オウンドメディアでブランディングに取り組んでも成果につながらない原因
オウンドメディアでブランディングに取り組んでいるが記事ごとにトーンや主張がバラバラで一貫性がない、または認知は上がっているが商談につながらないという課題を解決したいなら、記事を量産するだけでなく、ブランドメッセージ(誰に・何を・どのトーンで)を全記事に一貫して反映させる仕組みを整え、認知から商談化への導線まで設計することが重要です。
オウンドメディアとは、企業が自社で所有・運営するWebメディアです。ブランディングや情報発信、リード獲得を目的とした自社コンテンツ発信の場として活用されています。
ある調査によると、オウンドメディア運用企業のうち、企業イメージ向上・ブランディング効果を実感している企業は76.7%に上ります。一方、2022年12月の調査(300人対象)では、オウンドメディア運営目的として認知向上が55.7%、リード獲得が45.3%という結果が出ており、認知向上とリード獲得の間に約10ポイントのギャップが見られます。
このギャップが示すのは、認知は上がってもそれが商談に直結するわけではないという現実です。記事を公開してブランド認知は高まっているように見えても、実際の成果(商談・受注)につながらないケースは少なくありません。
この記事で分かること
- オウンドメディアブランディングの定義と認知向上との関係
- 記事を量産しても成果が出ない理由と解決策
- ブランドメッセージを全記事に反映させる仕組みの作り方
- 認知から商談化への具体的な導線設計
- 実践で使えるチェックリストとフロー図
オウンドメディアブランディングとは|認知向上との関係を整理する
オウンドメディアブランディングとは、自社メディアを通じて企業やサービスの価値観・強みを一貫して発信し、ターゲット顧客のブランド認知と信頼を高める取り組みです。単なる情報発信ではなく、「自社が何者で、何を大切にしているか」を読者に継続的に伝えることがポイントになります。
2025年のPRトレンド調査によると、オウンドメディア運用の強化率が前年比21.1%から23.1%に上昇しており、今後への興味率も41.4%と最多を記録しています。広報・マーケティング手法としてオウンドメディアへの注目度が高まっていることがうかがえます。
認知向上とブランディングは密接に関連していますが、同じものではありません。認知向上は「知ってもらう」ことが目的であるのに対し、ブランディングは「どのような存在として認識されるか」をコントロールすることが目的です。オウンドメディアでは、この両方を同時に追求することが可能です。
ブランド認知が商談につながる仕組み
ブランド認知が商談に結びつくには、読者の心理変容が必要です。具体的には「認知→興味→検討→商談」という段階を経て意思決定が進みます。
指名検索とは、企業名やサービス名を直接検索することを指します。ブランド認知の高さを示す指標であり、Googleの評価向上にも寄与するとされています。オウンドメディアで継続的に価値ある情報を発信することで、読者が「この分野ならあの会社」と認識し、指名検索が増加する傾向があります。
第10回魅力度ブランド調査(2025年10月、1万人対象)では、就職・転職意向形成においてオウンドメディア・ソーシャルメディアが効果的であることが判明しています。これは採用領域の調査ですが、BtoBの購買意思決定においても同様のメカニズムが働くと考えられます。
ブランドロイヤリティとは、顧客が特定のブランドに対して持つ愛着や忠誠心です。オウンドメディアを通じた継続的な情報発信により、読者との関係性が深まり、ブランドロイヤリティの向上につながります。
記事を量産しても成果が出ない理由
ブランディングのために記事を量産しても、記事ごとにトーンや主張がバラバラで一貫性がないと、読者にブランドイメージが定着せず、認知は上がっても商談につながらない——これは典型的な失敗パターンです。
2022年の調査によると、オウンドメディアの運営状況は通常運用が73.0%、休眠状態が19.3%、過去運営が7.7%となっており、休眠メディアが約3割存在しています。継続的な運用と一貫性の維持が難しいことを示す数字と言えます。
なぜ記事を量産しても成果が出ないのでしょうか。主な原因は以下の3点です。
「誰に」が定まっていない: ターゲット読者が曖昧なまま記事を書くと、内容が散漫になり、誰にも刺さらない記事になりがちです
「何を」が一貫していない: 記事ごとに伝えるメッセージが異なると、読者は「この会社が何を大切にしているのか」を把握できません
「どのトーンで」が統一されていない: ある記事はフォーマル、別の記事はカジュアルといった具合にトーンがブレると、ブランドの人格像が定まりません
この状態で記事を100本書いても、読者の記憶に残るブランドイメージは形成されにくいです。量を追求する前に、「誰に・何を・どのトーンで」を明確にする必要があります。
ブランドメッセージを全記事に反映させる仕組みの作り方
一貫したブランドメッセージを全記事に反映させるには、属人化を防ぐ「仕組み」が必要です。担当者が変わっても、外部ライターに依頼しても、ブランドの軸がブレない体制を構築することがポイントになります。
BtoB営業関連オウンドメディア74サイトの分析によると、成功メディアの指標は月間記事作成数12.8〜14.2本、平均文字数7400〜7500文字という結果が報告されています(ただし、民間分析でサンプルが限定的なため、業界全体平均としては参考値として捉えてください)。量だけでなく、一定の品質を維持しながら継続することが重要です。
具体的に仕組み化すべき要素は以下の通りです。
ブランドガイドラインの整備: 企業のミッション、ビジョン、バリューを言語化し、記事で表現すべきトーン&マナーを定義します。
ペルソナ設計: ターゲット読者のプロフィール、課題、情報ニーズを具体的に描き、全ライターが共有できる状態にします。
記事品質基準の設定: 文字数、構成、引用ルール、禁止表現などを明文化し、チェックリストとして運用します。
UGC(ユーザー生成コンテンツ) とは、ユーザーが自発的に作成・投稿するコンテンツです。ブランドエンゲージメントの測定指標として活用でき、読者がSNSでシェアしたくなるような記事を目指すことで、ブランド認知の拡大につながります。
【チェックリスト】オウンドメディアブランディング設計チェックリスト
- 企業のミッション・ビジョン・バリューが言語化されている
- ターゲットペルソナが具体的に設計されている(職種、役職、課題、情報ニーズ)
- ペルソナの課題と自社サービスの提供価値が紐づいている
- 記事で伝えるべきブランドメッセージが定義されている
- トーン&マナー(文体、表現スタイル)が明文化されている
- 記事の品質基準(文字数、構成、引用ルール)が設定されている
- 禁止表現・NG表現のリストがある
- 記事公開前のチェックフローが確立されている
- 複数の担当者・ライターがガイドラインにアクセスできる
- 定期的なガイドライン見直しの仕組みがある
- 記事のKPI(PV、滞在時間、CV数など)が設定されている
- ブランド認知の測定指標(指名検索数、リピート率など)が定義されている
- 記事とサービス資料・問い合わせページの導線が設計されている
- CTAの配置ルールが決まっている
- 公開後の効果測定と改善サイクルが回っている
認知から商談化への導線設計
認知を商談につなげるには、読者の行動を段階的に促す導線設計が不可欠です。記事を読んで終わりではなく、次のアクションに自然と誘導する仕掛けを設計します。
2022年12月の調査(300人対象)によると、オウンドメディア運営目的として商品・サービス理解の促進が56.0%、認知向上が55.7%、リード獲得が45.3%となっています。認知向上とリード獲得の両方を目的とする企業が多いものの、両者を結ぶ導線設計が十分にできている企業はそれほど多くないと推測されます。
カバー度とは、キーワード数×指名検索数で算出される指標です。オウンドメディアのブランド認知貢献を評価するために使用されることがあります。
導線設計のポイントは「読者の検討フェーズに応じたコンテンツとCTAを用意すること」です。認知段階の読者にいきなり商談予約を促しても効果は限定的です。段階に応じた適切なアクションを設計します。
【フロー図】ブランド認知→商談化フロー
flowchart TD
A[認知獲得フェーズ] --> B[興味喚起フェーズ]
B --> C[検討促進フェーズ]
C --> D[商談化フェーズ]
A -->|コンテンツ| A1[課題解決型記事\nハウツー記事\n業界トレンド記事]
A -->|CTA| A2[メルマガ登録\nSNSフォロー]
B -->|コンテンツ| B1[事例紹介記事\n比較検討記事\nインタビュー記事]
B -->|CTA| B2[資料ダウンロード\nウェビナー参加]
C -->|コンテンツ| C1[導入ガイド\n料金・プラン説明\nFAQ・サポート情報]
C -->|CTA| C2[デモ依頼\n無料相談予約]
D -->|アクション| D1[問い合わせ\n商談申込]
各フェーズのポイント:
- 認知獲得フェーズ: 読者の課題に答える記事で接点を作り、メルマガ登録やSNSフォローで継続接点を確保
- 興味喚起フェーズ: 事例や比較記事で自社サービスへの興味を喚起し、資料DLやウェビナーでリード情報を取得
- 検討促進フェーズ: 導入に必要な情報を提供し、デモや無料相談への行動を促進
- 商談化フェーズ: 問い合わせ・商談申込への明確な導線を設置
重要なのは、各フェーズで「次のステップ」への橋渡しを用意することです。記事を読んだ読者が「次に何をすればいいか」が明確になっていれば、自然と商談化への道筋ができます。
まとめ|一貫性と導線設計でブランディングを成果につなげる
本記事では、オウンドメディアでブランディングを成功させる方法について、認知から商談化への設計という観点から解説しました。
重要なポイントを整理します。
ブランディング効果を実感している企業は76.7% と高い一方、認知向上からリード獲得への転換には課題がある
記事を量産するだけでは不十分: トーンや主張がバラバラでは、読者にブランドイメージが定着しない
「誰に・何を・どのトーンで」を仕組み化: ガイドライン整備、ペルソナ設計、品質基準設定により一貫性を担保
認知から商談化への導線設計: 読者の検討フェーズに応じたコンテンツとCTAを用意し、次のアクションを促す
本記事で紹介したチェックリストとフロー図を活用し、まずは自社のオウンドメディアの現状を診断してみてください。一貫性のある発信と、商談化への導線が設計できているかを確認することが、改善の第一歩になります。
オウンドメディアでブランディングを成功させるには、記事を量産するだけでなく、ブランドメッセージ(誰に・何を・どのトーンで)を全記事に一貫して反映させる仕組みを整え、認知から商談化への導線まで設計することが重要です。
