させて設計し、収集後のキュレーションまで仕組み化することが重要です。
UGCキュレーションとは、収集したUGCの中から品質やブランド適合性を基準に選別・整理するプロセスです。
以下のチェックリストを活用して、自社のUGC活用戦略を設計してください。
【チェックリスト】UGC活用戦略設計チェックリスト
- ターゲット顧客像(ペルソナ)が明確に定義されている
- ターゲットが使うSNSプラットフォームを特定している
- 自社のブランドトーン・世界観が言語化されている
- 求めるUGCの種類(写真/動画/レビュー等)を決めている
- UGCの活用目的(認知拡大/信頼構築/CV向上等)が明確である
- キャンペーンの参加条件・投稿テーマを設計している
- ブランドイメージに合わないUGCの判断基準がある
- 許諾取得のフロー・テンプレートが整備されている
- 収集したUGCの活用先(Web/SNS/広告等)を決めている
- 効果測定の指標(エンゲージメント/CVR等)を設定している
- 炎上・ブランド毀損リスクへの対応方針がある
- 定期的な振り返り・改善のサイクルがある
ブランドトーンに合ったUGCを設計するポイント
UGCは自然発生を待つものではなく、キャンペーン設計で意図的に創出できます。ポイントは以下の通りです。
- 参加条件を明確にする: どんな投稿を求めているかを具体的に伝える
- 投稿テーマを設定する: 自由投稿ではなく、ブランドに関連したテーマを提示する
- お手本を見せる: 理想的な投稿例を提示し、イメージを共有する
- 参加ハードルを調整する: 質を重視するなら条件を絞り、量を重視するなら条件を緩める
UGC収集・キュレーションの実践方法と成功事例
UGC収集の成功事例を見ると、戦略設計とキュレーションの重要性が明確になります。
ある美容室専売メーカーは、Instagram/TwitterでUGC企画を実施し、8ヶ月でUGC数が6倍に増加しました。また、ある大手菓子メーカーはX(旧Twitter)でUGC運用・参加型企画を実施し、1年でUGC投稿数が8倍に増加、店舗売上も増加したという報告があります。さらに、SNSプレゼントキャンペーン(感想投稿でプレゼント)を実施した事例では、UGC数が11倍になったという2025年のセミナー報告もあります。
これらの事例は企業発表・PR記事ベースであり、第三者検証は不足しています。成功バイアスに注意しつつ、自社の状況に応じた参考として活用してください。
UGC活用時の注意点とリスク対策
UGC活用には以下のリスクがあり、事前に対策を整えておく必要があります。
- 著作権・肖像権の問題: UGCを活用する前に、投稿者から許諾を取得するフローを確立する
- ブランドイメージとの不一致: キュレーション基準を設け、ブランドに合わない投稿は活用しない
- 炎上リスク: 不適切な投稿が混入した場合の対応方針を事前に決めておく
- 一過性の施策化: キャンペーン終了後もUGCが継続するよう、ファン育成の視点を持つ
BtoBでは特に、顧客の導入事例投稿時の許諾取得が重要です。事前に担当者間で合意を得てから公開するフローを整備しましょう。
まとめ:戦略設計とキュレーションでUGC活用を成果につなげる
本記事では、コンテンツマーケティングにおけるUGC活用について、戦略設計からキュレーションまでの流れを解説しました。
要点の整理
- UGCはコンバージョン率向上に効果があるとされるが、闇雲に収集するだけでは活用できない
- ハッシュタグキャンペーンで大量収集すれば成功という考えは誤り
- どんなUGCを増やすべきか(ターゲット/USP連動)を設計することが重要
- 収集したUGCはブランドトーンに合わせてキュレーション・選別する
- 許諾取得フローやリスク対策を事前に整備しておく
UGC活用の成功には、闇雲に収集するのではなく、どんなUGCを増やすべきか(ターゲット/USP連動)を設計し、収集したUGCをブランドトーンに合わせてキュレーション・活用する仕組みが必要です。
本記事で紹介したチェックリストと比較表を活用し、自社のUGC活用戦略を見直してみてください。
