オウンドメディアが継続できずに止まってしまう現実
オウンドメディアの継続は「頑張り」ではなく「仕組み」で解決できます。多くの企業が意気込んでオウンドメディアを立ち上げるものの、更新が止まってしまう現実に直面しています。
オウンドメディアとは、自社が保有・運営するWebメディアです。ブログ形式で記事を提供し、SEOやリード獲得を目的として運用されます。
ある調査によると、運営をやめた人の約65%が半年以内で更新を停止しているという結果が報告されています(調査対象は限定的)。この数字は、継続がいかに難しいかを物語っています。しかし、継続できない原因は担当者の能力や意欲の問題ではありません。本質は、運用の「仕組み」にあるのです。
この記事で分かること
- オウンドメディアが継続できない本当の原因
- 属人化を防ぐ仕組み化のポイント
- 継続のための運用体制チェックリスト
- 効果測定と改善サイクルの回し方
オウンドメディアが継続できない主な原因
継続できない原因は、担当者個人の問題ではなく、組織の仕組みに根本的な課題があるケースがほとんどです。「担当者のモチベーションが低い」「能力が足りない」と捉え、根性論で乗り越えようとするのは誤りです。
ある調査では、オウンドメディア経由で「売上が上がっていない」と回答した企業が14%存在していました。成果が見えないことがモチベーション低下につながり、更新が止まる、という悪循環が生まれています。しかし、この問題の本質は「戦略の属人化」と「承認フローのボトルネック」にあります。
戦略の属人化による方針のブレ
戦略の属人化とは、「誰に・何を・なぜ伝えるか」が担当者の頭の中にしか存在しない状態を指します。この状態では、担当者が異動や退職で変わるたびに方針がブレ、記事の一貫性が失われます。
新しい担当者は前任者の意図を引き継げず、ゼロから方針を考え直すことになります。結果として、記事ごとにトーンやターゲットが異なる、まとまりのないメディアになってしまいます。この状態では読者も混乱し、信頼性の構築が困難になります。
承認・公開フローのボトルネック
品質チェックや承認のプロセスが特定の人に依存している場合、その人が不在だと公開が止まります。上長の承認待ちで記事が滞留する、品質チェックができる人が限られていてボトルネックになる、という状況は多くの企業で見られます。
承認者のスケジュールに左右されて公開が遅れると、タイムリーな情報発信ができなくなります。また、承認待ちの記事が溜まることで担当者のモチベーションも下がり、さらに更新頻度が落ちるという悪循環に陥ります。
継続できない原因と仕組み化による対策
継続できない原因には、それぞれ対応する仕組み化の方法があります。根性論ではなく、構造的に問題を解決することが重要です。
ある調査では、約46%のメディア運営企業が記事制作において外注を活用しているという結果が出ています。リソース不足を内製だけで解決しようとせず、外部の力を活用することも有効な仕組み化の一つです。
【比較表】継続できない原因と仕組み化による対策一覧
| 原因 | よくある失敗 | 仕組み化による対策 |
|---|---|---|
| 戦略の属人化 | 担当者が変わるたびに方針がブレる | ペルソナ・編集方針をドキュメント化し共有 |
| 承認フローのボトルネック | 承認者不在で公開が止まる | 承認権限の分散とチェックリスト化 |
| リソース不足 | 担当者が疲弊して更新が止まる | 外注活用と役割分担の明確化 |
| 成果が見えない | 効果測定をせずに継続の意義を失う | KPIの設定と定期的なレビュー |
| ネタ切れ | 毎回ゼロからテーマを考える | キーワード・テーマのストック管理 |
| 品質基準の不明確さ | 品質にバラつきが出る | 品質チェックリストとガイドラインの整備 |
| 社内理解の不足 | 成果が出る前に打ち切られる | 中長期ロードマップの策定と共有 |
継続のための運用体制と役割分担
継続可能な運用体制を構築するには、目的の明確化、役割分担、そして現実的な更新頻度の設定が不可欠です。
ある調査によると、10年以上運営しているメディアの約半数が月15本以上更新しているという結果が報告されています(調査対象は100名程度と限定的)。長期継続には一定の更新頻度が必要ですが、これは企業規模やリソースによって異なります。無理のない範囲で設定することが重要です。
成功事例として、Sansanの「営業DX Handbook」は月間平均記事作成数12.8本、1記事あたり平均文字数7,409文字、CV獲得系記事割合47.4%という運用を行っています(個別企業の事例であり、一般化には注意が必要)。
【チェックリスト】オウンドメディア継続のための運用体制チェックリスト
- オウンドメディアの目的が明文化されている
- 達成すべきゴール(KPI)が設定されている
- ターゲットペルソナが定義されドキュメント化されている
- 編集方針・トーン&マナーが文書化されている
- 記事制作の役割分担が明確になっている
- 承認フローが整備され、代理承認者も決まっている
- 品質チェックリストが存在する
- 現実的な更新頻度の目標が設定されている
- キーワード・テーマのストックリストがある
- 外注活用の方針が決まっている
- 効果測定の方法とタイミングが決まっている
- 社内への報告・共有の仕組みがある
- 中長期のロードマップが策定されている
- 担当者引き継ぎ時のマニュアルがある
- 定期的な振り返りミーティングが設定されている
目的・ゴール設定と社内コンセンサス
継続の前提として、オウンドメディアの目的とゴールを明確にし、社内で合意を得ることが重要です。「なんとなく始めた」状態では、成果が見えない時期に打ち切りの判断をされやすくなります。
KPI(重要業績評価指標) とは、目標達成度を測定する指標です。オウンドメディアでは回遊率、再訪率、滞在時間、CV数・CVRなどを設定することが一般的です。
特に重要なのは、中長期のロードマップを策定し、経営層と合意を得ることです。四半期ごとのROI要求と折り合いをつけるためには、「最初の半年は認知拡大フェーズ、1年後からリード獲得フェーズに移行」といった段階的な目標設定が有効です。
更新頻度の目安と外注活用
更新頻度は、リソースと目標のバランスを考慮して設定します。ある調査では、信頼できる企業情報の更新頻度について「週に1回」が33.0%、「月1回程度」が19.3%という回答が得られています。週1回程度の更新が信頼性の観点から一つの目安といえます。
ただし、継続さえすれば成果が出るわけではありません。更新頻度を維持することと、戦略に基づいた質の高いコンテンツを提供することの両立が求められます。
内製リソースだけで更新頻度を維持することが難しい場合は、外注の活用も検討すべきです。外注を活用する際も、ペルソナや編集方針を明文化しておくことで、品質を担保しながらリソース不足を解消できます。
効果測定と改善サイクルの回し方
効果測定は継続のモチベーションを維持し、改善の方向性を示すために不可欠です。ただし、PVだけを追いかけるのは本質的ではありません。
CVR(コンバージョン率) とは、サイト訪問者のうち、問い合わせや資料請求などの目標行動に至った割合を指します。NPS(ネットプロモータースコア) は、顧客ロイヤルティを測定する指標で、推奨度を0-10で評価し、推奨者と批判者の割合から算出します。
オウンドメディアの本質的な目的は「PVを増やすこと」ではなく、「商談化につなげること」「ブランドを成長させること」にあります。そのため、単一指標ではなく、以下のような複数指標を組み合わせて効果を測定することが有効です。
- 回遊率・再訪率:読者のエンゲージメント度合い
- 滞在時間:コンテンツの質の指標
- CV数・CVR:直接的な成果指標
- メルマガ開封率:継続的な関係構築の指標
- NPS:ブランドロイヤルティの指標
改善サイクルでは、目先の数値に一喜一憂するのではなく、長期的な視点でブランドを成長させることを意識します。短期的にPVが伸びなくても、ターゲット読者に価値ある情報を届け続けることで、中長期的な成果につながります。
まとめ:継続は仕組みで実現する
オウンドメディアを継続できない原因は、担当者個人の能力や意欲の問題ではありません。戦略の属人化や承認フローのボトルネックといった、組織の仕組みに課題があるケースがほとんどです。
本記事のポイントを整理すると、以下のようになります。
- 根性論では継続できない:「頑張り」ではなく「仕組み」で解決する
- 属人化を防ぐ:ペルソナ・編集方針・品質基準をドキュメント化する
- 承認フローを整備する:権限の分散とチェックリスト化でボトルネックを解消
- 外注を活用する:内製だけで抱え込まず、外部リソースを戦略的に活用
- 適切な効果測定:PVだけでなく、商談化につながる指標を設定する
- 中長期視点を持つ:社内で合意を得た上でロードマップを策定する
上記のチェックリストを活用して、自社の運用体制を見直してみてください。仕組み化によって、無理なく継続できるオウンドメディア運営を実現できます。オウンドメディアの継続は「頑張り」ではなく「仕組み」で解決するのです。
