BtoBペルソナを作っても成果につながらない理由
BtoBペルソナ設計で成功するには、作成手順を踏むだけでなく、個人ペルソナと企業ペルソナを整理した上で、全施策に一貫して反映される仕組みを設計することが不可欠です。
「ペルソナを作成したものの、結局使われていない」「施策ごとにターゲット像がブレている」——こうした課題を抱えるBtoBマーケティング担当者は少なくありません。
2026年版BtoBマーケティング施策ガイドでは、目的設定の次のステップとしてターゲット・ペルソナ設計を行うことが必須要素とされており、ペルソナ設計を前提とした戦略立案が標準になっています。しかし、ペルソナシートを埋めただけで満足してしまい、その後の施策にどう反映するかを設計しないケースが多いのが実情です。
この記事で分かること
- ペルソナの定義とBtoB特有のポイント
- 企業ペルソナと個人ペルソナの違い
- BtoBペルソナシートの項目一覧(比較表付き)
- ペルソナが形骸化する原因と防ぐ対策
- ペルソナ作成・活用チェックリスト
ペルソナの定義とBtoB特有のポイント
ペルソナとは、自社の製品・サービスを利用する典型的なユーザー像を、氏名・年齢・職業・役職・課題などを設定し架空の人物として具体化したものです。
BtoBでは、BtoCとは異なり購買プロセスに複数の関係者が関わります。情報収集担当、予算・決裁権を持つ上位者、実際の利用者など、それぞれ異なる立場の人物が意思決定に関与するため、一人の理想顧客像だけでは不十分です。
また、「ターゲット」と「ペルソナ」は異なる概念です。ターゲットは「中堅製造業のマーケティング部門」といった大まかなセグメントを指すのに対し、ペルソナはその中の象徴的な1人の顧客像を具体化したものです。
企業ペルソナと個人ペルソナの違い
企業ペルソナは、業種・売上規模・従業員数・事業課題・導入目的など、購買主体である企業のプロファイルを人格化したものです。一方、個人ペルソナは、氏名・役職・経歴・決裁権の有無・担当業務など、ターゲットとなる1ユーザーを表す典型的な人物像を指します。
BtoBでは、企業規模別・業種別に2〜4つ程度の企業ペルソナ、意思決定プロセス上のキーパーソン(決裁者・利用者・情報収集者など)として2〜5つ程度の個人ペルソナを設計するケースが多いとされています。ただし、これはあくまで目安であり、商材や営業プロセスによって適切な数は異なります。
BtoBペルソナの作成手順と項目一覧
BtoBペルソナを作成する際は、企業情報・担当者情報・課題/意思決定プロセスの3ブロックで構成するのが実務的です。以下に、ペルソナシートに含めるべき項目を整理します。
【比較表】BtoBペルソナシート項目一覧(個人・企業)
| 項目カテゴリ | 個人ペルソナ項目 | 企業ペルソナ項目 |
|---|---|---|
| 基本情報 | 氏名、年齢、役職、部署 | 企業名(仮)、業種、従業員数、売上規模 |
| 経歴・背景 | 職歴、専門スキル、学歴 | 事業内容、市場ポジション、成長フェーズ |
| 役割・権限 | 決裁権の有無、予算管理範囲、上司との関係 | 組織構造、意思決定プロセス、承認フロー |
| 課題・ニーズ | 日常業務の課題、達成したい目標、不満・不安 | 事業課題、経営目標、競合との差別化ポイント |
| 情報収集行動 | よく見るメディア、参考にする情報源、SNS利用 | 導入検討時の情報源、過去の導入実績 |
| 導入検討基準 | 重視する評価軸、懸念事項、反対しそうなポイント | 予算サイクル、導入決定までの期間、関与者 |
| 成功の定義 | 導入後に期待する変化、KPI | 期待するROI、成功指標 |
この表を元に、自社の商材や顧客特性に合わせてカスタマイズしてください。カスタマージャーニー(顧客が認知から検討・購入・利用に至るまでの行動・感情・接点を時系列でマッピングしたもの)と組み合わせることで、各フェーズでの接点設計がしやすくなります。
ペルソナ作成に必要な情報の収集方法
ペルソナの精度を高めるには、既存顧客データと定性ヒアリングを組み合わせることが重要です。
定量データの活用
- SFA/CRMに蓄積された顧客属性データ
- MAツールでの行動履歴(メール開封、資料DL、ページ閲覧)
- サポート履歴や問い合わせ内容
定性データの収集
- 既存顧客へのインタビュー
- 営業担当からのヒアリング
- 失注理由の分析
SFA/CRM・MA・サポート履歴を1か所に統合することがペルソナ精度に直結します。データが分散していると、顧客像の解像度が下がり、施策への反映も難しくなります。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動によって獲得し、一定の基準を満たした見込み顧客です。MQLの属性や行動パターンを分析することで、ペルソナの解像度を高めることができます。
ペルソナが形骸化する原因と防ぐ対策
ペルソナが形骸化する最大の原因は、ペルソナシートを埋めて満足し、作成後に施策へ反映する仕組みを設計しないまま運用することです。
この失敗パターンに陥ると、施策ごとにターゲット像がブレ、コンテンツや営業トークに一貫性がなくなります。結果として、商談・受注につながらない状態が続きます。
形骸化を防ぐポイント
- ペルソナをドキュメントとして保管するだけでなく、施策起案時の必須参照項目にする
- コンテンツ制作時に「このペルソナに刺さるか」を確認するプロセスを設ける
- 定期的に更新するスケジュールを決めておく
市場環境や商材が大きくは変わらない前提で、ペルソナは1年〜2年に一度見直すことが推奨されることが多いです。新規事業やプロダクト立ち上げ期は、四半期ごとに仮説検証しながら更新する企業もあります。
作って終わりにせず、現場で使いながら改善するプロセスをとることが重要です。
部門横断でペルソナを共有する仕組み
ペルソナを成果につなげるには、マーケティング部門だけでなく、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスなど複数部門で共通言語として活用することが重要視されています。
共有の仕組みを作るポイント
- 全部門がアクセスできる場所にペルソナシートを置く
- 定例会議でペルソナの認識を確認する機会を設ける
- 営業からのフィードバックをペルソナ更新に反映する
部門横断での活用が標準化されることで、「マーケが獲得したリードが営業に刺さらない」「カスタマーサクセスで想定外の課題が出てくる」といった問題を防ぐことができます。
BtoBペルソナ作成・活用チェックリスト
ペルソナを作成から活用まで一貫して運用するためのチェックリストを用意しました。自社の状況を確認し、不足している項目があれば対策を検討してください。
MAベンダー各社の事例では、ペルソナ/セグメント別コンテンツ配信によりメール開封率が1.5〜2倍、資料DL率が1.3〜1.8倍向上した事例が複数紹介されています。ただし、効果は業種・商材・運用体制によって異なるため、自社での検証が必要です。
【チェックリスト】BtoBペルソナ作成・活用チェックリスト
- 既存顧客データ(SFA/CRM)を分析してペルソナの土台を作成している
- 営業担当や顧客へのインタビューで定性情報を収集している
- 企業ペルソナと個人ペルソナを分けて設計している
- 意思決定に関与する複数の役割(決裁者・利用者・情報収集者)を考慮している
- ペルソナシートに課題・ニーズ・情報収集行動を含めている
- 全部門がアクセスできる場所にペルソナシートを保管している
- コンテンツ制作時にペルソナとの整合性を確認するプロセスがある
- 営業トーク・提案資料がペルソナの課題に沿った内容になっている
- インサイドセールスのスクリプトがペルソナを意識して設計されている
- ペルソナの更新スケジュール(年1回以上)を決めている
- 営業・CSからのフィードバックをペルソナ更新に反映する仕組みがある
- 失注理由を分析してペルソナの精度向上に活用している
- 新規事業・新商材の場合は四半期ごとに仮説検証している
- ペルソナごとの施策効果(開封率・CV率など)を測定している
まとめ:ペルソナを全施策に一貫して反映する仕組みを設計する
本記事では、BtoBペルソナの作り方から、形骸化を防ぐ運用方法までを解説しました。
ポイントを整理します
- BtoBでは企業ペルソナと個人ペルソナをセットで設計する
- 購買プロセスに関与する複数の役割(決裁者・利用者・情報収集者)を考慮する
- ペルソナシートを埋めるだけでなく、施策への反映プロセスを設計する
- 部門横断で共通言語として活用し、定期的に更新する
BtoB企業でペルソナを成果につなげるには、作成手順を踏むだけでなく、個人ペルソナと企業ペルソナを整理した上で、全施策に一貫して反映される仕組みを設計することが不可欠です。
まずは本記事のチェックリストで自社のペルソナ活用状況を確認し、不足している項目から改善を始めてください。
