回遊率を上げても商談につながらない原因
オウンドメディアの回遊率を上げるには、内部リンクや関連記事表示などの施策に加えて、「誰に・何を・なぜ」という戦略が全記事で一貫していることが前提条件であり、この両輪が揃って初めて商談・CVにつながる回遊が実現できる——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
この記事で分かること
- 回遊率の定義・計算方法と目安の数値
- 直帰率・離脱率との違いと関係性
- 回遊率改善施策の前に整えるべき「戦略の一貫性」
- 具体的な施策と効果測定の方法
近年、約61.9%の国内マーケターが「AI Overviewsの影響で自然検索からの流入が減少した」と実感しているという調査結果があります(2025年7月、325名対象調査。サンプル数が限定的である点に留意)。このような状況下で、単にPVを追い求めるのではなく、商談・CVにつながる回遊を設計することが求められています。
しかし、回遊率を上げる施策を実施しても成果につながらないケースは少なくありません。その原因の多くは、記事間でメッセージがブレていることにあります。
回遊率の基礎知識|定義・計算方法・目安
回遊率とは、1セッションあたりの平均閲覧ページ数を指します。回遊率の計算式は「総ページビュー数(PV)÷ 総セッション数」で、GA4の「ページ/セッション」指標と一致します。
オウンドメディア・Webサイトの一般的な回遊率平均は1.5〜3.0とされています。ECサイトは2.0〜4.0が目安です。ただし、これらは民間メディアの経験則ベースの数値であり、自社GA4での実測を推奨します。
また、オウンドメディアの直帰率目安は40-50%とされています。ブログサイトは65-90%、採用サイトは40-50%が一般的です。
回遊率の計算方法とGA4での確認
回遊率をGA4で確認するには、「レポート」>「エンゲージメント」>「概要」から「ページ/セッション」の指標を参照します。この数値がサイト全体の回遊率に相当します。
期間を指定して比較することで、施策実施前後の変化を把握できます。
直帰率・離脱率との違い
回遊率と混同しやすい指標として、直帰率と離脱率があります。
直帰率とは、訪問時にエンゲージメント(ページ遷移・スクロール等)がなく1ページだけで離脱したセッションの割合を指します。
離脱率とは、特定ページ閲覧後に離脱したセッションの割合です。ページ単位で計測し、直帰は離脱の一部に含まれます。
なお、GA4移行(UA→GA4)で指標定義に微変動があるため、過去データとの比較時は注意が必要です。
回遊率改善の前に確認すべき戦略の一貫性
回遊率向上施策の効果を最大化するには、まず「戦略の一貫性」が整っているかを確認する必要があります。
よくある誤解として、「内部リンクや関連記事表示などの施策を実施すれば回遊率は上がる」という考え方があります。しかし、これは失敗パターンの典型です。 記事ごとにメッセージがブレている状態で回遊を促しても、読者は混乱するだけで商談にはつながりません。
たとえば、ある記事では「低コストが重要」と主張し、別の記事では「品質重視で投資すべき」と主張していれば、読者は回遊するほど混乱します。
【チェックリスト】回遊率改善の前に確認すべき戦略チェックリスト
- ターゲット顧客(誰に)が全記事で統一されているか
- 自社の強み・USP(何を)が明確に言語化されているか
- なぜ自社を選ぶべきかの理由が一貫しているか
- 各記事のゴール(認知/検討/決定)が設計されているか
- 記事間で主張が矛盾していないか
- ペルソナの課題に対する解決策が一貫しているか
- CTAの導線が論理的につながっているか
- 読者が回遊した先で得られる価値が明確か
- 競合との差別化ポイントが全記事で統一されているか
- 専門用語の定義・使い方が記事間で統一されているか
- トーン&マナーがブレていないか
- サービス紹介への導線が自然に設計されているか
「誰に・何を・なぜ」の言語化
戦略の一貫性を担保するためには、以下の3点を明文化することが重要です。
誰に(ターゲット): 業種、企業規模、役職、課題を具体的に定義します。「中小企業のマーケティング担当者で、リソース不足に悩んでいる」など。
何を(USP): 自社が提供できる独自の価値を言語化します。競合と何が違うのかを明確にします。
なぜ(選ばれる理由): 読者がなぜ自社を選ぶべきなのかの根拠を整理します。
これらが言語化されていれば、どの記事を書いても主張がブレることはありません。
回遊率を上げる具体的な施策
戦略の一貫性が整ったら、具体的な施策に取り組みます。リピーターの回遊率は新規ユーザーより高い傾向があり、ある事例では新規1.67に対しリピート3.75という数値も報告されています(サイト特性により変動)。
セッション分析とヒートマップ分析の組み合わせにより、エンゲージメント率の向上と滞在時間の増加を実現した事例もあります(具体的な調査対象・サンプル数は不明)。
【比較表】回遊率改善施策と期待効果の一覧表
| 施策 | 概要 | 期待効果 | 実施難易度 |
|---|---|---|---|
| 内部リンク最適化 | 本文中に関連記事へのリンクを自然に配置 | 回遊率向上、滞在時間増加 | 低 |
| 関連記事ウィジェット | 記事下部に関連コンテンツを自動表示 | 離脱防止、PV増加 | 低 |
| パンくずリスト設置 | 階層構造を可視化しナビゲーションを改善 | 回遊導線の明確化 | 低 |
| ページ表示速度改善 | 画像圧縮、キャッシュ最適化 | 離脱率低下 | 中 |
| CTAボタン最適化 | 次のアクションを明確に提示 | CV導線の強化 | 中 |
| コンテンツのシリーズ化 | 関連テーマを連載形式で展開 | リピート訪問増加 | 中 |
| サイト内検索の設置 | ユーザーが目的のコンテンツを探しやすく | 回遊率向上 | 中 |
| ヒートマップ分析 | ユーザー行動を可視化し改善点を特定 | データに基づく改善 | 中 |
内部リンク・関連記事の最適化
内部リンクは、記事本文中に自然な形で配置することが重要です。無理にリンクを挿入するのではなく、読者が「もっと知りたい」と思うタイミングで関連記事を提示します。
具体的には、専門用語を説明した直後や、関連するテーマに言及した箇所に内部リンクを設置します。
ユーザーセグメント別の施策
リピーターの回遊率は新規ユーザーより高い傾向があります。そのため、リピーター向けの施策を強化することで、効率的に回遊率を向上させることができます。
新規ユーザーには、サイト全体の概要やカテゴリー一覧への導線を用意し、サイトの全体像を把握してもらいます。リピーターには、新着記事や深掘りコンテンツへの導線を強化し、継続的な関係構築を図ります。
回遊率の効果測定と改善サイクル
回遊率向上施策は、効果測定と改善のサイクルを回すことで成果を最大化できます。
AI Overviewとは、Googleが検索結果ページ上部に表示するAI生成の概要のことです。2025年以降表示頻度が急増しており、自然検索からの流入に影響を与えています。
ChatGPTなどAI検索ツール経由の流入は2024年秋の0.5%程度から2025年初めには1.2%超に増加しているという報告もあります。流入経路の多様化を踏まえた効果測定が求められます。
セッション分析とヒートマップ分析を組み合わせることで、ユーザーの離脱ポイントを特定し、効果的な改善施策を実施できます。
重要なのは、回遊率だけでなく、CVへの接続を評価することです。回遊率が上がっても商談につながらなければ、施策の見直しが必要です。
まとめ|回遊率向上は戦略の一貫性が前提条件
本記事では、オウンドメディアの回遊率を上げる方法について解説しました。
回遊率改善の施策として、内部リンク最適化、関連記事ウィジェット、ページ表示速度改善などがありますが、これらの施策だけでは商談・CVにつながる成果は得られません。
施策を実施する前に、まずチェックリストを活用して戦略の一貫性を確認してください。「誰に・何を・なぜ」が全記事で統一されていることが、回遊率向上施策の効果を最大化する前提条件です。
オウンドメディアの回遊率を上げるには、内部リンクや関連記事表示などの施策に加えて、「誰に・何を・なぜ」という戦略が全記事で一貫していることが前提条件であり、この両輪が揃って初めて商談・CVにつながる回遊が実現できます。
