コンテンツの種類を理解しても商談につながらない理由
コンテンツの種類を理解するだけでなく、自社のターゲットと目的(誰に・何を・なぜ)を明確にした上で、購買プロセスのステージに応じたコンテンツを選択することで、商談化につながるコンテンツ運用が実現できる——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
「コンテンツの種類は知っているが、どれを優先すべきか分からない」「記事を作っても商談につながらない」——こうした課題を抱えるBtoB企業のマーケティング担当者は少なくありません。
コンテンツとは、情報やエンターテイメントを提供するデジタルまたはメディア形式の素材を指します。テキスト、画像、動画、音声などの種類があり、BtoBではリード獲得・育成目的で活用されることが多いです。
コンテンツの種類を知っていても成果が出ない原因は、目的と手段の紐付けができていないことにあります。「どのコンテンツを作るか」の前に「誰に・何を・なぜ届けるのか」を明確にすることが重要です。
この記事で分かること
- BtoBで使われるコンテンツの基本的な種類と定義
- 目的別(集客・訴求・ナーチャリング)のコンテンツ使い分け方
- コンテンツ活用の成功事例と学べるポイント
- 自社に適したコンテンツ種類の選び方とチェックリスト
コンテンツの基本的な種類と定義
コンテンツは形式(テキスト・画像・動画・音声)と用途(集客・訴求・ナーチャリング)で分類できます。BtoB企業では、ターゲットの購買プロセスに合わせてこれらを組み合わせることが重要です。
デジタルコンテンツ白書2025によると、日本国内のコンテンツ産業の市場規模は2024年推計で14兆9,003億円に達しています。ただし、この数値は動画・ゲームが主力のBtoC市場が中心であり、BtoBコンテンツ市場は異なる特性を持っています。
BtoBにおけるコンテンツの特徴は、エンターテイメント性よりも「課題解決」「情報提供」に重点が置かれる点です。リード獲得・育成を目的とするため、読者の業務上の課題に寄り添う内容が求められます。
形式によるコンテンツの分類
コンテンツは主に4つの形式で分類されます。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。
テキストコンテンツは、ブログ記事、ホワイトペーパー、メールマガジンなどを指します。SEO効果が期待でき、制作コストが比較的低いため、BtoBでは最も活用されている形式です。詳細な情報を論理的に伝えるのに適しています。
画像コンテンツには、インフォグラフィック、図解、スライド資料などがあります。複雑な情報を視覚的に分かりやすく伝えることができ、SNSでのシェアにも適しています。
動画コンテンツは、製品デモ、解説動画、ウェビナーなどを含みます。2024年のBtoBコンテンツパフォーマンス調査(IMHO統計、Semrush調査引用)によると、動画がパフォーマンストップとなっており、エンゲージメント向上に効果的とされています。
音声コンテンツは、ポッドキャスト、音声セミナーなどがあります。移動中や作業中にも情報を得られる利便性がありますが、BtoBでの活用はまだ限定的です。
BtoBでよく使われるコンテンツ形態
BtoB特有のコンテンツ形態として、ホワイトペーパー、ケーススタディ、ブログ記事などが挙げられます。
ホワイトペーパーとは、BtoBで使われる調査報告書やノウハウ資料のことです。リード獲得のため、ダウンロード時に企業情報・連絡先などの情報取得を行う形式が一般的です。専門性の高い内容で見込み顧客の信頼を獲得できます。
ケーススタディ(事例コンテンツ) とは、導入企業の成功事例を紹介するコンテンツです。訴求・ナーチャリングフェーズで効果的であり、検討段階の見込み顧客に対して具体的な導入イメージを提供できます。
2024年のBtoBコンテンツ資産のパフォーマンストップ3は、1位が動画、2位がケーススタディ/カスタマーストーリー、3位が電子書籍/ホワイトペーパーとなっています(IMHO統計、Semrush調査引用)。
目的別コンテンツの分類と使い分け
コンテンツは「集客」「訴求」「獲得・ナーチャリング」の3つの目的で分類できます。それぞれの目的に適したコンテンツを選択し、購買プロセスに沿って配置することが成果につながる鍵です。
カスタマージャーニーとは、顧客が認知から購買に至るまでの一連のプロセスを可視化したものです。コンテンツ設計の基盤となり、各段階で最適なコンテンツを提供するための指針となります。
よくある失敗パターンとして、「SEO記事を量産すればPVが増えて商談につながる」という考え方があります。この考え方は誤りです。コンテンツの種類を目的と切り離して考え、とりあえず記事を作ることが目的化してしまうと、PVは増えても商談にはつながりません。集客用のSEO記事だけを量産しても、訴求・ナーチャリング用のコンテンツや適切な導線がなければ、見込み顧客は次のステップに進めないのです。
CTA(Call To Action) とは、読者に特定のアクション(問い合わせ、資料請求等)を促すボタンやリンクのことです。コンテンツと商談化をつなぐ重要な要素であり、目的に応じた適切なCTA設計が必要です。
【比較表】コンテンツ種類別・目的別比較表
| コンテンツ種類 | 主な目的 | 購買プロセス | 制作コスト | リード獲得効果 |
|---|---|---|---|---|
| SEO記事(ブログ) | 集客 | 認知 | 低〜中 | 間接的 |
| SNS投稿 | 集客・認知拡大 | 認知 | 低 | 間接的 |
| 動画コンテンツ | 集客・訴求 | 認知〜興味 | 高 | 中 |
| ホワイトペーパー | リード獲得 | 興味〜比較検討 | 中 | 高 |
| ケーススタディ | 訴求・信頼構築 | 比較検討 | 中 | 高 |
| メールマガジン | ナーチャリング | 比較検討〜決定 | 低 | 中 |
| ウェビナー | 訴求・ナーチャリング | 興味〜比較検討 | 中〜高 | 高 |
| 製品デモ動画 | 訴求 | 比較検討 | 高 | 高 |
集客目的のコンテンツ
集客目的のコンテンツは、ターゲットとの最初の接点を作る役割を担います。SEO記事や動画コンテンツが代表的です。
SEO記事は検索エンジン経由での流入を獲得するために有効です。ターゲットが検索しそうなキーワードに対応した記事を作成し、自社サイトへの訪問を促します。ただし、集客だけでは商談化しないため、次のステップ(資料請求、問い合わせ等)への導線設計が不可欠です。
動画コンテンツはYouTubeやSNSを通じた認知獲得に効果的です。2024年の調査でもBtoBコンテンツのパフォーマンストップとなっており、特にエンゲージメント(視聴時間、シェア等)の観点で高い効果が報告されています。
訴求・ナーチャリング目的のコンテンツ
訴求・ナーチャリング目的のコンテンツは、見込み顧客の検討を促進し、商談化につなげる役割を担います。ホワイトペーパーやケーススタディが代表的です。
ホワイトペーパーは、ダウンロード時に連絡先情報を取得できるため、リード獲得に直結します。業界調査、ノウハウ集、チェックリストなど、ターゲットの課題解決に役立つ内容が効果的です。
ケーススタディは、導入企業の具体的な成果を示すことで、検討段階の見込み顧客に「自社でも同様の成果が得られるかもしれない」というイメージを持ってもらえます。
これらのコンテンツでは、適切なCTAとの連携が重要です。「資料をダウンロードする」「相談する」など、次のアクションを明確に示し、商談化への導線を設計する必要があります。
BtoBコンテンツ活用の成功事例
実際にコンテンツ活用で成果を上げている企業の事例から、コンテンツ種類の選択と成果の関係を学ぶことができます。ただし、以下で紹介する事例は企業の自己申告値を含むため、すべての企業が同様の成果を得られるわけではない点に注意が必要です。
オウンドメディア×ホワイトペーパーの事例
LISKUL(BtoBメディア)は、公開半年で月間35万PV、2年で70万PVを達成したと報告しています。毎月eBookダウンロード800件、問い合わせ200件を獲得し、テレアポを廃止したとのことです(企業自己申告値。第三者検証はされていない)。
この事例から学べるポイントは、SEO記事で集客しながら、eBook(ホワイトペーパー)でリードを獲得するという「集客→リード獲得」の導線設計です。
才流は、BtoBマーケティングガイドブックで検索キーワードの上位表示を達成し、累計1万ダウンロード超を報告しています(2025年版、企業自己申告値)。ガイドブックというホワイトペーパー形式のコンテンツで、専門性と実用性を両立させています。
オウンドメディア×リード獲得の事例
カオナビは、オウンドメディアでWEB広告比2.5倍のリード獲得を達成したと報告されています(Media Radar 2025年)。
この事例では、オウンドメディアを通じた継続的なコンテンツ発信が、広告よりも効率的なリード獲得につながっています。初期投資は必要ですが、長期的に見ると費用対効果の高いチャネルになりうることを示しています。
これらの事例に共通するのは、単に記事を量産するのではなく、目的に応じたコンテンツの組み合わせと導線設計がなされている点です。
自社に適したコンテンツ種類の選び方
自社に適したコンテンツ種類を選ぶには、まずターゲットと目的を明確にし、その上で購買プロセスに沿ったコンテンツを設計することが重要です。
コンテンツ種類の選定で成功するためには、「誰に・何を・なぜ」を明確にしてからコンテンツを選ぶ必要があります。この順序を逆にして「とりあえずSEO記事を作る」という進め方では、成果につながりにくいです。
ターゲットと目的の明確化
コンテンツ選定の前提として、以下の3点を明確にする必要があります。
誰に(ターゲット): どの業種・役職・課題を持つ人に届けたいか。ペルソナを具体的に設定することで、適切なコンテンツ形式や訴求ポイントが明確になります。
何を(提供価値): ターゲットのどのような課題を解決するのか。自社の強みや専門性を活かした価値提供ができるテーマを選びます。
なぜ(目的): 集客なのか、リード獲得なのか、ナーチャリングなのか。目的によって適切なコンテンツ種類が異なります。
カスタマージャーニーを作成し、購買プロセスの各段階でターゲットがどのような情報を求めているかを整理することで、コンテンツ設計の精度が上がります。
コンテンツ制作の優先順位の決め方
リソースが限られる中でどのコンテンツから着手すべきかは、多くの企業が悩むポイントです。
現実的なアプローチとしては、まずテキスト+画像のガイドコンテンツから始め、成果が出てきたら動画コンテンツを追加するのが効果的です。動画は制作コストが高いため、テキストコンテンツで成果パターンを見つけてから拡張するほうがリスクを抑えられます。
優先順位を決める際は、以下の観点で検討してください。
- 現在のボトルネックはどこか(集客不足か、リード獲得不足か、ナーチャリング不足か)
- 既存のコンテンツ資産を活用できないか
- 制作リソース(内製・外注)はどの程度確保できるか
- 競合との差別化ポイントはどこか
【チェックリスト】コンテンツ種類選択チェックリスト
- ターゲット(誰に届けるか)が明確に定義されている
- ターゲットの業種・役職・課題を具体的に把握している
- 提供価値(何を届けるか)が明確になっている
- 自社の強み・専門性を活かしたテーマを選んでいる
- 目的(集客・リード獲得・ナーチャリング)が明確である
- カスタマージャーニーを作成し、購買プロセスを可視化している
- 各購買段階で必要なコンテンツを整理している
- 現在のボトルネック(集客・獲得・育成のどこが弱いか)を把握している
- コンテンツから次のアクションへの導線(CTA)を設計している
- 制作リソース(内製・外注)の確保ができている
- 既存コンテンツの棚卸しを行い、活用可能な資産を把握している
- 競合のコンテンツ戦略を分析している
- 成果指標(KPI)を設定している
- 定期的な振り返りと改善のサイクルを設計している
まとめ:コンテンツの種類選びで成果を出すために
本記事では、BtoB企業のためのコンテンツ種類ガイドとして、目的別の選び方と使い分けを解説しました。
要点の整理
- コンテンツは形式(テキスト・画像・動画・音声)と目的(集客・訴求・ナーチャリング)で分類できる
- BtoBでパフォーマンスが高いのは動画、ケーススタディ、ホワイトペーパー
- 「SEO記事を量産すれば商談につながる」という考え方は誤り。目的に応じたコンテンツ選択と導線設計が必要
- 成功事例に共通するのは、単なる記事量産ではなく、目的に応じたコンテンツの組み合わせと導線設計
- コンテンツ選定は「誰に・何を・なぜ」を明確にしてから行う
次のアクション
まずは、本記事で紹介した「コンテンツ種類選択チェックリスト」を使って、自社の現状を確認してください。チェックが入らない項目があれば、そこがコンテンツ戦略の改善ポイントです。特に「ターゲット定義」「目的の明確化」「導線設計」は、コンテンツの種類選びの前提となる重要な要素です。
コンテンツの種類を理解するだけでなく、自社のターゲットと目的(誰に・何を・なぜ)を明確にした上で、購買プロセスのステージに応じたコンテンツを選択することで、商談化につながるコンテンツ運用が実現できます。
