コンテンツの種類を増やしても成果につながらない原因
意外かもしれませんが、オウンドメディアで成果を出すには、コンテンツの種類を増やすだけでなく、全コンテンツを「誰に・何を・なぜ」という戦略に紐づけて設計し、一貫性を保つことが重要です。
オウンドメディアとは、企業が自社で保有・運営するメディアの総称です。Webサイト、ブログ、SNSアカウントなどが該当します。コンテンツマーケティングとは、価値あるコンテンツを通じて見込み顧客を引きつけ、関係構築・購買促進を図る手法です。
2024年の日本のコンテンツ市場規模は約15兆2,602億円(前年比3.9%増)で過去最大を記録しています。コンテンツへの投資が増加する一方で、「記事も動画もホワイトペーパーも作っているのに成果が出ない」という声を聞くことが増えています。
その原因の多くは、コンテンツの種類を増やせば成果が出ると考え、戦略なしに手当たり次第にコンテンツを作成していることにあります。記事・動画・ホワイトペーパーなど種類は揃っていても、各コンテンツでターゲットや訴求がバラバラになり、結果としてPVは増えても商談・受注につながらないケースが多いのです。
この記事で分かること
- オウンドメディアで活用できる主要なコンテンツの種類と特徴
- カスタマージャーニーに応じたコンテンツ選定の考え方
- コンテンツ種類×戦略マッピング表で優先順位を決める方法
- 全コンテンツの一貫性を保つためのチェックリスト
オウンドメディアで活用できるコンテンツの種類と特徴
オウンドメディアで活用できるコンテンツは、記事・ブログ、動画、ホワイトペーパー、事例集、ウェビナー、メールマガジンなど多岐にわたります。それぞれの特徴を理解した上で、自社の戦略に合ったものを選ぶことが成果への近道です。
ただし、ここで陥りがちな誤解があります。「コンテンツの種類を増やせば成果が出る」という考え方です。記事だけでなく動画も、ホワイトペーパーも、ウェビナーもと次々に手を広げた結果、各コンテンツでメッセージがバラバラになってしまうケースは少なくありません。
重要なのは、どのコンテンツにおいても「誰に・何を・なぜ」を統一することです。種類を増やす前に、まず戦略を明確にし、その戦略に沿ったコンテンツを選定する順序で考えましょう。
記事・ブログコンテンツ
記事・ブログコンテンツは、オウンドメディアの基盤となるコンテンツです。主にSEO効果による検索流入獲得、認知拡大、専門性の発信という役割を担います。
検索エンジン経由でターゲットにリーチできるため、認知段階の見込み顧客との接点づくりに適しています。継続的に更新することで、サイト全体の評価向上にも貢献します。
記事コンテンツのポイントは、読者の課題解決に焦点を当てることです。自社のサービス紹介に偏らず、ターゲットが抱える課題に対して有益な情報を提供することで、信頼関係を構築できます。
動画・ホワイトペーパー・事例集
記事以外のコンテンツには、それぞれ固有の役割があります。
動画コンテンツは、複雑な内容を視覚的に分かりやすく伝えることができます。製品デモやサービス説明、専門知識の解説など、テキストだけでは伝わりにくい情報を効果的に届けられます。
ホワイトペーパーとは、専門的な情報や調査結果をまとめた資料です。リード獲得のためのダウンロードコンテンツとして活用され、見込み顧客の情報を取得する入り口として機能します。
事例集は、検討段階にある見込み顧客への説得材料として有効です。自社の製品・サービスがどのような課題を解決したかを具体的に示すことで、導入後のイメージを持ってもらいやすくなります。
これらのコンテンツは、記事で認知を獲得した見込み顧客を、さらに検討・購買段階へと進めるために活用されることが多いです。
カスタマージャーニーに応じたコンテンツ選定の考え方
コンテンツ選定で最も重要なのは、カスタマージャーニーのどの段階の顧客にアプローチするかを明確にすることです。認知・検討・決定の各段階で、有効なコンテンツは異なります。
カスタマージャーニーとは、顧客が認知から購入、継続利用に至るまでの行動・心理の流れを可視化したものです。この流れに沿ってコンテンツを設計することで、見込み顧客を効率的に育成できます。
BtoBオウンドメディアのKPI相場として、月間セッション数10,000、コンバージョン数50、記事公開数月4本、検索上位キーワード数30個程度が一般的な目安とされています。ただし、業種・企業規模により大きく変動するため、自社の状況に合わせて設定することが重要です。
成果指標を意識しながら、各段階に適したコンテンツを配置することで、認知から商談・受注までの流れをスムーズに設計できます。
【比較表】コンテンツ種類×戦略マッピング表
| コンテンツ種類 | 認知段階 | 検討段階 | 決定段階 | 主な役割 |
|---|---|---|---|---|
| 記事・ブログ | ◎ | ○ | △ | SEO流入獲得、課題啓発 |
| 動画 | ○ | ◎ | ○ | 理解促進、イメージ訴求 |
| ホワイトペーパー | ○ | ◎ | ○ | リード獲得、専門性訴求 |
| 事例集 | △ | ○ | ◎ | 導入効果の具体化、信頼構築 |
| ウェビナー | ○ | ◎ | ○ | 双方向コミュニケーション |
| メールマガジン | △ | ◎ | ○ | 継続接点、ナーチャリング |
| インフォグラフィック | ◎ | ○ | △ | 視覚的な情報伝達、SNS拡散 |
| FAQ・用語集 | ○ | ○ | ◎ | 疑問解消、検索対応 |
※ ◎:特に効果的、○:効果あり、△:補助的な役割
このマッピング表を参考に、自社の戦略に基づいて優先すべきコンテンツを選定してください。すべてのコンテンツを同時に展開する必要はありません。まずは戦略上重要な段階に集中し、段階的に拡充していく方法が現実的です。
オウンドメディアの種類と適切なコンテンツ構成
オウンドメディアには複数の形態があり、形態によって適したコンテンツ構成が異なります。自社の目的に合った形態を選び、それに応じたコンテンツを設計することが効果的です。
2024年のインターネット広告費は約3兆6,517億円(前年比109.6%)で、総広告費の47.6%を占めています。また、デジタルマーケティング市場規模は2024年約3,672億4,000万円、2025年予測約4,190億2,000万円(前年比114.1%)と拡大が続いています(矢野経済研究所による事業者売上高ベースの推計値)。
このように、デジタルへの投資が増加する中で、オウンドメディアの役割も多様化しています。
トリプルメディアとは、オウンドメディア、ペイドメディア(広告)、アーンドメディア(口コミ・SNS拡散)の3つを組み合わせた戦略です。オウンドメディア単体で完結するのではなく、広告やSNSと連携させることで効果を最大化できます。
公式サイト型オウンドメディアは、企業サイト内にブログやコラムを設置する形態です。ブランドとの親和性が高く、サービスへの導線設計がしやすい特徴があります。
独立メディア型は、企業名を前面に出さず、特定テーマに特化したメディアとして運営する形態です。より広い層にリーチしやすい反面、自社サービスへの誘導には工夫が必要です。
ハイブリッド型は、両者を組み合わせた形態です。認知獲得用の独立メディアと、商談創出用の公式サイトコンテンツを使い分けるケースが増えています。
コンテンツの一貫性を保つための設計ポイント
コンテンツの種類が増えるほど、一貫性を保つことが難しくなります。すべてのコンテンツで「誰に・何を・なぜ」を統一するための設計ポイントを押さえましょう。
一貫性が崩れると、見込み顧客は「この会社は結局何を強みにしているのか」「自分向けのサービスなのか」が分からなくなります。結果として、PVは増えても問い合わせや商談につながらない状態に陥ります。
一貫性を保つためのポイントは以下の3つです。
1. ターゲット定義の統一 すべてのコンテンツで、同じターゲット像を前提に設計します。記事Aでは大企業向け、記事Bでは中小企業向けというブレがあると、メッセージが散漫になります。
2. 訴求メッセージの統一 自社の強み・価値を、どのコンテンツでも一貫して伝えます。記事ではコスト削減を訴求し、ホワイトペーパーでは品質を訴求するといったブレを避けます。
3. トーン&マナーの統一 文体、デザイン、表現のトーンを統一します。記事はカジュアルなのにホワイトペーパーは堅い文体、といった違いは信頼性を損ないます。
【チェックリスト】コンテンツ一貫性チェックリスト
- ターゲットペルソナが全コンテンツで統一されている
- ペルソナの課題・ニーズが明文化されている
- 自社のUSP(独自価値)が明確に定義されている
- USPが全コンテンツで一貫して訴求されている
- 記事・動画・ホワイトペーパーで矛盾するメッセージがない
- トーン&マナー(文体・表現)が統一されている
- 各コンテンツのCTA(次のアクション)が戦略に沿っている
- カスタマージャーニーの各段階にコンテンツが配置されている
- 新規コンテンツ作成時のチェックプロセスがある
- 既存コンテンツの定期的な一貫性確認を実施している
- コンテンツ制作者が戦略を理解している
- 外注・委託先にも戦略が共有されている
このチェックリストを活用して、自社のコンテンツが一貫性を保てているか定期的に確認してください。
まとめ:戦略に紐づけたコンテンツ設計で成果につなげる
オウンドメディアで活用できるコンテンツは、記事・ブログ、動画、ホワイトペーパー、事例集、ウェビナー、メールマガジンなど多様です。しかし、種類を増やすこと自体が目的になってはいけません。
重要なのは、カスタマージャーニーに応じて適切なコンテンツを選定し、すべてのコンテンツで「誰に・何を・なぜ」を一貫させることです。戦略なしに種類を増やしても、メッセージがバラバラになり、成果にはつながりません。
まずは本記事で紹介した「コンテンツ種類×戦略マッピング表」で優先すべきコンテンツを選定し、「コンテンツ一貫性チェックリスト」で現状を診断してください。
オウンドメディアで成果を出すには、コンテンツの種類を増やすだけでなく、全コンテンツを「誰に・何を・なぜ」という戦略に紐づけて設計し、一貫性を保つことが重要です。戦略に紐づけたコンテンツ設計で、PVだけでなく商談・受注につながる成果を目指しましょう。
