PVは増えているのに問い合わせが増えない——よくある悩みと根本原因
PVとCVRの違いを正しく理解して成果を出すには、BtoB企業の成果(商談・受注)を目指すなら、PV増加よりもCVR・商談化率まで一貫して追う仕組みを構築することが優先であり、そのためには戦略(ターゲット・USP)を全コンテンツに反映させる必要があります。
「SEO施策を強化してPVは増えたのに、問い合わせが全然増えない」「記事を量産しているが、商談につながるリードが獲得できない」——BtoB企業のマーケティング担当者から、こうした悩みをよく耳にします。
この問題の根本原因は、PV(ページビュー)とCV(コンバージョン)・CVR(コンバージョン率)の違いを正しく理解せず、PV増加だけを追い求めてしまうことにあります。
この記事で分かること
- PV・CV・CVRの定義と計算方法
- PVを増やしてもCVが増えない構造的な理由
- PV重視とCVR重視——自社はどちらを優先すべきかの判断基準
- CVRから商談化率・受注率まで追う仕組みの重要性
PV・CV・CVRの定義と計算方法——基礎知識を整理する
PV・CV・CVRはWebマーケティングの基本指標ですが、それぞれの意味と関係性を正確に理解していないと、誤ったKPI設計をしてしまう可能性があります。まずは定義を整理しましょう。
PV(ページビュー) とは、Webサイト内のページが閲覧された延べ回数を指します。同一ユーザーが同じページを複数回読み込んでも、そのたびに1PVとしてカウントされます。
CV(コンバージョン) とは、事業側が成果とみなす行動の達成数を指します。BtoBでは資料請求、問い合わせ、ホワイトペーパーDL、トライアル申込などが該当します。
CVR(コンバージョン率) とは、訪問者のうちCVに至った割合を指します。一般的にはCV数÷訪問数(セッション数)×100で算出しますが、分母をPVとする場合もあります。
国内BtoBサイトの問い合わせ・資料請求CVRは0.5〜3%程度が多いレンジとされています(ただし、業種・単価・CVの定義で大きく変動するため、あくまで目安として参照してください)。また、ホワイトペーパーDLなど低ハードルCVでは3〜10%のCVRが出るケースもありますが、問い合わせより受注率は低くなりがちです。
PVとCVの違い——トラフィックと成果の関係
PVは「閲覧数」、CVは「成果」という根本的な違いがあります。PVが増えることは、サイトへのトラフィックが増えていることを意味しますが、それが必ずしも問い合わせや商談という成果に直結するわけではありません。
PVとCVは比例関係にあるとは限りません。ターゲット外のユーザーからのPVが増えても、CVにはつながりにくいためです。
CVRの計算方法と分母の違い
CVRの計算式は以下の通りです。
CVR(%)= CV数 ÷ 訪問数(セッション数)× 100
分母を訪問数(セッション数)とするのが一般的ですが、PVを分母にする場合もあります。他社データと比較する際は、CVRの定義(分母が何か)を揃えることが重要です。
PVを増やせばCVも増える——この誤解が成果を遠ざける理由
**「PVを増やせばCVも比例して増える」という考え方は誤りです。**PVとCVの違いを理解していても、結局「まずはPVを増やそう」というPV偏重の施策に陥り、商談・受注につながらないコンテンツを量産してしまうパターンがよく見られます。
PV偏重の問題点は以下の通りです。
- CV設計が曖昧なまま記事を量産してしまう
- 導線が整備されておらず、PVがCVにつながらない
- ターゲット外のトラフィックが増えるだけで、商談化しない
トラフィックとCVは必ずしも比例しません。CVを増やすには、PV増加よりも先にCV設計とCVR改善を行うことが重要です。
PV増加がCV・商談につながらない構造的な理由
PV増加がCV・商談につながらない背景には、構造的な問題があります。
戦略不在の問題 ターゲット・USPが不明確なままコンテンツを量産すると、PVは増えてもCVにはつながりません。「誰に・何を伝えるか」が曖昧なコンテンツは、読者の課題解決に至らず、問い合わせという行動を引き出せないためです。
品質問題 コンテンツの品質が低いと、PVがあってもすぐに離脱され、CVにつながりません。読者が求める情報が不足している、あるいは信頼性に欠ける内容では、問い合わせや資料請求というアクションにはつながりにくいです。
ファネル全体を見ていない問題 PV→CV→商談→受注というファネル全体を見ないと、ボトルネックが特定できません。PVだけを追うと、CVRや商談化率の問題を見落としてしまいます。MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動で獲得した見込み顧客のうち、一定の基準を満たし営業へ引き渡す価値があると判断されたリードを指します。PVからMQL、さらに商談・受注まで一貫して追う視点が必要です。
PV重視とCVR重視——自社はどちらを優先すべきか
PV重視とCVR重視は二者択一ではなく、自社の状況に応じて優先順位を判断することが重要です。以下の比較表を参考に、自社がどちらを優先すべきか検討してください。
LTV(ライフタイムバリュー) とは、顧客が取引期間全体で企業にもたらす収益の総額を指します。単価・LTVが高い商材ほど、CVRや商談化率を重視する傾向があります。
【比較表】PV重視型サイトとCVR重視型サイトの比較
| 比較項目 | PV重視型 | CVR重視型 |
|---|---|---|
| サイトの目的 | 認知拡大・ブランディング | 問い合わせ・商談獲得 |
| 主なKPI | PV数・UU数・滞在時間 | CVR・CV数・商談化率 |
| 適した業種・商材 | メディア・広告収益モデル | BtoB・高単価商材 |
| 主な課題 | マネタイズ・収益化 | リードの質・商談転換 |
| 優先すべき施策 | SEO・SNS・コンテンツ量産 | フォーム改善・導線最適化・中間CV設置 |
| 成果が出るまでの期間 | 中長期(半年〜) | 短期(1〜3か月程度) |
PV重視が適しているケース
PV重視が有効なのは、以下のようなケースです。
- 認知フェーズでリード数が絶対的に足りない段階
- メディア型サイト(広告収益モデル)を運営している場合
- ブランド認知拡大が主目的の場合
ただし、BtoB企業で商談・受注が最終目的の場合、PV重視だけでは成果につながりにくいケースが多いです。
CVR重視が適しているケース
CVR重視が有効なのは、以下のようなケースです。
- BtoB企業で商談・受注が目的の場合
- 高単価・高LTV商材を扱う場合
- すでに一定のトラフィックがあるが問い合わせが増えない場合
自社のCVRを確認し、国内BtoBサイトの目安(0.5〜3%程度)と比較してみてください。目安より低い場合は、CVR改善を優先することで成果につながりやすくなります。
CVRから商談化率・受注率まで追う——成果につながるKPI設計
CVR改善だけでなく、商談化率・受注率まで一貫して追う仕組みを構築することが、BtoB企業の成果(商談・受注)につながります。以下のチェックリストで、自社がPV/CVRどちらを重視すべきか判断してください。
【チェックリスト】自社がPV/CVRどちらを重視すべきか判断チェックリスト
- 自社サイトの月間PV数を把握している
- 自社サイトの月間CV数を把握している
- CVR(CV÷訪問数)を計算し、把握している
- CVの定義(問い合わせ・資料DL等)を明確にしている
- CVからMQL・商談への転換率を把握している
- 商談から受注への転換率を把握している
- ターゲットペルソナを明文化している
- 自社のUSP(差別化ポイント)を言語化している
- コンテンツにターゲット・USPが反映されている
- フォーム項目数を最適化している
- 問い合わせ以外の中間CV(資料DL等)を用意している
- ファネル全体のボトルネックを特定している
上記のチェック項目で「把握していない」「できていない」が多い場合は、CVR改善を優先することをおすすめします。
以下は、CVR改善や商談化率向上に取り組んだ企業の事例です(いずれも特定条件下の結果であり、自社への適用可能性は別途検討が必要です)。
- フジモリ産業株式会社では、Webサイト設計の改良により、わずか1か月で問い合わせが5倍に増加し、翌年10月までの1年間で60件の問い合わせを獲得した
- あるBtoB企業で、ホワイトペーパー×ナーチャリングを強化した結果、コンバージョン数が前年比約8倍になった
- BtoBソリューション商材を扱う企業が、エリア集中型広告戦略に転換し認知広告の露出量を5倍に増やした結果、広告CVが1.5倍に増大した
CVR改善から始める——短期で効果が出やすい施策
CVR改善は、SEO等のPV増加施策と比較して、短期で効果が出やすい傾向があります。以下のような施策が有効です。
- フォーム項目の削減(入力ハードルを下げる)
- ファーストビューの改善(メリットを明確に伝える)
- 中間CV(資料DL・ウェビナー参加等)の設置
- 導線の最適化(CTAボタンの配置・文言改善)
ある証券会社では、ランディングページのファーストビューにメリットを入れた動画を挿入した結果、申し込み完了率が120%アップしたという事例があります。
商談化率・受注率まで見る——ファネル全体の最適化
CVだけを追うと、リードの質が下がる可能性があります。ホワイトペーパーDLなど低ハードルCVでは3〜10%のCVRが出るケースもありますが、問い合わせより受注率は低くなりがちです。
PV→CV→商談→受注のファネル全体を見て、ボトルネックを特定することが重要です。CVRが高くても商談化率が低ければ、リードの質に問題がある可能性があります。逆に、CVRが低くても商談化率・受注率が高ければ、質の高いリードを獲得できていると言えます。
まとめ——PVとCVRの優先順位を見極め、成果につなげる
本記事では、PVとCVRの違い、およびBtoB企業がどちらを重視すべきかの判断基準を解説しました。
ポイントの整理
- PVは「閲覧数」、CVは「成果」、CVRは「成果に至る割合」
- PVを増やせばCVも増えるという考え方は誤り。PV偏重では商談・受注につながらないコンテンツを量産してしまう
- BtoBでは「まずCVを定義→CVRを改善→CVRを維持しつつPVを増やす」の優先順位が合理的
- CVRだけでなく、商談化率・受注率まで一貫して追う仕組みを構築することが重要
- 戦略(ターゲット・USP)を全コンテンツに反映させることがCVR向上の鍵
次のアクション
- 自社のCVR現状を把握する
- ファネル全体(PV→CV→商談→受注)を分析し、ボトルネックを特定する
- ターゲット・USPを言語化し、コンテンツに反映する仕組みを構築する
BtoB企業の成果(商談・受注)を目指すなら、PV増加よりもCVR・商談化率まで一貫して追う仕組みを構築することが優先であり、そのためには戦略(ターゲット・USP)を全コンテンツに反映させる必要があります。
