オウンドメディアのレギュレーションが品質を左右する理由
ずばり、オウンドメディアのレギュレーションは「表記ルール」だけでなく「戦略ルール(誰に・何を・なぜ)」を含めて設計することで、表記の統一と主張の一貫性を両立できます。
「外部ライターに依頼すると記事の品質がバラバラになる」「記事ごとに主張や切り口が違って、オウンドメディア全体の一貫性がない」——このような課題を抱えるBtoB企業の編集担当者は少なくありません。
レギュレーションとは、オウンドメディア運用における統一ルール・ガイドラインの総称で、表記・トーン・法的規制等を明文化したものです。実務上の目安として、表記統一により校正工数が15-25%程度削減でき、レギュレーション未設定のメディアでは外注時の修正率が20-30%増加する傾向があると言われています(ただし、公的な統計ではなく実務者の経験則に基づく目安です)。
表記揺れとは、同一メディア内で同じ意味の語句が異なる表記で使われる状態を指し、読者の混乱とブランドイメージ低下の原因になります。
この記事で分かること
- レギュレーションで定めるべき基本項目(表記ルール、トーン&マナー、法的リスク対応)
- 表記ルールだけでは防げない「主張のブレ」への対処法
- すぐに使えるレギュレーションテンプレート
- 記事公開前のレギュレーション確認チェックリスト
レギュレーションで定めるべき基本項目
レギュレーションに含めるべき項目は、大きく4つのカテゴリに分類できます。表記ルール、トーン&マナー、SEO・E-E-A-T関連ルール、法的リスク対応です。
トーン&マナーとは、ブランドの印象を統一するための文体・表現スタイルの指針で、読者との一貫したコミュニケーションを実現するために設定します。
E-E-A-Tとは、Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性)の略で、Googleの品質評価基準として知られています。オウンドメディアのレギュレーションでは、このE-E-A-T基準を意識した品質規定を設けることが重要です。
表記ルール:文体・表記揺れ・記号の統一
表記ルールは、レギュレーションの基本となる項目です。主に以下の内容を定めます。
文体の統一
- 「ですます調」か「である調」かを統一
- 文末表現の連続使用を避ける(同じ語尾が3回以上続かないようにする)
表記揺れの防止
- 「ユーザー」と「ユーザ」→「ユーザー」に統一
- 「〜等」と「〜など」→「〜など」に統一
- 「サービス」と「サーヴィス」→「サービス」に統一
- 英数字の全角・半角→半角に統一
記号・数字のルール
- カッコの種類(「」『』()など)の使い分け
- 句読点の使用ルール
- 数字の表記(アラビア数字か漢数字か)
トーン&マナー:ブランドの印象を統一する
トーン&マナーでは、文体だけでなく、読者に与える印象を定義します。
文体の硬さ・柔らかさ
- フォーマル寄り:「〜と考えられます」「〜が重要です」
- カジュアル寄り:「〜ですよね」「〜しましょう」
専門用語の使用方針
- 業界用語を使う場合は初出時に定義を付ける
- 略語は初出時に正式名称を併記する
禁止表現
- 他社の不当な批判
- 最上級表現(「業界No.1」「最強」等)の根拠のない使用
- 効果の断定表現(「必ず成功する」「確実に」等)
表記ルールだけでは防げない「主張のブレ」への対処
「表記ルールさえ決めれば品質が安定する」という考え方は不十分です。 表記が統一されていても、記事ごとにターゲットや伝えるべきメッセージがブレていては、オウンドメディア全体の一貫性は担保できません。
例えば、同じオウンドメディア内で以下のような状態が起きていないでしょうか。
- 記事Aは初心者向けに書かれているが、記事Bは専門家向けの内容になっている
- 記事Aでは「コスト削減」を訴求しているが、記事Bでは「品質向上」を訴求している
- 記事ごとに異なる競合との比較軸を使っている
このような「主張のブレ」は、表記ルールでは解決できません。必要なのは「戦略ルール」です。
戦略ルール(誰に・何を・なぜ)をレギュレーションに組み込む
戦略ルールとは、「誰に」「何を」「なぜ」伝えるのかを明文化したルールです。これをレギュレーションに組み込むことで、表記の統一と主張の一貫性を両立できます。
誰に(ターゲット)
- ペルソナの定義(業種、役職、課題、ニーズ)
- 想定する読者の知識レベル
- 記事を読むシチュエーション
何を(メッセージ)
- 自社の強み・差別化ポイント
- 読者に伝えるべき価値提案
- 競合との比較軸
なぜ(目的)
- 記事で達成したいゴール(認知、リード獲得、商談化など)
- KPI/KGI(重要業績評価指標/重要目標達成指標)との紐付け
KPI/KGIについて補足すると、KPIは中間目標、KGIは最終目標を指します。オウンドメディアではPV・CV・問い合わせ数等で設定するのが一般的です。
レギュレーションテンプレートの構成と作り方
レギュレーションテンプレートは、表記ルールと戦略ルールを一体化した文書として作成することで、外部ライターへの依頼時にも活用できます。
あるBtoB企業では、トーン統一を含むコンテンツ企画の整備により、月間ユーザー数が大幅に増加しCV数も改善したという事例があります。また別の事例では、高品質コンテンツ(トーン統一)でオーガニック流入を強化し、月間アクセスや受注件数が大きく向上したという報告もあります(いずれもコンサルティング企業の自社報告であり、第三者検証はされていません。企業規模や業種により結果は異なります)。
以下のテンプレートを自社の状況に合わせてカスタマイズしてください。
【テンプレート】オウンドメディアレギュレーションテンプレート
■ 1. 基本情報
メディア名: {{メディア名}} 運営会社: {{会社名}} 更新日: {{YYYY年MM月DD日}} 作成者: {{担当者名}}
■ 2. 戦略ルール(誰に・何を・なぜ)
【ターゲット(誰に)】 ペルソナ名: {{ペルソナ名}} 業種: {{業種}} 役職: {{役職}} 主な課題: {{課題}} ニーズ: {{ニーズ}} 想定知識レベル: 初心者 / 中級者 / 上級者
【メッセージ(何を)】 自社の強み: {{自社の強み・USP}} 差別化ポイント: {{競合との違い}} 読者に伝える価値: {{価値提案}}
【目的(なぜ)】 記事の目的: 認知拡大 / リード獲得 / 商談化促進 / ナーチャリング KGI: {{最終目標}} KPI: {{中間指標}}
■ 3. 表記ルール
【文体】 基本文体: ですます調 連続同一語尾: 3回以上禁止
【表記統一】 ・「ユーザー」(×ユーザ) ・「〜など」(×〜等) ・英数字は半角 ・カッコは「」を基本、引用は『』
【禁止表現】 ・他社の不当な批判 ・最上級表現(根拠なし) ・効果の断定(「必ず」「確実に」)
■ 4. トーン&マナー
【文体の印象】 硬さ: ややフォーマル / 中立 / ややカジュアル
【専門用語】 ・初出時は定義を付ける ・略語は初出時に正式名称を併記
■ 5. SEO・E-E-A-T関連
【構成ルール】 ・H2は記事内で最大6個 ・各セクションの冒頭で結論を述べる
【E-E-A-T対応】 ・一次情報、実体験を優先 ・出典を明記 ・著者情報を記載
■ 6. 法的リスク対応
・景品表示法:根拠のない優良誤認表示を避ける ・著作権:引用ルールを遵守 ・個人情報:事例紹介時は許諾を取得
差し込み変数:
- {{メディア名}}: 自社メディアの名称
- {{会社名}}: 運営会社名
- {{ペルソナ名}}: 想定読者の呼称
- {{自社の強み・USP}}: 競合と比較した際の独自の価値
外部ライターへの依頼時に共有すべき項目
外部ライターに記事制作を依頼する際は、レギュレーションの全体を共有するだけでなく、特に以下の項目を明確に伝えることが重要です。
必須共有項目
- ターゲットペルソナ(誰に向けた記事か)
- 伝えるべきメッセージ(何を伝えるか)
- 記事の目的(なぜこの記事を書くか)
- 表記ルールの要点(文体、表記揺れ防止リスト)
- 禁止表現リスト
実務上の傾向として、レギュレーションが未設定のメディアでは、外注時の修正率が増加しやすいと言われています。戦略ルール(誰に・何を・なぜ)を事前に共有することで、ライターが記事の方向性を理解し、手戻りを減らすことができます。
記事公開前のレギュレーション確認フロー
レギュレーションを作成しただけでは、品質は担保されません。記事公開前のレビュープロセスでレギュレーションを確認する仕組みを組み込むことが重要です。
以下のチェックリストを活用して、公開前の確認を行ってください。
【チェックリスト】記事公開前レギュレーション確認チェックリスト
- ターゲットペルソナが明確で、レギュレーションで定義したペルソナと一致している
- 記事の主張が自社の差別化ポイントと整合している
- 記事の目的(認知/リード獲得/商談化等)が明確である
- 文体が「ですます調」で統一されている
- 表記揺れがない(ユーザー、〜など、半角英数字等)
- 同一語尾が3回以上連続していない
- 禁止表現(最上級表現、効果の断定等)が含まれていない
- 専門用語は初出時に定義が付いている
- 略語は初出時に正式名称が併記されている
- 各H2セクションの冒頭で結論・要点が述べられている
- 事実やデータには出典が明記されている
- 他社の不当な批判が含まれていない
- 著作権に関するルールが遵守されている
- 事例紹介で個人情報に触れる場合は許諾を確認済み
- 著者情報・執筆者情報が記載されている
AIツール・校正ツールとの併用方法
少人数でオウンドメディアを運用している場合、AI校正ツールや文章校正ツールを活用することで、表記揺れの自動チェックが可能です。
ツール活用のポイント
- 表記揺れチェック:レギュレーションで定めた表記ルールをツールに登録し、自動検出する
- 文体チェック:文末表現の連続や禁止表現の検出を自動化する
- 人間によるレビュー:戦略ルール(ターゲットとの整合性、メッセージの一貫性)はツールでは判断できないため、人間が確認する
ツールに頼りすぎず、最終的な品質判断は人間が行うことが重要です。特に「主張のブレ」の確認はツールでは難しいため、レビュー担当者が戦略ルールとの整合性を確認してください。
まとめ:表記の統一と主張の一貫性を両立するレギュレーション
本記事では、オウンドメディアのレギュレーション作成について、表記ルールと戦略ルールの両面から解説しました。
重要なポイント
- レギュレーションには表記ルール(文体、表記揺れ、記号)だけでなく、戦略ルール(誰に・何を・なぜ)を含める
- 「表記ルールさえ決めれば品質が安定する」という考え方は不十分であり、主張のブレは表記ルールでは防げない
- 外部ライターへの依頼時は、戦略ルールを明確に共有することで手戻りを減らせる
- 記事公開前のチェックリストを活用し、レビュープロセスにレギュレーション確認を組み込む
まずは本記事のテンプレートを参考に、自社のレギュレーションを整備してみてください。表記の統一と主張の一貫性を両立することで、オウンドメディア全体の品質向上につながります。
オウンドメディアのレギュレーションは「表記ルール」だけでなく「戦略ルール(誰に・何を・なぜ)」を含めて設計することで、表記の統一と主張の一貫性を両立できます。
