お客様の声を集めても活用できない企業が多い理由
お客様の声の活用で成果を出すには、収集方法のテクニックだけでなく、自社のターゲット・USPと一貫性のある声を集め、リード獲得・商談化につなげる設計を行うことが重要です——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
お客様の声を集めてホームページに掲載しているが、それ以上の活用ができていない——こうした課題を抱えるBtoB企業のマーケティング担当者は少なくありません。2025年度のBtoB企業調査によると、リード獲得の「質」で理想通りできていない企業は約48.6%にのぼり、2024年比で7.6ポイント増加しています。
その背景として、「施策がターゲットに刺さっていない」(38.5%)、「コンテンツの質が低い」(28.8%、2024年比11.7ポイント増)が挙げられています。お客様の声を集めていても、戦略と連動した活用ができていなければ、商談化にはつながりません。
この記事で分かること
- お客様の声(VOC)の定義とBtoB購買における重要性
- アンケート・インタビュー・SNSなど収集方法の選び方
- 集めた声を商談化につなげる活用設計の方法
- お客様の声活用を仕組み化するためのチェックリスト
お客様の声(VOC)とは何か・なぜ重要なのか
VOC(Voice of Customer) とは、顧客から収集されるフィードバック、苦情、要望などの顧客インサイトの総称です。BtoB購買においては、導入事例やお客様の声が比較検討時の重要な判断材料となります。
BtoB購買決定において企業Webサイト経由の情報収集率は70%を占めており、製品基本情報(71%)に次いで導入事例(39%)が閲覧されています。また、BtoB購買決定時に選定対象として3~5社を比較する企業が60%を占めるため、お客様の声は他社との差別化要因として機能します。
LTV(Life Time Value) とは、1顧客が取引期間中にもたらす収益総額のことです。お客様の声を活用して信頼性を高めることで、新規顧客獲得だけでなく、既存顧客との関係強化にもつながります。
BtoB購買における導入事例・お客様の声の影響力
BtoB購買では、複数社を比較検討することが前提となっています。企業Webサイト経由での情報収集が70%を占める中、導入事例は39%の企業が閲覧するコンテンツです。
購買担当者は「自社と似た課題を持つ企業がどのように解決したか」を知りたいと考えています。そのため、お客様の声は単なる感想ではなく、具体的な課題と解決策、導入効果を示すコンテンツとして設計する必要があります。
お客様の声を集める代表的な方法と選び方
お客様の声の収集方法は複数あり、目的と予算に応じて選択することが重要です。主な収集方法として、アンケート、インタビュー、SNS、カスタマーサポート履歴、ファンコミュニティなどがあります。
NPS(Net Promoter Score) とは、顧客ロイヤリティを測定する指標で、推奨者と批判者の割合差で算出されます。NPSを活用した定量的な収集と、インタビューによる定性的な収集を組み合わせることで、より深い顧客理解が可能になります。
VOC収集ツールの導入コストは、SaaS型アンケート・NPSツールの場合、初年度500-1,000万円が平均的な相場とされています(2024年日本市場、ただし大企業中心のサンプルのため、中小企業では実態と乖離する可能性があります)。中小企業では、無料ツールや簡易な方法から始めることも選択肢です。
【比較表】収集方法別メリット・デメリット比較表
| 収集方法 | メリット | デメリット | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| アンケート(Web) | 量を集めやすい、定量分析が可能 | 深い情報を得にくい | リード数が多い企業 |
| インタビュー | 深い情報・ストーリーを引き出せる | 時間とコストがかかる | 導入事例を作りたい企業 |
| SNS | リアルタイムで声を収集できる | BtoBでは投稿数が限られる | SNS活用に積極的な企業 |
| カスタマーサポート履歴 | 既存データを活用できる | ネガティブな声に偏りやすい | サポート体制が整っている企業 |
| ファンコミュニティ | 継続的な関係構築が可能 | 構築・運営に時間がかかる | 長期的な顧客関係を重視する企業 |
| NPS調査 | 顧客ロイヤリティを定量化できる | 深い理由は別途ヒアリングが必要 | 定点観測したい企業 |
収集時の注意点(許諾・インセンティブ・バイアス)
お客様の声を収集する際には、いくつかの注意点があります。
許諾取得: 個人情報保護の観点から、収集した声を二次利用(Webサイト掲載、資料への転載など)する場合は、事前に同意を得る必要があります。インタビュー前に同意書を取り交わすことが一般的です。
インセンティブ設計: アンケート回答やインタビュー協力に対してインセンティブを提供する場合、金額や内容が回答に影響を与えないよう配慮が必要です。過度なインセンティブはポジティブバイアスを生む可能性があります。
バイアスへの対処: お客様の声は、協力的な顧客に偏りやすい傾向があります。満足度の高い顧客だけでなく、改善要望を持つ顧客の声も積極的に収集することで、より実態に即したフィードバックが得られます。
お客様の声を商談化につなげる活用設計
お客様の声を集めてホームページに掲載するだけでは、商談化にはつながりません。これはよくある失敗パターンです。2025年度のBtoB企業Web広告課題調査では、「費用対効果の向上」が47.2%、「質の高いリードの獲得」が46.2%を占めており、単に声を集めるだけではこれらの課題は解決しません。
お客様の声を商談化につなげるためには、自社のターゲット・USPと一貫性のある声を集め、購買検討者が「自社と同じ課題を持つ企業が解決している」と感じられる設計が必要です。「施策がターゲットに刺さっていない」(38.5%)という課題を解決するためにも、戦略と連動したお客様の声の活用が求められます。
ホームページ・LPへの効果的な掲載方法
BtoB購買決定において企業Webサイト経由の情報収集率は70%を占めており、導入事例は39%が閲覧するコンテンツです。この数値を踏まえると、お客様の声の掲載場所と見せ方は重要な検討項目となります。
掲載場所のポイント:
- トップページ: 信頼性を示す要素として主要な声を掲載
- サービスページ: 該当サービスに関連する声を掲載
- 専用の導入事例ページ: 詳細なストーリーを掲載
- 資料請求・問い合わせフォーム周辺: 検討段階の背中を押す声を掲載
見せ方のポイント:
- 企業名・業種・規模を明記する(許諾を得た上で)
- 具体的な数値や効果を含める
- 顔写真や担当者名を掲載する(可能な場合)
- 自社のターゲット層と近い企業の声を優先する
導入事例コンテンツへの展開方法
お客様の声を導入事例コンテンツとして展開することで、より深い情報を伝えることができます。導入事例記事は、以下の構成で作成することが一般的です。
導入事例記事の基本構成:
- 企業概要: 業種、規模、事業内容
- 課題: 導入前に抱えていた課題
- 選定理由: なぜ自社サービスを選んだか
- 導入プロセス: どのように導入を進めたか
- 効果: 導入後の具体的な成果
- 今後の展望: 今後の活用予定
インタビューで引き出すべき情報:
- 導入前の具体的な課題(数値で表せるとなお良い)
- 他社と比較した際の決め手
- 導入時の懸念点とその解消方法
- 導入後の具体的な変化
- 他社に勧めるとしたらどんな企業に勧めるか
お客様の声活用を仕組み化するためのチェックリスト
お客様の声の収集から活用までを属人化させず、仕組みとして定着させることが重要です。ある企業ではファンコミュニティを活用し、2024年度のサポートセンターへの問い合わせ件数が2021年度比で47.79%減少したという事例も報告されています。お客様の声の活用は、マーケティングだけでなくカスタマーサポートにも効果をもたらす可能性があります。
リテンション率とは、既存顧客が継続して取引を維持する割合のことです。お客様の声を活用して顧客との関係を強化することで、リテンション率の向上にもつながります。
【チェックリスト】お客様の声活用チェックリスト
- 収集目的(リード獲得、商品改善、サポート改善など)が明確になっている
- ターゲット顧客像と一致する声を集める仕組みがある
- 収集方法(アンケート、インタビュー、SNSなど)が決まっている
- 収集頻度とタイミングが設定されている
- 許諾取得のプロセスが整備されている
- 二次利用の同意書テンプレートがある
- 収集した声を分類・整理する担当者が決まっている
- 収集データの保管場所と管理方法が決まっている
- ホームページへの掲載ルール(場所、更新頻度)が決まっている
- 導入事例コンテンツ化の基準と手順がある
- 営業資料への活用方法が決まっている
- ネガティブな声への対応フローがある
- 定期的な振り返りと改善のサイクルが設定されている
- 成果指標(リード数、商談化率など)が設定されている
- 関係部署(マーケ、営業、サポート)との共有方法が決まっている
まとめ:お客様の声は戦略と連動させて初めて成果につながる
本記事では、お客様の声の集め方と商談化につなげる活用法について解説しました。
- VOC(お客様の声) はBtoB購買において重要な判断材料であり、導入事例は39%の企業が閲覧するコンテンツ
- 収集方法はアンケート、インタビュー、SNSなど複数あり、目的と予算に応じて選択する
- 集めるだけ・掲載するだけでは商談化につながらない。戦略と連動した活用設計が必要
- 仕組み化によって属人化を防ぎ、継続的な成果につなげる
お客様の声の活用で成果を出すには、収集方法のテクニックだけでなく、自社のターゲット・USPと一貫性のある声を集め、リード獲得・商談化につなげる設計を行うことが重要です。
まずは本記事で紹介したチェックリストを使い、自社のお客様の声活用状況を確認してみてください。収集から活用までの仕組みを整えることで、お客様の声を商談化につなげる第一歩を踏み出せます。
