記事を増やしても内部リンクが整理できていない課題
オウンドメディアの内部リンク設計で成功するには、SEO効果を高めるだけでなく、読者の検討ステージに合わせた導線を設計し、CVR・商談化につなげる構造として捉えることで、より高い成果を実現できます。
記事を増やしているのに成果が上がらない。内部リンクを設置しているが整理できておらず、読者が回遊してくれない。このような課題を抱えているBtoBオウンドメディア担当者は少なくありません。
海外調査(ZYPPY社の約1,800サイト・52万URL分析)によると、内部リンク0〜4件のページは平均2クリック、40〜44件では平均8クリック(4倍)を獲得しているという結果があります。内部リンクの設計がクリック数に影響を与えることを示すデータですが、海外調査であるため日本市場への適用には注意が必要です。
重要なのは、内部リンクを単なるSEOテクニックとして捉えるのではなく、読者を適切なコンテンツへ導き、最終的にCVR・商談化につなげる構造として設計することです。
この記事で分かること
- 内部リンクの基本概念とSEO効果の仕組み
- トピッククラスターモデルによる体系的な内部リンク設計
- 内部リンクの設置場所ごとの効果と比較
- CVR・商談化を意識した導線設計チェックリスト
- 既存記事への内部リンク追加・改善の方法
内部リンクの基本とSEO効果
内部リンクとは、同一ドメイン内のページ同士をつなぐリンクのことです。適切に設計することで、SEO効果と読者の回遊性向上の両方を実現できます。
日本のBtoB営業系オウンドメディアの調査では、優良メディアの内部リンク数は平均6.4本という結果が出ています(Cone社の独自調査であり、サンプル数や調査方法は明示されていない点に留意が必要です)。ただし、内部リンク本数の「正解」は業種や記事タイプによって異なるため、この平均値を絶対視せず、あくまで目安として捉えることが重要です。
リンクジュースとは、ページが持つ評価を内部リンクによって他のページにも渡せる仕組みです。重要なページに内部リンクを集中させることで、そのページのSEO評価を高める効果が期待できます。
アンカーテキストとは、リンクのクリック可能なテキスト部分です。リンク先の内容を示すキーワードを含めることでSEO効果が高まります。
アンカーテキストの正しい設定方法
アンカーテキストは、リンク先の内容を示すキーワードを含めることが重要です。
「こちら」「この記事」だけのアンカーテキストでは、検索エンジンがリンク先のテーマを理解しにくく、SEO効果が薄くなるとされています。具体的なキーワードを含めることで、リンク先のページが何についてのコンテンツなのかを明確に伝えられます。
例えば「詳しくはこちら」ではなく「リード獲得の具体的な方法はこちら」のように、リンク先の内容を示すキーワードを含めた表現が効果的です。
トピッククラスターモデルによる内部リンク設計
トピッククラスターモデルとは、1つの包括ページ(ピラー)と関連する複数の詳細ページ(クラスター)を内部リンクで体系的につなぐ情報設計手法です。
HubSpot Japanはトピッククラスターモデルを50名体制で実践しており、既存記事の再編でオーガニックトラフィックが2〜3倍になったケースがあります。ただし、この成果は内部リンク+構造設計+コンテンツ改善の複合要因であり、内部リンク単独の効果ではないことに注意が必要です。
トピッククラスターモデルの基本は、ピラーページからクラスターコンテンツへ、クラスターコンテンツからピラーページへの双方向リンクを設計することです。これにより、特定テーマに関するコンテンツ群全体のSEO評価を高めることが期待できます。
ピラーページとクラスターコンテンツの関係
ピラーページとは、特定テーマを網羅的に解説する長尺の基軸ページです。クラスター記事からリンクを集める中心的存在として機能します。
クラスターコンテンツとは、ピラーページのテーマを細分化した個別テーマの記事です。ピラーへのリンクと相互リンクで構造化されます。
ピラーページは包括的な長尺ページとして読者の全体像理解を助け、クラスターコンテンツは細分化した個別テーマを深掘りする役割分担となります。読者は興味に応じてクラスターコンテンツを回遊し、全体像を把握したいときにピラーページに戻る導線が設計されます。
内部リンクの設置場所と効果
内部リンクの設置場所によって、SEO効果と読者の行動への影響は異なります。本文中の自然なリンク(キーワードにリンク)が、フッターやサイドバーのリンクより評価されやすいとされています。
【比較表】内部リンク設置場所と効果の比較表
| 設置場所 | SEO効果 | 読者の回遊効果 | 実装難易度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 本文中(キーワードリンク) | 高 | 高 | 中 | 文脈に沿った自然な配置が重要 |
| 記事末尾(関連記事) | 中 | 中 | 低 | 読了後の回遊を促進 |
| サイドバー | 低〜中 | 中 | 低 | 常時表示されるが目立ちにくい |
| フッター | 低 | 低 | 低 | サイト全体の構造把握に貢献 |
| パンくずリスト | 中 | 低 | 低 | 階層構造の理解に役立つ |
| 目次リンク | 低 | 高 | 低 | ページ内ナビゲーション |
ZYPPY社の海外調査では、内部リンク0〜4件のページは平均2クリック、40〜44件では平均8クリックを獲得しているとされています(海外調査のため日本市場への適用には注意が必要です)。
ここで注意すべきは、内部リンクを「SEOテクニック」としてのみ捉え、関連記事に機械的にリンクを貼るだけでは成果につながらないということです。記事間の戦略的なつながり(誰を・どの検討ステージから・どこへ導くか)を意識しないと、回遊しても成果に結びつきません。これは多くのオウンドメディアが陥りやすい失敗パターンです。
CVR・商談化を意識した内部リンク導線設計
SEO効果だけでなく、CVR(コンバージョン率)や商談化につなげる内部リンク導線設計が重要です。読者の検討ステージに合わせて、次に読むべきコンテンツやCVポイントへの導線を設計します。
記事中盤の課題喚起直後にホワイトペーパーへのリンクを置くとCV効果が高いとされています。読者が課題を認識した直後に解決策を提示することで、資料ダウンロードや問い合わせへの導線が効果的に機能します。
【チェックリスト】オウンドメディア内部リンク設計チェックリスト
- ピラーページとクラスターコンテンツの関係が明確に設計されているか
- ピラーからクラスター、クラスターからピラーへの双方向リンクがあるか
- アンカーテキストにリンク先の内容を示すキーワードが含まれているか
- 「こちら」「この記事」だけのアンカーテキストを避けているか
- 本文中の自然な文脈でリンクを設置しているか
- 読者の検討ステージに合わせた次のコンテンツへの導線があるか
- 課題喚起の直後にホワイトペーパーや資料への導線があるか
- 記事末尾に関連記事へのリンクがあるか
- 内部リンク数が適切か(目安:1記事4〜10本程度)
- 重要なページに内部リンクが集中しているか
- CVポイント(問い合わせ・資料請求)への導線が設計されているか
- 新規記事公開時に既存記事からのリンク追加を行っているか
- 定期的に内部リンクの効果を検証しているか
- 孤立しているページ(内部リンクがないページ)がないか
- リンク切れが発生していないか
既存記事への内部リンク追加・改善
既存記事を見直して内部リンクを追加・改善することで、コンテンツ全体のSEO効果と回遊性を高められます。
HubSpot Japanの事例では、既存記事の再編でオーガニックトラフィックが2〜3倍になったケースがあります。ただし、これは内部リンク+構造設計+コンテンツ改善の複合要因であり、単一施策の効果と誤解しないことが重要です。
既存記事の内部リンク改善では、まず孤立しているページ(内部リンクがないページ)を特定し、関連するコンテンツからリンクを追加することから始めます。また、新規記事を公開する際に、関連する既存記事へのリンクと、既存記事から新規記事へのリンクを同時に設計することで、継続的にリンク構造を強化できます。
まとめ:SEOとCVRの両方を高める内部リンク設計
本記事では、オウンドメディアの内部リンク設計について解説しました。
ポイントを整理すると以下のとおりです。
- 日本のBtoB営業系オウンドメディアの優良メディアでは内部リンク数は平均6.4本(ただし業種・記事タイプにより異なる)
- トピッククラスターモデルによる体系的なリンク設計がSEO効果を高める
- 本文中の自然なリンク(キーワードにリンク)がフッターより評価されやすい
- 機械的なリンク設置ではなく、読者の検討ステージを意識した導線設計が重要
- 内部リンク単体ではなく、コンテンツ品質との複合施策が成果の前提
本記事で紹介したチェックリストを活用して、自社サイトの内部リンク設計を診断してください。オウンドメディアの内部リンク設計は、SEO効果を高めるだけでなく、読者の検討ステージに合わせた導線を設計し、CVR・商談化につなげる構造として捉えることで、より高い成果を実現できます。
