eBookを作っても成果が出ない理由
意外かもしれませんが、eBookを作成するにはツール活用か業者依頼の2パターンがあるが、どちらを選んでも「誰に・何を伝えるか」を明確にしなければ成果(リード獲得・商談化)にはつながらず、ターゲット設計と目的の明確化が成功の前提条件となります。
「eBookを作ればリード獲得できると聞いたが、何から手をつければいいかわからない」「ツールは色々あるけど、どう選べばいいのか」——BtoB企業のマーケティング担当者であれば、このような悩みを抱えているかもしれません。
eBookとは、BtoBマーケティングではリード獲得用のPDFホワイトペーパーや事例集を指すマーケティング用語として定着しています。しかし、見た目の良いeBookを作っても、ターゲット設計が曖昧なままではダウンロードされても商談につながらないケースが多いのが現実です。
この記事で分かること
- eBookの基本と主要なファイル形式(EPUB・PDF)の特徴
- ツール自作と業者依頼の比較と選択基準
- 成果につながるeBook作成の前提条件とチェックリスト
- eBook作成の具体的な手順と進め方
- ダウンロード後のフォロー設計の重要性
eBookの基本と主要なファイル形式
eBookとは電子書籍を指す言葉ですが、BtoBマーケティングではリード獲得用のPDFホワイトペーパーや事例集として活用されるのが一般的です。電子書籍市場全体としては、2024年度の日本国内電子書籍市場は6,703億円(前年比+3.9%)で、2029年度には8,000億円弱に成長すると予測されています。
主要なファイル形式として、EPUB(電子書籍)とPDF(文書)の2つがあります。
EPUBとは、W3C標準の電子書籍フォーマットで、リフロー型レイアウトで画面サイズに応じて自動調整される特徴があります。リフロー型レイアウトとは、画面サイズに応じて文字サイズや段組が自動調整される電子書籍の表示形式です。スマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスで読みやすい表示が可能です。
PDFとは、ISO 32000として標準化されており、BtoBマーケティングのホワイトペーパー・eBookで事実上の標準形式となっています。ダウンロードのしやすさやビューアー不要という点から、BtoBでのリード獲得用eBookはPDF形式が主流です。
BtoBマーケティングでのeBook活用用途
BtoBマーケティングにおいて、eBookはリード獲得とナーチャリング(見込み顧客の育成)に活用されます。
代表的な活用用途として、以下が挙げられます:
- ホワイトペーパー(調査レポート、業界トレンド解説)
- 導入事例集
- チェックリスト・テンプレート集
- 製品比較資料
- ノウハウガイド
LISKUL(ソウルドアウト)の事例では、無料eBookダウンロード約800件/月、問い合わせ約200件/月を獲得し、全社員テレアポが不要になるレベルでインバウンドリードを獲得しています(ただし、これは特定企業の事例であり、必ず同じ成果が出るとは限りません)。
eBook作成方法の比較:ツール自作と業者依頼
eBookを作成する方法は、大きく分けて「ツールを使って自社で作成」と「業者に依頼」の2パターンがあります。それぞれのメリット・デメリット、向いているケース、コスト目安を理解して、自社に合った方法を選ぶことが重要です。
電子ブックツール「ActiBook」は導入社数20,000社以上、高い継続率と公表されており、ツール活用による内製化が一般化していることがわかります。
【比較表】eBook作成方法比較表(ツール自作 vs 業者依頼)
| 作成方法 | メリット | デメリット | 向いているケース | コスト目安 |
|---|---|---|---|---|
| ツール自作 | ・低コストで作成可能 ・修正が容易 ・継続的に内製化できる ・データ分析が可能 |
・デザインスキルが必要 ・制作時間がかかる ・品質が担当者に依存 |
・デザインリソースがある ・継続的に複数作成したい ・内製化を進めたい |
無料〜月額数千円程度 |
| 業者依頼 | ・高品質な成果物 ・短期間で完成 ・外部ノウハウ活用 ・自社リソース不要 |
・コストが高い ・修正に時間とコストがかかる ・ノウハウが蓄積しにくい |
・品質重視 ・スピード重視 ・デザインリソースがない |
30〜80万円程度/冊(20〜30ページ想定、市場慣行ベース)※公的統計はなく、内容や仕様によって変動 |
どちらの方法を選んでも重要なのは、「誰に・何を伝えるか」を明確にしてから作成に入ることです。ツールや業者選びに注力しても、ターゲット設計が曖昧なままでは成果につながりません。
ツール選びより先にやるべきこと
よくある失敗パターンとして、ツールを選んで見た目を整えることに注力し、「誰のどんな課題を解決するか」が曖昧なまま作成してしまうことがあります。この方法では、ダウンロードされても商談につながらないeBookになってしまいます。
eBook作成の成否を分けるのは、ツールの選択ではなく「誰に・何を・なぜ伝えるか」の設計です。見た目の良さや機能の豊富さよりも、ターゲットペルソナと解決する課題を明確にすることが先決です。
ツールや業者を選ぶ前に、以下の点を明確にしておきましょう:
- ターゲットペルソナ(職種、役職、決裁権限など)
- 解決する課題(読者が抱える具体的な悩み)
- 提供する価値(この記事で何を得られるか)
- ダウンロード後のフォロー設計(メール配信、アプローチ方法)
成果につながるeBook作成の前提条件
eBookを作成する前に、成果(リード獲得・商談化)につながる前提条件を整えておくことが重要です。ツールや業者の選定に入る前に、以下のチェックリストで自社の準備状況を確認しましょう。
【チェックリスト】成果につながるeBook作成前チェックリスト
- ターゲットペルソナが明確(職種、役職、決裁権限、課題)
- 解決する課題が具体的に定義されている
- 提供する価値が明確(読者がこのeBookから得られるもの)
- ダウンロード後のフォロー設計が決まっている
- リード獲得後のアプローチ担当者が決まっている
- 目標とするKPI(ダウンロード数、商談化率など)が設定されている
- eBookのテーマが自社の強みと合致している
- 競合との差別化ポイントが明確
- 社内の承認プロセスが確認済み
- コンテンツの更新頻度・運用体制が決まっている
- ダウンロードページのCTA設計が明確
- フォーム項目(取得する情報)が決まっている
- ダウンロード完了後のサンキューページが設計されている
- メール配信のシナリオが決まっている
- インサイドセールスのアプローチトークが準備されている
これらの項目をクリアしてから作成に入ることで、見た目だけでなく成果につながるeBookを作ることができます。
ダウンロード後のフォロー設計も事前に決める
eBookはダウンロードがゴールではありません。ダウンロードしたリードを商談化につなげるフォロー設計が重要です。
多くの企業がeBookを作成した後に「ダウンロードされたけど、その後どうフォローすればいいかわからない」という状況に陥ります。これを避けるためには、作成前にフォロー設計まで決めておくことが必要です。
具体的には、以下のような設計を事前に決めておきましょう:
- ダウンロード直後の自動返信メールの内容
- ダウンロード後のステップメール配信シナリオ
- インサイドセールスのアプローチタイミングとトーク設計
- リードスコアリングの基準(どのリードを優先的にフォローするか)
- 商談化につながらなかった場合のナーチャリング設計
ダウンロード後のフォロー設計まで整えることで、eBookはリード獲得だけでなく商談化に貢献する資産になります。
eBook作成の具体的な手順
eBookを実際に作成する際の具体的な手順は、ツール自作と業者依頼で異なります。それぞれの進め方を理解し、自社に合った方法を選びましょう。
ツール自作の場合の基本的な手順:
- ツールの選定(Canva、PowerPoint、Google Slides、ActiBook等)
- コンテンツの設計とページ構成の決定
- 原稿作成(テキスト、図表、データ)
- デザイン作成(表紙、本文レイアウト)
- PDF出力と品質チェック
- 社内レビュー・承認
- ダウンロードページへの設置
業者依頼の場合の基本的な手順:
- 業者の選定(実績、得意分野、価格を比較)
- RFP(提案依頼書)作成(目的、ターゲット、ページ数、納期、予算)
- 提案受領・業者決定
- キックオフMTG(要件確認、スケジュール確認)
- 原稿提供・デザイン案確認
- 修正対応・最終確認
- 納品・ダウンロードページへの設置
ハイブリッド型のアプローチ: 最初は外注で型を作り、その後一部内製化するという進め方も現実的な選択肢です。業者に依頼して作成したeBookをテンプレートとして、2冊目以降は自社で作成することで、品質とコストのバランスを取ることができます。
コンテンツの設計とページ構成
eBookのコンテンツ設計では、読者目線での構成が重要です。基本的なページ構成は以下の通りです:
- 表紙:タイトル、サブタイトル、会社ロゴ
- 目次:各章の見出しとページ番号
- 本文:各章ごとに見出し、本文、図表、データを配置
- まとめ:要点の整理、次のアクション提示
- CTA(Call to Action):問い合わせ、資料請求、セミナー申込などへの誘導
- 会社情報:会社概要、連絡先
ページ数は20〜30ページ程度が一般的ですが、内容によって適切なボリュームは異なります。重要なのは、ページ数ではなく「読者の課題を解決する内容になっているか」です。
コンテンツ設計では、ターゲットペルソナが抱える課題に対して、具体的な解決策を提示することが重要です。抽象的な内容ではなく、実務で使えるノウハウやチェックリスト、テンプレートなどを提供することで、読者にとっての価値が高まります。
まとめ|ターゲット設計がeBook成功の分かれ道
eBookを作成するにはツール活用か業者依頼の2パターンがあるが、どちらを選んでも「誰に・何を伝えるか」を明確にしなければ成果(リード獲得・商談化)にはつながらず、ターゲット設計と目的の明確化が成功の前提条件となります。
本記事で解説したポイントを整理すると:
- eBookはBtoBマーケではPDF形式が事実上の標準
- ツール自作と業者依頼はそれぞれメリット・デメリットがある
- ツールや業者を選ぶ前に、ターゲット設計と目的の明確化が必須
- ダウンロード後のフォロー設計まで事前に決めておくことが重要
- 最初は外注で型を作り、その後一部内製化するハイブリッド型も有効
成果につながるeBookを作るために、まずは「成果につながるeBook作成前チェックリスト」で自社の準備状況を確認してください。ターゲット設計が明確になってから、ツールや業者の選定に進むことで、リード獲得だけでなく商談化に貢献するeBookを作ることができます。
