オウンドメディアにスタイルガイドが必要な理由
オウンドメディアのスタイルガイドを整備することで、誰が書いても自社らしい記事になり、読者に一貫したブランド体験を提供できる——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
複数のライターや外注で記事を作成していると、文体がバラバラ、表記の揺れが目立つ、企業としてのトーンが統一されていない、といった問題が起きやすいものです。「この記事は丁寧語なのに、こちらはカジュアル」「数字が半角と全角で混在している」といった細かな不統一が積み重なると、読者は「このメディアは何を伝えたいのか分からない」という印象を持ってしまいます。
一貫性のあるコンテンツは、読者の信頼を獲得し、ブランドイメージの定着につながります。スタイルガイドを整備することで、この一貫性を仕組みとして担保できるようになります。
この記事で分かること
- スタイルガイドの定義と構成要素
- スタイルガイドに含めるべき項目の一覧
- ブランドトーン・文体の設計方法と成功事例
- 複数ライターでも一貫性を維持する運用のコツ
スタイルガイドとは何か
スタイルガイドとは、記事のトーン、表現ルール、表記基準などを統一するためのガイドラインです。オウンドメディアにおいては、複数の執筆者がいても一貫した品質・印象の記事を作成するための基準書として機能します。
「デザインやレイアウトを整えれば一貫性が出る」と考えがちですが、実際にはトーン・表記ルール・執筆基準を明文化したスタイルガイドがなければ、記事ごとに印象がバラバラになるのが現実です。見た目は揃っていても、文章のトーンや言葉遣いがバラバラでは、読者に与える印象は統一されません。
ブランドトーンとは、企業やメディアがコンテンツで一貫して表現する声のトーンや雰囲気のことです。表記ルールとは、文字表記(漢字・ひらがな・カタカナ)、数字表記、記号の使い方などを統一する基準を指します。
スタイルガイドとデザインガイドラインは混同されがちですが、役割が異なります。スタイルガイドは文章の「声」を定義し、デザインガイドラインはビジュアルの「見た目」を定義します。両方を整備することで、コンテンツ全体の一貫性が高まります。
スタイルガイドに含めるべき項目
スタイルガイドには、ブランドトーンから表記の細則まで、記事作成に必要なルールを網羅的に含める必要があります。以下のチェックリストを参考に、自社のスタイルガイドに含めるべき項目を確認してください。
【チェックリスト】スタイルガイドに含めるべき項目チェックリスト
- メディアのミッション・目的の明文化
- ターゲット読者(ペルソナ)の定義
- ブランドトーンの言語化(例:専門的だが親しみやすい)
- 文体の選択(です・ます調 or だ・である調)
- 一人称・二人称の統一(「当社」「弊社」「私たち」など)
- 読者への呼びかけ方の統一(「あなた」「皆さま」など)
- 漢字・ひらがなの書き分けルール(例:「事」→「こと」)
- 数字の表記ルール(半角・全角、桁区切りの有無)
- 英数字・記号の表記ルール
- 専門用語の定義と使用ルール
- 禁止表現リスト(差別表現、誇大表現など)
- 引用・出典の記載ルール
- 見出しの付け方(文字数、記号使用の有無)
- 段落の長さの目安
- 箇条書きの使い方ルール
- 画像・図表のキャプションルール
- CTAの表現パターン
- 更新頻度・鮮度管理の方針
ブランドトーン・文体の定義
ブランドトーンの定義では、企業の価値観や読者との関係性をどのような「声」で表現するかを言語化します。BtoB企業では、専門性・信頼性・親しみやすさのバランスが重要とされています。
「堅すぎず、軽すぎない」という曖昧な表現ではなく、具体的な言葉で定義することがポイントです。例えば「業界の専門家として信頼感のあるトーンを維持しつつ、難解な専門用語は平易な言葉で補足説明する」といった具合に、判断基準が明確になるよう記載します。
表記ルールの項目例
表記ルールでは、細かな表記の揺れを防ぐための基準を定めます。以下は実務でよく設定される項目例です。
漢字・ひらがなの書き分け例
- 「事」→「こと」(例:大切なこと)
- 「時」→「とき」(例:必要なとき)
- 「為」→「ため」(例:成果を出すため)
- 「出来る」→「できる」
- 「様々」→「さまざま」
数字表記のルール例
- 本文中の数字は半角を使用
- 1,000以上は桁区切りを入れる
- 「3つ」「5名」など助数詞が付く場合は半角
記号・英数字のルール例
- 括弧は「()」を使用(半角括弧は英文・数式のみ)
- 英単語は半角で、前後に半角スペースを入れる
ブランドトーンと文体の設計方法
自社のブランドトーンを設計するには、まずターゲット読者と企業の価値観を整理し、それを言語化する作業が必要です。以下の比較表を参考に、自社に適したトーンの方向性を検討してください。
【比較表】文体・トーン設計の選択肢比較表
| 項目 | 選択肢A | 選択肢B | 選択肢C |
|---|---|---|---|
| 基本トーン | フォーマル(専門家向け) | セミフォーマル(実務担当者向け) | カジュアル(入門者向け) |
| 文体 | だ・である調 | です・ます調 | です・ます調(会話調混じり) |
| 専門用語の扱い | そのまま使用 | 初出時に定義を付記 | 平易な言葉に言い換え |
| 読者への呼びかけ | 「読者」「担当者」 | 「皆さま」「ご担当者」 | 「あなた」 |
| 一人称 | 「当社」「弊社」 | 「当社」「私たち」 | 「私たち」「チーム名」 |
| 向いている業種 | 金融・法律・医療 | SaaS・製造業・コンサル | スタートアップ・D2C |
BtoB企業では「選択肢B:セミフォーマル」を採用するケースが多くみられます。専門性を維持しながらも、読者が理解しやすい表現を心がけるバランスが求められます。
成功しているメディアのトーン事例
スタイルの一貫性を維持しているメディアの事例を参考にすると、自社のトーン設計のヒントが得られます。
あるBtoB企業のオウンドメディアでは、余白を活かしたシンプルなデザインとインタビュー記事の一貫したトーンでブランディングに成功し、月間PV100万超を達成したと報告されています(2023年度推定、第三者検証はされていない)。
また、マーケティング系のあるメディアでは、記事コンテンツとSNS投稿のスタイルを統一することでリード獲得に成功し、月間PV200万超に達しているとされています(2024年度)。
これらの事例に共通するのは、見た目のデザインだけでなく、コンテンツのトーンや表現を一貫させている点です。
スタイルガイドの運用と複数ライターでの一貫性維持
スタイルガイドは作成して終わりではなく、運用の仕組みを整えることで初めて効果を発揮します。複数のライターや外注先がいる場合は、ガイドの共有方法と遵守を確認する仕組みが重要です。
運用で押さえるべきポイントは以下の3点です。
1. 共有の仕組み
- スタイルガイドをクラウド上で一元管理し、常に最新版を参照できる状態にする
- 新規ライターには必ずオンボーディングでガイドを説明する
- 外注先への発注時にはガイドのURLまたはPDFを必ず添付する
2. 遵守確認の仕組み
- 編集時のチェックリストにスタイルガイドの主要項目を含める
- よくある指摘事項は「FAQ」としてガイドに追記する
- 定期的に過去記事をサンプルチェックし、傾向を把握する
3. 改善の仕組み
- ライターからの質問が多い項目はガイドを補強する
- 新しい記事パターン(動画、インフォグラフィック等)が増えた際はガイドを拡張する
- 半年〜1年に1回は全体を見直す
ライターへの共有と教育の仕組み
複数ライターがスタイルガイドを遵守するためには、共有だけでなく教育と継続的なフィードバックが必要です。
オンボーディング時
- スタイルガイドの全体像を説明(30分〜1時間程度)
- 過去の優良記事を「お手本」として共有
- 最初の数記事は丁寧にフィードバックを行う
継続的な運用時
- 編集者が修正した箇所は理由とともにフィードバック
- よくある指摘は月次でまとめて共有
- ガイド更新時は変更点を周知する
外注ライターに対しては、発注時にスタイルガイドを必ず共有し、初稿納品後のチェック項目にガイドとの照合を含めることで品質が安定します。
まとめ:スタイルガイドで一貫したブランド体験を提供する
本記事では、オウンドメディアのスタイルガイド作成について解説しました。
本記事のポイント
- スタイルガイドは、記事のトーン・表記ルール・執筆基準を統一するためのガイドライン
- デザインだけでは一貫性は出ず、文章の「声」を定義することが重要
- チェックリストを活用して、含めるべき項目を漏れなく設定する
- ブランドトーンは企業の価値観と読者との関係性から設計する
- 作成後の運用・共有・改善の仕組みを整えることで効果を発揮する
まずは本記事のチェックリストを参考に、自社のスタイルガイドに含めるべき項目を洗い出すことから始めてみてください。完璧なガイドを一度に作ろうとせず、運用しながら育てていく姿勢が重要です。
オウンドメディアのスタイルガイドを整備することで、誰が書いても自社らしい記事になり、読者に一貫したブランド体験を提供できます。
