コンテンツの品質チェックが「担当者任せ」になっていないか
多くの方が悩む記事の校正と校閲の違い。結論は、校正と校閲の違いを理解することは出発点であり、成果につなげるには、チェック項目を明文化し承認フローに組み込むことで、担当者に依存しない品質管理の仕組みを構築することが重要です。
コンテンツの品質チェックを担当者任せにしていると、以下のような問題が発生しやすくなります。
- 担当者によってチェック基準がバラバラで、品質にばらつきが生じる
- 担当者が変わるたびに、過去に防げていたミスが再発する
- 「校正と校閲の違いは?」と聞かれても、明確に答えられない
この記事では、校正と校閲の違いを正確に理解した上で、BtoB企業のコンテンツ運用に落とし込む方法を解説します。
この記事で分かること
- 校正と校閲の違いと、それぞれの役割
- 校正・校閲の具体的なチェックポイント
- 属人化を防ぐ仕組み化の方法
- すぐに使えるチェックリスト
校正と校閲の違いを整理する
校正とは、誤字脱字、文法ミス、表記揺れ、レイアウト異常などを検出し修正する作業です。文章の「形式面」をチェックします。
校閲とは、内容の事実確認、論理的一貫性、正確性を検証する作業です。文章の「内容面」をチェックします。
「校正と校閲は同じ作業」という誤解がありますが、チェック対象が明確に異なります。以下の比較表で違いを整理します。
【比較表】校正・校閲の違い比較表
| 観点 | 校正 | 校閲 |
|---|---|---|
| チェック対象 | 形式面(文字・記号・レイアウト) | 内容面(事実・論理・正確性) |
| 主な作業内容 | 誤字脱字の修正、表記ゆれの統一、リンク切れ確認 | 事実確認、引用の検証、論理的整合性チェック |
| 発見できるミス | タイプミス、文法エラー、表記の不統一 | 事実誤認、根拠のない主張、論理の飛躍 |
| 必要なスキル | 日本語の正確な知識、細部への注意力 | 調査能力、論理的思考力、専門知識 |
| ツールによる自動化 | AIツールで効率化可能 | 人間の判断が必要な部分が多い |
| 実施タイミング | 校閲の前に実施することが一般的 | 校正の後に実施することが一般的 |
校正とは|形式面のチェック
校正は、誤字脱字、文法ミス、表記揺れ、レイアウト異常などを検出し修正する作業です。文章の「形式面」をチェックする工程であり、内容の正しさは校正の範囲外です。
表記ゆれとは、同じ意味の言葉が異なる表記で混在することを指します。たとえば、「サーバー」と「サーバ」、「ユーザー」と「ユーザ」のような表記の不統一です。校正でチェックする主要項目の一つです。
Webコンテンツにおける校正の主なチェック項目は以下の通りです。
- 誤字脱字(タイプミス、変換ミス)
- 文法ミス(主語と述語の対応、助詞の使い方)
- 表記ゆれ(同じ用語の表記統一)
- 句読点・記号の使い方
- リンク切れ、画像の表示確認
校閲とは|内容面のチェック
校閲は、内容の事実確認、論理的一貫性、正確性を検証する作業です。文章の「内容面」をチェックする工程であり、形式が正しくても内容が間違っていれば問題です。
ファクトチェックとは、記事内の事実関係(数値、固有名詞、引用等)が正確かどうかを確認する作業です。校閲の中核的な役割を担います。
E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の略で、Googleの品質評価指標です。校閲によって記事の正確性を担保することは、E-E-A-T向上にもつながります。
校正の具体的な作業内容とチェックポイント
校正は形式面のチェックであり、ルールを明確にすることで効率化が可能です。
JBpressはAI校正ツールを導入し、多様な寄稿者原稿の校正ルールを標準化しました。その結果、編集長の最終修正作業が削減されたと報告されています。
校正でチェックすべき具体的な項目は以下の通りです。
- 誤字脱字: 変換ミス、タイプミス、文字の脱落
- 文法ミス: 主語と述語の対応、助詞の使い方、敬語の誤用
- 表記ゆれ: 「サーバー/サーバ」「ユーザー/ユーザ」などの統一
- 数字表記: 半角/全角の統一、単位の表記
- リンク切れ: URLが正しく機能するか確認
- 画像・図表: 正しく表示されるか、alt属性が設定されているか
表記統一表とNGワードリストの活用
校正ルールを標準化するために、表記統一表とNGワードリストを作成することが有効です。
表記統一表には、自社のコンテンツで使用する表記ルールを明記します。たとえば「サーバー」を正とし「サーバ」は使用しない、といったルールです。
NGワードリストには、使用を避けるべき表現を記載します。誇大表現や不適切な表現を事前に定義しておくことで、チェック漏れを防ぎます。
AI校正ツールを活用することで、形式チェックを自動化し、人間はより重要な内容チェックに集中できるようになります。
校閲の具体的な作業内容とチェックポイント
校閲は内容面のチェックであり、事実確認や論理検証が中心です。形式が正しくても、内容が間違っていれば記事の信頼性は損なわれます。
ChatGPT初稿に人間による校閲を追加することで、制作工数50%削減と記事数増加を実現した事例が報告されています。AI初稿であっても、人間による内容確認は必須です。
「校正も校閲も担当者がしっかりチェックすれば大丈夫」という考え方は危険です。チェック項目や基準が明文化されていないと、担当者によって品質がばらつき、人が変わるたびにミスが発生するリスクがあります。これは典型的な失敗パターンです。
校閲でチェックすべき具体的な項目は以下の通りです。
- 事実確認: 引用した数値、統計データ、固有名詞が正確か
- 出典の検証: 引用元が実在し、正確に引用されているか
- 論理的整合性: 主張と根拠が対応しているか、矛盾がないか
- 最新性: 引用したデータが古くなっていないか
- 法的リスク: 著作権侵害、商標権侵害のリスクがないか
専門家監修とE-E-A-T対応
専門領域の記事では、専門家による校閲・監修が重要です。
人材サービス企業がFAQ記事に専門家校閲を追加しE-E-A-T対応した結果、CV(資料請求)が20%増加したという事例があります(ただし、これは個別事例であり、成果は企業規模・運用体制により異なります)。
YMYL(Your Money or Your Life)領域、つまり医療・金融・法律などの分野では、専門家による監修が必須です。一般的なコンテンツ担当者だけでは、専門的な正確性を担保することが困難なためです。
校正・校閲を仕組み化して属人化を防ぐ方法
校正・校閲を属人化させないためには、工程を分担し、チェックリストと承認フローを整備することが重要です。
ある記事制作サービスでは、ディレクター・ライティング・校閲・校正を工程分担し、累計13,767本のSEO記事を制作しています。HRシステム導入企業の事例では、月間訪問者数が200未満から3,000超に増加したと報告されています(ただし、自社実績報告であり第三者検証はされていません。訪問者増加は校正・校閲だけでなく複合施策の結果です)。
また、AIライティングツールを導入し、サテライト記事制作(校正含む)で従来3〜5日かかっていた工程を1日以内に短縮した事例も報告されています。
【チェックリスト】校正・校閲チェックリスト
- 誤字脱字がないか確認した
- 文法ミス(主語と述語の対応、助詞の使い方)を確認した
- 表記ゆれが統一されているか確認した(表記統一表を参照)
- 数字表記(半角/全角、単位)が統一されているか確認した
- 句読点・記号の使い方が適切か確認した
- リンク切れがないか確認した
- 画像・図表が正しく表示されるか確認した
- alt属性が設定されているか確認した
- 引用した数値・統計データが正確か確認した
- 出典が実在し、正確に引用されているか確認した
- 主張と根拠の論理的整合性を確認した
- 引用データが最新か確認した
- 著作権侵害のリスクがないか確認した
- 商標権侵害のリスクがないか確認した
- 専門領域の内容は専門家によるレビューを受けた
- NGワードリストに該当する表現がないか確認した
- 最終承認者による確認を完了した
校正と校閲は別工程として分ける
校正と校閲を同じ人が同時に行うと、見落としが発生しやすくなります。形式面と内容面では注意を向ける対象が異なるため、別工程として分けることを推奨します。
また、自己チェックには限界があります。自分が書いた文章は、無意識に「正しい」と読んでしまう傾向があるため、第三者によるチェックが有効です。
承認フローとチェックリストの整備
公開前に必ずチェックが入る仕組みを構築することが重要です。
具体的には、以下のような承認フローを整備します。
- ライター(執筆者)による自己チェック
- 校正担当者による形式チェック
- 校閲担当者による内容チェック
- 最終承認者による公開判断
チェックリストを使うことで、担当者が変わっても品質を維持できます。「この項目をすべてチェックしたら公開OK」という明確な基準があれば、属人化を防ぐことができます。
まとめ:校正・校閲の違いを理解し、仕組みで品質を担保する
本記事では、校正と校閲の違いと、BtoB企業のコンテンツ品質管理を仕組み化する方法を解説しました。
- 校正は形式面(誤字脱字、表記ゆれ、リンク切れ等)のチェック
- 校閲は内容面(事実確認、論理的整合性、正確性)のチェック
- 校正と校閲は別工程として分けることで見落としを防止
- チェックリストと承認フローで属人化を防ぐ
校正と校閲の違いを理解することは出発点であり、成果につなげるには、チェック項目を明文化し承認フローに組み込むことで、担当者に依存しない品質管理の仕組みを構築することが重要です。
まずは本記事で紹介したチェックリストを使い、自社のコンテンツ品質管理プロセスを点検してみてください。どの項目でチェックが漏れているかを確認することで、優先的に整備すべきポイントが明確になります。
