オウンドメディアが商談につながらない理由
オウンドメディアを商談・受注につなげるには、記事を量産するだけでなく、「誰に・何を・なぜ」という戦略を全記事に一貫させ、営業との連携フローとCVポイント設計を仕組みとして整備することが重要です。これが本記事の結論です。
ある調査によると、オウンドメディア経由での売上が会社全体の10%未満の企業が13.6%、売上が上がっていない企業が14%に上ります。多くの企業がオウンドメディアに取り組んでいるにもかかわらず、商談・受注につながらない現状があります。
PVや記事数を追いかけてコンテンツを量産しても、記事ごとに主張やターゲットがバラバラで、営業連携の仕組みもなければ、いくら記事を出しても商談にはつながりません。これがオウンドメディア運用でよくある失敗パターンです。
この記事で分かること
- オウンドメディアが商談につながらない原因と解決策
- 全記事に一貫した戦略を反映させる方法
- 商談化を意識したコンテンツ設計とCVポイント設計
- 営業部門との連携を仕組み化する具体的な方法
- 実践で使えるチェックリストとフロー図
PVが増えても商談化しない原因
「PVが増えれば自動的に商談につながる」という考え方は誤りです。PVはあくまで認知の指標であり、商談化には導線設計とターゲティングが不可欠です。
CVR(Conversion Rate) とは、サイト訪問者のうちコンバージョン(問い合わせ・資料請求等)に至った割合を指します。オウンドメディアの成果を測るには、PVだけでなくCVRを重視することが重要です。
PVが増えても商談化しない主な原因は以下の通りです。
- ターゲットが曖昧で、見込み度の低い読者ばかりが集まっている
- 記事内にCVポイント(お問い合わせ・資料請求への導線)がない
- 記事ごとに主張がバラバラで、読者に一貫したメッセージが届いていない
- 営業部門との連携がなく、リード情報が活用されていない
商談化に必要な「戦略の一貫性」とは
商談化を実現するには、全記事に一貫した戦略(ターゲット・USP・訴求軸)を反映させることが不可欠です。戦略が統一されていれば、どの記事から流入しても読者に同じメッセージが届き、ブランドへの信頼が積み重なります。
ある調査では、BtoBマーケターの95.1%がエビデンス活用で成果向上を実感しており、提案資料DL数増加41.9%、資料からの商談化率向上39.2%を報告しています(ただしこの調査はサンプル数130名の自己申告ベースであり、一般化には注意が必要です)。また、エビデンス活用により商談発展56.9%、成約44.6%に寄与したという結果も報告されています。
KGI(Key Goal Indicator) とは、最終目標を測る指標です。オウンドメディアでは月間問い合わせ数や売上金額が該当します。KPI(Key Performance Indicator) は、KGI達成に向けた中間指標で、セッション数、コンバージョン数、検索上位キーワード数などがあります。
KGIとKPIを連動させて管理することで、オウンドメディアの成果を可視化し、改善につなげることができます。
ターゲットペルソナとUSPの明確化
記事ごとに主張がバラバラになる原因は、ターゲットペルソナとUSP(独自の強み)が明確化されていないことにあります。
ターゲットペルソナを具体化する際は、以下の要素を言語化することが効果的です。
- 業種・企業規模・役職
- 抱えている課題や悩み
- 情報収集の方法やタイミング
- 意思決定のプロセス
USPは「なぜ競合ではなく自社を選ぶべきか」を明確にしたものです。USPが定まっていれば、全ての記事で一貫したメッセージを発信でき、読者の記憶に残りやすくなります。業種や企業規模によって最適なペルソナ設計は異なりますので、自社の状況に合わせた検討が必要です。
商談化を意識したコンテンツ設計
商談につながるコンテンツを作るには、顕在層キーワードを優先したSEO対策が効果的です。顕在層キーワードとは、購買意欲が明確な比較検討フェーズのユーザーが検索するキーワードで、CVRが高い傾向にあります。
最近のトレンドとして、生成AI経由の流入は成約率が通常の4倍以上という調査結果も報告されています(流入シェアは約2%未満と少ないものの、質が高いとされています)。AI検索時代においても、質の高いコンテンツを継続的に発信することの重要性は変わりません。
記事内のCVポイント設計
記事からお問い合わせや資料請求につなげるには、適切なCVポイント設計が必要です。CVポイントとは、読者に次のアクションを促すCTA(Call To Action)の配置場所を指します。
効果的なCVポイントの配置例は以下の通りです。
- 記事末尾: 読了後の自然な流れで資料請求へ誘導
- サイドバー: 常に視界に入る位置でお問い合わせを促す
- 記事中盤: 課題解決の文脈でサービス紹介を挟む
ただし、過度なCTA配置は読者体験を損ない、離脱率を上げる可能性があります。読者の課題解決を優先しつつ、自然な流れでCVにつなげる設計が重要です。
営業連携の仕組み化
オウンドメディアを商談につなげるには、マーケティング部門だけで完結させず、営業部門との連携を仕組み化することが成功の鍵です。「マーケティング部門だけでオウンドメディアを完結させようとする」という考え方では、せっかく獲得したリードを商談に転換できません。
ある調査によると、AI検索でBtoB企業の94.5%がアクセス減少をリード・商談機会に「大きく・やや影響」と回答しています。検索流入が減少傾向にある中、獲得したリードを確実に商談化する営業連携の重要性は増しています。
MA(Marketing Automation) とは、マーケティング活動を自動化するツールで、リード育成やスコアリングに活用されます。MAツールを活用することで、リードの行動履歴に基づいた適切なタイミングでの営業アプローチが可能になります。
記事を営業資料として活用する方法
オウンドメディアの記事は、単なる集客装置ではなく「営業支援武器」として活用できます。商談中に自社の記事を参考資料として提示することで、信頼構築と成約率向上につなげることができます。
具体的な活用方法は以下の通りです。
- 営業メールに関連記事のリンクを添付する
- 商談前の事前情報として記事を共有する
- 顧客の質問に対して記事で回答する
- 提案資料の補足資料として記事を活用する
営業部門とマーケティング部門が定期的に情報共有し、「どの記事が商談で役立ったか」「どんな記事が求められているか」をフィードバックし合う仕組みを作ることが効果的です。
オウンドメディア商談化の実践ガイド
オウンドメディアへの注力は多くの企業で進んでおり、ある調査では32.3%の企業が広告・マーケティング予算増加予定でオウンドメディア充実を注力施策上位に挙げています。また、東証プライム上場企業の40%がオウンドメディアを運用中という調査結果もあります(2023年時点の調査)。
ここでは、自社のオウンドメディア運用を見直すためのチェックリストと、記事公開から商談化までのプロセスを可視化するフロー図を紹介します。
【チェックリスト】オウンドメディア商談化チェックリスト
- ターゲットペルソナが具体的に定義されている
- USP(独自の強み)が言語化されている
- 全記事で一貫したメッセージが発信されている
- 顕在層キーワードを優先してSEO対策している
- 記事内にCVポイント(CTA)が適切に配置されている
- 記事末尾に次のアクションへの導線がある
- リード情報を管理する仕組みがある
- 営業部門と定期的に情報共有している
- 記事を営業資料として活用している
- KGI・KPIを設定し定期的に振り返っている
- 商談化率を計測している
- 記事の改善サイクルが回っている
【フロー図】記事公開から商談化までのフロー図
flowchart TD
A[記事公開] --> B[検索流入・SNS流入]
B --> C[記事閲覧]
C --> D{CVポイントでアクション?}
D -->|Yes| E[資料請求・問い合わせ]
D -->|No| F[離脱 or 他記事へ]
E --> G[リード化・情報取得]
G --> H[営業部門へ引き継ぎ]
H --> I[商談]
I --> J[受注]
F --> B
各ステップでの注意点は以下の通りです。
- 記事公開→流入: SEO対策とSNS発信でリーチを拡大
- 記事閲覧→CV: CVポイントの配置と訴求内容が重要
- リード化→商談: 営業への引き継ぎ体制と情報共有が鍵
- 商談→受注: 記事を営業資料として活用し成約率向上
まとめ:オウンドメディアを商談・受注につなげるために
オウンドメディアを商談・受注につなげるには、記事を量産するだけでは不十分です。「誰に・何を・なぜ」という戦略を全記事に一貫させ、営業との連携フローとCVポイント設計を仕組みとして整備することが重要です。
本記事で解説した内容を振り返ります。
- PVが増えても商談化しないのは、戦略の一貫性と営業連携の仕組みが不足しているから
- ターゲットペルソナとUSPを明確化し、全記事で一貫したメッセージを発信する
- 顕在層キーワードを優先し、適切なCVポイント設計で商談化率を高める
- マーケティング部門だけで完結させず、営業部門との連携を仕組み化する
- 記事を営業資料としても活用し、商談中の信頼構築に役立てる
オウンドメディアは資産型メディアであり、成果が出るまでには時間がかかります。最低6ヶ月〜1年のスパンで効果測定し、継続的な改善を行うことが重要です。すぐに成果が出ることを期待せず、戦略設計と営業連携の仕組みづくりに取り組んでください。
