記事の内部リンク設計——なぜ「貼っているのに効果が出ない」のか
内部リンクは「記事を書いてから貼る」後付けの作業ではなく、記事戦略の段階で全記事に一貫した導線を設計することで、SEO効果だけでなくCVR・商談化率の向上にもつながります。
「内部リンクを貼っているがSEO効果が感じられない」「記事ごとに導線がバラバラで一貫性がない」——こうした課題を抱えるBtoBマーケティング担当者は少なくありません。
BtoBサービスサイトを対象としたシーラベル調査2025(有効回答105社)によると、「実施して効果が大きかったSEO施策」の1位は内部リンク構造の最適化で15.0%を占めています。さらに、SEO施策がうまくいっている企業に限定すると、36.8%が「最も効果があった」と回答しています(ただし、サンプル数が105社と限定的であり、担当者の主観評価である点に注意が必要です)。
この記事では、内部リンク設計の基礎からトピッククラスターモデルによる構造化、SEOとCVR両方の効果を高めるためのチェックリストまでを解説します。
この記事で分かること
- 内部リンクの定義とSEO効果の仕組み
- 設置場所ごとの効果比較(比較表付き)
- トピッククラスターモデルによる内部リンクの構造化
- 自社の内部リンク設計を確認できるチェックリスト
内部リンクの定義とSEO効果の仕組み
内部リンクとは、自社ドメイン内のページ同士をつなぐリンクを指します。ナビゲーション、本文中リンク、関連記事リンク、パンくずリストなどが含まれます。
内部リンクがSEOに効果をもたらす仕組みは、主に以下の3つです。
- クローラビリティの向上: 検索エンジンのクローラーがサイト内のページを発見・巡回しやすくなる
- リンクジュース(ページ評価)の分配: リンク構造を通じて、重要なページにSEO評価を集中させることができる
- ユーザー体験の向上: 関連コンテンツへの導線が整備され、サイト内回遊が促進される
BtoBユーザーの行動調査(トライベック BtoBサイト調査2025、197サイト・7,700人対象)では、製品情報へのアクセス方法として、メニュー(ナビゲーション)・ページ内リンク・サイト内検索がいずれも7割超の利用率となっています。内部リンクの設計がユーザー行動に大きく影響することを示すデータです。
順位向上がもたらすクリック率の差
検索順位とクリック率(CTR)の関係を示すデータがあります。ZDNET Japanが公開した2025年9月の日本における調査によると、検索結果1位のCTRは32.4%、2位は12.8%(約2.5分の1)、3位は5.4%と急激に低下します。
このCTRの差は、内部リンク設計を含むSEO施策の価値を示しています。ただし、クリック率は業種やブランド認知度によって変動するため、あくまで傾向として捉えてください。
内部リンクの設置場所と効果の比較
内部リンクは設置場所によってSEO効果とCVR効果が異なります。国内SEO担当者調査(FNNプライムオンライン)では、ROI向上施策の上位として「内部リンク設計」が52.2%、「コンテンツの量産」が41.6%、「被リンク獲得」が36.9%と報告されています(ただし、元調査のサンプル数・業種内訳は一部非公開であり、トレンド把握の参考値としてご覧ください)。
以下に、設置場所ごとの効果を比較表で整理します。
【比較表】内部リンク設置場所と効果の比較表
| 設置場所 | SEO効果 | CVR効果 | 設計のポイント |
|---|---|---|---|
| グローバルナビゲーション | 高い(全ページから評価分配) | 中程度 | 主要カテゴリ・サービスページへの導線を優先 |
| パンくずリスト | 高い(階層構造を明示) | 低い | サイト構造を正確に反映する |
| 本文中の文脈リンク | 高い(コンテキストを伝達) | 高い | 自然な文脈でクリックしたくなる位置に配置 |
| 関連記事ブロック | 中程度 | 高い | 閲覧中の記事と関連性の高いコンテンツを表示 |
| サイドバー | 中程度 | 中程度 | 人気記事や資料DLへの導線に活用 |
| 記事末尾のCTA | 低い(SEOより導線重視) | 非常に高い | 資料DL・問い合わせ・関連サービスへ誘導 |
本文中の文脈リンクは、検索エンジンにリンク先の内容を伝えやすく、ユーザーにとっても自然な導線となるため、SEO・CVR両方の効果が期待できます。記事末尾のCTAはSEO効果は限定的ですが、CVR向上の観点では最も重要な設置場所です。
トピッククラスターモデルで内部リンクを構造化する
トピッククラスターモデルとは、中心となるピラーページと個別の詳細記事(クラスターページ)を相互に内部リンクで結ぶSEO設計手法です。
よくある失敗パターンとして、内部リンクを「記事完成後に思いついたものを貼る」という後付けの作業と捉えているケースがあります。 場当たり的に貼っても、サイト全体の導線が設計されていなければSEO効果もCVR向上も限定的になります。
トピッククラスター型に内部リンクを再設計した複数サイトのケーススタディ(2025年)では、検索順位6.2位向上、オーガニック流入180%増加、コンバージョン率45%向上、滞在時間90秒延長という成果が報告されています。ただし、これは事例ベースの数値であり、サンプル数・業種は限定的です。また、内部リンク以外の同時施策(コンテンツ改善等)も影響している可能性がある点に注意が必要です。
また、あるBtoB企業では、導線強化(フォーム簡素化、ホワイトペーパー増加、ウェビナー連携、内部リンク設計)により過去3年間で資料DL数34倍、受注額9倍を達成したという事例も報告されています(2025年事例記事)。こちらも内部リンク単体の効果ではなく、複合的な施策の結果である点を考慮してください。
ピラーページとクラスターページの関係
ピラーページとは、トピッククラスターの中心となる包括的な解説ページです。ビッグ〜ミドルキーワードで上位表示を狙います。
トピッククラスターの構造は以下のようになります。
- ピラーページ(ハブ記事): テーマ全体を包括的に解説。各クラスターページへのリンクを集約
- クラスターページ(詳細記事): 個別のサブトピックを深掘り。ピラーページへリンクバック
- 事例・資料: クラスターページから導線を設計。CVポイントとして機能
この構造により、ピラーページにリンクジュース(ページ評価)が集中し、ビッグキーワードでの上位表示を狙いやすくなります。同時に、クラスターページからピラーページ、そしてCVポイントへの一貫した導線が構築できます。
内部リンク設計チェックリスト
以下のチェックリストを使って、自社の内部リンク設計を確認してください。
【チェックリスト】内部リンク設計チェックリスト
- 内部リンク設計がコンテンツ戦略と連動している
- ターゲットキーワードごとにピラーページを定義している
- ピラーページとクラスターページの関係を整理している
- 記事作成前に内部リンク先を計画している
- 本文中に文脈に沿った内部リンクを配置している
- 関連記事ブロックを設置している
- 記事末尾にCTA(資料DL・問い合わせ)への導線がある
- グローバルナビゲーションから主要ページへの導線がある
- パンくずリストがサイト構造を正確に反映している
- 3クリック以内で主要情報(製品詳細・資料DL・事例・問い合わせ)に到達できる
- 孤立ページ(内部リンクが1本もないページ)がないか確認している
- リンク切れを定期的にチェックしている
- アンカーテキストがリンク先の内容を適切に表現している
- 過度な内部リンクでユーザー体験を損なっていないか確認している
- 新規記事公開時に既存記事からの内部リンクを追加するフローがある
まとめ:戦略連動型の内部リンク設計でSEOとCVRを両立する
本記事では、内部リンク設計の基礎からトピッククラスターモデルによる構造化、チェックリストまでを解説しました。
ポイントを整理します
- 内部リンクは設置場所によってSEO効果・CVR効果が異なる
- 後付けで思いついたものを貼るだけでは効果が限定的
- トピッククラスターモデルでピラーページを中心に構造化する
- 記事戦略の段階で内部リンク設計を組み込むことが重要
BtoBサービスサイト調査(シーラベル2025、有効回答105社)では、内部リンク構造の最適化が「最も効果があったSEO施策」の1位に挙げられています(サンプル数は限定的ですが、傾向として参考になります)。
内部リンクは「記事を書いてから貼る」後付けの作業ではなく、記事戦略の段階で全記事に一貫した導線を設計することで、SEO効果だけでなくCVR・商談化率の向上にもつながります。まずは本記事のチェックリストで自社の内部リンク設計を確認し、改善ポイントを洗い出すことから始めてください。
