ガイドラインを作っても記事がブレる問題
ガイドラインを作っても記事ごとに方向性がブレる・ライターによって品質がバラバラという問題を解決したいなら、記事ガイドラインは表記ルールの統一だけでなく、戦略(ターゲット・USP・トーン)を明文化し全記事に反映させる仕組みとして設計することで、複数ライターでも主張がブレない一貫したコンテンツ制作が可能になります。
多くの企業がガイドラインを作成しているにもかかわらず、記事の品質にバラつきが出てしまう背景には、ガイドラインの設計思想に問題があることが多いです。表記ルール(全角/半角の統一、数字表記、送り仮名など)を整備しても、戦略レベルの指針がなければ、各ライターが独自の解釈で記事を書いてしまいます。
表記ゆれとは、同じ意味の言葉が異なる表記で混在する状態のことです。全角/半角、数字表記、送り仮名の違いなどが代表例ですが、これを統一するだけでは記事の方向性は揃いません。
この記事で分かること
- 記事ガイドラインの定義と目的(マニュアルとの違い)
- ガイドラインに含めるべき具体的な項目
- 表記ルール型と戦略反映型の違い
- ガイドラインを形骸化させない運用の仕組み
記事ガイドラインの定義と目的|マニュアルとの違い
記事ガイドラインは、記事制作における方針・基準を示すドキュメントです。マニュアルが「どうやるか(手順)」を示すのに対し、ガイドラインは「何を目指すか(方針)」を示します。
ガイドラインに含めるべき項目は「コンテンツ方針」と「コンプライアンス基準」の2つの大カテゴリに分類されます。この2軸で構成することで、クリエイティブな方向性と法的リスク管理の両方をカバーできます。
ブランドトーン・アンド・マナーとは、企業のブランドイメージに一貫性を持たせるための表現基準のことです。文体、口調、使用語彙などを規定し、どのライターが書いても「この企業らしい」と感じられる記事を実現します。
コンプライアンス基準とは、法的リスク、競合言及、個人情報保護など、法令遵守に関するルールセットのことです。特にBtoB記事では、競合他社への言及方法や、データの引用ルールなどを明確にしておく必要があります。
マニュアルは「CMSへの入稿手順」「画像のリサイズ方法」など、具体的な作業手順を記載します。一方、ガイドラインは「どのような読者に、どのようなトーンで、何を伝えるか」という方針を記載します。両者は補完関係にあり、どちらか一方だけでは不十分です。
ガイドラインに含めるべき項目
ガイドラインには、コンテンツ方針とコンプライアンス基準の両方を含める必要があります。
コンテンツ方針には「ブランドトーン・アンド・マナーの定義」「投稿カテゴリ別の内容基準」「使用可能な画像・動画の基準」を含めることが推奨されています。また、コンプライアンス基準には「法的リスクのチェック項目」「競合他社への言及ルール」「個人情報保護の取り扱い基準」を含めます。
CTA(Call To Action) とは、記事内でユーザーに次に取るべき行動を促す要素のことです。問い合わせボタンや資料ダウンロードリンクなどが該当し、ガイドラインではCTAの配置ルールや表現基準も定めておくと効果的です。
【チェックリスト】記事ガイドラインに含めるべき項目チェックリスト
- ターゲット読者の定義(業種・役職・課題・ゴール)を記載した
- 自社のUSP(独自の提供価値)を明文化した
- 記事のトーン(堅め/柔らかめ、専門的/平易)を定義した
- ブランドトーン・アンド・マナーを規定した
- 投稿カテゴリ別の内容基準を設定した
- 使用可能な画像・動画の基準を定めた
- 法的リスクのチェック項目を整理した
- 競合他社への言及ルールを明記した
- 個人情報保護の取り扱い基準を設定した
- 数字・データ引用のルール(出典明記、引用範囲)を定めた
- 表記統一ルール(全角/半角、数字、送り仮名)を整備した
- 禁止表現リスト(誇大表現、断定表現など)を作成した
- CTAの配置ルール・表現基準を設定した
- 記事構成のフォーマット(見出し階層、文字数目安)を定めた
- レビュー・更新のサイクルを設定した
コンテンツ方針の設定項目
コンテンツ方針では、ブランドトーン、投稿カテゴリ基準、画像動画基準の3つを主に設定します。
ブランドトーン・アンド・マナーでは、「ですます調か、である調か」「専門用語をどこまで使うか」「読者との距離感(親しみやすさvs権威性)」などを定義します。例えば「専門家として信頼感を与えつつも、難解な印象を与えない」といった方向性を言語化しておくと、ライターの判断基準になります。
投稿カテゴリ別の内容基準では、カテゴリごとに「何を伝えるべきか」「どの程度の深さで解説するか」を定めます。例えば「導入事例」カテゴリでは「導入前の課題→導入経緯→成果→今後の展望」という構成を標準化するといった形です。
使用可能な画像・動画の基準では、著作権・肖像権への配慮、ブランドイメージとの整合性、ファイルサイズや形式などを規定します。
コンプライアンス基準の設定項目
コンプライアンス基準では、法的リスク、競合言及、個人情報保護の3つを主に設定します。
法的リスクのチェック項目には、景品表示法(誇大広告の禁止)、薬機法(効果効能の表現制限)、著作権法(引用ルール)などが含まれます。BtoB記事でも「必ず成果が出る」「業界No.1」といった断定表現は法的リスクがあるため、禁止表現としてリスト化しておくことが重要です。
競合他社への言及ルールでは、「競合サービス名を出すか出さないか」「比較表現をどこまで許容するか」を明確にします。不当な批判や誤解を招く表現は避け、客観的なデータに基づく比較のみ許容するといった基準を設けます。
個人情報保護の取り扱い基準では、事例紹介での企業名・担当者名の取り扱い、アンケート結果の公開ルールなどを定めます。
表記ルール型と戦略反映型の違い|なぜ表記統一だけでは不十分なのか
表記ルール型と戦略反映型では、ガイドラインの目的と効果が根本的に異なります。
よくある失敗パターンとして、ガイドラインを「表記ゆれを防ぐためのルール集」と捉え、表記統一だけで終わらせてしまうケースがあります。結果として記事ごとに方向性がバラバラになり、誰にも刺さらないコンテンツが量産されてしまうため、この考え方では成果が出ません。
表記ルール型ガイドラインは、全角/半角の統一、数字表記、送り仮名、句読点などのルールを定めます。これ自体は必要ですが、戦略レベルの指針がないため、ライターごとに「誰に向けて」「何を主張するか」の解釈がブレてしまいます。
戦略反映型ガイドラインは、表記ルールに加えて、ターゲット読者、自社のUSP、記事のトーンといった戦略要素を明文化します。これにより、どのライターが書いても「同じ読者に、同じ価値を、同じトーンで」届ける記事が生まれます。
【比較表】表記ルール型vs戦略反映型ガイドライン比較表
| 項目 | 表記ルール型 | 戦略反映型 |
|---|---|---|
| 主な記載内容 | 全角/半角、数字、送り仮名、句読点 | ターゲット、USP、トーン+表記ルール |
| 目的 | 表記ゆれの防止 | 戦略の全記事への反映 |
| 記事の方向性 | ライターごとにバラバラになりやすい | 一貫性を保ちやすい |
| 品質のバラつき | 文字面は揃うが内容にバラつき | 内容レベルで統一しやすい |
| 商談への貢献 | 限定的 | 高い(ターゲットに刺さる) |
| 作成の難易度 | 低い | やや高い(戦略の言語化が必要) |
戦略をガイドラインに落とし込む方法
戦略をガイドラインに落とし込むには、ターゲット(誰に)、USP(何を)、トーン(どう伝えるか)の3要素を言語化します。
ターゲットの言語化では、「業種」「役職」「抱えている課題」「達成したいゴール」を具体的に記述します。例えば「中小企業のマーケティング担当者で、リード獲得に課題を抱え、限られた予算で成果を出したいと考えている人」といった形です。この定義があれば、ライターは「この人に刺さる表現か?」を判断できます。
USPの言語化では、「競合と比べて自社が提供できる独自の価値は何か」を明文化します。これが記事の主張の軸になります。USPがないと、各記事が一般論に終始してしまい、読者の記憶に残りません。
トーンの言語化では、「堅め/柔らかめ」「専門的/平易」「権威的/親しみやすい」といった軸で、自社の立ち位置を定義します。例えば「専門性を感じさせつつも、初心者にも分かりやすい表現を心がける」といった形です。
ガイドラインを形骸化させない運用の仕組み
ガイドラインは作って終わりではなく、運用・更新の仕組みがなければ形骸化します。
ガイドライン策定フローは「目的・範囲の明確化」「禁止行為の明記」「入力時の注意事項」「生成物の利用ルール」「レビュー・更新メカニズム」の順で設計することが推奨されています。特に最後の「レビュー・更新メカニズム」を組み込むことで、ガイドラインが陳腐化するリスクを軽減できます。
運用段階では、新規ライターへのオンボーディング、レビュー時のチェック基準、違反時の対応フローなどを整備します。ガイドラインが「作成者だけが知っているドキュメント」にならないよう、チーム全体への周知と教育が重要です。
レビューと更新のサイクル
ガイドラインは定期的に見直し、更新することが不可欠です。
表記統一ルールでは「半年ごとのレビューとフィードバック反映」をルール化することが推奨されています。半年ごとに以下の観点でレビューを行います。
- ガイドラインに沿った記事が制作されているか
- ライターからの疑問や判断に迷う点はないか
- 市場環境や自社戦略に変化はないか
- 新たに追加すべきルールはないか
レビュー結果は、ライターへのフィードバックとガイドラインの更新に反映します。このサイクルを回し続けることで、ガイドラインは「生きたドキュメント」として機能し続けます。
まとめ:戦略を反映したガイドラインで一貫性のある記事制作を
本記事のポイントを整理します。
- ガイドラインの2軸構成: 「コンテンツ方針」と「コンプライアンス基準」の両方を含める
- 表記ルールだけでは不十分: 戦略(ターゲット・USP・トーン)を明文化しないと方向性がブレる
- 戦略の3要素: ターゲット(誰に)、USP(何を)、トーン(どう伝えるか)を言語化する
- 運用・更新の仕組み: 半年ごとのレビューとフィードバック反映をルール化する
次のアクションとして、まずは自社のターゲット・USP・トーンを言語化するところから始めてください。既にガイドラインがある場合は、本記事のチェックリストを使って不足している項目を特定し、補強することをお勧めします。
記事ガイドラインは表記ルールの統一だけでなく、戦略(ターゲット・USP・トーン)を明文化し全記事に反映させる仕組みとして設計することで、複数ライターでも主張がブレない一貫したコンテンツ制作が可能になります。
