なぜオウンドメディアに公開基準・ガイドラインが必要なのか
オウンドメディアの公開品質を担保するには、表記ガイドラインに加えて、ファクトチェック基準と承認フローを整備することで、AI記事・外注記事でも一定品質での公開を継続できます——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
「AI記事や外注記事の品質が安定しない」「公開判断に迷って承認が通らない」——こうした課題を抱えるBtoB企業のコンテンツ担当者は少なくありません。オウンドメディアの運用において、記事公開のボトルネックを解消するには、明確なガイドラインの整備が不可欠です。
成功事例として、ZOZO NEXTのオウンドメディアは「中立的な視点」「正確で客観的な情報」を方針ガイドラインとし、直近1年でUU130%、PV300%の急成長を達成しています(自社発表データのため参考値として紹介)。この事例が示すのは、品質基準を明確化することがメディア成長の土台になるということです。
この記事で分かること
- 公開基準・ガイドラインに含めるべき要素と構成
- 法的リスク(ステマ規制・景品表示法)への対応方法
- 表記ガイドラインの具体的な作成手順
- AI記事・外注記事の品質チェック基準
- 記事公開前チェックリストと承認フローの設計
公開基準・ガイドラインの基本構成と必要な要素
オウンドメディアのガイドラインには、表記ルール、品質基準、法的リスク対応、承認フローの4つの要素を含めることが重要です。
E-E-A-Tとは、Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性)の略で、Googleがコンテンツ品質を評価する指標です。オウンドメディアの信頼性担保において、このE-E-A-Tを意識したガイドライン設計が求められます。
また、YMYL(Your Money Your Life)領域——医療・法務・金融など人生に大きな影響を与える領域——では、より厳格な品質基準が求められます。自社のメディアがYMYL領域に該当するかを確認し、該当する場合は専門家監修を含めたガイドラインを検討してください。
法的リスクへの対応(ステマ規制・景品表示法)
オウンドメディアの運用において、法令遵守は必須の要件です。
ステルスマーケティング規制は、2023年10月に施行された法規制で、広告であることを隠した宣伝を規制するものです。オウンドメディアでも、PR記事や広告記事を掲載する場合は透明性の確保が必要になります。具体的には、広告である旨を明示することが求められます。
景品表示法への対応も重要です。「業界No.1」「最安値」などの比較表現を使用する場合は、調査期間・調査対象・調査方法の根拠を併記することが必須とされています。根拠なく比較表現を使用すると法的リスクにつながる可能性があります。
※法令の詳細については、最新の法令を確認のうえ対応してください。
表記ガイドラインの作り方と主要項目
表記ガイドラインは、メディア全体の文体・用語を統一し、品質の均一化を図るための基準書です。
TDHとは、Title(タイトル)・Description(ディスクリプション)・Hタグ(見出し)の略で、SEOで最適化すべき基本要素を指します。ガイドラインでは、これらの要素に関する基準を明確に定めることが重要です。
具体的な基準として、タイトルはクリックしたくなる表現で30文字程度、ディスクリプションは読むメリットを伝える内容で120文字程度が推奨されています。
制作指示書(オリエンシート) とは、ターゲット・ゴール・NG事項・参照資料を網羅したコンテンツ制作の基準書です。AI記事や外注記事を依頼する際には、この制作指示書をテンプレート化しておくことで、品質のバラつきを抑えることができます。
文体・用語の統一ルール
文体・用語の統一は、メディアのブランドイメージを維持するために重要です。
文体の統一例:
- 「です・ます調」で統一する
- 敬語のレベルを統一する(過剰敬語を避ける)
- 句読点の使い方を統一する
用語の統一例:
- 専門用語の表記を統一する(例: 「ユーザー」と「ユーザ」のどちらかに統一)
- 英数字の全角・半角を統一する
- 送り仮名の表記を統一する(例: 「行う」と「行なう」)
これらのルールを一覧表にまとめ、ライターや編集者が参照できる形で共有することを推奨します。
AI記事・外注記事の品質チェック基準
表記ガイドラインを整備しただけでは、AI記事や外注記事の品質は担保できません。ファクトチェックと品質チェックのプロセスを別途設けることが不可欠です。
よくある失敗パターンとして、表記ガイドラインだけを整備して、事実確認や品質チェックのプロセスを設けずに公開判断を属人化させてしまうケースがあります。この状態では品質がバラつき、承認が通らない記事が増える結果となります。
【比較表】AI記事・外注記事の品質チェック観点比較表
| チェック観点 | AI記事で特に注意 | 外注記事で特に注意 |
|---|---|---|
| ファクトチェック | ハルシネーション(事実誤認)の確認が必須 | 引用元・出典の正確性確認 |
| 文体の一貫性 | 文体の揺れが発生しやすい | ライターの癖が出やすい |
| 専門性 | 専門知識の深さに限界がある | 業界理解の深さにバラつき |
| 最新情報 | 学習データの時点情報に注意 | 情報の鮮度を確認 |
| 著者情報 | 著者・監修者情報の追記が必要 | 著者情報の確認 |
| 法的リスク | 比較表現・断定表現のチェック | ステマ規制対応の確認 |
| E-E-A-T対応 | 経験に基づく記述の追記 | 実体験・事例の確認 |
| ブランドトーン | メディアのトンマナに調整 | トンマナの統一確認 |
ファクトチェックの具体的な手順
ファクトチェックは、以下の手順で実施することを推奨します。
1. 引用元の確認: 記事内で引用されているデータや統計の出典を確認し、信頼性の高いソース(公的機関、調査会社レポート等)かどうかを検証します。
2. 数値の検証: 記事内の数値が正確かどうかを、元データと照合して確認します。特にAI生成記事では、事実と異なる数値が生成されるリスクがあります。
3. 固有名詞の確認: 企業名、製品名、人名などの固有名詞が正確かどうかを確認します。
4. 最新情報の確認: 法令改正、業界動向など、情報の鮮度に問題がないかを確認します。
5. 法的リスクの確認: 比較表現や断定表現に根拠があるか、ステマ規制に抵触しないかを確認します。
記事公開前チェックリストと承認フローの設計
記事公開前にチェックすべき項目をリスト化し、承認フローを明確にすることで、公開判断の属人化を防ぐことができます。
【チェックリスト】記事公開前チェックリスト
- タイトルは30文字程度でキーワードを含んでいる
- ディスクリプションは120文字程度で記事の価値を伝えている
- 文体(です・ます調)が統一されている
- 専門用語の表記が統一されている
- 引用元・出典が明記されている
- 数値・統計データの正確性を確認した
- 固有名詞(企業名・製品名等)の表記を確認した
- 最新情報であることを確認した(法令改正等)
- 比較表現に調査根拠を併記している
- ステマ規制に対応している(PR表記等)
- 著者情報・監修者情報を記載している
- 誤字脱字のチェックを完了した
- 画像・図表の著作権を確認した
- 内部リンク・外部リンクの動作を確認した
- モバイル表示で問題なく閲覧できる
- CTAが適切に配置されている
- 公開日時が適切に設定されている
- 関連記事・カテゴリが設定されている
承認フロー・ワークフローの設計例
承認フローは、役割分担を明確にして設計することが重要です。
基本的な承認フロー例:
- ライター: 記事を執筆し、自己チェックを完了
- 編集者: ファクトチェック・表記確認を実施
- 責任者: 最終承認・公開判断
ポイント:
- 各ステップで確認すべき項目を明確にする
- 差し戻し時のフィードバック方法を決めておく
- 緊急公開時のエスカレーションルートを設定する
少人数で運用する場合でも、最低限「執筆者以外の第三者がチェックする」プロセスを設けることを推奨します。
まとめ:表記ガイドライン+ファクトチェック+承認フローで品質を担保する
オウンドメディアの公開品質を担保するためのポイントを整理します。
- 表記ガイドライン: 文体・用語・TDHの統一基準を明文化する
- 法的リスク対応: ステマ規制・景品表示法への対応を盛り込む
- 品質チェック基準: AI記事・外注記事にはファクトチェックが必須
- 承認フロー: 公開前チェックリストと役割分担を明確にする
表記ガイドラインだけを整備して品質チェックを属人化させるのは、よくある失敗パターンです。品質のバラつきを防ぎ、承認が通らない記事を減らすためには、ファクトチェック基準と承認フローの整備が不可欠です。
オウンドメディアの公開品質を担保するには、表記ガイドラインに加えて、ファクトチェック基準と承認フローを整備することで、AI記事・外注記事でも一定品質での公開を継続できます。本記事のチェックリストを活用して、自社のガイドライン整備を進めてみてください。
