BtoBマーケティングで成果が出ない根本原因
BtoBマーケティングで成果を出すには、施策の数を増やすことではなく、「誰に・何を・なぜ」という戦略を明確にし、すべての施策に一貫して反映させることが重要です。これが本記事の結論です。
「SEOや広告を頑張っているのに商談につながらない」「リードは増えているのに質が低い」——このような悩みを抱えるBtoB企業のマーケティング担当者は少なくありません。
2025年のSyncad調査によると、リード獲得において41.1%の企業が数の面で、48.6%が質の面で理想未達と回答しています(調査対象は限定的)。そして、リード数・質が理想未達の原因トップは「施策がターゲットに刺さっていない」で、数で40.9%、質で38.5%を占めています。
「とりあえずSEOや広告をやってみる」「施策を増やせばリードが増え、成果につながる」という考え方では、リードの量は増えても質が低く、商談化率が上がらないまま工数だけが増える結果になりやすいです。
この記事で分かること
- BtoBマーケティングで成果が出にくい構造的な理由
- 「誰に・何を・なぜ」を明確にする戦略設計の考え方
- リード獲得から商談化までのプロセス設計
- 自社の戦略を診断できるチェックリスト
BtoBマーケティングの基礎知識と成果が出にくい構造
BtoBマーケティングで成果を出すには、リード獲得から商談化までの一連のプロセスを理解し、各フェーズで適切な施策を実行する必要があります。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動により獲得した、一定の基準を満たした見込み顧客を指します。SQL(Sales Qualified Lead) は、営業がアプローチすべきと判断された、商談化の見込みが高いリードです。
BtoBマーケティングの基本プロセスは「リード獲得→リード育成(ナーチャリング)→商談化→受注」という流れになります。リードナーチャリングとは、獲得したリードを育成し、購買意欲を高めるための継続的なコミュニケーション活動です。
しかし、このプロセスを実行する上で多くの企業が課題を抱えています。2025年のAsk One調査によると、BtoBマーケティング課題の第1位は「人手不足・体制不備」で34.3%を占めています。また、Web広告の課題として「費用対効果向上」47.2%、「質リード獲得」46.2%、「リード単価低下」30.5%が挙げられています(2025年度予定、Web担調査)。
リードの「質」と「量」の問題
リードの「量」を増やすことだけに注力すると、商談化率が上がらないという問題が発生します。
2025年のSyncad調査によると、48.6%の企業がリードの質の面で理想未達と回答しています(調査対象は限定的)。量は確保できていても、質が伴わなければ営業リソースを消費するだけで成果につながりません。
「誰に・何を・なぜ」を明確にする戦略設計の考え方
成果を出すためには、施策を始める前に「誰に・何を・なぜ」という戦略を明確にすることが不可欠です。
「施策を増やせば成果が出る」という考え方は誤りです。先述の通り、リード数・質が理想未達の原因トップは「施策がターゲットに刺さっていない」です。戦略が曖昧なまま施策を増やしても、的外れなリードが増えるだけで商談化率は改善しません。
戦略設計で明確にすべき3要素は以下の通りです。
- 誰に(ターゲット): どの業種・規模・役職の人に訴求するのか
- 何を(価値提案): どのような課題解決・価値を提供するのか
- なぜ(差別化理由): なぜ自社を選ぶべきなのか、競合との違いは何か
この3要素がすべての施策に一貫して反映されていることが重要です。記事コンテンツでもWeb広告でもウェビナーでも、同じターゲットに向けて一貫したメッセージを発信することで、初めて成果につながります。
ターゲット設定の見直しが成果改善の第一歩
リードの質を向上させるには、まずターゲット設定の見直しから始めることが有効です。
現在のターゲット設定が曖昧だったり、実際の顧客像とズレていたりする場合、どれだけ施策を増やしても成果は出ません。自社の既存顧客を分析し、どのような企業・担当者が商談化・受注につながっているのかを把握した上で、ターゲット設定を見直すことが第一歩です。
リード獲得から商談化までのプロセス設計
戦略を明確にしたら、リード獲得から商談化までのプロセスを設計します。各フェーズで何を行い、どのように次のフェーズにつなげるかを明確にすることが重要です。
インサイドセールス(IS) とは、電話・メール・Web会議など非対面でリードにアプローチし、商談化を促進する営業手法です。MAツールは、マーケティングオートメーションツールの略で、リード管理・スコアリング・メール配信等を自動化するシステムです。
【フロー図】BtoBマーケティング成果創出フロー
flowchart TD
A[戦略設計<br>誰に・何を・なぜ] --> B[リード獲得<br>コンテンツ/広告/イベント]
B --> C[リード育成<br>ナーチャリング/スコアリング]
C --> D[商談化<br>インサイドセールス]
D --> E[受注<br>フィールドセールス]
E --> F[分析・改善<br>PDCA]
F --> A
日本のBtoB企業のインサイドセールス導入率は40.6%で、米国の80%超と比較するとまだ差別化余地があります(2025年、HubSpot調査)。また、SFA(営業支援ツール)活用率は約70%とされています(2025年、三菱総研調査)。
インサイドセールスの活用ポイント
インサイドセールスは、リードの商談化を促進する有効な手法です。
日本と米国でインサイドセールス導入率に大きな差があることは、日本企業にとって差別化のチャンスでもあります。ただし、インサイドセールスを導入する前に、戦略設計とリード獲得の仕組みを整えることが前提です。
インサイドセールスを効果的に活用するためのポイントは以下の通りです。
- リードのスコアリング基準を明確にし、優先度の高いリードから対応する
- 架電数・接続率・アポ率・商談化率を計測し、PDCAを回す
- フィールドセールスとの連携ルールを明確にする
自社のBtoBマーケティング戦略を診断する
自社のBtoBマーケティングが成果につながる設計になっているか、以下のチェックリストで診断してみてください。
ある事例では、プロモイベント+デジタルマーケティング+インサイドセールス立ち上げにより、インバウンド商談数500%増を達成したと報告されています(2年間、自社報告ベースのため自社への適用は検証が必要)。成功事例に共通するのは、戦略を明確にした上で各施策を一貫させていることです。
【チェックリスト】BtoBマーケティング戦略診断チェックリスト
- ターゲット(業種・規模・役職・課題)が明文化されている
- ターゲット設定は既存顧客データに基づいて検証されている
- 自社の提供価値(何を解決するか)が1文で説明できる
- 競合との差別化ポイント(なぜ自社か)が明確になっている
- すべてのコンテンツ・施策で一貫したメッセージを発信している
- リード獲得施策がターゲットに刺さる設計になっている
- MQLの定義・基準が明確に設定されている
- SQLの定義・基準が明確に設定されている
- リードナーチャリングのシナリオが設計されている
- インサイドセールスの体制が整備されている
- リードのスコアリング基準が設定されている
- 架電数・接続率・アポ率・商談化率を計測している
- KPI(重要業績評価指標)が設定され定期的に確認している
- マーケティングと営業の連携ルールが明確になっている
- PDCAを回して継続的に改善する体制がある
チェックが入らない項目は、改善の優先候補です。特に上位の「戦略」に関する項目(ターゲット・価値提案・差別化)にチェックが入らない場合は、施策を見直す前に戦略設計から着手することをおすすめします。
まとめ:施策より戦略の一貫性が成果を生む
本記事では、BtoBマーケティングで成果を出すための戦略設計の考え方を解説しました。
重要なポイント
- 「施策を増やせば成果が出る」という考え方では、リードの量は増えても質が低く、商談化率が上がらない
- リード数・質が理想未達の原因トップは「施策がターゲットに刺さっていない」
- 成果を出すには「誰に・何を・なぜ」という戦略を明確にし、すべての施策に一貫して反映させることが重要
- チェックリストで自社の現状を診断し、改善の優先順位を明確にする
まずは本記事のチェックリストを使って、自社のBtoBマーケティングの現状を診断してみてください。戦略に課題があれば施策の改善よりも先に戦略設計を見直し、小さく始めて検証しながら改善していくアプローチをおすすめします。
BtoBマーケティングで成果を出すには、施策の数を増やすことではなく、「誰に・何を・なぜ」という戦略を明確にし、すべての施策に一貫して反映させることが重要です。
