効果測定しても成果につながらないオウンドメディアの問題点
実は、オウンドメディアの効果測定で成果を出すには、PVだけでなくCVR・商談化率といった成果指標を追い、コンテンツ戦略の一貫性を保つ仕組みと連動させることが重要です。
多くのBtoB企業がオウンドメディアを運営し、効果測定を行っています。しかし、PVやセッション数は伸びているのに、商談や売上への貢献が見えないという課題を抱える担当者は少なくありません。
営業関連BtoB企業74サイトを対象とした調査(2025年9月)によると、オウンドメディア経由の売上が会社全体の10%未満のサイトは13.6%、売上が「上がっていない」と回答したサイトは14%でした(74サイト限定のサンプルであり、売上は自己申告ベースのため過少報告の可能性もあります)。つまり、約3割のサイトがオウンドメディア経由の売上貢献に課題を抱えている可能性があります。
この記事で分かること
- オウンドメディア効果測定の基礎知識(KGI/KPI、CVRなど)
- PV追求だけでは成果が出ない理由と戦略連動の重要性
- 段階別(初期・成長期・成熟期)のKPI設計と一覧表
- 効果測定ツールの活用と月次レビューのポイント
オウンドメディア効果測定の基礎知識
効果測定を行う前に、KGI・KPI・CVR・直帰率といった基本的な指標の意味と役割を理解しておくことが重要です。
KGI(重要目標達成指標) とは、最終的なビジネス目標を測る指標です。オウンドメディアでは問い合わせ数や受注件数などがKGIに該当します。
KPI(重要業績評価指標) とは、KGI達成に向けた中間指標です。PV数、セッション数、CVRなど定量的に測定可能な指標を設定します。
CVR(コンバージョン率) とは、サイト訪問者のうち、資料請求や問い合わせなどのゴールに到達した割合を指します。
直帰率とは、1ページのみ閲覧してサイトを離脱した訪問者の割合です。低いほど回遊性が高いことを示します。製薬企業オウンドメディアの2025年上半期平均では、月間訪問者数79,762、直帰率47.74%という数値が報告されています。
KGIとKPIの役割と設定の考え方
KGIを起点にKPIツリーを設計することで、効果測定と改善のサイクルが回りやすくなります。
例えば、KGIを「月間問い合わせ30件」と設定した場合、それを達成するために必要なセッション数やCVRを逆算してKPIとして設定します。BtoB中小企業オウンドメディアのKPI目安として、月間セッション数10,000、CV数50、問い合わせ30件/月という数値が参考値として挙げられています。
ただし、業界や企業規模によって最適なKPIは大きく異なります。製薬企業と製造業、SaaS企業ではターゲットも商材も異なるため、業界平均値をそのまま適用するのではなく、自社の状況に合わせて設定することが重要です。
PV追求だけでは成果が出ない理由と戦略連動の重要性
よくある失敗パターンとして、PVやセッション数を追うだけで満足し、その数値が商談・受注にどうつながっているかを検証しないケースがあります。これでは成果が出ません。
前述の調査でも、オウンドメディア経由売上が10%未満または売上ゼロのサイトが約3割存在することが示されています。PVが増えても、それが商談や受注につながっていなければ、ビジネス成果としては不十分です。
また、広報担当者110人を対象としたアンケート(2024年)では、効果測定が露出量から「認知の質」変容へシフトしつつあること、定量測定の課題が指摘されています。単純なPV数だけでなく、より質的な評価が求められる傾向が見られます。
さらに、記事ごとにターゲットや主張がバラバラな状態で効果測定をしても、改善の方向性が見えず形骸化してしまいます。戦略との連動がなければ、測定結果をどう活かせばよいか分からないまま、「効果測定をしているだけ」の状態に陥りやすいのです。
効果測定が形骸化するパターン
効果測定が形骸化する典型的なパターンとして、以下のケースが挙げられます。
- 戦略不在での測定: ターゲットや伝えるべき価値が明確でないまま記事を量産し、PVだけを追っている
- 短期間での成果期待: オウンドメディアは中長期施策であるにもかかわらず、数ヶ月で成果が出ないと判断してしまう
- 指標の形骸化: 毎月のレポートを作成しているが、そこから改善アクションにつながっていない
これらのパターンに陥らないためには、効果測定を「戦略の検証手段」として位置づけ、測定結果を改善に活かす仕組みを構築することが必要です。
段階別の効果測定アプローチとKPI一覧
オウンドメディアの成長段階によって、フォーカスすべきKPIは異なります。初期・成長期・成熟期それぞれの段階で追うべき指標を整理することで、効果的な効果測定が可能になります。
以下の一覧表は、各段階で重視すべきKPIと、その目安となる考え方をまとめたものです。
【比較表】オウンドメディア効果測定 段階別KPI一覧表
| 段階 | 期間目安 | 主要KPI | 補助KPI | 目標の考え方 |
|---|---|---|---|---|
| 初期 | 0-6ヶ月 | PV数、検索順位 | インデックス数、記事公開数 | まず認知を獲得し、検索エンジンに評価される基盤を作る |
| 成長期 | 6ヶ月-2年 | リピート率、滞在時間、CVR | セッション数、直帰率 | 訪問者を育成し、継続的な接点を作る |
| 成熟期 | 2年以降 | CV数、商談化率、MQL創出数 | CVR、LTV | 商談・受注につなげ、ビジネス成果を最大化する |
※上記の期間目安は一般的な傾向であり、業界・商材・投資規模によって大きく異なります。
初期・成長期・成熟期で追うべき指標の違い
初期(0-6ヶ月)
初期はPV数や検索順位といった「認知獲得」の指標を重視します。ある企業では、オウンドメディア開始半年でPV20倍を達成した事例が報告されています(個別企業事例であり、再現性は運用次第で変動します)。
この段階では、商談や受注を期待するのは早計です。まず検索エンジンに評価される記事を蓄積し、認知の基盤を作ることに注力します。
成長期(6ヶ月-2年)
成長期は、リピート率や滞在時間といった「エンゲージメント」の指標にシフトします。ある支援事例では、成長期のBtoBオウンドメディアでリピート率が20%から40%に向上したケースが成功ラインとして紹介されています(支援事例ベースであり、一般化には注意が必要です)。
継続的に訪問してもらえるメディアになることで、リード獲得やCVにつながりやすくなります。
成熟期(2年以降)
成熟期は、CV数や商談化率といった「ビジネス成果」の指標を重視します。この段階では、オウンドメディア経由のリードが商談・受注にどれだけ貢献しているかを測定し、ROIを検証します。
BtoB中小企業のKPI目安として挙げられた「月間問い合わせ30件」は、成熟期の目標として参考になります。
効果測定ツールの活用と実践的な測定フロー
効果測定には、GA4(Google Analytics 4)やSearch Consoleなどの無料ツールを活用することが一般的です。
GA4(Google Analytics 4) とは、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールです。イベントベースでユーザー行動を追跡し、記事別のCV追跡やユーザーの流入経路分析が可能です。
製薬企業オウンドメディアの2025年上半期平均では、直帰率47.74%という数値が報告されています。この数値を自社メディアのベンチマークとして活用し、直帰率が高い場合はコンテンツや導線の改善を検討するといった使い方ができます。
具体的な測定フローとしては、以下のような月次サイクルが推奨されます。
- 月初: 前月のデータをGA4・Search Consoleから取得
- 分析: PV、セッション、CVR、検索順位の推移を確認
- 課題特定: 目標との乖離がある指標を抽出
- 改善計画: 優先度の高い課題に対する施策を立案
- 実行: 記事リライト、CTA改善、新規記事作成などを実施
月次レビューで確認すべきポイント
月次レビューでは、単に数値を確認するだけでなく、改善につなげるための分析が重要です。
PVが低迷している場合
セッション数やユニークユーザー(UU)数を優先的に確認します。検索順位が下がっていないか、新規記事の公開ペースが落ちていないかをチェックし、原因を特定します。
CVRが低下している場合
経路分析を行い、どのページで離脱が発生しているかを確認します。CTAの位置や文言、フォームの入力項目数など、改善ポイントを特定します。
商談化率が低い場合
オウンドメディア経由のリードと他チャネル経由のリードを比較し、質の違いを分析します。コンテンツ内容とターゲットペルソナのズレがないか確認することも重要です。
まとめ|成果につなげる効果測定の仕組みづくり
本記事では、オウンドメディアの効果測定方法と成果につなげるKPI設計について解説しました。
この記事のポイント
- 約3割のBtoBオウンドメディアが売上貢献に課題を抱えている可能性がある
- KGI(最終目標)を起点にKPIツリーを設計することが重要
- 初期はPV、成長期はリピート率、成熟期はCV・商談化率と段階別にフォーカスを変える
- GA4とSearch Consoleを活用した月次レビューで改善サイクルを回す
- 戦略との連動がなければ効果測定は形骸化する
まずは上記の段階別KPI一覧表を参考に、自社のオウンドメディアがどの段階にあるかを確認してみてください。そして、現在追っている指標がその段階に適しているかを見直すことから始めることをお勧めします。
短期間での成果を期待せず、中長期視点で継続的に改善を重ねることが、オウンドメディアを成果につなげる鍵となります。オウンドメディアの効果測定で成果を出すには、PVだけでなくCVR・商談化率といった成果指標を追い、コンテンツ戦略の一貫性を保つ仕組みと連動させることが重要です。
