オウンドメディア立ち上げで失敗が繰り返される構造的な理由
多くの方が悩むオウンドメディアの立ち上げ失敗。結論は、オウンドメディア立ち上げの失敗を避けるには、個別の対策を積み上げるのではなく、「誰に・何を・なぜ」という戦略を全コンテンツに構造的に反映し、品質担保プロセスを仕組み化することが必要であり、それを自社だけで実現するのは困難なため、戦略設計と品質管理を仕組みで担保できる外部パートナーの活用が有効です。
オウンドメディアの立ち上げ失敗について調べると、多くの失敗パターンが紹介されています。しかし、調査によると、オウンドメディア経由での売上が会社全体の10%未満にとどまっている企業が13.6%、「売上が上がっていない」と回答した企業が14%に上ります。失敗パターンを知識として知っていても、多くの企業が成果を出せていない現実があるのです。
なぜ、失敗パターンを学んでも同じ失敗を繰り返してしまうのでしょうか。それは、失敗の根本原因が「個別施策のミス」ではなく「戦略設計と品質管理の仕組み不足」にあるからです。
この記事で分かること
- オウンドメディアで成果が出るまでの現実的な期間と体制
- 主要な失敗パターンと対策アプローチの比較
- 自社が失敗傾向にあるかを診断できるチェックリスト
- 自力解決と外部支援を選ぶ判断基準
オウンドメディアの成果が出るまでの現実的な期間と体制
オウンドメディアの成果が出るまでには、一般的に考えられているよりも長い期間が必要です。BtoB企業では、初期の効果実感に6ヶ月〜1年、問い合わせ獲得には1年〜1年半、商談・契約への貢献には1年半〜2年が目安とされています。
また、運用開始から約6ヶ月、記事本数では50記事投稿できたタイミングからアクセス数が伸び始めるユーザーが多いという調査結果もあります。月間10万PVを達成するには平均して4.3ヶ月程度の期間が必要というデータもありますが、これはあくまで参考値であり、業種・規模・投下リソースにより大きく変動します。
KGI(重要目標達成指標) とは、オウンドメディアの最終目標を示す指標です。月間問い合わせ数、月間売上など事業成果を測定します。一方、KPI(重要業績評価指標) は、KGI達成のための中間指標であり、月間セッション数、記事公開数、検索順位などを設定します。
この期間目安を理解せずに「3ヶ月経っても問い合わせが来ない」と判断してしまうと、早期撤退という失敗パターンに陥ります。
成長ステージごとの適切なKPI設定
成長ステージに合わせた成果設定が重要です。更新が安定していない段階でCV(コンバージョン) 、つまり問い合わせや資料請求といった目標達成を主要KPIに設定すると、途中で失敗と判断してしまうリスクがあります。
初期段階(〜6ヶ月)では、記事公開数や更新頻度を指標として、まずコンテンツ資産を積み上げることに集中します。成長段階(6ヶ月〜1年)では、セッション数や検索順位の推移を確認しながら、コンテンツの質を改善していきます。成熟段階(1年〜)になって初めて、問い合わせ数や商談化率をKPIとして追うのが現実的です。
オウンドメディア失敗パターンと対策アプローチ
主要な失敗パターンを構造的に整理し、それぞれの対策アプローチを比較します。失敗パターンを知識として把握しながら、自社リソースだけで対策しようとすることは、よくある誤りです。体制不足のまま「とにかく記事を出す」「後から改善する」というアプローチでは、記事ごとに主張がブレたり、品質管理が追いつかず、結局は失敗パターンを繰り返してしまいます。
ある調査では、段階的なアプローチを採用しているメディアは、収益目標の達成率が平均で65%高いという結果が報告されています(ただし具体的な調査方法やサンプル数は明記されておらず、参考値として扱う必要があります)。
【比較表】失敗パターン別・対策アプローチ比較表
| 失敗パターン | 原因 | 自力での対策 | 外部支援での対策 |
|---|---|---|---|
| ターゲットが不明確なまま記事を量産 | 戦略設計の不足 | ペルソナ設計の見直し | 戦略設計から一貫支援 |
| 記事ごとに主張がバラバラ | 編集方針の未整備 | 編集ガイドラインの作成 | 編集体制ごと外部委託 |
| 品質管理が追いつかない | リソース・体制不足 | 承認フローの簡略化 | 品質管理プロセスの外注 |
| 更新頻度が維持できない | 継続リソースの不足 | 更新頻度を下げて継続 | 制作全体を外部委託 |
| 成果が出る前に撤退 | 期間設定の誤り | KPI設計の見直し | 伴走型支援で継続 |
戦略が不明確なまま記事を量産するパターン
「誰に・何を・なぜ」が明確でないまま記事を出し続けると、検索流入は増えても問い合わせが増えないという問題に直面します。これは、ターゲット設定が曖昧なまま進めた結果、集客の質が低下してしまうことが原因です。
自社で対策する場合、まずペルソナを再設計し、全記事で一貫した訴求ポイントを定める必要があります。しかし、すでに公開した記事を遡って修正するリソースを確保するのは容易ではありません。
品質管理・承認フローが追いつかないパターン
AIツールを活用した記事制作が普及する中、生成された原稿をそのまま公開することで品質問題が発生するケースが増えています。少人数体制では、すべての原稿を専門家がレビューする時間を確保するのが難しくなります。
E-E-A-Tとは、Googleの検索品質評価基準です。経験(Experience)・専門性(Expertise)・権威性(Authoritativeness)・信頼性(Trustworthiness)の4要素で構成されます。品質管理が不十分な記事は、この基準を満たせず、検索順位が上がりにくくなります。
自社のオウンドメディアは失敗傾向にあるか診断する
以下のチェックリストで、自社のオウンドメディアが失敗傾向にあるかを診断できます。チェックが付く項目が多いほど、失敗リスクが高い状態です。
【チェックリスト】オウンドメディア失敗診断チェックリスト
- ターゲット(誰に届けるか)が文書化されていない
- 記事ごとに主張や訴求ポイントがバラバラになっている
- 編集ガイドラインが存在しない、または形骸化している
- 記事公開前の品質チェック・承認フローが整備されていない
- 専門家によるファクトチェックが実施されていない
- 週1本以上の更新頻度を維持できていない
- KGI・KPIが設定されていない、または形式的な設定にとどまっている
- 成果が出るまでの期間目安を設定していない
- 記事の効果測定をしていない、または月1回未満
- 担当者が他業務と兼任で、専任時間が週5時間未満
- 公開から6ヶ月以上経過した記事のリライト計画がない
- 競合メディアの調査・分析を定期的に行っていない
- 内部リンク設計が行われていない
- CTAの設計・最適化が行われていない
- 問い合わせ後の営業プロセスと連携できていない
診断結果の目安
- 0〜3項目: 基本的な体制は整っている
- 4〜7項目: 改善の余地あり、自力での対策を検討
- 8〜11項目: 構造的な問題あり、外部支援の検討を推奨
- 12項目以上: 抜本的な見直しが必要、専門家への相談を推奨
自力解決と外部支援を選ぶ判断基準
自社リソースで対応可能な範囲と、外部支援が有効な範囲を明確に分けることが重要です。ある事例では、メディア開設から約1年で100社以上のオンライン相談を獲得した実績が報告されています(個別企業の事例であり、一般化には注意が必要)。
また、適切な解決策を実施したメディアの85%以上が課題を克服し成長を再開しているというデータもあります(ただし具体的な調査方法やサンプル数は明記されておらず、参考値として扱う必要があります)。
ナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、購買意欲を高めていくマーケティング活動です。オウンドメディアで獲得したリードに対してメルマガやセミナーでナーチャリングを行うことで、商談化率を高めることができます。
自力で対策できるケース
以下のような状況であれば、社内リソースでの対策が現実的です。
- 更新頻度の改善のみで解決できる場合
- ターゲット設定は明確だが、コンテンツ量が不足している場合
- 担当者に専門知識があり、品質チェックを内製できる場合
- 経営層の理解があり、長期的な投資として予算確保できる場合
外部支援を検討すべきケース
以下のような状況では、外部パートナーの活用を検討することが有効です。
- ターゲット・戦略が定まらず、記事ごとの一貫性が保てない場合
- 品質管理プロセスを構築するノウハウ・リソースがない場合
- 更新頻度を維持するための人員を確保できない場合
- 専門領域の記事を書ける人材が社内にいない場合
- すでに公開した記事のリライト・改善が追いつかない場合
外部支援を選ぶ際は、単なる記事制作代行ではなく、戦略設計から品質管理まで一貫して仕組み化できるパートナーを選ぶことが重要です。
まとめ|失敗を仕組みで防ぐオウンドメディア設計
オウンドメディアへの投資は継続する傾向にあります。2025年度の広告マーケティング予算について、59.8%の企業が「今年度と同程度」、32.3%が「増加予定」と回答しており、注力施策として「オウンドメディア、ECサイトの強化」「コンテンツマーケティングの強化」が上位に挙がっています。
失敗パターンを知識として把握するだけでは、失敗を回避することは難しいです。オウンドメディア立ち上げの失敗を避けるには、「誰に・何を・なぜ」という戦略を全コンテンツに構造的に反映し、品質担保プロセスを仕組み化することが必要であり、それを自社だけで実現するのは困難なため、戦略設計と品質管理を仕組みで担保できる外部パートナーの活用が有効です。
まずは本記事のチェックリストで自社の状況を診断し、必要に応じて外部支援の検討を始めてみてください。
