トレンドを追いかけても成果が出ない理由
2025年のトレンドを理解した上で自社に合った施策を選び成果につなげるために必要なのは、トレンドを追いかけるだけでなく、自社の戦略(誰に・何を・なぜ)に紐づけて取捨選択し、選んだ施策を全体で一貫させる仕組みを整えることです。
2025年の調査によると、BtoBマーケ担当者の生成AI活用率は70.8%に達し、活用者の95.8%が効果を実感しています。しかし、AIを導入しただけで成果が出るわけではありません。多くの企業が「トレンドを追いかけて次々と新施策を試す」状況に陥り、リソースを消費するばかりで商談・受注につながらないケースが見られます。
この記事で分かること
- 2025年に注目すべきBtoBマーケティングトレンドの全体像
- AI検索の台頭がコンテンツ戦略に与える影響と対策
- 生成AI活用で成果を出すための組織的課題
- トレンドを自社戦略に紐づけて取捨選択する具体的な方法
- 導入判断に使えるチェックリストと適合度判定表
2025年に注目すべきBtoBマーケティングトレンド
2025年のBtoBマーケティングでは、AI関連の変化とデジタル化の加速が顕著です。主要トレンドとして、AI検索への対応、生成AIの業務活用、SNSを活用したリード獲得が挙げられます。
2025年の調査では、BtoB企業経営者のリード獲得施策としてSNSが36.4%で最多となり、効果を実感する施策としても第1位に選ばれています。また、国内BtoB-EC化率は43.1%(2024年、経済産業省データ)に達し、デジタル化の流れは加速しています。
これらのトレンドを理解することは重要ですが、自社にとっての優先度を見極めることがより重要です。
AI検索の台頭とコンテンツ戦略の変化
AI検索の普及により、従来のSEO施策だけでは十分な流入を確保できなくなりつつあります。2025年11月の調査によると、AI検索の影響で企業サイトのアクセス減少が4割超、IT・通信業では52.2%が減少を実感しています。
この変化に対応するため、AIO(AI Optimization) が注目されています。AIOとは、AI検索エンジンに最適化するための施策で、従来のSEOに加え、AIによる引用・参照を獲得する対策を指します。同様に、LLMO(Large Language Model Optimization) も重要です。LLMOとは、ChatGPTなどの大規模言語モデルに自社情報を引用・参照されるための最適化施策です。
AI検索対策としてAIO/LLMO対策が54.5%で最多となり、次いで「顧客課題を正確に捉えた具体的なストーリー(事例)公開」が46.7%という調査結果が出ています。単なるキーワード対策ではなく、AIが引用したくなる具体的で信頼性の高いコンテンツ作成が求められています。
生成AI活用の現状と成果につなげる課題
生成AIの活用は急速に広がっていますが、導入しただけでは成果につながりません。調査によると、BtoBマーケ担当者の生成AI活用率は70.8%(積極36.3%+部分34.5%)に達し、活用者の95.8%が効果を実感しています。一方で、生成AI活用の課題として「知識・スキル不足」が56.9%で最多という結果も出ています。
よくある失敗パターンとして、「生成AIを導入すれば効率化できる」という考え方があります。しかし、ツールを入れただけでは成果は出ません。組織的な推進体制の構築、スキル習得の仕組み、品質管理プロセスの整備が不可欠です。
AI活用で効果を実感している領域
生成AIは特に上流工程で効果を発揮しています。企画・アイデア出し、情報収集・リサーチ、ペルソナ設計などの領域で活用が進んでおり、これらの工程でAIを効果的に使うことで、担当者の時間を戦略立案や顧客対応に振り向けることが可能になります。
ただし、最終的なアウトプットの品質チェックや、自社の文脈に合わせた調整は人間が担う必要があります。AIはあくまでも生産性向上のツールであり、戦略そのものを代替するものではありません。
導入事例とコンテンツの重要性
BtoB購買において、導入事例コンテンツは意思決定に大きな影響を与えます。調査によると、BtoB企業の8割が意思決定に「導入事例」の影響を実感しており、「自社と同じ業種」「自社と近い事業規模」の事例を求める割合がともに55%超となっています。
導入事例で参考にする効果指標としては「コスト削減率・額」が60.7%で最多です。抽象的な成功談ではなく、具体的な数値で成果を示すことが求められています。
ゼロパーティデータとは、顧客が自ら意図的に提供するデータ(好み、購買意向など)を指します。サードパーティデータへの依存度が下がる中、顧客から直接得られるデータの価値が高まっています。ABM(アカウントベースドマーケティング) は、ターゲット企業を特定し、その企業に最適化したマーケティング施策を展開する手法で、導入事例と組み合わせることで効果的なアプローチが可能です。
【比較表】2025年BtoBマーケティングトレンド×自社適合度判定表
| トレンド | 対象企業 | 必要リソース | 成果が出やすい条件 | 適合度判定のポイント |
|---|---|---|---|---|
| AIO/LLMO対策 | Webからのリード獲得が重要な企業 | コンテンツ制作体制、専門知識 | 専門性の高い情報を発信できる | 自社の専門領域で引用されやすいコンテンツを作れるか |
| 生成AI活用 | 業務効率化を求める企業 | ツール導入費用、学習時間 | 活用領域を絞り込み、組織的に推進 | 知識・スキル習得の仕組みを整備できるか |
| SNSリード獲得 | 経営者・意思決定者にリーチしたい企業 | 運用担当者、継続的な投稿 | 担当者の専門性や人柄が伝わる発信 | 継続的な発信ができる体制があるか |
| 導入事例強化 | 検討段階の顧客が多い企業 | 事例取材・制作体制 | 同業種・同規模の事例、具体的な数値 | 協力してくれる顧客がいるか |
| ABM | 大口顧客をターゲットとする企業 | 顧客データ、営業連携体制 | ターゲット企業が明確、営業との連携が密 | ターゲットリストと個別アプローチが可能か |
トレンドを自社戦略に紐づけて取捨選択する方法
トレンドを闇雲に導入しても成果は出ません。自社の戦略との整合性を検証し、優先順位をつけて取り組むことが重要です。
取捨選択の基本フレームワークは「誰に・何を・なぜ」です。
- 誰に: ターゲット顧客はそのトレンドの影響を受けているか
- 何を: そのトレンドで提供できる価値は何か
- なぜ: 今このタイミングで取り組む理由は何か
ABM(アカウントベースドマーケティング) を導入する場合も、ターゲット企業が明確で、営業チームとの連携体制が整っていなければ効果は限定的です。インテントデータとは、顧客の検索行動やコンテンツ閲覧履歴から推測される購買意向を示すデータですが、このデータを活用するにも、データを解釈して施策に落とし込む体制が必要です。
戦略との整合性なくトレンドを導入しても、リソースを消費するばかりで商談・受注にはつながりません。
トレンド導入の判断基準
具体的な判断基準として、以下の3つの観点で評価することをお勧めします。
- ターゲット適合度: ターゲット顧客がそのトレンドの恩恵を受けるか
- リソース現実性: 必要な予算・人員・スキルを確保できるか
- 既存施策との連携性: 現在の施策と相乗効果を生み出せるか
3つの観点すべてで「Yes」と言えない場合は、導入を見送るか、条件が整うまで待つ判断も重要です。
【チェックリスト】トレンド導入前チェックリスト
- このトレンドは自社のターゲット顧客に関係があるか
- ターゲット顧客の課題解決に直接貢献するか
- 自社の強み・専門性を活かせるか
- 必要な予算を確保できるか
- 担当者をアサインできるか
- 必要なスキル・知識を習得する時間があるか
- 既存の施策と矛盾しないか
- 他の施策と連携して相乗効果を生み出せるか
- 成果を測定する指標を設定できるか
- 成果が出るまでの期間を想定しているか
- 撤退基準を設定しているか
- 経営層・関係部署の合意を得られるか
- 競合と差別化できる要素があるか
- 継続的に取り組む体制を維持できるか
- このトレンドに取り組まないリスクを検討したか
まとめ|トレンドを成果につなげる戦略的アプローチ
2025年のBtoBマーケティングでは、AI検索への対応、生成AI活用、SNSリード獲得、導入事例強化など、多くのトレンドが注目されています。
調査データが示すように、BtoBマーケ担当者の生成AI活用率は70.8%に達し、活用者の95.8%が効果を実感しています。また、BtoB企業の8割が意思決定に導入事例の影響を実感しており、コンテンツの重要性は高まる一方です。
しかし、これらのトレンドをすべて追いかける必要はありません。本記事で紹介したチェックリストと適合度判定表を活用し、自社戦略との整合性を検証してください。
2025年のBtoBマーケティングトレンドで成果を出すには、トレンドを追いかけるだけでなく、自社の戦略(誰に・何を・なぜ)に紐づけて取捨選択し、選んだ施策を全体で一貫させる仕組みを整えることが不可欠です。
