PVは増えても商談につながらない—分析・改善で見落とされる視点
多くの方が悩むオウンドメディアの分析と改善。結論は、オウンドメディアの分析・改善で成果を出すには、施策を個別に改善するだけでなく、まず『誰に・何を・なぜ』という戦略を言語化し、その戦略に沿って分析・改善の優先順位を決めることが重要です。
「PVは増えているのに、商談や売上につながらない」「分析はしているが、何を改善すべきか優先順位が決められない」——こうした課題を抱えるBtoB企業のマーケティング担当者は少なくありません。
多くの企業が「分析して改善すれば成果が出る」と考えていますが、実際には分析・改善の前に整理すべきことがあります。それが「戦略の言語化」です。
この記事で分かること
- オウンドメディア分析で押さえるべき指標と目安
- 分析・改善の前に『戦略の言語化』が必要な理由
- 課題別の分析指標と改善施策の対応
- 分析ツール(GA4・Search Console)の活用方法
- 分析・改善のチェックリスト
オウンドメディア分析で押さえるべき指標と目安
オウンドメディアの分析指標は、集客・行動・成果の3フェーズに分けて整理することで、どこにボトルネックがあるかを特定しやすくなります。ただし、数値目安は業種・商材・価格帯で大きく変動するため、自社の過去データとの比較を優先することが重要です。
CVR(コンバージョン率) とは、CV数÷セッション数で算出される指標で、訪問者がどの程度CVに至ったかを示します。BtoBオウンドメディアのCVRは1〜3%が目安とされています。
GA4(Google Analytics 4) は、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールで、ユーザー行動・CV・流入元などを計測できます。
集客指標(PV・セッション・流入元)
集客フェーズでは、PV(ページビュー)、セッション数、流入元を確認します。オウンドメディアの集客フェーズKPIとして、月間PV 1万〜5万、自然検索流入 月3,000〜1万が目標値とされています。
Search Consoleは、Googleが提供する無料のSEO分析ツールで、検索クエリ・表示回数・CTR・順位を確認できます。Search Consoleで流入キーワードを確認し、GA4でその後の行動・CVを追う分析フローが基本です。
行動指標(直帰率・滞在時間・エンゲージメント率)
行動フェーズでは、直帰率、滞在時間、エンゲージメント率を確認します。BtoBオウンドメディアの直帰率は50〜70%でも異常とは言えません。情報提供系コンテンツは1ページで価値提供が完結しやすいため、直帰率だけで良し悪しを判断することは適切ではありません。
エンゲージメント率は、GA4で使用される指標で、10秒以上の滞在・CV発生・2ページ以上閲覧のいずれかを満たすセッションの割合を示します。旧ユニバーサルアナリティクスとは定義が異なるため、旧数値と単純比較できない点に注意が必要です。
成果指標(CVR・CV数・MQL/SQL)
成果フェーズでは、CVR、CV数、MQL/SQL数を確認します。CVポイント別の想定CVR目安は、問い合わせ・購入が0.2〜1.5%、ホワイトペーパーDLが1.5〜2.0%、メルマガ登録が2.0〜5.0%とされています。
MQL/SQLとは、MQL(マーケティング有望リード)がマーケ施策で獲得したリード、SQL(商談化リード)が営業が商談可能と判断したリードを指します。PV数だけを追っても商談化につながらないため、CV数・CVR・MQL/SQL数を重視することが重要です。
分析・改善の前に『戦略の言語化』が必要な理由
分析・改善で成果を出すには、施策を個別に改善する前に、まず「誰に・何を・なぜ」という戦略を言語化することが先決です。戦略が言語化されていない状態では、どの指標を改善すべきか、どの施策を優先すべきかの判断基準がなく、場当たり的な改善に終わりやすいからです。
よくある失敗パターンとして、「PVやセッション数を見て施策を追加すれば成果が出る」という考え方があります。この考え方は誤りです。戦略(ターゲット・訴求・差別化)が言語化されていない状態では、記事ごとに主張がブレて、読者に「この会社に相談したい」と思わせる一貫性が欠けてしまいます。結果として、PVは増えても商談化につながらないケースが多いのです。
戦略の言語化とは、3C情報(ターゲット・USP・競合)を明確にすることを指します。この戦略が言語化されて初めて、「どの指標を重視すべきか」「どの改善施策を優先すべきか」の判断基準が生まれます。
『誰に・何を・なぜ』を言語化するチェックポイント
戦略を言語化するには、以下の3つの観点で整理します。
ターゲット(誰に)
- どの業種・企業規模の企業を狙うのか
- どの部署・役職の担当者が読むのか
- その担当者はどのような課題を抱えているのか
訴求(何を)
- 自社のサービス・製品で何を提供するのか
- ターゲットの課題に対してどのような価値を届けるのか
- 記事を読んだ後にどのようなアクションを期待するのか
差別化(なぜ)
- 競合と比較して何が違うのか
- なぜ自社を選ぶべきなのか
- 自社ならではの強み・実績は何か
これらが言語化されていれば、分析・改善の方向性が明確になり、「PVは増えているがCVRが低い」「CVは増えているが商談化しない」といった課題に対して、的確な改善施策を選択できるようになります。
課題別に見る分析指標と改善施策の対応
戦略が言語化された後は、現状の課題を特定し、その課題に対応する分析指標と改善施策を選択します。課題によって見るべき指標と打つべき施策が異なるため、以下の対応表を参考にしてください。
【比較表】課題別・分析指標と改善施策の対応表
| 課題 | 見るべき指標 | 改善施策 | KPI目安 |
|---|---|---|---|
| 集客が足りない | PV・自然検索流入数 | SEO対策、キーワード拡充、新規記事追加 | 月間PV 1万〜5万、自然検索流入 月3,000〜1万 |
| CVRが低い | CVR・CTA CTR・フォーム通過率 | CTA改善、導線設計見直し、フォーム最適化 | CVR 1〜3%(BtoB目安) |
| 商談化しない | MQL/SQL数・商談化率 | リードナーチャリング、インサイドセールス連携 | 戦略に沿ったリード獲得 |
| 直帰率が高い | 直帰率・エンゲージメント率 | 記事品質改善、内部リンク設計、関連記事表示 | 50〜70%でも異常ではない |
| リピートが少ない | リピートユーザー比率 | メルマガ配信、SNS連携、コンテンツ更新頻度向上 | 20〜30%が目安(成長フェーズ) |
※数値目安は業種・商材・価格帯で大きく変動します。自社の過去データとの比較を優先してください。
改善施策を選ぶ際は、「戦略に沿っているか」を常に確認することが重要です。PVを増やす施策を打っても、ターゲット外の読者が増えるだけでは商談化にはつながりません。
分析ツールの活用と改善サイクルの回し方
分析ツールを活用し、改善サイクルを継続的に回すことで、オウンドメディアの成果を向上させることができます。GA4とSearch Consoleを連携させ、「検索→行動→CV」を一気通貫で分析するフローを構築しましょう。
オウンドメディアの収益・リード獲得フェーズでは、月間CV数50〜100件以上が目安とされています。また、成長フェーズでは、リピートユーザー比率20〜30%が目安となります。
分析→改善→効果検証のサイクルを回す際は、以下のチェックリストを活用してください。
【チェックリスト】オウンドメディア分析・改善チェックリスト
- 戦略(誰に・何を・なぜ)が言語化されているか
- ターゲットの課題・ニーズが明確になっているか
- 自社のUSP・差別化ポイントが整理されているか
- GA4のCV設定が適切に行われているか
- Search Consoleが連携されているか
- 集客指標(PV・自然検索流入)を定期的に確認しているか
- 行動指標(直帰率・エンゲージメント率)を確認しているか
- 成果指標(CVR・CV数・MQL/SQL)を追跡しているか
- 課題に対応した改善施策を選択しているか
- 改善施策の効果検証を行っているか
- 改善サイクルを定期的に回しているか
- 戦略と施策の整合性を確認しているか
改善サイクルを回す際のポイントは、「戦略に沿っているか」を常に確認することです。指標が改善しても、戦略から外れた施策では商談化にはつながりません。
まとめ:戦略を軸にした分析・改善で商談化につなげる
オウンドメディアの分析・改善で成果を出すためのポイントを整理します。
- 分析・改善の前に戦略を言語化する: 「誰に・何を・なぜ」が明確でなければ、どの指標を重視すべきか、どの施策を優先すべきかの判断基準がない
- 課題に対応した指標と施策を選択する: 集客・CVR・商談化など、課題によって見るべき指標と打つべき施策は異なる
- 改善サイクルを継続的に回す: GA4・Search Consoleを活用し、分析→改善→効果検証のサイクルを回す
- 戦略との整合性を常に確認する: 指標が改善しても、戦略から外れた施策では商談化にはつながらない
次のアクションとして、まず自社の戦略(ターゲット・USP・競合)を言語化することから始めてください。戦略が明確になれば、分析・改善の方向性が定まり、商談化につながるオウンドメディア運用が実現できます。
オウンドメディアの分析・改善で成果を出すには、施策を個別に改善するだけでなく、まず『誰に・何を・なぜ』という戦略を言語化し、その戦略に沿って分析・改善の優先順位を決めることが重要です。
