オウンドメディアの承認フローが整備されないと起きる問題
オウンドメディアの承認フローは、承認者を決めるだけでなく「何をどの基準でチェックするか」を言語化し、チェック項目を全員で共有する設計にすることで、公開が滞らず品質を担保できる運用が実現する。これが本記事の結論です。
この記事で分かること
- 承認フロー・ワークフローの基本と整備するメリット
- 承認フロー設計の具体的なステップとフロー図
- チェック基準を言語化する方法とチェックリスト
- AI原稿を含む承認フローの設計ポイント
BtoB企業の約4割がオウンドメディアを運営し、検討中を含めると約6割がオウンドメディアに積極的という調査結果があります(ベーシック社調査、2023年)。オウンドメディアへの取り組みが広がる一方で、多くの担当者が「記事が承認で止まってしまう」「担当者によって品質がバラつく」「AI原稿の承認プロセスが不明確」といった課題を抱えています。
これらの問題の根本原因は、承認者を決めるだけで「何を確認するか」の基準が明文化されていないことにあります。承認フローを整備するとは、単に「誰が承認するか」を決めるだけでなく、「何をどの基準でチェックするか」を言語化し、全員で共有することなのです。
承認フローとワークフローの基本|目的と効果
承認フローとは、企画〜執筆〜編集〜法務チェック〜最終承認〜公開までのプロセスと責任者・基準を明文化した社内ワークフローです。またワークフローは、業務の流れとその手順・権限を定めた業務プロセス設計を指し、オウンドメディアでは承認〜公開の流れを指すことが多いです。
承認フローを整備することで、以下のメリットが得られます。
- 品質担保: チェック基準が明確になり、担当者による品質のバラつきを防止できる
- 効率化: 承認ステップごとの責任が明確になり、ボトルネックを特定しやすくなる
- 属人化防止: 担当者が交代しても、同じ基準で運用を継続できる
- リードタイム短縮: 各ステップの所要時間を可視化し、改善につなげられる
リードタイムとは、企画から公開までにかかる所要期間のことで、承認フローの設計により短縮が可能です。
企業規模による承認フローの違い
承認フローは企業規模によって大きく異なります。大企業では上長・チーム全員・法務部など複数の承認が必要で、公開まで数週間〜数か月かかるケースがある一方、中小企業は担当者の裁量で即日公開できるケースが多いという実態があります。
この違いを踏まえ、自社の規模や業種に応じた承認フローを設計することが重要です。大企業の場合は、各ステップにSLA(社内サービスレベル) を設定することが有効です。SLAとは、各承認ステップの上限日数を明文化したルールのことで、例えば「法務チェックは5営業日以内」といった形で設定します。これにより、どのステップがボトルネックになっているかを可視化できます。
承認フロー設計の基本ステップ
承認フロー設計は、企画承認から公開までの流れを明確にし、各ステップの責任者とチェック基準を定めることから始まります。一般的には3〜6段階程度のステップで構成されます。
【フロー図】承認フロー設計テンプレート
flowchart TD
A[企画承認] --> B[原稿作成]
B --> C[原稿レビュー]
C --> D{修正必要?}
D -->|はい| B
D -->|いいえ| E[法務チェック]
E --> F{修正必要?}
F -->|はい| B
F -->|いいえ| G[最終承認]
G --> H[公開]
subgraph 企画フェーズ
A
end
subgraph 制作フェーズ
B
C
D
end
subgraph 確認フェーズ
E
F
end
subgraph 公開フェーズ
G
H
end
各ステップの役割は以下の通りです。
- 企画承認: テーマ・キーワード・ターゲットの妥当性を確認
- 原稿作成: ライターまたはAIが下書きを作成
- 原稿レビュー: 編集者が内容・構成・品質をチェック
- 法務チェック: 法的リスク・コンプライアンス違反がないか確認
- 最終承認: 責任者が公開可否を最終判断
- 公開: CMSへの登録・公開作業
各ステップにはSLAを設定し、上限日数を明文化しておくことで、承認が滞った際にすぐに対応できる体制を作れます。
「何をどの基準でチェックするか」を言語化する方法
承認フローで最も重要なのは、「何をどの基準でチェックするか」を言語化することです。承認者を決めるだけで「何を確認するか」の基準が不明確なまま運用すると、担当者によって品質がバラつく状態や、承認がボトルネックになって公開が滞る失敗パターンに陥りやすくなります。これは多くの企業が経験するよくある失敗パターンです。
チェック基準を言語化するためのステップは以下の通りです。
- 現状の確認項目を洗い出す: 現在、承認者が暗黙的にチェックしている項目をすべてリストアップ
- カテゴリごとに整理する: 品質・法務・ブランド・SEOなどのカテゴリに分類
- 判断基準を明文化する: 「○○であること」「○○を含まないこと」など具体的な基準を記載
- チェックリスト化する: 誰でも同じ基準で確認できる形式に整える
- 定期的に見直す: 運用しながら項目を追加・修正する
AI原稿を含む承認フローの設計ポイント
AI原稿を活用する場合は、「下書き〜編集〜承認」のワークフローを明確にすることが特に重要です。AI原稿特有の注意点として、以下のチェック工程を必須とすることを推奨します。
- ファクトチェック: AIが生成した情報の正確性を人間が確認
- トーン・文体チェック: 自社のブランドガイドラインに沿っているか確認
- 独自性チェック: 競合記事との差別化ができているか確認
- 最終編集: 人間による仕上げ・調整
AI原稿だからといって承認を簡略化するのではなく、むしろファクトチェック工程を追加するなど、人間による確認を省略しない設計にすることが品質担保の鍵です。
オウンドメディア記事公開前チェックリスト
以下は、オウンドメディア記事を公開する前に確認すべき項目をまとめたチェックリストです。自社の運用に合わせてカスタマイズしてお使いください。
【チェックリスト】オウンドメディア記事公開前チェックリスト
- タイトルがターゲットキーワードを含み、クリックしたくなる内容になっている
- メタディスクリプションが適切な文字数で、記事の要約になっている
- H1・H2・H3の見出し構造が適切で、読みやすい階層になっている
- 導入部分で読者の課題に触れ、記事を読むメリットが伝わる
- 本文の主張に根拠・データ・事例が示されている
- 専門用語には適切な説明が付けられている
- 誤字脱字・表記ゆれがない
- 事実情報(数値・固有名詞・日付など)の正確性が確認されている
- 引用元・出典が明記されている
- 自社のトーン・文体ガイドラインに沿っている
- 競合他社の誹謗中傷や不当な比較がない
- 著作権・商標権を侵害する表現がない
- 個人情報保護に関する問題がない
- 景品表示法に抵触する表現(優良誤認・有利誤認)がない
- 薬機法に抵触する表現がない(該当する場合)
- 自社のブランドイメージを損なう表現がない
- 画像・図表が適切に配置され、alt属性が設定されている
- 内部リンク・外部リンクが適切に設定されている
- CTAが適切な位置に配置されている
- スマートフォンでの表示を確認している
- 公開日時の設定が正しい
まとめ——チェック基準の言語化で公開が滞らない運用を実現する
オウンドメディアの承認フローを整備することで、品質を担保しながら公開を滞らせない運用体制を構築できます。重要なのは、単に承認者を決めるだけでなく、「何をどの基準でチェックするか」を言語化し、チェック項目を全員で共有することです。
本記事で紹介した承認フロー設計テンプレートとチェックリストを活用し、自社の状況に合わせてカスタマイズしてください。また、運用を続ける中で定期的に見直しを行い、より効率的なフローへと改善していくことをおすすめします。
オウンドメディアの承認フローは、承認者を決めるだけでなく「何をどの基準でチェックするか」を言語化し、チェック項目を全員で共有する設計にすることで、公開が滞らず品質を担保できる運用が実現します。
