BtoB SEOで記事を増やしても商談につながらない問題
意外かもしれませんが、BtoB SEOで成果を出すには、検索順位やPVだけを追うのではなく、「誰に・何を・なぜ」を言語化して全記事に反映させる仕組みと、品質を担保して確実に公開できるフローの整備が重要です。
「SEO対策で記事を量産しているのに、PVは増えても問い合わせや商談につながらない」——このような悩みを抱えるBtoB企業のマーケティング担当者は少なくありません。
BtoB SEOとは、企業間取引を行う企業が、自社の製品やサービスに関連するキーワードで検索上位表示を目指す施策です。BtoCと異なり、リード獲得・商談創出が主目的となります。
2024年の調査によると、3期連続増益企業のBtoBマーケ担当者のうち、SEO対策の現在の実施率は19.0%にとどまる一方、今後新たに実施したい施策として「SEO対策」が28.6%で1位となっています(売上高100億円未満の企業)。成長企業ほどSEOへの関心が高い傾向がみられます。
しかし、BtoB企業マーケ担当者の41.8%が「この1年でWebアクセスが減少」と回答しており、対応策として「生成AIやAI検索への最適化(AIO/LLMO対策)」が54.5%で最多となっています(2024年調査)。従来のSEOだけでは成果が出にくい環境に変化しつつあるのです。
この記事で分かること
- BtoB SEOの特徴とBtoCとの違い
- 商談化を起点としたキーワード選定のコツ
- 戦略を全記事に反映させるコンテンツ設計の方法
- 実践で使えるBtoB SEO対策チェックリスト
BtoBとBtoCのSEOはどう違うのか
BtoB SEOとBtoC SEOの最も大きな違いは、評価軸と購買プロセスにあります。BtoCでは検索ボリュームやPVを重視しますが、BtoBでは商談化率・CVR・LTVで成果を測ります。
2024年の日本国内BtoB-EC市場規模は514.4兆円(前年比10.6%増)で、BtoC-ECの約20倍の規模に達しています。「BtoB市場は小さいからSEOは不要」という認識は誤りです。
EC化率とは、全取引のうち電子商取引(EC)が占める割合を指します。日本国内BtoB-ECのEC化率は43.1%(2024年)で、取引の約4割超がオンライン経由となっています。
トライベック「BtoBサイト調査2025」によると、Webサイトの売上貢献度を示す「サイト効果」はBtoBサイトがBtoCサイトを大きく上回ることが報告されています。BtoBではWebサイトが商談創出の重要な役割を担っているのです。
DMU(Decision Making Unit) とは、BtoBの購買意思決定に関与する複数の担当者・部門の集合体です。BtoBでは複数人が意思決定に関わるため、役職や検討フェーズに応じたコンテンツ設計が必要になります。
【比較表】BtoBとBtoCのSEO比較表
| 項目 | BtoB SEO | BtoC SEO |
|---|---|---|
| 主目的 | リード獲得・商談創出 | 購入・会員登録 |
| 評価軸 | 商談化率・CVR・LTV | PV・検索順位・直接CV |
| 購買意思決定 | 複数人(DMU)・長期間 | 個人・短期間 |
| 検索ボリューム | 小さいが質が高い | 大きいが競争激しい |
| コンテンツ | 課題解決型・専門的 | 感情訴求・トレンド |
| 中間CV | 資料DL・セミナー申込が重要 | 必須ではない |
| 市場規模 | 514.4兆円(EC化率43.1%) | BtoBの約1/20 |
検索ボリュームではなくCVR・商談化率で評価する
BtoB SEOでは、検索ボリュームの大きさよりもCVR(コンバージョン率)や商談化率で成果を評価することが重要です。
ロングテールキーワードとは、検索ボリュームは小さいが、具体的な課題・状況を含み、CVRが高くなりやすいキーワードを指します。
2025年のデータによると、Googleオーガニック検索1位の平均CTRは27.6%です(世界平均であり、日本BtoBに特化した数値ではありません)。しかし、BtoBでは順位だけでなく、その後の商談化・CVRで成果を測ることがより重要です。ビッグワードで上位表示できても、商談につながらなければ意味がありません。
BtoB SEOのキーワード選定のコツ
BtoB SEOで成果を出すキーワード選定のコツは、「検索ボリューム×競合性」だけでなく「CVR・LTV・営業貢献度」で評価することです。
検索ボリュームの大きいビッグワードより、課題解決型のロングテールキーワードを優先することが推奨されます。月間検索数100〜1,000回程度のキーワードを5〜10個選定し、まず狙うべき対象とするのが実務上のポイントです(この目安は公的平均ではなく実務上の推奨であり、自社ドメインの強さや市場規模で調整が必要です)。
キーワード選定では、5W3H(When/Where/Who/Why/What/How/How many/How much)を活用して、検討フェーズ別の悩みをキーワード化する方法が効果的です。例えば、「課題認識フェーズ」「情報収集フェーズ」「比較検討フェーズ」など、顧客の購買プロセスに合わせてキーワードを整理します。
中間コンバージョン設計の重要性
BtoBでは購買プロセスが長期化するため、資料DL・セミナー申込・ホワイトペーパー閲覧などの中間コンバージョン設計が必須です。
BtoCのように「検索→購入」という直線的な導線ではなく、「検索→資料DL→セミナー参加→問い合わせ→商談→受注」という段階的なプロセスを設計する必要があります。各段階に適したコンテンツとCVポイントを用意することで、見込み顧客を段階的に育成できます。
戦略を全記事に反映させるコンテンツ設計
「誰に・何を・なぜ」を言語化し、すべての記事に一貫して反映させる仕組みを構築することが、BtoB SEOで成果を出す鍵です。
よくある失敗パターンとして、「キーワードで上位表示できれば商談につながる」と考え、戦略設計を後回しにして記事を量産するケースがあります。この考え方は誤りです。PVは増えても問い合わせや商談につながらず、「BtoB SEOは効果がない」と判断してしまう企業は少なくありません。
問題の本質は、戦略なき量産にあります。ターゲット・訴求軸・目的が曖昧なまま記事を作成すると、記事ごとに主張がバラバラになり、読者に一貫したメッセージが伝わりません。
記事ごとに主張がブレる原因と解決策
記事ごとに主張がブレる原因は、戦略の言語化と共有が不十分なことにあります。
担当者ごとに「誰に向けて書くか」「何を伝えるか」「なぜこの記事が必要か」の解釈が異なると、記事のトーンや主張がバラバラになります。結果として、サイト全体としてのメッセージが曖昧になり、読者の信頼を得られません。
解決策は、戦略を言語化し、すべての記事で参照できる形にすることです。具体的には、ターゲットペルソナ、訴求軸、禁止事項を文書化し、記事作成前に必ず確認するフローを設けます。また、記事公開前のレビュー体制を整備し、戦略との整合性をチェックすることも重要です。
BtoB SEO対策の実践チェックリスト
以下は、BtoB SEO対策を実践するためのチェックリストです。戦略設計・キーワード選定・コンテンツ制作・効果測定の各フェーズをカバーしています。
AIO/LLMO対策とは、AI Overview(Googleの検索AI要約)やLLM最適化を指します。AI検索での引用・表示を意識した施策であり、今後重要性が高まると考えられています。
【チェックリスト】BtoB SEO対策チェックリスト
- ターゲット(誰に)が具体的に定義されている
- 訴求軸(何を伝えるか)が言語化されている
- 目的(なぜやるのか)が明確になっている
- 戦略を文書化し、担当者間で共有している
- 商談化率・CVRを評価軸に設定している
- ロングテールキーワードを優先的に選定している
- 検討フェーズ別にキーワードを整理している
- 中間コンバージョン(資料DL・セミナー申込等)を設計している
- 記事公開前に戦略との整合性をレビューしている
- 記事ごとの主張が一貫しているか確認している
- ファクトチェック+人間承認のフローを整備している
- 定期的にCVRと商談化率を測定している
- 営業からのフィードバックを収集している
- AI検索(AIO/LLMO)対策を考慮している
- 効果が低いコンテンツのリライト計画がある
まとめ:商談につながるBtoB SEOは戦略設計から始まる
本記事では、BtoB SEOの特徴と成功のコツを解説しました。
記事のポイント
- BtoB SEOはPVや検索順位ではなく、商談化率・CVRで評価する
- BtoB市場は514.4兆円規模で、BtoCの約20倍。SEOの価値は大きい
- ロングテールキーワードと中間コンバージョン設計が重要
- 「誰に・何を・なぜ」を言語化し、全記事に反映させる仕組みが必要
- ファクトチェック+人間承認のフローで品質を担保する
2024年調査では、今後新たに実施したい施策として「SEO対策」が28.6%で1位となっており、成長企業ほどSEOへの関心が高い傾向があります。
BtoB SEOで成果を出すには、検索順位やPVだけを追うのではなく、「誰に・何を・なぜ」を言語化して全記事に反映させる仕組みと、品質を担保して確実に公開できるフローの整備が重要です。まずは本記事のチェックリストを活用し、自社の現状を確認することから始めてみてください。
