オウンドメディア運用1年目に成果が出ないのはなぜか
多くの方が悩むオウンドメディア運用1年目の成果。結論は、記事本数やPVを追う前に「誰に・何を・なぜ」の戦略を設計し、全記事で一貫させる仕組みを整えることが重要です。
オウンドメディアとは、企業が自社で所有・運営するWebメディアです。ブログやコラムサイトなどで情報発信し、リード獲得やブランディングを行います。
BtoB営業関連74サイトの分析によると、メディア経由の売上が会社全体の10%未満の企業が13.6%、売上なしの企業が14%という結果が報告されています(CONE調査)。つまり、オウンドメディアを運用していても、売上につながっていない企業は少なくありません。
この記事で分かること
- 1年目の成果目安と現実的なPV推移
- 運用で優先すべきことと失敗パターン
- 記事本数・予算・体制の考え方
- 全記事で主張を一貫させる戦略設計の方法
多くの企業が「記事を出せば成果が出る」と考えて記事を量産しますが、1年経っても商談につながらないケースは珍しくありません。なぜこのような結果になるのでしょうか。本記事では、1年目の現実的な期待値と、成果を出すために優先すべきことを解説します。
1年目に期待できる成果の目安とリアルなPV推移
オウンドメディア1年目は、基盤構築期間と捉えることが重要です。短期間での劇的な成果を期待するのではなく、継続運用の仕組みを整えることに注力すべき時期です。
KPI(Key Performance Indicator)とは、目標達成度を測る重要業績評価指標です。PV、セッション数、CV数などで設定します。1年目はKPIの目安を現実的に設定し、達成可能な目標から始めることが成功への第一歩となります。
参考事例として、ウイングアーク1stが運営する「データのじかん」は、2022年のスマホ対応後に月間80万PVを達成しています(Web担当者Forum)。ただし、これは大企業の事例であり、十分なリソースと長期の運用実績があってこその成果です。中小企業がいきなり同様の成果を目指すのは現実的ではありません。
中小企業が目指すべきKPIの目安
中小企業向けのKPI目安として、記事公開数は月4本、月間セッション数は10,000、コンバージョン数は50が推奨されています(中小企業オウンドメディアガイド)。
これらの数値はあくまで参考値であり、業種や商材によって適切な目標は異なります。重要なのは、いきなり高い目標を設定するのではなく、まず継続運用できる体制を構築することです。
PVが伸びても商談につながらない落とし穴
「PVが増えれば商談も増える」という考え方は誤りです。これはオウンドメディア運用でよくある誤解のひとつです。
CVR(コンバージョン率) とは、Webサイト訪問者のうち、資料請求や問い合わせなど目標行動を取った割合です。成果を測る重要指標であり、PVよりも重視すべき指標といえます。
PVは伸びていても商談につながらない原因は、記事から問い合わせや資料請求への導線が設計されていないケースが多いです。2024年以降、Googleアルゴリズムの変更もあり、PV指標だけでなくCV・商談への貢献を重視する傾向が強まっています。AI時代においては、PVを追うだけでは成果につながりにくくなっているのです。
1年目にやるべきことと優先順位の考え方
1年目は「戦略設計」を最優先とし、その後に「基盤構築」「記事量産」へと段階的に進めることが重要です。
PRトレンド調査2025によると、オウンドメディア運用を強化した企業は23.1%で、2023年度比+2.0%増加しています。また、今後オウンドメディア運用について検討・興味があると回答した企業は41.4%で最多となっています。多くの企業がオウンドメディアに注目している今だからこそ、戦略なく始めるのではなく、計画的に進めることが差別化につながります。
【比較表】1年目の運用フェーズ別やるべきこと
| フェーズ | 期間目安 | やるべきこと | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 戦略設計 | 1-2ヶ月目 | ターゲット定義、訴求軸の明確化、差別化ポイントの言語化 | 記事を書く前に必ず完了させる |
| 基盤構築 | 2-4ヶ月目 | サイト構築、記事テンプレート作成、運用フロー整備 | 継続できる仕組みを優先 |
| 記事制作開始 | 4-6ヶ月目 | 戦略に沿った記事を月4本程度から開始 | 量より質と一貫性を重視 |
| 改善サイクル | 6-12ヶ月目 | アクセス解析、CVR改善、記事リライト | PVだけでなくCV指標を確認 |
記事量産より先に戦略を固める理由
「まず記事を量産すれば成果が出る」という考え方は失敗パターンの典型です。
戦略が固まっていない状態で記事を量産すると、記事ごとにターゲットやメッセージがバラバラになります。その結果、1年経っても「誰にも刺さらないコンテンツ」が積み上がり、商談につながらないオウンドメディアになりやすいのです。
戦略を先に固めることで、すべての記事で一貫したメッセージを発信できます。読者は「この会社は自分の課題を理解している」と感じ、信頼感が醸成されます。その結果、問い合わせや商談につながりやすくなるのです。
運用リソースの考え方:記事本数・予算・体制
1年目の運用リソースは、継続可能な範囲で設定することが重要です。無理な計画を立てて途中で頓挫するよりも、少なくても着実に続けられる体制を構築すべきです。
CPA(顧客獲得単価) とは、Cost Per Acquisitionの略で、1件のリードや顧客獲得にかかるコストを指します。オウンドメディアは長期運用によりCPAが低下する傾向があり、広告依存からの脱却手段として注目されています。
記事本数の目安として、中小企業では月4本程度が推奨されています(中小企業オウンドメディアガイド)。これ以上の本数を目指す場合は、社内リソースと品質のバランスを慎重に検討する必要があります。
限られた予算で効果を出すための配分
2025年のマーケティング予算動向調査によると、予算増加予定は32.3%(前年42.0%から減少)、同額維持が59.8%となっています。多くの企業で予算が横ばい傾向にある中、限られたリソースをどう配分するかが重要になっています。
広告費の高騰が続く中、オウンドメディアは低コストで継続的にリードを獲得できる施策として位置づけられています。ただし、初期は成果が出にくいため、1年目は投資期間と割り切り、2年目以降の成果を見据えた計画を立てることが現実的です。
予算配分の考え方として、1年目は「戦略設計」と「基盤構築」に重点を置き、記事制作は継続可能な本数に抑えることをおすすめします。具体的な予算額は企業規模や業種により大きく異なるため、一概には言えません。
「誰に・何を・なぜ」を全記事に反映する戦略設計
戦略設計とは、「誰に」「何を」「なぜ」伝えるのかを明確にし、すべての記事でその軸を一貫させることです。これがオウンドメディア成功の土台となります。
戦略が明確であれば、記事を書く際に「この記事はターゲットのどんな課題を解決するのか」「自社の強みをどう訴求するのか」が明確になります。結果として、読者に響く記事が生まれ、商談化率の向上につながります。
【チェックリスト】オウンドメディア1年目の戦略設計チェックリスト
- ターゲット顧客の業種・規模・役職を明文化している
- ターゲットが抱える課題を具体的にリストアップしている
- 自社の強み・USPを言語化している
- 競合との差別化ポイントを明確にしている
- 記事で伝えるべき主要メッセージを統一している
- 記事からCVへの導線を設計している
- 記事テンプレートを作成している
- キーワード選定の基準を決めている
- 記事公開後のレビュー・改善フローを整備している
- 成果指標(KPI)を設定している
- 月次レビューの仕組みを構築している
- 担当者の役割分担を明確にしている
記事ごとに主張がブレる失敗パターン
戦略が固定されていない場合、以下のような失敗パターンに陥りやすくなります。
たとえば、ある記事では「中小企業向け」と訴求し、別の記事では「大企業の事例」を中心に紹介する。またある記事では「低コスト」を強調し、別の記事では「高品質」をアピールする。このように記事ごとにターゲットやメッセージがバラバラだと、読者は「この会社は結局何が強みなのか」が分からなくなります。
結果として、どの記事を読んでも印象に残らず、「この会社に相談してみよう」という行動につながりません。これが、記事を量産しても商談につながらない典型的な原因です。
まとめ:1年目は基盤構築期間と割り切り戦略設計を優先する
オウンドメディア運用1年目は、成果を焦らず基盤構築期間と位置づけることが重要です。
本記事のポイントを振り返ります。
- 1年目の成果目安:中小企業は月間セッション10,000、CV50程度が参考値
- PVより重要なのはCVや商談化率
- 記事量産より先に「誰に・何を・なぜ」の戦略を固める
- 月4本程度から始め、継続できる体制を優先
- 戦略チェックリストで全記事の一貫性を担保
次のアクションとして、まず戦略設計チェックリストを使ってターゲット・訴求軸・差別化ポイントを言語化してください。その後、記事テンプレートを作成し、月4本程度から記事制作を開始します。月次でGoogle Analyticsを使ったレビューを行い、PDCAサイクルを回していくことが1年目の成功につながります。
オウンドメディア運用1年目で成果を出すには、記事本数やPVを追う前に「誰に・何を・なぜ」の戦略を設計し、全記事で一貫させる仕組みを整えることが重要です。
