BtoB購買プロセスを理解するだけでは成果が出ない理由
BtoB購買プロセスを正しく理解し、各段階に合ったコンテンツを設計できるようになるために必要なのは、BtoB購買プロセスを理解するだけでなく、各段階に合わせた「誰に・何を・なぜ伝えるか」をコンテンツ戦略に反映させることです。
「購買プロセスは知っているが、コンテンツにどう反映すればいいか分からない」「記事を出しているが、どの段階の読者に刺さっているか自信がない」——こうした課題を抱えるBtoBマーケティング担当者は少なくありません。
BtoB購買プロセス白書2025によると、85%の購買担当者が営業担当者との初回面談前に購買先候補を絞り込んでいます。また、BtoB商材の検討時に比較対象を3社以内に絞っているケースが81.4%にのぼります。つまり、商談前のオンラインでの情報提供が決定的に重要であり、購買プロセスを理解しただけでは不十分なのです。
この記事で分かること
- BtoB購買プロセスの定義とBtoCとの違い
- ASICAモデルで理解する購買行動の段階
- 購買プロセス各段階に合わせたコンテンツ設計の方法
- 購買プロセス連動コンテンツ設計チェックリスト
- よくある失敗パターンと対策
BtoB購買プロセスの基本とBtoCとの違い
BtoB購買プロセスは、複数の関係者が長期間にわたって意思決定に関与する点が、BtoCと大きく異なります。
グループ購買構造とは、BtoB購買において取引金額が大きいほど意思決定に関わる人数が増加する構造を指します。BtoB購買プロセス白書2025のデータによると、購買に関与する人数は取引金額により大きく異なります。低価格帯(300万円未満)では平均5.6人、中価格帯では14.4人、高価格帯では18.3人が関与するとされています。
また、検討期間もBtoCとは異なります。高価格帯取引の54%が検討から契約まで「半年以上」を要しているというデータがあります。この長期にわたる検討プロセスの中で、顧客が必要な情報を適切なタイミングで提供できるかどうかが、選ばれるかどうかを左右します。
BtoB購買における複数関係者の関与構造
BtoB購買では、決裁者・利用者・情報収集者など、異なる役割を持つ複数の人物が意思決定に関与します。それぞれが異なる課題や評価軸を持っているため、コンテンツ設計においても役割ごとの訴求を考慮する必要があります。
情報収集者は課題解決の手段を探しており、決裁者は投資対効果やリスクを重視します。利用者は導入後の使いやすさや業務改善効果に関心があります。これらの異なるニーズに対応するため、一つのコンテンツですべてをカバーするのではなく、役割ごとに最適化されたコンテンツを用意することが重要です。
ASICAモデルで理解するBtoB購買行動の段階
ASICAモデルとは、BtoB購買行動を5段階で整理したフレームワークで、日本BtoB広告協会アドバイザー河内英司氏が2009年前後に提唱したものです。Awareness(課題認識)、Selection(絞り込み)、Internal Consensus(社内合意形成)、Consent(最終決裁)、Action(契約・導入)の5段階で構成されています。
BtoB購買の検討時に利用する情報源の上位は「購買先企業のWebサイト」(38.5%)と「検索エンジン」(32.2%)であり、オンラインでの情報収集が67.3%を占めています。このため、各段階で適切なオンラインコンテンツを提供することが重要です。
【比較表】購買プロセス各段階のコンテンツ設計比較表
| 段階 | 定義 | 顧客の課題 | 適切なコンテンツ | KPI例 |
|---|---|---|---|---|
| Awareness | 課題認識 | 自社の課題を言語化したい | 課題喚起記事、業界トレンド、調査レポート | PV、滞在時間 |
| Selection | 絞り込み | 解決策の候補を比較したい | 比較表、導入事例、ホワイトペーパー | 資料DL数、問い合わせ数 |
| Internal Consensus | 社内合意形成 | 上司・関係部署を説得したい | ROI算出資料、導入稟議テンプレ、FAQ | 資料DL数、メール開封率 |
| Consent | 最終決裁 | リスクを払拭して決裁したい | セキュリティ資料、契約条件説明、保証内容 | 商談設定数 |
| Action | 契約・導入 | スムーズに導入したい | 導入ガイド、サポート体制説明、成功事例 | 契約数、満足度 |
ASICAモデルの各段階と顧客の行動
Internal Consensus(社内合意形成) とは、ASICAモデルの3段階目で、利用部門・情報システム部門・購買部門など複数部署との合意形成を進める段階です。この段階では、導入稟議を通すための材料が求められます。
BtoBサービス導入時に実際に商談を行う社数は平均2.6社という調査結果があります。Selection段階で3社程度に絞り込まれ、その後の商談で最終的な1社が選ばれる流れが一般的です。つまり、Selection段階で候補に入れなければ、商談の機会すら得られないということです。
購買プロセス各段階に合わせたコンテンツ設計の方法
購買プロセスを理解してもコンテンツ設計に反映しなければ、成果にはつながりません。BtoB購買プロセスの概念や段階を理解しても、それを自社のコンテンツ設計に反映せず、すべての記事が同じトーン・同じ訴求になってしまうケースは少なくありません。結果として、どの段階の読者にも刺さらないコンテンツになってしまいます。
85%の購買担当者が商談前に候補を絞り込んでいる現状を踏まえると、Awareness〜Selection段階のコンテンツが決定的に重要です。各段階で「誰に・何を・なぜ伝えるか」を明確にし、それぞれの読者に刺さるコンテンツを設計することが求められます。
段階別コンテンツの役割と訴求ポイント
Awareness段階では、課題喚起・教育型コンテンツが有効です。「こんな課題はありませんか?」「業界ではこんなトレンドが起きています」といった切り口で、読者の課題認識を促します。
Selection段階では、比較検討・差別化訴求コンテンツが求められます。競合との違いや導入事例を提示し、「なぜ自社を選ぶべきか」を明確にします。
Internal Consensus段階では、導入稟議支援・社内説得材料が必要です。ROI試算シートや導入事例の詳細データなど、上司や関係部署を説得するための材料を提供します。
Consent/Action段階では、リスク払拭・導入後イメージ訴求が重要です。セキュリティ対応やサポート体制など、決裁者が気にするリスク要因に対応するコンテンツを用意します。
購買プロセス連動コンテンツ設計チェックリスト
購買プロセスを自社のコンテンツ設計に反映するためのチェックリストを用意しました。自社の状況を確認し、不足している項目があれば対策を検討してください。
【チェックリスト】購買プロセス連動コンテンツ設計チェックリスト
- ターゲット企業の購買プロセスを把握している
- 購買に関与する役割(決裁者・利用者・情報収集者)を特定している
- Awareness段階向けの課題喚起コンテンツがある
- 業界トレンドや市場動向を解説するコンテンツがある
- Selection段階向けの比較検討コンテンツがある
- 競合との差別化ポイントを明確に示すコンテンツがある
- 導入事例が複数公開されている
- Internal Consensus段階向けの稟議支援コンテンツがある
- ROI試算や費用対効果を示す資料がある
- 社内説得用のFAQ資料がある
- Consent段階向けのリスク払拭コンテンツがある
- セキュリティや契約条件を説明する資料がある
- 各段階のコンテンツが導線でつながっている
- 段階ごとのKPIを設定している
- コンテンツの効果測定を定期的に行っている
- 購買プロセスの変化に応じてコンテンツを更新している
まとめ:購買プロセスをコンテンツ戦略に反映して成果につなげる
本記事では、BtoB購買プロセスの基本から、ASICAモデルの各段階、コンテンツ設計への反映方法までを解説しました。
ポイントを整理します
- BtoB購買は複数の関係者が長期間にわたって意思決定に関与する
- 85%の購買担当者が商談前に候補を絞り込んでおり、オンラインでの情報提供が決定的に重要
- ASICAモデルの各段階に合わせたコンテンツ設計が必要
- 購買プロセスを理解するだけでなく、コンテンツ戦略に反映させることが成果につながる
まずは本記事のチェックリストで自社のコンテンツ設計を見直してください。各段階でどのコンテンツが不足しているかを把握し、優先度の高いものから整備を進めることをお勧めします。
BtoB購買プロセスを理解するだけでなく、各段階に合わせた「誰に・何を・なぜ伝えるか」をコンテンツ戦略に反映させることで、読者の意思決定を前に進めるコンテンツを設計できます。
