BtoBマーケティングの全体像を知っただけでは成果が出ない理由
施策を始めても成果が出ない、記事やコンテンツがバラバラで一貫性がないという課題を解決したいなら、BtoBマーケティングの全体像を理解した次に「誰に・何を・なぜ」という戦略を全施策に一貫させる仕組みを作ることが重要です。
「何から着手すべきか分からない」「施策を始めたが成果につながらない」——BtoBマーケティングを始めたばかりの担当者が抱える悩みの多くは、全体像の理解不足だけが原因ではありません。
BtoB購買プロセス白書2025によると、営業初回面談前に85%の購買担当者が購買先候補を絞り込んでいるという調査結果があります(調査サンプル規模は要確認。BtoB全体への一般化には注意)。また、購買行動実態調査2025では、BtoB購買担当者の81.4%が3社以内に絞って比較しているとされています。
つまり、営業が接触する前の段階で勝負がついているケースが多いのです。デジタル上での情報発信が重要であることは多くの担当者が理解していますが、オウンドメディア・メルマガ・ウェビナーでメッセージがバラバラになっていては、顧客に選ばれることは困難です。
この記事で分かること
- BtoBマーケティングの基礎知識とBtoCとの違い
- 認知から受注までのプロセス全体像(フロー図付き)
- 代表的な施策の特徴と効果実感の調査データ
- 施策をバラバラにしない戦略の一貫性の作り方
- 自社の現状を診断できるチェックリスト
BtoBマーケティングの基礎知識|BtoCとの違いと特徴
BtoBマーケティングを理解するには、まずBtoCとの違いを明確にすることが重要です。購買プロセス、意思決定者の数、検討期間など、BtoBには独自の特徴があります。
BtoB-ECとは、企業間(Business to Business)の電子商取引を指します。経済産業省の調査によると、2024年の日本のBtoB-EC市場規模は514兆4,069億円、EC化率は43.1%に達しています。
BtoBマーケティングの主な特徴は以下の通りです。
- 検討期間が長い: 高価格帯の商材では半年以上かかることも多い
- 複数人が意思決定に関与: 担当者・上長・経営層など複数のロールが存在
- 合理的な判断が重視: ROI・費用対効果などの定量的な評価が求められる
- 高単価: BtoCに比べて取引金額が大きい傾向がある
BtoBの購買プロセスと意思決定の特徴
BtoB購買プロセス白書2025によると、高価格帯(300万円以上)の取引では平均関与人数18.3人、54%の案件が検討開始から契約まで半年以上かかるという結果が報告されています。
この特徴は、BtoBマーケティングにおけるコンテンツ設計に大きな影響を与えます。担当者向けの技術情報だけでなく、経営層向けのROI説明、現場向けの運用イメージなど、複数のロールに対応したコンテンツが必要になります。
バイヤーステージとは、認知・興味・比較検討・意思決定・導入後など、顧客の購買プロセスにおける段階を指す概念です。BtoBでは各ステージが長期化する傾向があるため、各段階に応じた適切なコンテンツを準備することが求められます。
BtoBマーケティングのプロセス全体像|認知から受注までの流れ
認知獲得からリード獲得、ナーチャリング、商談、受注までの一連の流れを理解することが、効果的なマーケティング活動の第一歩です。
前述の通り、営業初回面談前に85%の購買担当者が購買先候補を絞り込んでいます。このことは、デジタル上での情報発信(コンテンツ・事例・料金情報など)が商談前の勝負所であることを示しています。
TOFU/MOFU/BOFUとは、Top/Middle/Bottom of Funnelの略で、認知層・検討層・購買直前層のファネル段階を表します。
以下のフロー図で、BtoBマーケティングのプロセス全体像を確認してください。
【フロー図】BtoBマーケティングプロセス全体像フロー
flowchart TD
subgraph TOFU[認知層 - TOFU]
A[認知獲得] --> B[興味喚起]
end
subgraph MOFU[検討層 - MOFU]
B --> C[リード獲得]
C --> D[リードナーチャリング]
end
subgraph BOFU[購買直前層 - BOFU]
D --> E[商談・提案]
E --> F[受注・契約]
end
subgraph 継続[顧客維持]
F --> G[オンボーディング]
G --> H[アップセル・クロスセル]
end
A1[SEO・オウンドメディア] -.-> A
A2[SNS・広告] -.-> A
A3[展示会・イベント] -.-> B
C1[ホワイトペーパー] -.-> C
C2[ウェビナー] -.-> C
D1[メールナーチャリング] -.-> D
D2[MA・スコアリング] -.-> D
E1[インサイドセールス] -.-> E
E2[フィールドセールス] -.-> E
各プロセスの役割と目的
各段階の目的と担当部門の連携を整理します。
- 認知獲得(TOFU): ターゲット企業に自社の存在を知ってもらう。主にマーケティング部門が担当
- リード獲得(MOFU): 資料請求やウェビナー参加などのアクションを促し、見込み顧客の情報を取得。マーケティング部門が担当
- リードナーチャリング: 見込み顧客の購買意欲を高める。リードナーチャリングとは、見込み顧客を育成し購買意欲を高めていくマーケティング活動です。BtoBでは長期化する傾向があります
- 商談(BOFU): インサイドセールスまたはフィールドセールスが提案・クロージングを担当
- 顧客維持: 導入後のサポートやアップセルにつなげる。カスタマーサクセス部門が担当
BtoBマーケティングの代表的な施策|リード獲得からナーチャリングまで
BtoBマーケティングには多様な施策がありますが、自社のターゲットや商材に合った施策を選ぶことが重要です。
2025年のBtoB企業経営者を対象とした調査では、リード獲得で効果を感じる施策として、SNS 33.3%、展示会 17.2%、広告 16.1%、セミナー/ウェビナー 10.3%という結果が報告されています(n=87/93のBtoB企業経営者対象調査のため、規模や業種に偏りがある可能性があります。また「効果を感じている企業の割合」であり、施策のROIを示すものではありません)。
また、BtoB事業企業の施策実施状況(2024年度)では、展示会への出展37.2%、WEB広告33.2%、イベント開催24.7%という結果が示されています。
MA(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化するツールです。リードスコアリングやメール配信シナリオの自動化に活用されます。
オンライン施策とオフライン施策の使い分け
オンライン施策とオフライン施策にはそれぞれ特徴があり、組み合わせて活用することが効果的です。
オンライン施策
- オウンドメディア・SEO: 継続的なリード獲得に貢献
- SNS: 認知拡大と関係構築に有効
- Web広告: 短期的なリード獲得に活用
- ウェビナー: 見込み顧客との接点創出と教育
オフライン施策
- 展示会: 名刺獲得と直接対話の機会
- セミナー・イベント: 関係構築と信頼醸成
なお、BtoB企業サイトの4割超がこの1年でアクセスが「減った」と回答しており、IT・通信では52.2%が減少という調査結果があります(自己申告ベースの調査であり、実際のアクセス数変化とは異なる可能性があります)。アクセス減少への対応策としては、「生成AIやAI検索への最適化」が54.5%で最多となっており、環境変化への対応が求められています。
施策をバラバラにしない|戦略を一貫させる仕組みづくり
全体像を学んだ後、施策を個別に始めてしまい、オウンドメディア・メルマガ・ウェビナーでメッセージがバラバラになるのは、よくある失敗パターンです。 この状態では、せっかく接触した見込み顧客に一貫したメッセージを届けられず、成果につながりません。
施策をバラバラにしないためには、「誰に」「何を」「なぜ」を言語化し、全施策で共有する仕組みを作ることが不可欠です。
以下のチェックリストで、自社のマーケティング活動の一貫性を診断してみてください。
【チェックリスト】自社マーケティング現状診断チェックリスト
- ターゲット企業の定義(業種・規模・課題)が明文化されている
- ターゲットペルソナ(役職・課題・情報収集行動)が定義されている
- 提供価値(なぜ自社を選ぶべきか)が言語化されている
- 上記3点がマーケティング・営業・カスタマーサクセス間で共有されている
- オウンドメディアの記事テーマがターゲットペルソナの課題に紐づいている
- メールナーチャリングのメッセージがオウンドメディアと一貫している
- ウェビナーのテーマがターゲットペルソナの購買プロセスに対応している
- ホワイトペーパーの内容が提供価値を具体的に示している
- 営業資料とマーケティングコンテンツで訴求ポイントが一致している
- 事例コンテンツがターゲット企業と類似した業種・規模をカバーしている
- 施策ごとのKPIが全体目標に紐づいて設計されている
- 定期的にマーケティング・営業間で施策レビューを実施している
- コンテンツ制作のガイドライン(トーン・表現ルール)が存在する
- 新規施策を始める際に戦略との整合性を確認するプロセスがある
- 施策間の導線設計(認知→リード獲得→ナーチャリング)が明確である
よくある失敗パターンと解決策
失敗例1: ターゲット像のズレ
オウンドメディアでは中小企業向けの内容を発信しているのに、メールナーチャリングでは大企業向けの事例ばかり送っている。結果として、見込み顧客が「自社向けではない」と感じて離脱してしまう。
解決策: ターゲット定義を明文化し、すべての施策でその定義に沿ったコンテンツを制作する。
失敗例2: 訴求メッセージの矛盾
ウェビナーでは「導入しやすさ」を訴求しているのに、営業資料では「高機能」を前面に出している。顧客が混乱し、信頼を損なう。
解決策: 提供価値を言語化した「戦略ドキュメント」を作成し、すべてのコンテンツ制作時に参照する。
失敗例3: 施策間の断絶
SEOで流入した見込み顧客に対して、その後のナーチャリングコンテンツが用意されていない。せっかくの流入が商談につながらない。
解決策: 認知→リード獲得→ナーチャリング→商談の導線を設計し、各段階に対応するコンテンツを準備する。
まとめ:全体像の理解から戦略の一貫性へ
本記事では、BtoBマーケティングの基礎知識から全体像、代表的な施策、そして施策を一貫させる仕組みづくりまでを解説しました。
要点の整理
- BtoBマーケティングは、長い検討期間・複数意思決定者・高単価という特徴を持つ
- 営業初回面談前に85%の購買担当者が候補を絞り込んでおり、デジタル上の情報発信が重要
- 81.4%の購買担当者が3社以内で比較するため、「選ばれる3社」に入ることが勝負
- 施策を個別に始めてメッセージがバラバラになるのは失敗パターン
- 「誰に・何を・なぜ」を言語化し、全施策で一貫させる仕組みが成功の鍵
まずは本記事のチェックリストを使って、自社のマーケティング活動の現状を診断してみてください。チェックが付かない項目があれば、そこが改善ポイントです。
BtoBマーケティングの全体像を理解した次にやるべきは、「誰に・何を・なぜ」という戦略を全施策に一貫させる仕組みを作ることです。
