PVが増えても商談につながらないKPI設定の問題
多くの方が悩むオウンドメディアのKPI目標設定。結論は、オウンドメディアのKPI設定で成果が出ない問題は、PV・UUだけでなくCVR・商談化率を見据えたKPIを設計し、全記事で戦略(誰に・何を・なぜ)が一貫する仕組みを整えることで解決できます。
KGI(Key Goal Indicator) とは、重要目標達成指標を指します。ビジネスの最終成果を示す指標で、年間売上高や新規顧客獲得数などが該当します。KPI(Key Performance Indicator) とは、重要業績評価指標を指します。KGI達成に向けた進捗を測る中間指標で、PV数やCV数などが該当します。
2026年の調査によると、SEO施策の54.5%が「コンテンツ制作」を課題として挙げています。しかし、コンテンツ制作だけに注力してもKPI設計が不適切であれば、商談・受注にはつながりません。PVが増えたことに満足してしまい、その先の成果を見ていないケースは少なくありません。
この記事で分かること
- KGIとKPIの違いとKPIツリーの考え方
- 運用フェーズに応じたKPI設定の比較
- PV・UUだけを追うKPI設計が失敗する理由
- 商談につながるKPI設定のチェックリスト
KGIとKPIの違いとKPIツリーの考え方
KPI設計の基本は、KGIから逆算してKPIツリーを作成することです。KGI(最終目標)を達成するために必要な要素を階層的に分解し、各レベルでKPIを設定します。
KPIツリーとは、KGIから逆算してKPIを階層的に分解・可視化したものです。目標達成に必要な要素を整理し、どの指標を改善すればKGI達成に近づくかを明確にします。
CVR(Conversion Rate) とは、コンバージョン率を指します。サイト訪問者のうち目標アクション(問い合わせ等)を達成した割合で、「CV数÷訪問数×100」で算出します。
KPI設定の妥当性を確認する際は、SMARTの法則が有効です。
- Specific(具体的): 何を達成するか明確か
- Measurable(測定可能): 数値で測定できるか
- Achievable(達成可能): 現実的に達成できる目標か
- Relevant(関連性): KGIと関連しているか
- Time-bound(期限付き): いつまでに達成するか決まっているか
この5つの観点でKPIをチェックすることで、形骸化した目標設定を防ぐことができます。特にRelevant(関連性)は重要で、KGIと無関係なKPIを追いかけても成果にはつながりません。
フェーズ別KPI設定の比較と指標一覧
オウンドメディアのKPI設定は、運用フェーズによって重視すべき指標が異なります。初期は認知獲得、成長期以降はリード獲得・商談化へと重点を移すのが効果的です。
BtoB企業のオウンドメディアKPI目安として、月間セッション数10,000、月間コンバージョン数50、記事公開数月4本、検索順位10位以内のキーワード数30個という参考値があります。ただし、業界・商材・企業規模によって大きく異なるため、自社に合わせた調整が必要です。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング部門が「商談に進む可能性が高い」と判断したリード(見込み顧客)を指します。LTV(Life Time Value) とは、顧客生涯価値を指します。一人の顧客が取引開始から終了までにもたらす総利益です。
オウンドメディアのCV数目安は月間50〜100件以上がKGI達成に直結する水準とされています。ただし、これも業種やビジネスモデルによって異なります。
【比較表】フェーズ別KPI設定比較表
| フェーズ | 主な目的 | 重視するKPI | 目安 | 次フェーズへの移行条件 |
|---|---|---|---|---|
| 初期(0-6ヶ月) | 認知獲得・基盤構築 | PV、UU、記事公開数 | 記事数30本以上 | 安定した流入が確認できた |
| 成長期(6-12ヶ月) | リード獲得 | CV数、CVR、回遊率 | CVR1%以上 | 定期的にリードが獲得できる |
| 成熟期(12ヶ月以降) | 商談化・売上貢献 | 商談化率、MQL数、LTV | 商談化率の安定 | 売上への貢献が可視化できた |
| 最適化期 | 効率化・ROI最大化 | CPA、ROI、顧客単価 | ROIプラス維持 | 継続的な改善サイクルの確立 |
| 拡張期 | 新規チャネル・領域拡大 | 新規流入経路、認知度 | 複数チャネル展開 | 既存施策が安定している |
※目安は参考値です。業界・商材・企業規模によって大きく異なります。
PV・UUだけを追うKPI設計が失敗する理由
PV・UUだけを追うKPI設計では、商談・受注にはつながりません。CVRの目安は1〜3%で、CVR1%から2%に改善するだけで成果が2倍になります。PVを2倍にするよりも、CVRを2倍にする方が現実的なケースも多いのです。
「とりあえずPVとUUを追う」「記事ごとにKPIの考え方がバラバラ」というやり方は、よくある失敗パターンです。 この状態では、数値は上がっても商談・受注にはつながりません。
失敗するKPI設計には、以下の特徴があります。
- PV至上主義: PVが増えれば自然と成果につながると考えている
- KGIとの断絶: KPIがKGI(売上・受注)と紐づいていない
- 記事ごとにバラバラ: 記事によってKPIの考え方が統一されていない
- 戦略の不在: 「誰に・何を・なぜ」が言語化されていない
PVが増えても商談につながらない原因の多くは、CVR向上の施策が不足していることにあります。流入数を増やすことと、流入した読者を次のアクションに導くことは、別の施策として設計する必要があります。
記事ごとにKPIの考え方がバラバラになると、チーム内で何を優先すべきか共通認識が持てません。結果として、PVは増えているのに成果が出ないという状態が続きます。
商談につながるKPI設定チェックリスト
商談につながるKPI設計には、戦略(誰に・何を・なぜ)を言語化し、全記事で一貫させる仕組みが必要です。
BtoBオウンドメディアの成功事例として、ウェビナー連動で1ヶ月22回開催し、新規リード501件、売上1,000万円以上、ROI約416%を達成したケースがあります。ただし、これは単一事例であり、確実な成果を保証するものではありません。成功の背景には、KPI設計と戦略の一貫性があったと考えられます。
以下のチェックリストで、自社のKPI設計を点検してみてください。
【チェックリスト】KPI設定チェックリスト
- KGI(年間売上・新規顧客数など)が明確に定義されている
- KGIから逆算してKPIツリーを作成している
- 各KPIがKGI達成にどう貢献するか説明できる
- KPIがSMARTの法則を満たしている
- PV・UUだけでなくCVR・商談化率も設定している
- 運用フェーズに応じたKPI設定になっている
- 記事全体で統一されたKPIの考え方がある
- ターゲット(誰に)が明確に定義されている
- 提供価値(何を)が言語化されている
- 選ばれる理由(なぜ)が整理されている
- 戦略が全記事に一貫して反映されている
- KPI達成状況を定期的にモニタリングする体制がある
- KPI未達の場合の改善アクションが決まっている
- フェーズ移行のタイミングが定義されている
- コンバージョン導線が設計されている
- リード獲得後のナーチャリング施策がある
- 営業部門との連携体制が構築されている
- KPIの見直しサイクルが設定されている
- チーム全員がKPIを理解・共有している
- 成功事例・失敗事例を蓄積する仕組みがある
このチェックリストで「戦略の言語化」の項目(ターゲット、提供価値、選ばれる理由)がチェックできていない場合は、まずそこから着手することを推奨します。戦略が不明確なままKPIを設定しても、成果にはつながりにくいためです。
まとめ|戦略と一貫したKPI設計で商談化を実現する
本記事では、オウンドメディアのKPI目標設定について、商談につながる指標の選び方を解説しました。
要点を整理します。
- KGIから逆算してKPIツリーを作成し、各KPIがKGI達成にどう貢献するかを明確にする
- 運用フェーズに応じてKPIを変化させる(初期はPV/UU、成長期以降はCV/CVR重視)
- PV・UUだけを追うKPI設計では商談につながらない。CVR向上の施策も必要
- 戦略(誰に・何を・なぜ)を言語化し、全記事に一貫して反映させる
まずは本記事で紹介したチェックリストを活用し、自社のKPI設計を点検してみてください。戦略の言語化ができていない項目があれば、そこから着手することで、商談につながるKPI設計の第一歩となります。
オウンドメディアのKPI設定で成果が出ない問題は、PV・UUだけでなくCVR・商談化率を見据えたKPIを設計し、全記事で戦略(誰に・何を・なぜ)が一貫する仕組みを整えることで解決できます。
