オウンドメディアの直帰率が高い場合の課題と本質的な解決の方向性
多くの人が見落としがちですが、オウンドメディアの直帰率を下げるには、ファーストビュー・導線・表示速度の改善に加え、ターゲットと検索意図に合ったコンテンツを提供することが不可欠であり、直帰率改善をCV向上につなげるには戦略(誰に・何を伝えるか)を明確にした上で改善施策を実行する必要があります。
直帰率とは、サイト訪問セッションのうち、1ページだけ見てサイトを離れたセッションの割合を指します。オウンドメディアを運営するBtoB企業にとって、「記事のPVは増えているのに直帰率が高い」「直帰率を改善しても問い合わせやCVが増えない」といった悩みは少なくありません。
BtoBサイト(企業向けサービスサイト)の平均直帰率は約65%前後とされています。この数値を見て「うちも同じくらいだから問題ない」と考えがちですが、重要なのは業界平均との比較ではなく、自社の目的に照らして異常値かどうかを判断することです。
なお、直帰率が高いこと自体が必ずしも悪いわけではありません。1ページで目的が完了するケース(電話番号の確認、単発の情報取得など)では、直帰率が高くても問題ないケースがあります。
この記事で分かること
- 直帰率と離脱率の違い、評価の目安となる数値
- 直帰率が高い原因の特定方法とGA4での確認手順
- ファーストビュー・内部リンク・表示速度など具体的な改善施策
- 直帰率改善をCV向上につなげるための戦略的アプローチ
- 実務で使える直帰率改善チェックリスト
直帰率の定義と評価の基準
直帰率を改善するためには、まず指標の定義と評価基準を正しく理解することが重要です。直帰率は離脱率と混同されやすいですが、両者は異なる指標であり、GA4ではエンゲージメント率という新しい指標も登場しています。
海外調査15本を集約したメタ分析では、全業種平均の直帰率は約55.4%と報告されています(2023年頃のデータ)。ただし、このデータは海外のサイトが中心であり、日本のBtoBサイトにそのまま当てはめる際は注意が必要です。
直帰率の評価目安は以下のように分類されています。
- 26〜40%:非常に優秀
- 41〜55%:平均的
- 56〜70%:高め
- 70%以上:かなり高い
この目安は民間のツールベンダーやマーケティング会社の集計値であり、公的統計ではない点に留意してください。
直帰率と離脱率の違い
直帰率と離脱率は、どちらも「ユーザーがサイトを離れる」ことに関する指標ですが、計算方法と意味が異なります。
直帰率は、サイト訪問セッションのうち、1ページだけ見てサイトを離れたセッションの割合です。つまり、サイトに入ってきた入口ページで、他のページに遷移せずにそのまま離脱した割合を示します。
一方、離脱率は、あるページが閲覧された回数のうち、そのページを最後にサイトから離れた割合です。複数ページを回遊した後に離脱した場合も、最後のページの離脱率としてカウントされます。
直帰率はサイト全体の入口ページの評価に、離脱率は各ページの離脱傾向の評価に使われるのが一般的です。
業種・サイトタイプ別の直帰率目安
直帰率の目安は業種やサイトタイプによって大きく異なります。以下は参考値として紹介しますが、これらは民間データであり公的統計ではない点に注意してください。
| サイトタイプ | 平均直帰率 | 備考 |
|---|---|---|
| BtoBサイト(企業向けサービス) | 約65%前後 | 検討期間が長く、複数回訪問する傾向 |
| 製薬企業オウンドメディア | 47.74% | 2025年上半期データ(SimilarWeb参照) |
| ECサイト | 約50〜55%程度 | 2023年のあるデータでは約54.5% |
| ブログ・コンテンツサイト | 70〜90% | 情報取得が目的のため高くなりやすい |
ブログ・コンテンツサイトの直帰率は70〜90%も珍しくないとされています。オウンドメディアがブログ型のコンテンツサイトである場合、70%を超えていても直ちに異常とは言えません。重要なのは、業界平均と比較することではなく、自社の目的に照らして異常値かどうかを判断することです。
また、GA4ではエンゲージメント率が主要指標として重視される傾向にあります。エンゲージメント率(GA4) とは、エンゲージメントが発生したセッションの割合で、一定時間以上の閲覧・複数ページ遷移・CVなどが条件となります。直帰率とエンゲージメント率は概ね逆の関係(100% - エンゲージメント率 ≒ 直帰率)にあります。
直帰率が高い原因の特定方法
直帰率を改善するためには、まず「なぜ直帰率が高いのか」という原因を特定することが重要です。原因を把握せずに施策を打っても、効果が出ないケースが多いためです。
原因特定のアプローチとして、まず全ページ平均対比で異常値(平均+10〜15ポイント以上)のページを優先的に調査することをおすすめします。また、チャネル別(検索、SNS、広告など)やデバイス別(PC、スマートフォン)で分解して分析すると、原因が特定しやすくなります。
【比較表】直帰率が高い原因と改善施策の対応表
| 原因カテゴリ | 具体的な原因 | 改善施策 |
|---|---|---|
| コンテンツ品質 | タイトルと内容が一致していない | タイトル・見出しの見直し、冒頭での結論提示 |
| コンテンツ品質 | 読者の疑問に答えていない | 検索意図の再分析、コンテンツの加筆修正 |
| コンテンツ品質 | 情報が古い・信頼性が低い | 定期的な更新、出典の明記 |
| ファーストビュー | 読み込みが遅い | 画像圧縮、不要なスクリプト削除 |
| ファーストビュー | 視覚的に読みにくい | フォントサイズ・行間の調整、余白の確保 |
| ファーストビュー | 広告が多すぎる | 広告配置の見直し、数の削減 |
| 導線設計 | 次に読むべきコンテンツがわからない | 関連記事リンクの追加 |
| 導線設計 | CVへの導線がない | 資料DL・問い合わせへのリンク設置 |
| 導線設計 | 内部リンクが少ない | 文脈に合った内部リンクの追加 |
| ターゲット不一致 | 検索キーワードとコンテンツがずれている | キーワード戦略の見直し |
| ターゲット不一致 | ターゲット外の流入が多い | 流入チャネルの分析、広告ターゲティングの調整 |
| 技術的問題 | ページ表示速度が遅い | サーバー性能改善、CDN導入 |
| 技術的問題 | モバイル対応が不十分 | レスポンシブデザインの適用 |
GA4での直帰率・エンゲージメント率の確認方法
GA4では、従来のユニバーサルアナリティクス(UA)とは直帰率の扱いが異なります。GA4ではエンゲージメント率が主要指標となり、直帰率はエンゲージメント率の逆(100% - エンゲージメント率)として捉えます。
GA4で直帰率を確認する主な方法は以下の通りです。
- GA4の「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を開く
- レポートをカスタマイズし、指標に「直帰率」を追加する
- ページごとの直帰率を確認する
また、「探索」機能を使って、チャネル別・デバイス別に直帰率を分解分析することも可能です。
直帰率を下げるための具体的な改善施策
直帰率を下げるための具体的な施策として、ファーストビューの最適化、内部リンクと導線の改善、表示速度の向上などが挙げられます。ただし、ここで重要な点があります。
よくある失敗パターンとして、直帰率が高いからといって、表面的なテクニック(ボタン配置の変更、内部リンクの追加など)だけで対処し、コンテンツの質や戦略(ターゲット・検索意図との一致)を見直さないケースがあります。このアプローチでは、直帰率の数値は下がっても、CV・商談にはつながりません。
テクニックよりも先に、タイトルと内容の一貫性確保が最優先事項です。検索結果で見たタイトルと、実際にページを開いた時の内容がずれていると、読者はすぐに離脱してしまいます。
ファーストビューの最適化
ファーストビューとは、Webページを開いた際にスクロールせずに表示される最初の画面領域を指します。ユーザーがページを開いて数秒で「このページは自分に役立つか」を判断するため、ファーストビューの最適化は直帰率改善の鍵となります。
ファーストビュー最適化のポイントは以下の通りです。
- タイトルと内容の一貫性: 検索結果で表示されるタイトルと、ページ内の見出し・冒頭文が一致していること
- 読者のベネフィット提示: 「この記事を読むと何が分かるか」を冒頭で明示する
- 視覚的なわかりやすさ: 適切なフォントサイズ、行間、余白で読みやすいレイアウトにする
- 不要な要素の削減: ファーストビューを占有する大きな画像や広告を減らす
内部リンクと導線の改善
回遊率とは、1セッションあたりの平均ページビュー数で、サイト内の回遊性を示す指標です。回遊率を高めることで、直帰率の改善にもつながります。
内部リンクと導線の改善ポイントは以下の通りです。
- 関連記事リンクの追加: 記事末尾や本文中に、読者が次に読みたくなる関連記事へのリンクを設置する
- ホワイトペーパー・資料ダウンロード導線: 記事の内容に関連する資料をダウンロードできる導線を追加する
- 文脈に合った内部リンク: 本文中で言及したトピックについて、詳しく解説した記事へリンクする
ただし、やみくもにリンクを追加するのではなく、読者の次の疑問に応える設計が重要です。「この記事を読んだ読者は次に何を知りたいか」を考えて導線を設計しましょう。
直帰率改善をCV向上につなげる実践アプローチ
直帰率を下げることは目的ではなく、最終的にはCV(問い合わせ、資料請求など)や商談の増加につなげることが重要です。直帰率改善とCV向上を連動させるためには、戦略(誰に・何を伝えるか)を明確にした上で施策を実行する必要があります。
以下のチェックリストを活用して、技術的な施策と戦略的な確認項目の両面から直帰率改善に取り組んでください。
【チェックリスト】オウンドメディア直帰率改善チェックリスト
- ターゲットペルソナが明確に定義されているか
- 記事のキーワードとターゲットの検索意図が一致しているか
- タイトルと記事内容が一致しているか
- ファーストビューで記事の価値が伝わる構成になっているか
- 冒頭で結論や要点を提示しているか
- 適切なフォントサイズ・行間・余白で読みやすいレイアウトになっているか
- ページ表示速度は問題ないか(PageSpeed Insightsで確認)
- モバイル表示で問題がないか
- 関連記事へのリンクが設置されているか
- 資料ダウンロードや問い合わせへの導線があるか
- 広告がファーストビューを占有していないか
- 画像が最適化されているか(圧縮、適切なサイズ)
- 不要なスクリプトが読み込まれていないか
- GA4でページごとの直帰率を定期的に確認しているか
- 直帰率の異常値(平均+10〜15ポイント以上)のページを特定しているか
- チャネル別・デバイス別に直帰率を分解分析しているか
- 直帰率改善後のCV率の変化を追跡しているか
- CVから商談化までの導線が設計されているか
ターゲット・検索意図との一致を確認する
直帰率改善の前提として、コンテンツがターゲットの検索意図に合っているかを確認することが重要です。ターゲット外の流入が多い場合、いくらテクニックを駆使しても直帰率は改善しません。
検索キーワードとコンテンツ内容の一致を確認する方法として、以下のアプローチがあります。
- Search Consoleで流入キーワードを確認: 実際にどのようなキーワードでユーザーが流入しているかを把握する
- 検索意図の再分析: 流入キーワードで実際に検索し、上位表示されているページの内容と自社コンテンツを比較する
- ユーザー行動の確認: GA4のユーザーフローで、流入後のユーザー行動パターンを分析する
ターゲット外の流入が多い場合は、キーワード戦略の見直しや、広告配信のターゲティング調整が必要になることがあります。
まとめ:直帰率改善を戦略連動でCV向上につなげる
オウンドメディアの直帰率を下げるためには、ファーストビュー・導線・表示速度といった技術的な改善施策に加え、より本質的なアプローチが求められます。
本記事のポイントを整理すると以下の通りです。
- 直帰率の正しい評価: 業界平均と比較するだけでなく、自社の目的に照らして異常値かどうかを判断する。ブログ・コンテンツサイトでは70%以上でも問題ないケースがある
- 原因の特定が先: 全ページ平均対比で異常値のページを優先調査し、チャネル別・デバイス別に分解分析する
- 表面的なテクニックだけでは不十分: コンテンツの質や戦略(ターゲット・検索意図との一致)を見直すことが重要
- CV向上との連動: 直帰率の低さだけを追うのではなく、最終的なCV・商談増加につなげる視点で施策を実行する
オウンドメディアの直帰率を下げるには、ファーストビュー・導線・表示速度の改善に加え、ターゲットと検索意図に合ったコンテンツを提供することが不可欠です。そして、直帰率改善をCV向上につなげるには、戦略(誰に・何を伝えるか)を明確にした上で改善施策を実行する必要があります。
まずはGA4で現状の直帰率を確認し、本記事で紹介したチェックリストを活用して改善に取り組んでみてください。
