フィールドセールスの成果が担当者によってバラつく原因
フィールドセールスの成果を安定させるには、商談フェーズ別に必要なコンテンツを整備し、誰が商談しても同じ品質の提案ができる仕組みを作ることが重要である。これが本記事の結論です。
フィールドセールスとは、顧客先を直接訪問し、商品・サービスの提案から契約締結までを担う対面中心の営業手法を指します。商談の成果が担当者によってバラつく——このような課題を抱える企業は少なくありません。
日本のインサイドセールス導入率は40.6%で、米国80%超に比べ約2倍の成長余地があるとされています(HubSpot調査)。インサイドセールスとフィールドセールスの連携が進む中で、両者の間でコンテンツをどう共有・活用するかが成果を左右するポイントになっています。
成果がバラつく主な原因は、優秀な営業担当者の属人的なスキルや資料に頼り、チーム全体でコンテンツを共有・活用する仕組みがないことにあります。このような体制では、成果のバラつきが解消されず、再現性が生まれません。
この記事で分かること
- フィールドセールスの役割とインサイドセールスとの連携方法
- 商談で使うコンテンツの種類と役割
- 商談フェーズ別に必要なコンテンツの整理(一覧表付き)
- コンテンツ整備状況を確認するチェックリスト
フィールドセールスの役割とインサイドセールスとの連携
フィールドセールスは、見込み顧客との対面での商談を通じて、提案から契約締結までを担う役割を果たします。近年は、インサイドセールスとの連携によって効率的な営業活動を実現する企業が増えています。
インサイドセールスとは、電話・メール・オンラインで見込み顧客を育成し、高確度リードをフィールドセールスに引き継ぐ非対面営業のことです。2020年時点の日本のインサイドセールス導入率は11.6%でしたが、その後急増傾向にあります(HubSpot 2020年版調査)。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動で獲得した、一定の関心を示した見込み顧客のことです。SQL(Sales Qualified Lead) は、営業が商談可能と判断した見込み顧客で、インサイドセールスからフィールドセールスへ引き継がれるリードを指します。
インサイドセールスはフィールドセールスに比べ、コスト効率よく多くのプロスペクトにアプローチできるとされています(業界相場感のため個社状況により異なります)。両者の役割分担を明確にし、連携の仕組みを作ることで、営業活動全体の効率が高まります。
インサイドセールスから引き継ぐ情報の活用
インサイドセールスからフィールドセールスへリードを引き継ぐ際には、商談に必要な情報を漏れなく共有することが重要です。
BANTとは、Budget(予算)・Authority(決裁権)・Need(ニーズ)・Timeline(導入時期)の頭文字を取った商談ヒアリング項目です。インサイドセールスがBANT情報を収集してフィールドセールスに引き継ぐことで、商談の準備が効率化されます。
引き継ぎ情報を活用するためのポイントは以下の通りです。
- インサイドセールスが収集したBANT情報を事前に確認し、商談の準備に活かす
- 顧客の課題・関心事項を把握した上で、適切なコンテンツを選定する
- 引き継ぎ時の情報フォーマットを標準化し、担当者間で認識のズレを防ぐ
フィールドセールスで使うコンテンツの種類と役割
フィールドセールスで使うコンテンツは、商談の各フェーズで顧客の意思決定を後押しする役割を果たします。コンテンツをチーム全体で共有・活用することで、担当者によるバラつきを抑え、商談品質を安定させることができます。
優秀な営業担当者の属人的なスキルや資料に頼り、コンテンツを共有・活用する仕組みがない状態では、成果の再現性が生まれません。これはよくある失敗パターンです。IS/FS連携の成功企業では、商談化率が18%から40%に改善し、商談数が1.5〜3倍に増加したという事例も報告されています。
フィールドセールスで使う主なコンテンツには、以下のようなものがあります。
- 提案デッキ(スライド):商談時に使用するプレゼンテーション資料
- ケーススタディ:既存顧客の導入事例をまとめた資料
- 製品デモ資料:製品・サービスの機能や操作方法を説明する資料
- FAQ集:よくある質問と回答をまとめた資料
- 比較資料:競合製品との違いを整理した資料
- ROI試算シート:導入効果を試算するための資料
これらのコンテンツを商談フェーズに応じて使い分けることで、効果的な提案が可能になります。
商談フェーズ別に必要なコンテンツの整理
商談の各フェーズでは、顧客の検討段階に応じたコンテンツを活用することが重要です。以下に、商談フェーズ別に必要なコンテンツを整理します。
商談フェーズは一般的に、「初回訪問」「ヒアリング」「提案」「クロージング」の4段階に分けられます。各フェーズで顧客が求める情報は異なるため、適切なコンテンツを事前に準備しておくことが商談成功の鍵となります。
【比較表】商談フェーズ別コンテンツ一覧表
| 商談フェーズ | 必要なコンテンツ | 目的 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 初回訪問 | 会社紹介資料、サービス概要資料 | 自社の信頼性と提供価値を伝える | 相手の業界・課題に合わせてカスタマイズ |
| ヒアリング | ヒアリングシート、課題整理テンプレート | 顧客の課題とニーズを深掘りする | BANT情報を漏れなく確認 |
| 提案 | 提案デッキ、ケーススタディ、製品デモ資料 | 課題に対する解決策を具体的に提示する | 顧客の課題に紐づけた提案ストーリー |
| クロージング | 見積書、契約条件資料、FAQ集、ROI試算シート | 意思決定を後押しし、不安を解消する | 決裁者向けの説得材料を用意 |
| 導入後フォロー | 導入マニュアル、活用事例集、定着支援資料 | 継続利用と追加提案につなげる | オンボーディング支援と関係維持 |
コンテンツ整備の進め方とチェックリスト
フィールドセールス向けコンテンツを整備する際は、現状の棚卸しから始め、優先度の高いものから段階的に整備していくことが現実的です。
参考情報として、2023年の日本の営業職人口は労働者総数6,740万人中810万人(約12%)とされています(総務省統計局労働力調査)。多くの企業でフィールドセールス担当者を抱える中、チーム全体でコンテンツを共有・活用する仕組み作りの重要性は高まっています。
コンテンツ整備の進め方は以下のステップが一般的です。
- 現状のコンテンツを棚卸しし、不足しているものを特定する
- 商談フェーズごとに優先度を付け、整備計画を立てる
- 標準コンテンツを作成し、チーム全員がアクセスできる場所に格納する
- 定期的に内容を更新し、フィードバックを反映する
【チェックリスト】フィールドセールス向けコンテンツ整備チェックリスト
- 会社紹介資料が最新の情報に更新されている
- サービス概要資料が整備されている
- 提案デッキ(スライド)のテンプレートが標準化されている
- 業種・課題別にカスタマイズできる提案資料がある
- ケーススタディ(導入事例)が複数整備されている
- 製品デモ資料またはデモ動画が用意されている
- FAQ集が整備され、定期的に更新されている
- 競合比較資料が整備されている
- ROI試算シートが用意されている
- ヒアリングシートのテンプレートが標準化されている
- BANT情報の引き継ぎフォーマットが決まっている
- インサイドセールスからの引き継ぎ情報が整理されている
- 見積書・契約条件資料のテンプレートがある
- 導入後のオンボーディング資料が整備されている
- コンテンツの格納場所がチーム全員に共有されている
- コンテンツの更新ルール・担当者が決まっている
まとめ:コンテンツ整備でフィールドセールスの成果を安定させる
フィールドセールスの成果を安定させるためには、商談フェーズ別に必要なコンテンツを整備し、チーム全体で共有・活用することが不可欠です。
本記事で解説した重要なポイントを整理します。
- 成果のバラつきは、コンテンツを共有・活用する仕組みの不足が原因になりやすい
- インサイドセールスとの連携では、BANT情報の引き継ぎが商談準備の効率化につながる
- 商談フェーズに応じたコンテンツを用意することで、担当者によるバラつきを抑えられる
- コンテンツ整備チェックリストで現状を把握し、優先度の高いものから整備を進める
フィールドセールス向けコンテンツ整備チェックリストを活用して、自社の整備状況を診断してみてください。チェックが付かない項目があれば、優先度をつけて順次整備していくことで、誰が商談しても同じ品質の提案ができる体制づくりの第一歩を踏み出せます。
フィールドセールスの成果を安定させるには、商談フェーズ別に必要なコンテンツを整備し、誰が商談しても同じ品質の提案ができる仕組みを作ることが重要である——この原則を忘れずに、コンテンツ整備に取り組んでいただければ幸いです。
