コンテンツを出しているのに商談につながらない問題
結論から言えば、コンテンツマーケティングでデマンドジェネレーションを成功させるには、施策を増やすのではなく、戦略(誰に・何を・なぜ)を全コンテンツで一貫させ、ファネル段階に応じたコンテンツを配置することで、PVではなく商談化につながる成果を実現できます。
海外の調査によると、82%の企業がコンテンツマーケティングを利用しており、そのうち48%がブログを活用しているとされています(日本市場では異なる可能性があります)。つまり、コンテンツマーケティングに取り組む企業は決して少なくありません。しかし、「記事を公開しているのに問い合わせにつながらない」「PVは増えているが商談化しない」という課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。
一方で、B2B企業でブログを書いている企業は、そうでない企業より67%多くのリードを創出しているという統計もあります。正しいアプローチで取り組むことで、コンテンツマーケティングで成果を生み出せる可能性が高まります。
この記事で分かること
- デマンドジェネレーションの定義と3つの主要プロセス
- コンテンツマーケティングがデマンドジェネレーションで果たす役割
- ファネル段階別の効果的なコンテンツタイプ
- 戦略の一貫性を保つためのコンテンツ設計方法
デマンドジェネレーションの定義と主要プロセス
デマンドジェネレーションとは、見込み顧客を獲得・育成・選別して、営業に渡せる有望案件を継続的に生み出す一連のマーケティングプロセスです。単にリードを集めるだけでなく、商談につながる質の高いリードを営業に引き渡すところまでを含む概念です。
デマンドジェネレーションは、主に3つのプロセスで構成されています。それぞれのプロセスで目的が異なり、適切なコンテンツも変わってきます。
リードジェネレーション:見込み顧客の獲得
リードジェネレーションは、ターゲットとなる企業・担当者の情報を獲得し、将来の商談候補となる母集団を作るプロセスです。メールアドレスや会社名、役職などの情報を取得することがゴールになります。
代表的な施策としては、SEO記事によるオーガニック流入、ホワイトペーパーや資料のダウンロード、ウェビナーへの参加登録、展示会での名刺交換などがあります。
リードナーチャリング:見込み顧客の育成
リードナーチャリングは、すぐには検討しないリードに対し、情報提供やコミュニケーションを継続し、ニーズ顕在化・検討度合いの引き上げを行うプロセスです。獲得したリードの多くは、すぐに商談化できる状態ではありません。継続的なコンテンツ提供を通じて、検討意欲を高めていくことが必要です。
代表的な施策としては、メールマガジンやステップメール、セミナーシリーズ、業界別・課題別のコンテンツ配信などがあります。
リードクオリフィケーション:営業への引き渡し
リードクオリフィケーションは、ナーチャリングされたリードの中から、受注確度の高いリードだけを選別して営業へトスアップするプロセスです。
この段階では、MQL(Marketing Qualified Lead) と SQL(Sales Qualified Lead) という2つの概念が重要になります。MQLは、マーケティング活動によって獲得・育成され、一定のスコア基準を満たした見込み顧客です。SQLは、MQLの中から営業が直接アプローチすべきと判断された、商談可能性の高い見込み顧客です。スコアリングやインサイドセールスによるヒアリングを通じて、MQLからSQLへの転換を行います。
コンテンツマーケティングがデマンドジェネレーションで果たす役割
コンテンツマーケティングは、デマンドジェネレーションの各プロセスを支える基盤として機能します。ただし、単にコンテンツを量産すれば成果が出るわけではありません。
海外の調査では、教育的なコンテンツを含むB2Bブログは、企業中心のコンテンツよりオーガニックトラフィックが52%多いとされています。また、ブログ形式の中で「ハウツー記事」が最も人気が高く、77%のマーケターが活用しているというデータもあります。これらのデータが示すのは、「量より質」「自社視点より読者視点」のコンテンツが成果につながるという事実です。
戦略なしの量産が商談化しない理由
「記事を増やせばリードが増え、リードが増えれば商談につながる」という考え方は誤りです。戦略が一貫していない状態でコンテンツを量産しても、記事ごとに主張がブレて読者に刺さらず、PV止まりで商談化しないケースが多いです。
この失敗パターンには、いくつかの典型的な原因があります。
第一に、記事ごとに主張がブレる問題です。ターゲットや訴求ポイントが記事によって異なると、読者は「この会社は結局何が強みなのか」を理解できません。結果として、比較検討の候補に入らないまま離脱してしまいます。
第二に、読者との信頼関係が構築できない問題です。一貫したメッセージがないと、複数の記事を読んでも「この会社のことをよく知っている」という感覚が生まれません。ナーチャリングの効果が薄れてしまいます。
第三に、ナーチャリングが機能しない問題です。コンテンツ間で戦略が統一されていないと、リードがどのような課題を持ち、何を検討しているかを把握することが難しくなります。適切なタイミングで適切なコンテンツを届けることができず、商談化の機会を逃してしまいます。
ファネル段階別のコンテンツ活用
効果的なデマンドジェネレーションを実現するには、ファネル段階に応じて適切なコンテンツを配置することが重要です。各段階で読者のニーズが異なるため、それに合わせたコンテンツタイプを選択する必要があります。
動画マーケターの73%が「説明動画」を制作しており、認知段階では動画コンテンツも効果的な選択肢です。また、ある企業のデマンドジェネレーションキャンペーンへの移行事例では、資料率が4.78%から18.02%に277%向上し、視聴単価が4.2円から1.5円に64%削減されたという結果が報告されています(ただし特定企業の事例であり、一般化には注意が必要です)。さらに、動画と画像の両方のアセットを活用した場合、動画アセットのみを使用した場合と比較して同じアクション単価でコンバージョン数が20%増加するというデータもあります。
【比較表】ファネル段階別コンテンツ活用マトリクス
| ファネル段階 | 読者のニーズ | 効果的なコンテンツタイプ | ゴール |
|---|---|---|---|
| 認知・興味 | 課題を認識したい | ハウツー記事、トレンド解説、説明動画 | サイト訪問、メルマガ登録 |
| 比較検討 | 解決策を比較したい | ホワイトペーパー、ウェビナー、事例コンテンツ | 資料DL、セミナー参加 |
| 商談化 | 導入を判断したい | ROIシミュレーション、詳細事例、導入ガイド | 問い合わせ、商談化 |
認知・興味段階:課題提起型コンテンツ
認知・興味段階では、読者はまだ具体的な解決策を探しているわけではありません。自分の課題を言語化し、情報収集を始めた段階です。この段階では、ハウツー記事、トレンド解説、課題の構造を説明する記事が効果的です。
ブログ形式の中で「ハウツー記事」が最も人気が高く、77%のマーケターが活用しているというデータが示すように、読者の課題解決に役立つ実践的なコンテンツが求められます。SEO流入を意識し、検索意図に応えるコンテンツを設計することが重要です。
比較検討段階:信頼構築型コンテンツ
比較検討段階では、読者は複数の解決策を比較し、自社に最適なものを選ぼうとしています。この段階では、ホワイトペーパー、ウェビナー、事例コンテンツが効果的です。
特に、同業種・同規模の企業の導入事例は、比較検討期のリードに対して響きやすいとされています。「自社と似た課題を持つ企業がどのように解決したか」を示すことで、導入後のイメージを具体化させることができます。
商談化段階:意思決定支援型コンテンツ
商談化段階では、読者は導入を具体的に検討しており、社内稟議を通すための材料を集めています。この段階では、ROIシミュレーション、数字入りのビフォーアフターを含む導入事例、導入ガイドが効果的です。
社内稟議に使える資料として設計することが重要です。「導入の壁と乗り越え方」「投資対効果の試算方法」など、意思決定者が求める情報を盛り込むことで、商談化につなげることができます。
戦略の一貫性を実現するコンテンツ設計
前述のとおり、戦略の一貫性がデマンドジェネレーション成功の鍵です。では、具体的にどのようにして全コンテンツで戦略を統一すればよいのでしょうか。
ターゲット・USP・メッセージの言語化
最初のステップは、戦略の基盤となる3要素を明確に言語化することです。
誰に(ターゲット): どのような企業の、どのような役職・立場の人に向けたコンテンツなのかを明確にします。業種、企業規模、担当者の役職や課題を具体的に定義します。
何を(USP): 自社の強みは何か、競合と比較して何が優れているのかを明確にします。機能面だけでなく、導入後のサポート体制や実績なども含めて整理します。
なぜ(差別化ポイント): なぜターゲットは自社を選ぶべきなのか、その理由を言語化します。「選ばれる理由」を一文で説明できる状態を目指します。
コンテンツ間の整合性を保つ運用
言語化した戦略を、実際のコンテンツ制作・運用に反映させる仕組みが必要です。
コンテンツガイドラインの作成: ターゲット、USP、メッセージの定義をドキュメント化し、コンテンツ制作に関わる全員が参照できるようにします。トーン&マナー、使用する表現、避けるべき表現なども明記します。
ファネル段階ごとのCTA設計: 各コンテンツに設置するCTA(行動喚起)を、ファネル段階に応じて設計します。認知段階ではメルマガ登録、比較検討段階では資料ダウンロード、商談化段階では問い合わせフォームへ誘導するなど、読者の検討度合いに合わせたCTAを設定します。
定期的なコンテンツ監査: 既存コンテンツが戦略と一貫しているかを定期的にチェックします。古いコンテンツが現在の戦略と矛盾していないか、メッセージがブレていないかを確認し、必要に応じて更新または非公開にします。
【チェックリスト】デマンドジェネレーション×コンテンツマーケティング設計チェックリスト
- ターゲット企業の業種・規模を明確に定義している
- ターゲット担当者の役職・課題を明確に定義している
- 自社のUSP(強み・差別化ポイント)を一文で説明できる
- 「選ばれる理由」を言語化している
- コンテンツガイドラインを作成している
- 全コンテンツがガイドラインに沿って制作されている
- 認知段階向けのコンテンツを用意している
- 比較検討段階向けのコンテンツを用意している
- 商談化段階向けのコンテンツを用意している
- ファネル段階ごとにCTAを設計している
- リードのファネル段階を把握する仕組みがある
- 定期的なコンテンツ監査を実施している
- 古いコンテンツの更新・非公開ルールを定めている
- マーケティングと営業でリード引き渡し基準を共有している
- MQL・SQLの定義を明確にしている
まとめ:戦略の一貫性でPVを商談化につなげる
コンテンツマーケティングでデマンドジェネレーションを成功させるには、施策を増やすのではなく、戦略(誰に・何を・なぜ)を全コンテンツで一貫させることが重要です。ファネル段階に応じたコンテンツを配置し、一貫したメッセージで読者との信頼関係を構築することで、PVではなく商談化につながる成果を実現できます。
本記事で紹介したファネル段階別コンテンツ活用マトリクスと設計チェックリストを活用し、まずは自社の戦略3要素(ターゲット・USP・差別化ポイント)を言語化することから始めてみてください。戦略が明確になれば、どのようなコンテンツを、どのファネル段階の読者に向けて制作すべきかが自ずと見えてきます。
