市場調査データがコンテンツ戦略に活きていない現状
市場調査データをコンテンツ戦略に活かすうえで最も重要なのは、市場調査データは「見る」だけでなく、自社のターゲット・USP・訴求軸を導き出し、全コンテンツに一貫反映させる設計に活用することです。これが商談につながるコンテンツ戦略の基盤となります。
ある調査によると、約7割の企業が新規開拓でデータを活用しています(2024年調査)。データ活用自体は多くの企業で進んでいますが、「データを見ただけ」で終わり、自社のコンテンツ企画や記事戦略に反映できていないケースは少なくありません。
市場調査データは見ているものの、具体的なコンテンツ企画にどう落とし込めばいいか分からない——BtoB企業のマーケティング担当者からこうした声を聞くことは多いです。
この記事で分かること
- 市場調査データの基本的な種類と目的
- データソースの選び方と比較表
- データを「見るだけ」で終わらせてしまう原因
- 市場調査データをコンテンツ戦略に活かす実践ステップ
- 戦略活用のためのチェックリスト
コンテンツマーケティング市場とは、SEO、コンテンツ制作、インターネット広告、SNSマーケティングを含む市場です。2023年時点で約8,000億円〜1兆円弱と推定されています。
コンテンツ市場調査の基本:対象と目的を整理する
コンテンツ市場調査は、市場規模把握、競合分析、ターゲット理解、トレンド把握の4つを主な目的として実施されます。何を明らかにしたいのかによって、参照すべきデータソースが異なります。
参考データとして、2021年時点の世界の動画配信・音楽配信・電子書籍市場規模は合計14兆1,452億円(前年比21.7%増)、日本市場は1兆171億円(前年比18.4%増)と報告されています。また、2023年時点で日本発コンテンツの海外市場規模は5兆8,000億円とされ、政府は2033年までに20兆円へ拡大する目標を掲げています。
これらはエンターテインメント領域のデータですが、BtoBコンテンツ戦略においては、こうした市場規模よりも、ターゲット企業の情報収集行動を理解することがより重要です。市場調査データの目的を明確にしたうえで、適切なデータソースを選ぶことが基本となります。
市場調査データソースの種類と特徴
市場調査データのソースは、大きく公的機関、民間調査会社、業界団体の3つに分類されます。それぞれ信頼性、リアルタイム性、費用、専門性が異なるため、目的に応じて使い分けることが重要です。
【比較表】市場調査データソース比較表
| データソース | 信頼性 | リアルタイム性 | 費用 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 公的機関(総務省・経産省) | 高い | 1-2年遅延 | 無料 | 大規模サンプル、定義が明確 |
| 民間調査会社 | 中〜高 | 高い | 有料 | 最新動向を把握可能、サンプル規模に注意 |
| 業界団体・協会 | 中〜高 | 業界による | 無料〜有料 | 業界特化、加盟企業バイアスの可能性 |
| BtoB向けデータベース | 中 | 高い | 有料 | 企業情報・インテントデータ、リード獲得に直結 |
公的機関のデータは信頼性が高い一方で、最新データは1-2年遅延する傾向があります。民間調査レポートはリアルタイム性が高いものの、サンプル規模や調査方法が異なるため、複数ソースを確認することを推奨します。
インテントデータとは、見込み顧客の購買意向を示す行動データです。Webサイト閲覧履歴やコンテンツダウンロード履歴などから推測され、BtoBマーケティングで活用が進んでいます。
市場調査データを「見るだけ」で終わらせてしまう原因
市場調査レポートを購入・参照しても「データを見ただけ」で終わり、コンテンツ戦略に反映できていない企業は多いです。これはよくある失敗パターンです。
市場データと自社戦略の間を埋めるステップが欠落していることが主な原因です。データを集めても、「自社のターゲットは誰か」「どのような訴求軸でコンテンツを作るか」という接続ができないと、結局コンテンツ企画に活かせません。
ある調査では、BtoB企業の情報収集媒体トップは「企業の公式Webサイト」(70%)であり、閲覧情報では「製品基本情報」(71%)、「競合比較」(41%)、「導入事例」(39%)が重視されることが報告されています(2024年12月調査、n=200、BtoB購買決定者対象のインターネット調査。サンプル数が限定的な点に注意)。
こうしたターゲットの情報収集行動データを把握しても、自社のコンテンツ企画に落とし込む工程がなければ、「データを見ただけ」で終わってしまいます。市場データ→戦略設計→コンテンツ企画という一連の流れを設計することが重要です。
市場調査データをコンテンツ戦略に活かすための実践ステップ
市場調査データをコンテンツ戦略に活かすには、データ収集から戦略設計、コンテンツ企画への落とし込みまでを一貫して設計することが必要です。
ある調査によると、BtoB企業の80%が意思決定に導入事例の影響を実感しています。特に自社と同業種(55%超)、同規模(55%超)の事例が求められ、効果指標では「コスト削減率・額」(60.7%)がトップとなっています(2025年4月調査、n=300)。
こうしたデータをコンテンツ企画に活かすには、以下のチェックリストを参考に、戦略設計の漏れがないか確認してください。
【チェックリスト】市場調査データをコンテンツ戦略に活用するためのチェックリスト
- 市場調査の目的(市場規模把握・競合分析・ターゲット理解・トレンド把握)が明確である
- 公的機関・民間調査・業界団体など複数のデータソースを確認している
- ターゲット市場の規模・成長率を把握している
- ターゲット企業のペルソナ(業種・規模・役職・課題)が具体的に定義されている
- ターゲットの情報収集行動(どこで・何を求めているか)を把握している
- 競合のコンテンツ(テーマ・訴求軸・形式)を分析している
- 自社の強み・USP(差別化ポイント)が言語化されている
- 市場データと自社USPを接続した訴求軸を設計している
- 訴求軸に基づいたコンテンツテーマを複数リストアップしている
- 導入事例コンテンツで訴求すべき効果指標を特定している
- エディトリアルカレンダーに市場データに基づくコンテンツ計画を反映している
- デスクトップリサーチ(市場データ)と社内ヒアリング(営業・CS)を組み合わせている
- コンテンツ間でメッセージの一貫性を担保する仕組みがある
- 定期的に市場データを更新し、戦略を見直すサイクルがある
- コンテンツの効果測定指標(PV・CV・商談化率)が設定されている
エディトリアルカレンダーとは、コンテンツの公開予定を管理するカレンダーです。市場調査データに基づくコンテンツ計画の可視化に活用されます。
ターゲットの情報収集行動を把握する
ターゲットがどこで何を求めているかを把握することは、コンテンツ企画の出発点です。
前述の調査データ(2024年12月調査、n=200)では、BtoB企業の情報収集媒体トップは「企業の公式Webサイト」(70%)であり、閲覧情報では「製品基本情報」(71%)、「競合比較」(41%)、「導入事例」(39%)が重視されています。
この数値から、BtoBコンテンツでは以下を優先すべきと考えられます。
- 自社サイトの製品基本情報を充実させる
- 競合との比較を明確に示すコンテンツを用意する
- 導入事例コンテンツを自社と同業種・同規模の企業向けに作成する
ABM(アカウントベースドマーケティング) とは、ターゲットアカウントを特定し、そのアカウントに最適化されたアプローチを行うBtoBマーケティング手法です。市場調査データを活用してターゲットを絞り込み、ABM施策に展開することも有効な活用方法です。
まとめ:市場調査データを戦略資産に変えるために
本記事では、市場調査データをコンテンツ戦略に活かす方法を解説しました。
要点の整理
- 約7割の企業がデータを活用しているが、「見るだけ」で終わるケースが多い
- データソースは公的機関・民間調査・業界団体があり、目的に応じて使い分ける
- BtoB企業の情報収集媒体トップは公式Webサイト(70%)、製品基本情報・競合比較・導入事例が重視される
- 80%の企業が導入事例の影響を実感、同業種・同規模の事例が求められる
- 市場データ→戦略設計→コンテンツ企画の一貫した流れが重要
本記事で紹介した「市場調査データをコンテンツ戦略に活用するためのチェックリスト」と「データソース比較表」を活用し、自社の状況を確認してみてください。
市場調査データは「見る」だけでなく、自社のターゲット・USP・訴求軸を導き出し、全コンテンツに一貫反映させる設計に活用することで、商談につながるコンテンツ戦略の基盤となります。
