外注ライターの品質がバラつく——よくある悩みと根本原因
外注ライターの品質がバラバラで手直しが多い、記事ごとに主張やトーンがブレてしまうという問題を解決したいなら、指示やマニュアルの改善だけでなく、戦略情報(ターゲット・USP・NG)を言語化し全記事に反映させる仕組みと、公開前のチェックフローを構築することで根本的に解決できます。
BtoB企業のオウンドメディア運営において、外注ライターを活用するケースは少なくありません。しかし、複数のライターに発注していると「同じ自社メディアなのに、記事ごとにトーンが違う」「毎回手直しに時間がかかる」といった悩みを抱える担当者は多いのではないでしょうか。
外注ライティングの品質満足度に関する調査(2025年、n=150)によると、「満足」「やや満足」を合わせて約7割に達する一方で、4割前後は何らかの不満を持っているとされています。つまり、外注ライティングに満足している企業がある一方で、品質面の課題を感じている企業も相当数存在するということです。
この記事で分かること
- 外注ライターの品質がバラつく根本原因
- 戦略情報(ターゲット・USP・NG)の言語化と共有方法
- 発注前に確認すべき戦略チェックリスト
- 公開前のチェックフローで品質を担保する仕組み
品質バラつきの主な原因と見落としがちなポイント
外注ライターの品質バラつきは、ライターの能力だけが原因ではありません。発注側が戦略(誰に・何を・なぜ)を言語化・共有していないことが、根本的な原因であるケースが多いです。
「外注ライターの品質が安定しないのは、ライターの能力の問題だ」「指示の仕方が悪いから修正が多い」という考え方は、問題の一面しか捉えていません。 ライターを変えても、指示書を詳しくしても、品質が安定しないケースが続くのは、そもそも「この記事で誰に何を伝えたいのか」という戦略情報が発注側で言語化されていないことが原因であることが多いのです。
調査によると、「ライターが十分にリサーチ・事実確認を行っている」と回答したのは約29.3%にとどまり、「あまり行われていない」が15.3%、「まったく行われていない」が1.4%という結果が出ています。しかし、この問題もライター側だけの責任ではなく、発注側がどこまでの品質を求めているか、どのような情報源を参照すべきかを明示していないケースも少なくありません。
トンマナ(トーン&マナー) とは、ブランドの文章表現における一貫した雰囲気・文体・言葉遣いのルールを指します。このトンマナが発注時に共有されていなければ、ライターは自分の判断で文体を決めることになり、記事ごとにトーンがバラバラになるのは当然の結果です。
ライター変更で解決しない理由
品質に不満があるとライターを変更する企業も多いですが、戦略情報が言語化されていなければ、どのライターに発注しても同じ問題が繰り返されます。
ライターは与えられた情報をもとに記事を書きます。「ターゲット読者は誰か」「自社の強みや差別化ポイントは何か」「避けるべき表現やトピックは何か」といった戦略情報がなければ、ライターは推測で書くしかありません。結果として、発注側が期待する内容とズレが生じ、修正が発生します。
また、担当者が変わるたびに品質基準がブレる問題もあります。Aさんは「もう少しカジュアルに」と指示し、Bさんは「専門的なトーンで」と指示する。担当者ごとに基準が異なれば、ライターは何を基準に書けばよいか分からなくなります。
戦略情報の言語化と共有で品質を安定させる
外注ライターの品質を安定させるには、戦略情報を言語化し、発注時に共有する仕組みを構築することが重要です。戦略情報とは、ターゲット、USP(自社の強み・差別化ポイント)、NG表現の3要素を指します。
これらの情報を発注前に整理し、ライターと共有することで、「何を書くべきか」の認識がそろい、品質のバラつきを抑えることができます。トンマナや想定読者の具体像を事前共有すると、修正依頼が減る傾向があります。
発注時に共有すべき情報の具体例
発注時に共有すべき情報は、以下のような項目です。
ターゲット像(誰に)
- 業種・企業規模(例:従業員50〜300名のBtoB製造業)
- 役職・職種(例:マーケティング担当者、経営企画)
- 抱えている課題・悩み(例:リード獲得に苦戦している)
USP・差別化ポイント(何を)
- 自社サービス・製品の強み
- 競合との違い
- 読者に伝えたい主張・メッセージ
NG表現・避けるべきトピック(なぜ)
- 使用禁止の表現(例:「業界No.1」など根拠のない最上級表現)
- 触れるべきでないトピック(例:競合サービスの批判)
- 避けるべき文体(例:過度にカジュアルな表現)
構成指示は発注側(編集・マーケティング担当)が作成して渡す形が品質安定に有効とされています。ライターに構成から任せると、記事の方向性がブレやすくなるためです。
外注ライター発注前の戦略チェックリスト
発注前に以下のチェックリストを確認することで、品質バラつきを予防できます。このチェックリストを通過してから発注することを習慣化することが重要です。
【チェックリスト】外注ライター発注前の戦略チェックリスト
- ターゲット読者の業種・規模・役職を明文化している
- ターゲット読者が抱える課題・悩みを具体的に記載している
- 自社サービス・製品のUSP(差別化ポイント)を言語化している
- この記事で伝えたい主張・メッセージを明確にしている
- NG表現リスト(使用禁止の言葉・表現)を用意している
- 避けるべきトピック・触れてはいけない内容を整理している
- トンマナ(文体・トーン)のルールを文書化している
- 参考にすべき記事(良い例)を用意している
- 避けるべき記事(悪い例)を用意している
- 記事の構成・見出し案を発注側で作成している
- 想定する文字数・ボリュームを明記している
- 参照すべき情報源・一次情報を指定している
- 納品形式・ファイル形式を指定している
- 修正対応の回数・範囲を事前に合意している
- 納期・スケジュールを明確にしている
公開前のチェックフローで品質を担保する
発注時の戦略共有だけでなく、納品後の品質チェック体制を整備することも重要です。特に近年は生成AIを活用するライターが増えており、チェック体制の重要性が高まっています。
調査(142名対象)によると、フリーランスWebライターの75%が生成AIを活用し、59%が品質向上を実感しているとされています。一方で、生成AI活用の課題として「出力内容の正確性確認」49%、「個性・オリジナリティ」30%、「著作権・権利関係」27%が挙げられています。
AIO(AI+人間編集)型 とは、生成AIでドラフトを作成し、人間の編集者が品質管理・最終調整を行う記事制作体制を指します。このような体制が増加する中、発注側としてもAI利用ポリシーやチェックフローを持つ外注先を選ぶことで、品質バラつきを抑制できます。
ファクトチェックと承認フローの設計
ハルシネーション とは、生成AIが事実と異なる情報を自信を持って出力する現象を指します。AIを活用した記事では、このハルシネーションによる事実誤認が混入するリスクがあり、ファクトチェックの仕組みが不可欠です。
前述の調査で「ライターが十分にリサーチ・事実確認を行っている」と回答したのが約29.3%にとどまる現状を踏まえると、発注側でファクトチェックの仕組みを用意することが重要です。
チェックフローを設計する際のポイントは以下の通りです。
- チェック担当者を明確にする: 誰がファクトチェックを行うか、誰が最終承認するかを決める
- 確認項目を明文化する: 数値の出典確認、固有名詞の正誤、トンマナの一貫性など、チェック項目をリスト化する
- 承認基準を設定する: どの状態になれば公開OKとするか、基準を明確にする
属人的な判断ではなく、プロセスとして品質を担保する仕組みを構築することで、担当者が変わっても品質を維持できます。
まとめ——戦略の言語化と仕組み化で品質バラつきを解消する
本記事では、外注ライターの品質バラつきを解決するための方法を解説しました。
要点の整理:
- 品質バラつきの根本原因は、ライターの能力ではなく、戦略情報(ターゲット・USP・NG)が言語化・共有されていないこと
- ライターを変えても品質が安定しないのは、発注側の仕組みの問題であることが多い
- 発注前に戦略チェックリストを確認し、情報を整理してから発注する
- 公開前のファクトチェック・承認フローを設計し、プロセスで品質を担保する
次のアクション:
まずは本記事で紹介した戦略チェックリストを活用し、次回の発注前に情報を整理してみてください。戦略情報が言語化されていれば、ライターへの指示も明確になり、修正の手戻りを減らすことができます。
外注ライターの品質バラつきは、指示やマニュアルの改善だけでなく、戦略情報(ターゲット・USP・NG)を言語化し全記事に反映させる仕組みと、公開前のチェックフローを構築することで根本的に解決できます。ライター変更ではなく、仕組みの改善が本質的な解決策です。
