オウンドメディアが伸びないと感じたら確認したいこと
オウンドメディアが伸びない根本原因は、SEO施策の不足ではなく、戦略(ターゲット・USP・競合)の構造化不足と品質管理の属人化にあります。これらを仕組み化することで、PVだけでなく商談・受注につながる成果を生み出せます。
「記事を出しているのにPVが伸びない」「PVはあるのに商談につながらない」——こうした悩みを抱えるマーケティング担当者は少なくありません。オウンドメディア運用への関心は高く、ある広報責任者向け調査によるとPR手法として「オウンドメディア運用」に興味があると回答した割合は41.4%で最も多いという結果が出ています。また、PR業界調査(2025年)では、オウンドメディア運用を強化中の企業は23.1%(前年比+2.0%増)と報告されています。
このように関心が高まる一方で、成果が出ずに悩む企業も多いのが実情です。本記事では、オウンドメディアが伸びない原因を整理し、改善に向けた視点を提供します。
この記事で分かること
- オウンドメディアが伸びない原因をPV・CV・商談の3軸で整理する方法
- 「SEO対策を強化すれば解決」という誤解と量産思考の問題点
- 自社オウンドメディアの課題を診断するチェックリスト
- 量産型と戦略設計型の違いと、改善への移行ステップ
オウンドメディアが伸びない主な原因を整理する
オウンドメディアの課題は「PVが伸びない」「CVが低い」「商談につながらない」の3つに大別できます。それぞれ原因が異なるため、まずどこがボトルネックかを特定することが重要です。
CVR(コンバージョン率) とは、Webサイト訪問者のうち、問い合わせや資料ダウンロードなど目標行動に至った割合を指します。また、フォーム離脱率とは、入力フォームに到達したユーザーのうち、送信せずに離脱した割合です。
参考値として、オウンドメディアの平均CVRは1〜3%が目安とされています(2025年時点、民間調査ベース)。CVポイント別では、問い合わせが0.5〜1.5%、メルマガ登録が2.0〜5.0%、ホワイトペーパーダウンロードが1.5〜2.0%程度です。ただし業界・企業規模によって大きく変動するため、自社データとの比較が重要です。
また、2024年の国内調査によるとフォーム離脱率は76.9%に達しており、会社名・電話必須のフォームでも44.3%の企業が営業から「リードの質が低い」と指摘されているという報告があります(業界・企業規模別の詳細は不明)。
PVが伸びないケースの課題
PVが伸びない場合、以下のような原因が考えられます。
- ターゲットキーワードの選定ミス: 検索ボリュームはあるが、自社の見込み客が検索するキーワードではない
- コンテンツの専門性不足: 競合記事と差別化できておらず、検索上位に表示されない
- 更新頻度の低下: 継続的な更新ができず、サイト全体の評価が上がらない
- ターゲット設計の曖昧さ: 誰に向けた記事か不明確で、読者に刺さらない
単にSEO施策を強化するだけでは解決しないケースが多く、「誰に・何を・なぜ伝えるか」という戦略設計の問題が根底にあることが少なくありません。
CVが伸びないケースの課題
PVはあるのにCVが伸びない場合、CVポイントの設計に課題があることが多いです。
ホワイトペーパーとは、課題解決や業界知識をまとめた資料であり、リード獲得のCVポイントとして活用されます。
前述の参考値では、問い合わせのCVRは0.5〜1.5%と低い傾向にあります。いきなり問い合わせを求めるのではなく、ホワイトペーパーダウンロード(1.5〜2.0%)やメルマガ登録(2.0〜5.0%)から始めるという選択肢も検討に値します。
「SEO対策を強化すれば伸びる」という誤解
**「SEO対策を強化すればPVが伸びる」「記事数を増やせば成果が出る」という量産思考は誤りです。**戦略が曖昧なまま施策を増やしても、記事ごとにメッセージがブレて読者に刺さらず、商談にはつながりません。
PV至上主義に陥ると、たとえPVが増えても「ビジネスと噛み合わない」状態が生まれます。訪問者が増えても見込み客でなければ商談にはなりません。PV数を追いかけるあまり、ターゲットとかけ離れた記事を量産してしまうケースは珍しくありません。
記事数を増やしても成果が出ない理由
記事を量産しても成果が出ない主な理由は、戦略の構造化不足です。
- ターゲットが曖昧: 誰に向けた記事か不明確で、どの記事も刺さらない
- USP(自社の強み)が不明確: 競合との違いが伝わらず、読者が「この会社に相談したい」と思えない
- 競合分析の不足: 他社がどのような情報を発信しているか把握せず、差別化ができていない
「誰に・何を・なぜ」が整理されていないまま記事を増やしても、成果にはつながりにくいのが実情です。
伸びない原因を診断する:戦略と品質管理のチェックリスト
自社オウンドメディアの課題がどこにあるかを診断するには、「戦略面」と「品質管理面」の両方を確認する必要があります。以下のチェックリストを活用して、自社の状況を点検してみてください。
【チェックリスト】オウンドメディア課題診断チェックリスト
- ターゲット像(ペルソナ)が具体的に言語化されている
- ターゲットが検索するキーワードを調査・選定している
- 自社のUSP(強み・差別化ポイント)が明文化されている
- USPが各記事のメッセージに反映されている
- 主要な競合オウンドメディアを把握し、差別化ポイントを整理している
- 記事の目的(認知・CV獲得・ナーチャリング)が明確になっている
- CVポイント(ホワイトペーパー・問い合わせ等)が適切に設計されている
- 記事の品質基準が明文化されている
- 執筆・レビュー・公開のフローが定められている
- 担当者が変わっても品質が維持できる仕組みがある
- 定期的に記事のパフォーマンスを振り返り、改善している
- PVだけでなく、CV・商談数を成果指標としている
戦略面でのチェックポイント
戦略の構造化が不十分な場合、以下の点を重点的に見直します。
- ターゲット像の明確さ: 「中堅企業のマーケティング担当者」など、具体的なペルソナが定義されているか
- USPの言語化: 自社サービスの強みを一言で説明できるか、それが記事に反映されているか
- 競合との差別化: 他社メディアにはない視点や切り口を持っているか
品質管理面でのチェックポイント
品質管理が属人化している場合、以下の点を見直します。
- レビュー体制: 執筆者以外の目でチェックする仕組みがあるか
- 品質基準の明文化: 「何をもって良い記事とするか」が言語化されているか
- 担当者依存の排除: 特定の人に依存せず、誰が担当しても同じ品質を維持できるか
量産型オウンドメディアと戦略設計型オウンドメディアの違い
リードナーチャリングとは、見込み顧客を継続的に育成し、商談・購買に導くマーケティングプロセスを指します。戦略設計型のオウンドメディアでは、このリードナーチャリングを意識したコンテンツ設計が行われています。
コンテンツマーケティング市場は年平均14%以上の成長率で拡大しており(2022年度以降)、オウンドメディアの重要性は増しています。しかし、やみくもに記事を増やす「量産型」では成果につながりにくいのが現実です。
【比較表】量産型オウンドメディアvs戦略設計型オウンドメディア
| 項目 | 量産型 | 戦略設計型 |
|---|---|---|
| 目標設定 | PV数・記事数 | CV数・商談数・売上貢献 |
| ターゲット定義 | 曖昧・広い | 具体的なペルソナを設定 |
| コンテンツ方針 | 検索ボリューム重視 | ターゲットの課題解決重視 |
| USPの反映 | 記事ごとにバラバラ | 一貫したメッセージ |
| 品質管理 | 担当者依存 | 仕組みで担保 |
| 成果指標 | PV・セッション数 | CVR・リード品質・商談化率 |
| 改善サイクル | 場当たり的 | データに基づく継続改善 |
戦略設計型に移行するためのステップ
量産型から戦略設計型へ移行するには、以下のステップで進めることを推奨します。
- 現状分析: PV・CV・商談のどこがボトルネックかを特定する
- 戦略再設計: ターゲット・USP・競合との差別化を明文化する
- 品質基準策定: 記事の品質基準とレビューフローを定める
- 運用改善: 成果指標を設定し、定期的に振り返る
一気にすべてを変えようとするのではなく、優先度の高い課題から着手することで、段階的に改善を進められます。
まとめ:オウンドメディアを伸ばすために必要な視点
本記事では、オウンドメディアが伸びない原因と、改善に向けた視点を解説しました。
要点の整理
- オウンドメディアの課題はPV・CV・商談の3軸で切り分けて特定する
- 「SEO対策を強化すれば伸びる」「記事数を増やせば成果が出る」という量産思考は誤り
- 伸びない根本原因は、戦略の構造化不足と品質管理の属人化にある
- 自社の課題を診断するには、戦略面・品質管理面の両方をチェックする
- 量産型から戦略設計型へ移行することで、成果につながりやすくなる
次のステップ
まずは本記事のチェックリストを使って、自社オウンドメディアの課題がどこにあるかを診断してみてください。戦略面で課題があればターゲット・USPの明文化から、品質管理面で課題があればレビュー体制の整備から着手することを推奨します。
オウンドメディアが伸びない根本原因は、SEO施策の不足ではなく、戦略(ターゲット・USP・競合)の構造化不足と品質管理の属人化にあります。これらを仕組み化することで、PVだけでなく商談・受注につながる成果を生み出せるのです。
