滞在時間改善だけでは成果につながらない理由と本質的な解決の方向性
ずばりオウンドメディアの滞在時間を増やすには、テクニック面の改善だけでなく「誰に向けた記事か」を明確にし、ターゲットの検索意図に応えるコンテンツ設計を行うことが成果につながります。
「滞在時間を伸ばしたい」と考えてさまざまな施策を試しても、最終的な成果(CV・商談)につながらないケースは少なくありません。博報堂メディア定点調査2025によると、日本の生活者の1日あたりのメディア総接触時間は440.0分、うち携帯電話/スマートフォンは165.1分で過去最高を記録しています。ユーザーの情報接触量が増える中で、自社のオウンドメディアに長く滞在してもらうことは重要ですが、滞在時間を延ばすこと自体が目的化すると、本来の成果から遠ざかる可能性があります。
この記事で分かること
- 滞在時間の定義と種類(セッション時間・ページ滞在時間・エンゲージメント時間)
- 滞在時間がSEOに与える影響の実態
- GA4での滞在時間確認方法
- 滞在時間を増やす具体的な施策
- テクニックだけでなく戦略面を含めた改善チェックリスト
滞在時間の定義とSEOへの影響
滞在時間には複数の種類があり、それぞれ計測方法と意味が異なります。オウンドメディアやWebサイトの平均セッション時間の理想値は2〜3分程度、ページごとの平均滞在時間は1〜2分以上が望ましいとされています(2025年時点の国内SEO解説)。ただし、これは目安であり、業種・コンテンツタイプにより理想的な滞在時間は大きく異なります。
サイト滞在時間(セッション時間) とは、ユーザーがサイトに訪問してから離脱するまでの時間です。複数ページを閲覧した場合は、そのすべての時間が含まれます。
ページ滞在時間とは、特定ページを開いてから離脱または別ページに遷移するまでの時間です。1つのページに対する滞在を計測します。
滞在時間とSEOの関係については、滞在時間は現時点ではGoogleの検索結果に直接影響を与えないとされています(国内SEO事業者の整理)。つまり、滞在時間を伸ばすことだけでSEO順位が上がるわけではありません。ユーザーの検索意図に応えるコンテンツを提供することが、結果として滞在時間の向上とSEO評価の両方につながります。
GA4での「平均エンゲージメント時間」とは
平均エンゲージメント時間とは、GA4でユーザーが実際に画面をアクティブに見ていた時間です。バックグラウンド時間は除外されます。
GA4では従来のユニバーサルアナリティクス(UA)とは滞在時間の定義が異なります。UAでは「平均セッション時間」が主要指標でしたが、GA4では「平均エンゲージメント時間」が標準になっています。この違いを理解せずに過去データと単純比較すると、誤った判断につながる可能性があります。
Google Analyticsでの滞在時間確認方法
GA4で滞在時間(エンゲージメント時間)を確認するには、レポート→エンゲージメント→ページとスクリーンから確認できます。各ページの「平均エンゲージメント時間」を確認することで、どのページでユーザーがアクティブに閲覧しているかを把握できます。
直帰率とは、サイト訪問後、他のページを見ずに離脱したセッションの割合です。滞在時間と合わせて確認することで、ユーザー行動をより正確に把握できます。
滞在時間単体で評価するのではなく、直帰率やCVRなど複数の指標を組み合わせて評価することが重要です。CVに近いページ(資料請求ページ、お問い合わせページなど)の平均エンゲージメント時間をベンチマーク値として活用すると、改善の効果を測定しやすくなります。
滞在時間を増やす具体的な施策
滞在時間を増やすには、コンテンツ設計の改善と内部リンクの活用が基本的なアプローチです。ただし、「内部リンクを増やせば滞在時間が伸びる」「動画を入れれば改善する」といったテクニックだけに頼り、記事のターゲットや検索意図を明確にしないまま施策を打つのは失敗パターンです。 この方法では、滞在時間は伸びても離脱率が下がらない、CVにつながらないという状態に陥りがちです。
製薬企業オウンドメディアの分析では、日本ベーリンガーインゲルハイムが1セッションでの滞在時間が最も長く、アストラゼネカが1セッションあたりで多くのページを閲覧されていたという結果があります(2025年7月版、SimilarWebによる推計値。医療・製薬業界に限定した事例です)。業界や商材によって最適なアプローチは異なるため、自社の状況に合わせた施策設計が必要です。
コンテンツ設計の改善
読了を促す構成を作るには、見出し設計・図解・要約の活用が効果的です。
見出しは記事の骨格となる要素です。読者が斜め読みしても内容を把握できるよう、見出しだけで記事の流れが分かる構成を心がけます。また、図解やイラストを活用することで、テキストだけでは伝わりにくい情報を視覚的に伝えることができます。記事冒頭に要約を置くことで、読者が「この記事を読むべきか」を判断しやすくなります。
ただし、情報を詰め込みすぎると検索意図がぼやけるリスクがあります。1記事1テーマを意識し、読者が求めている情報に集中した構成を設計してください。
内部リンクと関連コンテンツへの誘導
内部リンクを活用した回遊促進は、滞在時間向上に効果的です。ただし、やみくもにリンクを増やすのではなく、読者の次の疑問に応える形でリンクを設置することが重要です。
記事を読み終えた読者が「次に知りたいこと」を予測し、その疑問に応えるコンテンツへ自然に誘導します。記事末尾だけでなく、本文中の適切な箇所に関連コンテンツへのリンクを配置することで、読者の離脱を防ぎつつ回遊を促進できます。
動画やリッチコンテンツを増やす場合は、表示速度への影響に注意が必要です。ページの読み込みが遅くなると、滞在時間向上どころか離脱率が上がる逆効果になることがあります。
成果につなげる滞在時間改善の実践アプローチ
滞在時間改善を成果につなげるには、テクニック面だけでなく戦略面の見直しも欠かせません。以下のチェックリストを活用して、自社のオウンドメディアを点検してください。
【チェックリスト】滞在時間改善チェックリスト(戦略×テクニック)
- この記事のターゲット(誰に向けた記事か)が明確に定義されている
- 読者の検索意図(何を知りたいか)を把握している
- 記事の内容が検索意図に応えるものになっている
- 見出しだけで記事の流れが分かる構成になっている
- 記事冒頭に要約または「この記事で分かること」がある
- 1記事1テーマを意識し、情報を詰め込みすぎていない
- 図解やイラストを適切に活用している
- 読者の次の疑問に応える内部リンクを設置している
- 内部リンクは本文中の適切な箇所に配置している
- ページの表示速度が遅くなっていないか確認している
- GA4で平均エンゲージメント時間を定期的に確認している
- 滞在時間だけでなく直帰率・CVRも合わせて評価している
- CVに近いページのエンゲージメント時間をベンチマークにしている
- 滞在時間改善の施策がCV・商談化に寄与しているか検証している
- 施策の効果を定期的に振り返り、改善サイクルを回している
ターゲットと検索意図の明確化
滞在時間改善の前提として、「誰に向けた記事か」を明確にすることが最も重要です。ターゲットが曖昧なまま施策を打っても、効果は限定的です。
まず、記事のターゲットを具体的に定義します。「BtoB企業のマーケティング担当者」のような大まかな定義ではなく、「オウンドメディアを運営しているが、滞在時間が短く改善方法を探している担当者」のように具体化することで、記事の方向性が明確になります。
次に、ターゲットの検索意図を把握します。同じキーワードで検索しても、読者が求めている情報は異なる場合があります。検索結果の上位記事を分析し、どのような情報が求められているかを確認することで、記事の内容を検索意図に合わせて設計できます。
ターゲットと検索意図がずれている場合、テクニックだけでは滞在時間の改善につながりません。まずは戦略面の見直しから始めてください。
まとめ:戦略×テクニックで滞在時間改善を成果につなげる
本記事では、オウンドメディアの滞在時間を増やす方法と、成果につなげるポイントについて解説しました。
要点を整理します
- 滞在時間にはセッション時間・ページ滞在時間・エンゲージメント時間の3種類があり、GA4では平均エンゲージメント時間が主要指標
- 滞在時間は現時点ではGoogleの検索結果に直接影響を与えないとされている
- 滞在時間改善のテクニック(内部リンク・構成改善)だけでなく、ターゲットと検索意図の明確化が成果につながる
- 滞在時間単体ではなく、直帰率・CVRなど複数指標を組み合わせて評価する
オウンドメディアの滞在時間を増やすには、テクニック面の改善だけでなく「誰に向けた記事か」を明確にし、ターゲットの検索意図に応えるコンテンツ設計を行うことが成果につながります。
まずはGA4で現状の平均エンゲージメント時間を確認し、本記事のチェックリストを活用して改善ポイントを洗い出してください。滞在時間の向上だけを追うのではなく、CV・商談化への貢献で施策の効果を評価することが、成果につながるオウンドメディア運用の鍵です。
