記事を出しても商談につながらない企業が増えている理由
意外かもしれませんが、記事が商談につながらない問題を解決するには、個別施策の改善ではなく、「誰に・何を・なぜ」という戦略を全記事に一貫して反映させる仕組みと、リードの質を担保するプロセスを構築することが不可欠です。
「記事は定期的に公開しているのに、なかなか商談につながらない」「営業から『使えないリードばかり』と言われる」——BtoB企業のマーケティング担当者から、こうした悩みを聞く機会が増えています。
2024年のグロースソイル調査によると、商談転換率が「想定を下回る」と回答したBtoB企業は70.2%にのぼります。商談転換率とは、獲得したリードのうち実際に商談に至った割合を指し、マーケティング施策の成果を測る重要な指標です。
この記事で分かること
- 記事から商談につながらない根本原因
- MQLからSQLへの転換プロセスの基礎知識
- 商談化を阻む原因を自己診断するセルフチェックリスト
- 戦略を全記事に反映させるための運用フロー
- マーケティングと営業の連携を強化する方法
商談化に必要な基礎知識:MQLからSQLへの転換プロセス
記事から商談につなげるには、リードがどのようなプロセスを経て商談に至るかを理解することが重要です。調査によると、営業面談前に企業購買の85%が候補企業を選定済みであり、早期の接点設計が成果を左右します。
MQLとSQLの違いと商談転換率の考え方
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング施策で獲得し、一定の基準を満たした見込み顧客のことで、営業への引き渡し対象となります。一方、SQL(Sales Qualified Lead) は、営業が商談可能と判断した見込み顧客を指し、MQLから精査して選定されます。
記事からのリードがすぐに商談につながらないのは、多くの場合MQLの段階で止まっているためです。MQLからSQLへの転換率を高めるには、リードの質とナーチャリングの設計が重要になります。
なぜ記事からのリードは商談につながりにくいのか
ナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、購買意欲を高めるマーケティング活動です。メール配信やコンテンツ提供が代表的な手法として挙げられます。
2024年のグロースソイル調査によると、BtoB企業の9割以上が過去3年間でリード獲得コストの上昇を実感しています。コストが上がる一方で成果が出にくい状況は、量を追うだけでは解決できないことを示唆しています。
商談化を阻む根本原因:個別施策の改善では解決しない
商談化を阻む根本原因は、個別の施策ではなく、戦略の一貫性が担保される仕組みがないことにあります。「リードの質が悪い」「ターゲット設計が甘い」「導線が悪い」という課題を別々に改善しようとしても、根本的な解決にはつながりません。
2025年度のAsk One調査によると、BtoBマーケティング施策の投資対効果で「受注金額」まで追っている企業は30.2%のみです(サンプルサイズ非公開)。また、BtoBマーケティング課題の1位は「人手不足・体制不備」で34.3%、2位は「予算不足」で26.1%という結果でした。
これらの数字が示すのは、多くの企業がマーケティングから受注までを一貫して追えておらず、リソースの制約もあって場当たり的な改善に終始しているということです。
記事ごとにメッセージがブレる一貫性の問題
よくある失敗パターンは、「リードの質が悪い」「ターゲット設計が甘い」「導線が悪い」という個別課題を別々に改善しようとすることです。しかし、戦略が全記事に反映される仕組みがなければ、記事ごとにメッセージがブレ続け、リードの質は安定しません。
「誰に・何を・なぜ」という戦略が記事ごとに異なれば、獲得するリードの質もバラつきます。ある記事は経営層向け、別の記事は現場担当者向け、また別の記事は技術者向け——このように訴求がバラバラでは、どんなリードが来るか予測できず、営業との連携も難しくなります。
商談化を阻む原因を特定するセルフチェック
自社の課題を特定するために、以下のチェックリストを活用してください。チェックが付かない項目が多い領域ほど、優先的に改善が必要です。
【チェックリスト】商談化を阻む原因セルフチェックリスト
- ターゲットペルソナが全記事で統一されている
- 各記事の「誰に」「何を」「なぜ」が明文化されている
- 記事ごとのメッセージが戦略と一貫している
- リード獲得後のナーチャリングシナリオが設計されている
- MQLからSQLへの引き渡し基準が定義されている
- マーケティングと営業でKPIが共有されている
- 受注金額まで施策の効果をトラッキングしている
- リードの質に関するフィードバックを営業から定期的に受けている
- 記事のCTAが読者の検討段階に合っている
- フォーム通過後のフォローアップ体制が整っている
- コンテンツを営業が商談で活用できる形で整備している
- 記事の成果を定期的に振り返り改善している
- 戦略を全記事に反映させる運用ルールがある
- 記事作成時のレビュー・承認プロセスが明確である
- ペルソナの課題・ニーズを定期的にアップデートしている
戦略を全記事に反映させる仕組みの構築方法
戦略的なナーチャリング設計を実行したBtoB企業の79.1%が商談転換率やリードの質の改善を実感しているという調査結果があります(2024年、グロースソイル調査)。これは、仕組みを整えることで成果が出ることを示しています。
一方で、MA(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールで、リード管理やメール配信の自動化が主な機能です。2023年の国内BtoB MA市場規模は約753億円で前年比11.2%の成長を見せていますが、導入率は約62.6万社中9,444社(1.5%)にとどまります。ツールを導入しただけでは成果は出ず、運用設計が重要です。
【フロー図】戦略連動型コンテンツ運用フロー
flowchart TD
A[戦略定義] --> B[ターゲット・USP・競合を明文化]
B --> C[記事ごとの「誰に・何を・なぜ」を設計]
C --> D[記事作成・戦略との整合性レビュー]
D --> E[リード獲得・MQL判定]
E --> F[ナーチャリング・育成]
F --> G[SQL判定・営業へ引き渡し]
G --> H[商談・受注]
H --> I[成果トラッキング・振り返り]
I --> A
このフローのポイントは、最初に戦略を明文化し、各記事がその戦略に沿っているかをレビューするプロセスを組み込むことです。また、最終的な成果(受注)まで追跡し、戦略にフィードバックするサイクルを回すことが重要です。
マーケティングと営業のKPI共有と連携強化
先述の通り、受注金額まで追っている企業は30.2%のみです。マーケティングと営業のKPIが一致していなければ、マーケティングは「リード数」を追い、営業は「商談数・受注数」を追うという分断が生まれます。
連携を強化するには、まず受注金額までトラッキングできる体制を整え、共通のゴールを設定することが第一歩です。リードの質に関するフィードバックを営業から定期的に受け、記事の改善に活かすサイクルを作ることも効果的です。
まとめ:記事を商談につなげるために必要な仕組みとは
記事を商談につなげるためには、個別施策の改善ではなく、「誰に・何を・なぜ」という戦略を全記事に一貫して反映させる仕組みと、リードの質を担保するプロセスを構築することが不可欠です。
本記事で紹介したセルフチェックリストを使って自社の課題を特定し、戦略連動型のコンテンツ運用フローを参考に改善に取り組んでください。リード数ではなくリードの質を重視し、マーケティングと営業が共通のKPIで連携する体制を整えることで、記事からの商談化率は改善していきます。
業種や企業規模によって最適なアプローチは異なりますが、戦略の一貫性を担保する仕組みを持つことが、成果を出すための第一歩です。
